189-衆-総務委員会-2015年03月09日 被災自治体の公務労働者にメンタルヘルス対策を 田村貴昭衆院議員

○田村(貴)委員

 日本共産党の田村貴昭です。

被災自治体における公務労働者のメンタルヘルス対策及び合併自治体の支所機能の役割、その意義、拡充についてきょうは質問をします。
まず、被災自治体に働く職員のメンタルヘルス対策についてであります。
東日本大震災の被災地域で復旧復興に携わる自治体職員が疲れ、ストレス等から心の健康を害し、大きな問題となっています。自分が頑張らなければならないと少ない人員の中で被災者支援と復興の先頭に立ってきた自治体職員のことについては、先週の委員会でも取り上げたところであります。
NHKが、ここ数日ニュースや特集で、疲弊する自治体職員の問題を取り上げてまいりました。その中で、福島県立医科大学の前田正治教授が福島県の自治体で心の状態を調べたところ、年間一、二%しか発症しないとされているうつ病の症状を訴える職員が、ある自治体では二一・一%にも上っているとのことでありました。

膨大な業務量を抱え、やったことのない仕事にいきなりつかざるを得ない、プロフェッショナルとして成果、結果を出さなくてはいけない、心ない言葉を浴びせられることもある、そしていつ終わるかわからない閉塞感。職員は、こうして複合的なストレスを抱えていきます。
番組は福島県の自治体職員を取り上げましたが、福島だけの問題ではありません。復興のかなめの職員がこういう事態に追い込まれることがないように、対策を講じる必要があります。支える側を支える、この施策を進めていかなければなりません。

そこで、伺います。総務省として、被災地で働く自治体職員全体の精神保健状況について把握されていますか。教えてください。


○丸山政府参考人
お答えいたします。
東日本大震災の発災から間もなく丸四年となります。被災自治体の職員は、みずから被災された方も多い中で、長期にわたって困難な業務を担当され、心身の大きな負担が懸念されるところでございます。このため、職員の健康管理や安全衛生対策にも十分配慮しながら、復旧復興業務に当たっていただくことが重要であると考えております。

復旧復興業務に従事されている職員の精神疾患等の健康状況につきましては、総務省から個別に調査することは、被災自治体の事務負担にも考慮して、慎重に考えておりますが、総務省としては、被災自治体からの要望や職員からのアンケート調査等によりまして、被災地の状況、必要な対策等を把握し、地方公務員災害補償基金とともに、総合的なメンタルヘルス対策を実施しているところでございます。


○田村(貴)委員
被災者支援が今とりわけ重要だというふうに思います。

政府として、メンタルヘルス対策、やっている取り組みがありましたら、その事業について説明を受けたいと思います。


○丸山政府参考人
お答えいたします。
総務省として取り組んでいるメンタルヘルス対策の内容でございますけれども、地方公務員災害補償基金とともに、派遣職員も含めた被災自治体の地方公務員に対しまして、プライバシーにも配慮したストレスチェックや臨床心理士によるカウンセリング、専門家によるセミナーなど、メンタルヘルス対策として考えられる諸施策を網羅したメンタルヘルス総合対策事業を現在実施中でございます。


○田村(貴)委員
その地方公務員災害補償基金によるメンタルヘルス総合対策事業について、参加団体数、そして参加者数について、直近の数字でいいですので、教えてください。


○丸山政府参考人
お答えをいたします。

メンタルヘルス総合対策事業につきまして、参加者、あるいは実施団体数についてでございますが、年度別にお答えいたしたいと思います。
平成二十四年度につきましては、実施団体数百二団体、延べ参加人数で二万九千八百六十二人。平成二十五年度は、実施団体数百二十一団体、延べ参加人数八万六千五十二人。平成二十六年度は、まだ事業を実施中ではございますが、実施予定団体数で百三十七団体、延べ参加の予定人数で平成二十五年度の参加者を上回る見込みでございます。


○田村(貴)委員
平成二十六年度は、百三十七団体、延べ八万六千五十二人、それを上回るというようなお答えでありました。
三県を初め、特定被災地方公共団体があります。それから特定被災地域がありますが、そのいずれかに含まれる地方公共団体は九県で、二百二十七自治体あります。心の病にかかりながら、また発症の可能性がありながら、ストレスチェックすら受けていない自治体職員が私はまだおられるのではないか、多く存在しているのではないかという意識を持っています。

そこで、大臣にお伺いしますけれども、基金によるメンタルヘルス総合対策事業でも他の制度であっても、何らかの形で被災地全ての自治体で働く職員の疲弊を見る、そういう必要があると考えますけれども、メンタルヘルス対策を拡充すべきではないでしょうか。御所見をお伺いしたいと思います。


○高市国務大臣
被災自治体の職員の皆様、それから派遣されている職員の皆様が復旧復興事業に日々従事されて、心身ともに大変なお疲れがあることは承知をいたしております。
それで、復興業務に携わっておられる職員の健康管理、それから安全衛生対策の必要性を踏まえまして、地方公務員災害補償基金とともに、まず事業を周知するということ、それから事業内容の充実を図ってきたことによりまして、メンタルヘルス総合対策事業の実施団体数、延べ参加人数はふえてきていると承知しています。

また、毎年度、被災自治体や職員を派遣しました団体に対しまして、メンタルヘルス総合対策事業の活用をお願いしております。それから、具体的に要望がおありかどうかということもお伺いいたしております。
このメンタルヘルス総合対策事業を実施していない被災自治体もあるかと思うのですが、そこでどのようなメンタルヘルス対策を行っているか、全てを把握しているわけではございませんが、震災前からストレスチェックを実施している被災自治体におかれましては、ストレスの変化を調べたり、それからチェック項目の継続性というものを図るために、従前のストレスチェック実施事業者を活用しておられる、こういうところもあると聞いております。

これは、各被災自治体において、被災の状況ですとか復旧復興業務に従事されている職員の皆様の健康状況について適切に把握されて、メンタルヘルス対策を実施しているものと考えております。

しかしながら、引き続き、被災自治体からの御要望も伺いながら、対策には努めてまいります。


○田村(貴)委員
大臣、お答えありましたように、経過もありますし、その自治体独自の取り組みもあると思います。やはり漏れがないようにしていただきたいということであります。

きょうは、復興庁の長島副大臣にもお越しをいただいております。山古志村の村長として災害対策の先頭に立たれてきた副大臣でありますので、このメンタルヘルス対策の重要性は十分御承知だというふうに思っております。

復興庁として、メンタルヘルス対策について取り組みはございますか。教えてください。


○長島副大臣
私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

確かに、私も、間もなく四年を迎える被災地、三月十六日から被災地に入って、幾度となく被災自治体の職員に接してまいりましたけれども、本当に我が身を顧みず被災地の業務に精励されている姿には、心から敬意を表して、頭を下げたい思いで実はいっぱいであります。

総務省が実施をしているメンタルヘルスケア対策、このことも我々もきちんと受けとめながら、できるだけ被災自治体の業務の軽減を図っていきたいということで、自治体の業務をアウトソーシングしたり、そして足りない人材についてはマンパワーの確保ということをしながら、やはり被災自治体の職員の健康、あるいは精神対策に向けていきたいと思います。

御指摘のとおり、私もかつて被災地におった者として、被災者でありながら被災者に向き合うということの大きな悩み、そして、想像もできない膨大な仕事量がのしかかってきたときの使命感、責任感、このことはやはりかなり大きなプレッシャーとなって襲いかかるものだと思いますし、応援職員、そしてプロパー職員、なかなか業務の分担ができなくて悩まれている自治体もおありのようです。

ゴールのないマラソンを、ある意味、駆け抜けろということでございますから、メンタルケアについてはこれからも復興庁として関係省庁と連携をとりながらきちんとやってまいりたいと思いますので、御理解を賜りたいと思います。


○田村(貴)委員
膨大する事業量の軽減、負担の軽減、そしてメンタルヘルス対策に努力をしていくということで伺いました。

副大臣、今からメンタルヘルス総合対策事業の中身についてちょっと子細に尋ねていくんですけれども、非常に大事な問題でありますので、一番最後にまた御所見を伺います。

メンタルヘルス総合対策事業の中身について、この子細について一つ一つ伺いたいと思います。

先ほど御答弁ありましたように、ストレスチェック、カウンセリング、それから、メンタルヘルスセミナー、職員の心の健康回復事業、メンタルヘルスマネジメントの四つの事業がございます。

通常支援プランと重点支援プラン、この二つがあるんですけれども、重点支援プランは四事業フルサポートで三年継続というふうになっております。この四事業フルサポート三年継続の意義について御説明をいただきたいと思います。


○丸山政府参考人
お答えをいたします。

メンタルヘルス総合対策事業のうち重点支援プランでございますけれども、委員から御指摘がございましたとおり、ストレスチェック、カウンセリング、メンタルヘルスセミナー等の事業を平成二十五年度から三年間、同一の事業者が実施するプランとなっております。
この重点支援プランを利用することによりまして、同じ事業者が三年間を通じて地方団体の状況を把握するため、継続的に効果的な助言を受けながらメンタルヘルス対策を実施することができること、また、専門的見地から事業メニューが構成されているので、全ての事業メニューを実施することで最も効果的にメンタルヘルス対策を行うことができること、さらに、継続的に事業を実施することによりまして、定点的な状況把握が可能となること、こういったメリットがあると考えておりまして、私どもも、この事業の意義を周知いたしまして、活用を促しているところでございます。


○田村(貴)委員
ほかの自治体から派遣された職員については、この四コース、フルサポートは適用されるんでしょうか。


○丸山政府参考人
このメンタルヘルス総合対策事業でございますが、東日本大震災の被災地域の職員に加えまして、被災地域に派遣された職員についても対象としているということでございます。


○田村(貴)委員
では、その派遣された職員が三年以内に派遣元の自治体に戻った場合に、フルサポートのメンタルヘルスは受けられるのか、これについてお答えいただきたいと思います。


○丸山政府参考人
お答えをいたします。
被災自治体に派遣された職員が派遣元の地方団体に戻った場合でございますけれども、メンタルヘルス総合対策事業のうち、ストレスチェック、カウンセリング、メンタルヘルスセミナー等の事業メニューを選択して実施することができる通常支援プランを利用する仕組みとなってございます。

なお、先ほど重点支援プランについてお答え申し上げましたけれども、この通常支援プランと重点支援プランの事業メニューの内容は同一でございます。
また、事業の継続性ということも重要でございますので、派遣元の地方団体からの要望がありますれば、職員ごとのストレスチェックの結果を産業医または保健師の方に提供することは可能としておりまして、そのことを通じて事業の継続性も確保できる、そういった手当てをしているところでございます。


○田村(貴)委員
派遣された職員についても、派遣元の自治体に戻った場合は適用が可能だということも確認できました。

次の質問です。

うつなどの心の病をもし発症した場合に、この制度では、診療などの手だては受けられるんでしょうか。


○丸山政府参考人
お答えをいたします。

メンタルヘルス総合対策事業につきましては、被災自治体で復旧復興業務に携わる職員の方が心身の疲弊から心の健康を害し、重大な公務災害が発生することのないように、未然に防止するために実施されているところでございます。

このため、ストレスチェックによりまして、職員がみずからストレス状態を把握し、高いストレスにある職員の方がカウンセリングを受診いただくことが重要であると考えております。
具体的に申し上げますと、盛岡、仙台、福島、郡山の各市を拠点として、臨床心理士と面談してのカウンセリングですとか、電話、メール等によるカウンセリング、さらに職場に臨床心理士を派遣してのカウンセリングといったさまざまな機会を通じて専門的なカウンセリングを行い、職員の心の負担の軽減を図るとともに、必要に応じて医療機関での受診を御案内するといった取り組みをしております。

こういった取り組みを通じまして、ストレスチェックによる現状把握と適切なカウンセリングを実施いただくことができますので、不幸にも精神疾患等を発症された場合においても、被災自治体において医療機関との連携を効果的に図ることにつながるものと考えてございます。


○田村(貴)委員
それでは、メンタルヘルス総合対策事業の対象外となる職員は、どういう任用形態の職員でしょうか。


○丸山政府参考人
お答えをいたします。

メンタルヘルス総合対策事業の対象となる職員につきましては、地方公務員災害補償基金が公務上の災害または通勤による災害に対する補償等を行っている職員となっております。
具体的には、常勤職員及び非常勤職員のうち常勤的な勤務形態の職員、さらに、再任用の短時間勤務職員、任期つきの短時間職員等でございます。つまり、常勤
または常勤的な職員、さらに、短時間の勤務であっても本格的な業務に携わる職員を対象とさせていただいているところでございます。

これに該当しない臨時職員等はこのメンタルヘルス総合対策事業の対象とはなっておりませんけれども、労働安全衛生法等によりまして、それぞれの地方団体におきまして所要の対応、配慮が図られることとなっております。


○田村(貴)委員

所要の対応が得られなかったら、これは困るわけでありまして、最後のところなんですけれども、対象外となる職員が存在します。例えば、庁舎で事務作業に当たっている、端末を操作しているパートの職員さん、こういう人たちはこのメンタルヘルス総合対策事業の対象外になる可能性があります。
地方公務員災害補償基金の実施の取りまとめの調査結果があります。これを見ますと、男性より女性のストレス度が高いと報告をされています。そうですよね。
平成二十五年六月、十一月というのがあるんですけれども、抑うつ気分、不安、怒り、自信喪失、無気力、絶望、引きこもり、依存、対人不信、思考力低下、侵入的思考、身体反応、その全てにおいて女性が男性より上回っているということであります。女性の方が、非常勤職員、多いですよね。

職務を問わず、それから任用の形態にとらわれず、震災復興に向き合う自治体職員の心の健康にまさに心を寄せていただきたいと思うわけであります。対策を進めていただきたい。

今、一問一答、子細な質問を私しましたけれども、それぞれに検討課題があると思うんです。これを今年度の施策にぜひ生かしていただきたいというふうに思います。

大船渡市の保健室の話を紹介したいと思います。
岩手県の大船渡市では、保健室を設置して、産業医と嘱託の保健師が職員の健康チェックに当たっています。市の職員は約五百人、応援派遣の職員が八十五人おられます。正規、非正規、派遣問わず声をかけて、ここが大事ですね、正規、非正規、派遣問わず声をかけて相談に応じています。相談件数は被災の年の二〇一一年度が二百七十七件、二〇一二年度が二百三十四件、二〇一三年度が二百四十三件と年々ふえているわけであります。メンタル不調の職員には、産業医から総務部局や部局責任者に要請して、職員の休養を確保するようにしているとのことであります。

メンタルに陥る前に休ませる。一時期、他の職員の負担は確かにふえます。しかし、休暇の後に職場に戻ってきますので、中長期的には体制が維持できるとされています。こうした大船渡市の保健室の対応なんかは非常に教訓的であります。ぜひ参考にされてみてはいかがと思いますけれども、部長、いかがでしょうか。


○丸山政府参考人
東日本大震災は本当に大きな災害でございまして、この復興に当たっては、さまざまな対策を多角的に講じていくことが重要であると考えております。
私どもも、被災地の状況あるいは被災自治体の要望ということをよくお聞きいたしまして、例えば、必要となる職員について、応援職員も含めて人的派遣の強化を行っておりますし、また、そこで働いていただいている被災された地域の職員の皆さん、派遣された職員の心身の安全確保の点についてもできるだけの工夫をさせていただいているということでございます。

その場合、やはり一番御負担を生ずると懸念されますのが、常勤で働いていらっしゃる方あるいは本格的業務に携わっていただいている方ということでございまして、そこに対しては、先ほど来お答え申し上げておりますような総合的な対策事業を講じておりますけれども、その他の職員の方もそれぞれ復興の一翼を担い、御努力いただいていることは十分に承知しております。

被災自治体の声をよく聞いて一緒に考えていきたい、こう考えてございます。


○田村(貴)委員
総合対策事業は非常に重要な役割を果たすものと私も認識をしております。その実施団体の中で、ある部局は手を挙げた、しかしこの部局は要らないであろうと判断されたら、その時点で心の病を見落としてしまうこともありますので、十分留意をしていただきたいと思います。

ところで、地方公務員災害補償基金のこのメンタルヘルス総合対策事業は二〇一五年度までとなっています。財源についてはどういうことになっているんでしょうか。


○丸山政府参考人
お答えいたします。
地方公務員災害補償基金が実施しております被災地域の復旧復興活動に従事されている地方公務員に対するメンタルヘルス総合対策事業の財源に充てるため、平成二十四年度に各地方公共団体から納付していただいた特別負担金がございまして、これを財源として行っているところでございます。

また、この特別負担金の納付につきましては、それぞれの地方公共団体に対しまして、特別交付税による財源措置が講じられているところでございます。


○田村(貴)委員

自治体からの特別負担金に特別交付税で措置をしたということであります。つまり、震災復興の事業それから集中復興期間の財源スキームとはリンクしない制度である話なんですね。だからこそ、地方自治を所管して、そして被災地に自治体職員を派遣している総務省の仕事として、メンタルヘルス対策事業の継続、それからメンタルヘルス対策の充実を図るべきだというふうに思います。

高市大臣、それから長島復興副大臣、東日本大震災では、津波と地震によってとうとい命が犠牲となりました。災害関連死も大きな問題となっております。また、自治体職員においても、残念ながら自死の道を選んだ方もおられます。職務を問わず、そして任用の形態にとらわれず、震災復興に向き合う自治体職員の心の健康にまさに心を寄せて対策を進めていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。大臣からどうぞ。


○高市国務大臣
被災地では今もなお、そしてまたこれからも、職員の方々が復旧復興事業に本当に昼夜を分かたず従事しておられます。大変な御苦労があることから、メンタルヘルス対策というのは重要だと考えております。

このメンタルヘルス総合対策事業は平成二十五年度からの三カ年事業でありますけれども、平成二十八年度以降につきまして、これまでの実施結果、それから被災地の状況、被災自治体の御要望などを踏まえながら、適切に対応してまいります。


○長島副大臣
復興庁といたしましても、総務省の事業を見届けながら、連携をしながら、やはり被災地で一人でも悲しい思いをする人がいないように寄り添ってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。


○田村(貴)委員
続いて、次の質問に移りたいというふうに思います。

自治体の支所機能の意義とその拡充について、きょうは防災上の観点から質問をします。
総務省は、市町村の姿の変化に対応した交付税算定として、合併市町村の支所に要する経費を交付税に反映させる措置を二〇一四年度、平成二十六年度から始め、五年程度の期間で行おうとしています。災害等の拠点として支所の重要性が増すなど、合併時点では想定されなかった新たな財政需要が生じておりとしてい
ます。

そこで、伺います。災害時の拠点としての支所の重要性とはどういうことでしょうか。御説明してください。


○佐藤政府参考人

合併市町村の支所につきましては、平時にあっては、窓口サービスを初め、住民サービスを身近なところで提供するという役割を持ちますし、また、旧市町村のコミュニティーなどへの支援というような役割も担っております。いざ災害が発生した際には、災害時の拠点として重要な役割を果たしていると思っております。

特に、この支所における災害時の拠点としての機能に関しては、合併市町村からさまざまな意見を聞きますと、一般的に、情報収集という意味で重要な機能を担っているとか、あるいは炊き出しの拠点となる場合があるとかという話もありますが、さらに、災害時には支所に現地対策本部を置いて、その地域の実態をよく把握している職員が適切に対応することが可能になるというようなことですとか、支所長を避難勧告の実施権者として支所に権限を移譲することで、早期の対応あるいは被害の軽減ができたというようなことが言われております。

こうした点を踏まえて、この支所の財政需要を交付税算定に反映させることにしたものでございます。


○田村(貴)委員
内閣府の方にお尋ねしたいと思います。

東日本大震災を受けて、二〇一一年、防災基本計画が変更されました。風水害の災害情報の収集、連絡はとりわけ重要でありますけれども、住民の避難誘導に関する変更があったというふうに伺っています。それについての説明をしていただきたいと思います。

○兵谷政府参考人
お答えいたします。
平成二十三年に行いました防災基本計画の修正では、風水害対策編における住民の避難誘導等について、地方公共団体が災害対策本部の置かれる本庁舎において十分な状況把握を行えない場合は、被災地近傍の支所等において避難勧告のための判断を行うなど、適時適切な避難誘導に努めるものとの記述を追加いたしております。

これは、同年七月の新潟・福島豪雨災害や、八月から九月にかけての紀伊半島を襲いました台風十二号において、現場の迅速な判断が住民の避難を判断するのに大いに役立ったこと、例えば先ほど述べました台風十二号の際には、奈良県の五條市では、大塔支所において、その支所長の判断で住民を避難させたことが功を奏したことなどを教訓として改定したものでございます。


○田村(貴)委員
その変更点において、昨年八月に兵庫県の丹波市で水害が発生しました。そのときに、支所からの発信で避難勧告が出され、住民の大半が避難することができたというふうな話を伺いました。

その事例について、ちょっと時間がありませんので、簡単に経過報告してもらえますか。


○兵谷政府参考人

昨年八月十七日の丹波市の土砂災害におきましては、時系列で御説明いたしますと、その前日の午後八時ごろに大雨警報が発表され、丹波市では二十一時と二十三時に災害警戒本部会議を開催し、その後、翌十七日の午前零時二十分に土砂災害警戒情報が発表されましたため、地方気象台等に助言を求め、さらに一時には災害警戒本部会議を開催し、各支所への見回りを指示いたしました。

各支所では、被害状況を確認し、一時三十分に本庁に避難情報の発令を要請いたしまして、本庁では、そうした報告や要請を踏まえ、午前二時に避難勧告を発令いたしました。三時に土砂災害が発生いたしましたので、まさにこれは本庁と支所とがうまく連携した事例であると考えております。


○田村(貴)委員
その丹波市での取り組みは非常に教訓的な事例だというふうに私も理解します。

丹波市の市島支所には、その後、復興推進本部が置かれて、これまでの十人の支所員に八名が加わって、被災した住民への対応も厚くなったというふうに伺っています。災害現場における判断それから行動がいかに重要であるかを物語っています。

災害時における支所の果たす役割というのは災害対策上極めて重要であることが答弁からもわかりました。総務省からも確認できました。
高市大臣、きょう私がなぜこのことを質問したかと申しますと、今年度からの交付税算定をもってしても、自治体によっては、財政上の問題等によって支所機能を引き下げてしまったり、人も機能も本庁へシフトしてしまったり、あるいは支所そのものを廃止するところが出てきているからであります。

平成の大合併で自治体の面積がとても大きくなりました。例えば本庁舎そのものが水没してしまったら、例えば倒壊してしまったら、もうその途端に行政機能は麻痺してしまいます。だから、先ほど答弁がありましたように、支所機能が重要であります。
防災、情報判断、情報提供、住民の避難誘導、そして復旧活動の基点となる支所がしっかりその役割を果たせるようにすることが大事であると考えます。そして、支所が今大変だったら、それを再建できるように財政支援措置をすべきである、私はそういうふうに考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。


○桝屋委員長
高市総務大臣、時間が来ております。簡略にお答えを願います。


○高市国務大臣
合併市町村の支所は、住民サービスの維持向上、コミュニティーの維持管理、そして、先ほどからお話のありました災害対応に大変重要な役割を果たしていると認識しております。
このような支所の財政需要について、今後とも地域の実態、実情に応じて適切に算定をしてまいります。


○田村(貴)委員
本当に大事な問題ですので、また今度の機会に取り上げて、質問させていただきたいと思います。
きょうは終わります。