所得税法等一部改定案に対する田村貴昭議員の代表質問(要旨)

日本共産党の田村貴昭議員が2月1日の衆院本会議で行った所得税法等一部改定案に対する代表質問の要旨は次の通りです。
 
 
 総理は、新自由主義的な考えが「格差や貧困の拡大」などの弊害を生んだと述べました。日本における「格差や貧困」についてどう考えているのですか。
 
 2000~20年度にかけて、大企業の経常利益は約2倍に、内部留保は約3倍に、配当金は約6倍に増えました。一方、労働分配率は低位水準を維持し、大企業の人件費はマイナス0・4%。雇用者数は700万人ほど増えたものの、ほとんどが非正規雇用です。
 
 なぜ大企業の利益は分配されなかったのか。「小泉構造改革」「アベノミクス」という新自由主義の政策の弊害が現われているのではありませんか。
 
 公平な分配が行われず進行した貧困の実態は深刻です。コロナ禍で非正規労働者が真っ先に職を失い、その多くが女性です。福岡でフードバンクにきたシングルマザーは「3歳の子どもに、お菓子すら買ってあげられない」と涙を流していました。「分配を重視」と言うならば、今ある貧困の解決に力を注ぐべきではないですか。
 
 内閣府の「子供の生活状況調査の分析」では、子育て世帯4世帯のうち1世帯が「生活は『苦しい』『大変苦しい』」と回答し、ひとり親世帯では50・2%が貧困ライン以下です。貧困世帯の約4割は、過去1年間に食料が買えなかった経験があると訴えています。一方で「生活保護」や「生活困窮者の自立支援相談窓口」等の活用は1%以下です。活用されない原因を解明し改善を図るべきです。
 
 税制は所得再分配機能の柱です。しかし、所得税の最高税率の引き下げと消費税の導入により、過去30年で税による再分配機能は低下し、現在、改善効果は4・8%です。税の所得再分配機能を強化すべきです。金融所得優遇税制をなぜ見直さないのですか。
 
 政府の賃上げ促進税制は中小企業の約6割を占める赤字企業には使えません。政府は安倍内閣からの8年間で、減税額は2兆円に上ると言いますが、私の試算では大企業で約15%、中堅企業で12%、中小企業では3・5%にすぎません。社会保険料の軽減など、どんな企業も活用できる制度に転換すべきです。
 
 オミクロン株の感染拡大で、中小企業は展望を失っています。消費税減税こそ中小企業や国民生活を支援する有効な政策です。
 
 来年10月施行のインボイス制度は、コロナ禍で苦しむ個人事業主に廃業をもたらしかねません。インボイス制度の導入中止を強く要求するものです。