北海道地震での、道内全域に及ぶ停電「ブラックアウト」に驚いた。
道内の電力需要の半分を担う厚真町の火力発電所が緊急停止、需給バランスが崩れ、他の発電所も自動的に停止した。大電源に頼ってはいけないことが教訓となっている。
九州ではどうだろう。九州電力によれば昨日(17日)の最大電力は1220万キロワット稼働している川内(鹿児島)と玄海(佐賀)の二つの原子力発電所での出力は約400万キロワットで、相当な比重を占めている。しかし、原発に依存しなくても九州では、自然エネルギーが大きく成長している。
すでに太陽光エネルギーの接続済みは約800万キロワットで、福島の原発事故以降8倍に増加している。
再生可能エネルギー全体では、接続済みが1156万キロワット、接続予定・検討が2616万キロワットにも及ぶ。既存の火力発電などと調整し、蓄電を向上させれば、原発に頼る必要は全くないではないか。
原発はいったん停止となれば供給に大きな影響を与える。出力を小刻みに調整できないから原発優先となり、再生可能エネルギーは買い取りを拒否され、出力制限の事態に至る。こんな愚かなことはない。
北海道の停電で、産業活動は中断された。私も被災調査の時、コンビニやスーパーに食料品が供給されない現実を目の当たりにした。搾乳ができずに乳房炎にかかった年は数千頭に及ぶという。
人間の生活に欠くことのできない電気。大規模発電はリスクが大きく、中小規模の発電施設を地域の需要に合わせておくのが自然であり、あるべき姿だと確信した。
政府は教訓を生かせ。二度と「ブラックアウト」を起こさぬために。(しんぶん赤旗 2018年9月19日)
エッセイ
随想 「反省のないあなたへ」 衆議院議員 田村貴昭
反省のないあなたへ。あなたはいつも議場でヤジってますね。先日は本会議の登壇者に「議長、杉田(水脈)議員のヤジを止めてください」と名指しされていました。
あなたの発言はヤジにとどまらず、性的少数者や隣国を目の敵にして、多くの人が傷ついています。今回は、同性カップルを念頭に「生産性がない」「税金を投入するのがいいのか」と主張しました。日本はそういう国会議員を許容しているのか――外国からそう見られたなら、私は同じ議員でいることが、恥ずかしくていたたまれない気持ちです。
「生産性がない」などよくも言えたものです。こんな声も間きました。「自分年金暮らしだが、『年寄りはいらない』と聞こえた」。あなたにその気はなくても、働くことができない、働き終えた方も大変不愉快な思いをしています。
あなたの党、自民党の幹事長は「人それぞれ政治的立場、いろんな人生観、考えがある」と述べました。確かに人はそれぞれです。LGBTの方も、ハンディキャップを持った方も、病気の方も、元気な方も、そしていろいろな考え方があります。その多様性、個人の尊厳を認め、保障するのが政治の役割ではありませんか。
発言を撤回・謝罪しないのなら、議員を辞職すべきです。あなたをかばい、差別を容認する自民党には、政権から退場いただきたいと思います。
追伸。先日、ブラックな働き方をしてきた青年と会いました。「今の賃金では結婚もできない。将来不安しかない」。格差と貧困をひろげ、子どもを産み育てたい方々の願いに背いているのも、あなたの党であることを付言しておきます。(しんぶん赤旗 2018年8月3日)
水曜随想 「防災・減災を抜本的に」 衆議院議員 田村貴昭
大阪でまさかの地震。母と妹一家の暮らす箕面市は震度6弱の揺れに襲われた。電話は通じなかったが、SNSで安否が確認できた。食器が粉々になった写真が送られてきた。見慣れた食器棚は阪神大震災も経験。2度の被災に耐えたか。
学校プールの塀が崩れて小学4年生の女の子が犠牲となった。塀の倒壊は福岡西方沖でも、熊本でも何度も見てきた。「国土強靭(きょうじん)化」の掛け声の一方、通学路の安全も確保できない政治の現実。新聞の写真に手を合わせ、防災、減災を抜本的に進めなければと誓う。
これだけ科学が発達しても、地震や火山爆発の予知は難しい。国土交通省の調査では、大規模建築物の約1割が、震度6強以上の地震で倒壊・崩壊する可能性が高いという。東京圏をはじめ、大都市の一極集中を本気で是正する気があるのか、政府に迫りたい。
昨日、衆議院本会議で自民、公明、維新がカジノ法を通した。国民の7割が反対しているにもかかわらず。大阪府や大阪市は、震災を目の当たりにしてもカジノ誘致に血道をあげるのか。
朝鮮半島の非核化と平和構築へ、世界が大きく動く中、日本は圧力一辺倒への反省もなく、2千億円もかけてイージス・アショアを導入しようとしている。逆立ちしてはいないか。もっと、暮らしに根差し、地に足をつけた政治を。
通常国会は今日で会期末を迎えるが、与党は会期延長で悪法成立をはかる。許してなるものか。今国会、野党各党は、それぞれの憲法観は違っても、自衛隊を明記する自民党改憲案を審議入りさせなかった。全国統一署名と野党共闘の力だ。逆立ち政治をただす力を、もっともっと増やさなければ。(しんぶん赤旗 2018年6月20日)
2018新年のあいさつ 「強く大きな党をつくろう」 衆議院議員 田村貴昭
神社に参拝された市民が、共産党の宣伝に出会って、「安倍9条改憲NO!憲法を生かす全国統一署名」にサイン。年始はなかなかの光景でした。国民の平和への願いを、野党共闘に結実させなければ。
熊本地震に九州北部豪雨。復旧・復興とともに、自然の猛威から人命をいかに守るか、この課題にしっかり取り組みます。
農林水産、環境に加えて災害対策。国会での新しい任務も始動しました。しかし、委員会所属にとらわれず、平和と暮らしのためなら何でもやる意気込みです。
沖縄をはじめ重要な選挙が各地で続きます。一つひとつのたたかいに勝つとともに、強く大きな党をともにつくりましょう。引き続き駆け回ります。今年もよろしくお願いします。
(しんぶん赤旗 2018年1月5日)