党九州・沖縄ブロックの防衛省交渉/負担軽減どころか増加/沖縄基地の爆音増に怒り/九州各地機能強化を懸念

米軍再編問題で防衛省交渉=2009.5.20

新田原基地問題で訴えるばば洋光比例候補=2009.5.20

米軍再編問題で防衛省交渉=2009.5.20

「沖縄の負担軽減はなっていない」と怒る渡久地修沖縄県議=2009.5.20

 「どこの国の役人なのか…」。政府交渉中にそんな声がもれた5月20日の日本共産党九州・沖縄ブロックの防衛省交渉。沖縄・嘉手納基地の「負担軽減」と
称し移転訓練が実施されている福岡・築城基地、宮崎・新田原基地で機能強化が進められる一方、嘉手納基地の騒音は減るどころか増え続けている実態が明らか
になりました。比例候補、地方議員らは九州・沖縄の基地強化に懸念の声をあげ、負担おしつけをやめるよう強く求めました。

 防衛省担当者によると、二〇〇五年度から○八年度までの沖縄・嘉手納基地のW値(うるささ指数)は九〇台前半で推移。「ぜんぜん『負担軽減』になっていないじゃないか」の声が上がりました。

 田村貴昭衆院比例候補は「(嘉手納の)負担が軽減されているというデータはないのか」と確認。担当者は、さまざまな要因で「検証できるような状況ではない」とあいまいな答弁に終始しました。

 渡久地修沖縄県議は、嘉手納基地へのF22戦闘機の配備や早朝深夜を問わない爆音の実態を突き付け、「これが負担軽減か」とただし、「『沖縄の負担軽減』をいいながら、全国に基地被害を広げるのは耐えられない」と怒気を含ませ訴えました。

 「(嘉手納の)騒音が増えているのは承知しているのか」とたたみかけると、「新聞報道では読ませてもらっている…」とはぐらかす担当者。渡久地県議は「現場に行けばわかる」とたしなめました。

 沖縄の負担は軽減されていないことが明確になった一方、九州各地の基地機能強化に憤りの声が噴出しました。

 新田原基地では、この六月から仮滑走路建設など大規模な改修工事が行われ、住民から排水対策や環境への影響に懸念の声が上かっています。ばば洋光比例候
補は、「沖縄の負担軽減にもなっていない(移転訓練のための)工事はただちに中止してもらいたい」と追及。同じく移転訓練地の築城基地では、米兵のために
隊舎が建て替えられ、現行の燃料タンクが二倍の規模につくり替えられるなど、「完全な基地機能の強化ではないか」(しのだ清比例候補)とただしました。

 要請では、このほか、築城基地や芦屋基地へのパトリオットPAC3配備の中止、長崎佐世保市の針生新弾薬庫建設の中止、鹿児島・鹿屋基地の恒常的な空母艦載機着陸訓練施設の選定について事態を明らかにするよう求めましたが、いずれも不透明な答弁でした。

 赤嶺衆院議員は、「説明不足だ。住民のことをまったく考えていない」と担当者らに苦言を呈しました。(しんぶん赤旗九州・沖縄面2009年5月23日)

防衛省交渉
久米島の鳥島射爆撃場・訓練水域
ただちに返還求める

 日本共産党の衆院九州・沖縄ブロック比例候補、地方議員らの政府交渉で取り上げた、沖縄県が求めている久米島・鳥島射爆撃場、米軍の訓練水域の一部返還について、防衛省担当者は5月20日、まだ交渉中としながら、米側の意向として「ただちに返還することは困難だが、改善策は何かを検討したい」としていたことを明らかにしました。

 この問題は昨年十二月の県議会で全会一致で議決され、県知事、県漁連なども同趣旨の要請を政府に行っていたものです。

 赤嶺政賢衆院議員、渡久地修県議は「(県民が)求めているのは返還であって、運用の改善ではない」「返還は県民の総意だ。米側の意向でなく県民の思いを受け止めてほしい」と要求。担当者は「米軍が使ってないとなれば、返還をさせるのは当たり前だ。米側と調整していきたい」などと答えました。

新基地建設環境影響
評価準備書納得せず8割 撤回こそ

 また、政府交渉では、辺野古沖新基地建設「環境影響評価準備書」について、地元紙の世論調査では県民の八割が「納得していない」ことなどをあげ、「手続きに理解が得られていない。(計画そのものを)断念すべきだ」と撤回を求めました。

 同省担当者は「世論を得られるよう、ねばり強くやっていくという一言につきる」などと答えました。

 赤嶺、渡久地の両氏は、工事の規模や必要となる労働者の数、宿舎なども「環境に与える影響は大きい」など、準備書の欠陥についても指摘しました。(しんぶん赤旗九州・沖縄面2009年5月24日)