77年判断基準見直せ 水俣病救済求める 田村貴昭衆院議員

2月17日 予算委⑥分科会2 水俣病の公式確認から66年。いまだに公害健康被害補償法(公健法)による水俣病被害者の救済が進んでいない実態があります。その原因となっているのが、国が1977年に出した通知で「複数の症状の組み合わせを基本要件とする」との診療基準に基づいて判定するとしていることです。田村貴昭議員は2月17日の衆院予算委員会分科会で、この診断基準に医学的根拠はないとして、不知火海沿岸住民の健康調査を直ちに実施するよう求めました。(質問動画はコチラ)
 
 この10年間、熊本県での公健法に基づく申請者は1869人、このうち認定は8人。鹿児島県では申請者1907人のうち認定は2人と、そのほとんどが救済されていません。
 
 田村氏は分科会で、2013年の最高裁判決で示された「感覚障害だけで水俣病と認める」との判断基準が採用されず、77年の診療基準で判定されているとして、その医学的根拠をただしました。
 
 神ノ田昌博環境保健部長は、「専門家が知見を持ち寄り、検討成果を取りまとめたもの」と、具体的根拠を示しませんでした。田村氏は、日本精神神経学会も同基準を裏付ける医学的データはないとして撤回を要請していると指摘し、77年の判断基準はやめるよう迫りました。山口壮環境相は「13年の最高裁判決でも77年の判断基準は否定されていない」と強弁しました。
 
 田村氏は、国側の主張を支持する医学者らも「水俣病に関する診断基準を持っていない」と裁判で述べていることを指摘。国が77年に判断基準を決めたことで水俣病の研究調査がほとんどされず、専門家が正しい病態把握ができなくなったと批判し、被害救済特措法が求める全員調査を行い、判断基準を示すよう求めました。(しんぶん赤旗 2022年3月8日)