福岡県知事選 相乗り候補の資格無し 裏金問題で処分歴 玄海原発に沈黙

 福岡県知事選(4がつ10日投票)に5党相乗りで立候補している小川洋氏(61)=元内閣広報官=が、6年前に経済産業省の裏金問題で戒告処分された経歴を持つ一方、九州電力会長ら地元財界から「物心両面」の支援を受け、原発推進の立場をとるなど、県政を担う資格が問われています。

 小川候補が戒告処分を受けたのは、2005年6月に発覚した経済産業省官房企画室をめぐる裏金問題です。

口座引継ぎ

 裏金は同企画室が外郭団体の研究委託費の残金をプールし、歴代室長に引き継がれてきたもの。小川氏は1996年7月から4年間、室長を務めていました。04年当時の室長=諭旨免職=が、これらの口座から2900万円を株取引に流用したため、問題が発覚しました。外部調査委員会の報告書では、小川氏らの私的流用は一応、否定されています。

 しかし、小川氏を含む歴代室長が裏金口座を引き終いできた行為について外部調査委員会の報告は「問題を先送りした挙句、これを裏で処理しようとし」「極めて不適切」と指摘。諭旨免職された企画室長の「不祥事の遠因」としています。

 小川氏は05年8月、特許庁長官を務めていた際に「残余金の存在を知りながら、適切に対応しなかった」として戒告処分されました。

 福岡県では昨年、県町村会の裏金接待汚職で前副知事が逮捕される事件が発生したばかり。裏金をめぐって処分された人物に、清潔な県政への転換ができるのか、疑問です。

 小川氏は、自民、民主、公明、社民、国民新党など県政“オール与党”に支えられ、さらに松尾新吾九州電力会長を筆頭にした地元財界がかつぐ人物です。

“物心両面で”

 松尾会長は3月24日の小川氏の出陣式で、「(小川氏は)選挙資金が、あまり十分にはお持ちではないようで、われわれが物心両面にわたってご支援申し上げ」などと、あけすけに語っています。

 小川氏は知事選の重大争点となっている原発問題では、新聞各紙のアンケートで“電力供給の安定性や地球温曖化防止で重要なエネルギー源”と答えています。国内初のプルサーマル発電が行われている、危険な玄海原発(佐賀県玄海町)に関しても、50㌔圏内に福岡市の繁華街・天神が含まれるのに、一切ふれようとしません。

 こんな候補者に、県民の命と安全を任せることはできない、という声が上がっています。

「県民の会」田村候補 税金の使い方公平に プルサーマル発電を中止

 「県民の会」から立候補している田村たかあき氏(49)=日本共産党推薦=は、知事報酬(2300万円)の引き下げ、麻生渡・現知事で4期1億8800万円にものぼる退職金をきっぱり廃止することなど、税金の使い方の見直しを主張。また3月28日には、玄海原発の総点検とプルサーマル発電の中止を求めて九電に申し入れるなど、県民の安全確保に奮闘中です。(しんぶん赤旗 2011年4月8日)