水曜随想 「全道停電の教訓生かせ」 衆議院議員 田村貴昭

1219 北海道地震での、道内全域に及ぶ停電「ブラックアウト」に驚いた。
 
 道内の電力需要の半分を担う厚真町の火力発電所が緊急停止、需給バランスが崩れ、他の発電所も自動的に停止した。大電源に頼ってはいけないことが教訓となっている。
 
 九州ではどうだろう。九州電力によれば昨日(17日)の最大電力は1220万キロワット稼働している川内(鹿児島)と玄海(佐賀)の二つの原子力発電所での出力は約400万キロワットで、相当な比重を占めている。しかし、原発に依存しなくても九州では、自然エネルギーが大きく成長している。
 
 すでに太陽光エネルギーの接続済みは約800万キロワットで、福島の原発事故以降8倍に増加している。
 
 再生可能エネルギー全体では、接続済みが1156万キロワット、接続予定・検討が2616万キロワットにも及ぶ。既存の火力発電などと調整し、蓄電を向上させれば、原発に頼る必要は全くないではないか。
 
 原発はいったん停止となれば供給に大きな影響を与える。出力を小刻みに調整できないから原発優先となり、再生可能エネルギーは買い取りを拒否され、出力制限の事態に至る。こんな愚かなことはない。
 
 北海道の停電で、産業活動は中断された。私も被災調査の時、コンビニやスーパーに食料品が供給されない現実を目の当たりにした。搾乳ができずに乳房炎にかかった年は数千頭に及ぶという。
 
 人間の生活に欠くことのできない電気。大規模発電はリスクが大きく、中小規模の発電施設を地域の需要に合わせておくのが自然であり、あるべき姿だと確信した。
 
 政府は教訓を生かせ。二度と「ブラックアウト」を起こさぬために。(しんぶん赤旗 2018年9月19日)