197-衆-農林水産委員会-10号 2018年11月28日 漁業法反対討論(農林水産委員会)

○田村(貴)委員 私は、日本共産党を代表して、漁業法等の一部を改正する等の法律案について、反対の討論を行います。

 そもそも、本法案は、七十年ぶりの法改正といいながら、多くの漁業者にはほとんど知らされておらず、本委員会でもわずか四日間、参考人質疑も含めて十時間半しか実質審議をしておりません。このようなもとで採決を行うなどとは、絶対に許されないことであります。
 法案の内容も重大です。
 まず第一に、本法案が、沿岸漁業の漁業権を地元の漁業者に優先して付与する制度を廃止し、知事の裁量で直接企業に漁業権を免許できるようにする点です。
 水産庁は、養殖などの区画漁業権について、地元漁業者が漁場を適切かつ有効に活用している場合は継続して地元に漁業権を与えると説明しています。しかし、その判断基準は明確でなく、知事が意見を聞く海区漁業調整委員会も、公選制が廃止され、知事の任命制となって権限が縮小されます。知事が恣意的な運用を行わない保証はありません。
また、目的を規定している第一条から、「漁業者及び漁業従事者を主体とする」「漁業の民主化を図る」の文言が削除されました。漁業者の声を封じるものであり、認められません。
 また、第二は、水産資源の管理という名目で、魚種ごとの漁獲量の上限を計算し、個々の漁船ごとに漁獲枠を割り当てる制度の導入に関してです。
 クロマグロの資源管理では、政府が沿岸漁業者の意見を聞かず、大規模漁業を一方的に優遇し、小規模な漁業者が生活できない事態に陥りました。
 本法案においても、漁獲割当ての配分に沿岸漁業者の意見を反映する仕組みはなく、禁漁を余儀なくされた場合の補償もありません。資源管理は、本来、漁業者の自主的な取組を最大限支援するべきであり、制限が必要な場合には、まき網など、資源に最もダメージを与える大規模漁業から抑制するべきです。
 第三は、漁船の大きさを制限するトン数規制を撤廃する点です。
 大型化を容認すれば、大規模漁業は今以上に高性能なエンジンや機械を導入し、漁獲圧が高まります。違法な漁獲をチェックする仕組みもなく、水産資源の乱獲が進みかねません。
 今、水産政策に必要なのは、利潤追求の一部資本に漁業権を開放することではなく、沿岸漁場の管理主体として重要な役割を果たしてきた漁協の機能強化を図り、地域の主体である小規模沿岸漁業を育成することです。
 以上、沿岸漁業を企業に売り渡す漁業法の改悪は許されないことを申し上げ、反対討論とします。(拍手)