水俣病 全被害者救済こそ/日本共産党が提言/市田氏 加害企業免罪の与党案批判

 日本共産党の市田忠義書記局長は3月23日、熊本県庁で記者会見し、水俣病のすべての被害者救済に向けた解決策をまとめた党国会議員団の提言を発表しました。

 提言は、被害者を切り捨て加害企業チッソを免罪する与党提出の特別措置法案の問題点を指摘。水俣病発生と拡大の責任がチッソはもとより、国・県にもあると断罪した最高裁判決(二〇〇四年)にもとづき、問題の真の解決をはかるべきだとして、次の四点を提案しています。

 ▽不知火海沿岸、阿賀野川流域の住民の健康調査、環境調査を実施し水俣病被害の実相を明らかにする。

 ▽被害者切り捨ての国の認定基準の見直し。

 ▽最高裁判決をふまえ裁判所の判断による司法救済システムの確立。

 ▽国の責任で恒久的な被害者救済策を策定。

 会見で市田氏は「他党にもわが党の見解を伝え、少なくとも野党で一致したい。与党案は撤回を求め、患者らが望む真の解決に向けて力を尽くしていきたい」と語りました。

 提言では与党の特措法案について、(1)被害者を分断し、大量に切り捨てる(2)被害対象者の確定を三年以内に限定し、幕引きを図る「地域指定解除」は許されない(3)加害企業のチッソを二つにして、補償会社を消滅させる「分社化」は加害企業を免罪する―と問題点を挙げています。

 市田氏は会見で、与党の特措法案を「与党プロジェクトチームの調査でも被害者の三分の二が切り捨てられることが明らかになっている。チッソの分社化で加害者責任を免罪し被害者を切り捨てる根本的問題を含んだものと言わざるを得ない」と指摘しました。

 とくに、水俣病認定申請や訴訟を取り下げることが救済の条件となっていることについて、市田氏は「お上にたてつく者は助けないという、まるで江戸時代のような発想」だと批判しました。

 会見には、仁比聡平参院議員や田村貴昭、山本伸裕両衆院九州・沖縄比例候補らも同席しました。

 市田忠義書記局長は同日、蒲島郁夫熊本県知事と水俣病問題で懇談しました。市田氏は22日夜に行った患者団体との懇談会で出された意見を紹介し、党国会議員団の提言を手渡し、説明しました。(2009年3月24日「しんぶん赤旗」)