189-衆-予算委員会第六分科会- 2015年03月10日 諫早湾干拓事業 確定判決にもとづき国は農・魚共存の立場で開門せよ 田村貴昭衆院議員

○田村(貴)分科員
日本共産党の田村貴昭です。

国営諫早湾干拓事業における開門問題とその解決について質問をいたします。

政府は、確定した開門義務を履行して有明海漁業の深刻な被害を解決する責任を負っているにもかかわらず、開門もその対策工事もやろうとせず、深刻化する漁業被害を放置し続けています。

開門問題をめぐっては、開門を求める漁業者側が開門をしない場合の制裁金を、営農者側は開門した場合の制裁金の支払いを福岡高裁に申し立て、両者ともに認められました。これは去年の話です。ところが、農水省はこの二つの高裁決定に抗告をしました。

しかし、最高裁判所第二小法廷は、一月二十二日、国の二つの抗告を棄却しました。つまり、堤防を開門してもしなくても国が制裁金を支払うことが確定したわけであります。

この国が支払い続けている制裁金は何日現在で幾らに達しているか、お知らせください。


○三浦政府参考人
お答えいたします。

国がこれまで支払っております間接強制金につきましては、本日までの間に、昨年六月十二日から本年二月二十八日までの分、二百六十二日分といたしまして、総額で一億一千七百九十万円を支払い済みでございます。


○田村(貴)分科員
その一億一千万に至る制裁金という原資は何ですか、そして、その制裁金の費目は農林水産省予算のどこから支出されているか、教えてください。


○三浦政府参考人
まず、支払いの科目につきましては、農林水産本省共通費の一つでございます、目で申しますと、賠償償還及払戻金という目に該当する予算から支出をしております。

この原資は税金であると承知しております。


○田村(貴)分科員
林大臣にお伺いをいたします。

前任の西川大臣は、この最高裁の決定を受けて、一月二十三日、次のコメントを出しました。

国は、開門してもしなくても間接強制金を支払う義務を負っている状況に変わりはなく、引き続き、非常に厳しい立場に置かれているものと認識しています。

このため、本件をめぐる一連の訴訟において、速やかに最高裁判所の統一的な判断を得る必要があると考えています。引き続き関連訴訟に適切に対応するとともに、問題の解決に向け、関係者間の接点を探る努力を続けてまいります。

林大臣も同じ認識でしょうか。


○林国務大臣
今委員御指摘のように、本年一月の二十二日でございますが、最高裁判所は、開門に係る間接強制と開門禁止に係る間接強制のいずれについても、国の抗告を棄却する旨の決定をいたしました。

このことを受けまして西川前大臣が、今御指摘があったように、開門してもしなくても間接強制金を支払う義務を負って厳しい立場に置かれており、速やかに最高裁の統一的な判断を得る必要があるとの趣旨のコメントを発出したところでございます。

私としても、基本的には、このコメントの考え方を大きく変更する必要はないと考えております。


○田村(貴)分科員
それではお尋ねしますけれども、最高裁判所の統一的な判断を得る必要がありますの統一的な判断とはどういうことを指すんでしょうか。


○佐藤大臣政務官

本件をめぐっては、現在、開門の当否そのものを争う開門請求訴訟と開門差しとめ訴訟、また、平成二十二年十二月に国に開門を命じた福岡高等裁確定判決の執行力の排除を求める請求異議訴訟といった、実体的な義務について争う訴訟が係属しております。これらについて最高裁としての判断を得ていく必要があると考えております。


○田村(貴)分科員
開門と開門反対、百八十度違う主張のどこに統一的な判断を求めていこうというのでしょうか。


○佐藤大臣政務官
国は、開門義務と開門禁止義務の相反する二つの義務を負い、いずれか一方の立場に立てない状況にあります。

国としては、このような状況が解消されるような裁判所の判断を求める必要があると考えております。


○田村(貴)分科員
一つは確定判決ですよ。統一の判断というのは、漁民の側も営農者の側も納得し得る、そういう提案を指しているんですか。


○佐藤大臣政務官
いずれか一方の側の主張に立って考えているものではございません。


○田村(貴)分科員
「統一的な判断を得る必要がある」、得る必要があるというのは、最高裁判所に対して政府が、農林水産省が注文をつけているという理解でいいんですか。


○佐藤大臣政務官
国は、開門義務と開門禁止義務の相反する二つの義務を負い、いずれか一方の立場に立てない状況にあり、このような状況を解消していくため、最高裁による統一的な判断が必要であると考えております。

このため、国の立場や考え方が裁判所に認められるよう、引き続き、必要な主張を申し述べるなど、関連訴訟に適切に対応してまいります。


○田村(貴)分科員
その国の立場、国の主張というのは、開門とそして開門反対の中でどういう立場のどういう主張なんですか。この際、はっきり答えてください。


○佐藤大臣政務官
繰り返しの答弁になりますけれども、いずれか一方の側の主張に立って考えているものではございません。


○田村(貴)分科員
全然わかりませんね。

では、いつまでこの裁判をやるんですか。半年で一億円、一年間で二億円。これは何年もかかりますよ、残る裁判を最高裁までやっていったら。それを支払い続けるんですか。この裁判をいつまでやろうとしているんですか。どなたか答弁してください。

○三浦政府参考人
恐縮でございますが、裁判の帰趨に関して予断を持ったお答えをすることは差し控えさせていただきたいと存じます。


○田村(貴)分科員

林大臣も基本的に踏襲としてきたその西川大臣のコメントなんですけれども、「速やかに最高裁判所の統一的な判断を得る必要がある」、速やかにと言っているんですよ。速やかにというのは、いつ終わるかわからない裁判のことを指すんですかね、農林省の側に立ってみたら。これは解決しませんよ。どうするんです
か。一体、国としてどうするのか、どうしたいのか、責任ある姿勢が全く見えてきません。

国営事業として巨大な国費を投入して干拓事業を行って、堤防を締め切って、それがもとで有明海に異変を来して、そして深刻な漁業被害が長年にわたって続いている。漁業者にとっては死活問題が長年にわたって続いているのを、これからまだ繰り返そう、続けていこうということなんでしょうか。

最近の漁場それから漁民の状況についてちょっと述べたいと思います。
例えば、名産のタイラギ漁であります。佐賀大浦、福岡柳川、大牟田など、三年連続の休漁であります。十月十五日から二十九日に調査した五十五地点で成貝が確認されたのは湾奥中央部の一地点だけ、百平方メートル当たり三個体で、漁ができる基準となる百個体以上にはほど遠い状況だったということです。
佐賀の有明海漁協の漁民の声があります。これまでの不漁は、タイラギの稚貝は発生するが、夏には死ぬのが問題であった。しかし、今期は稚貝すらいない。そのほかの魚も、種類、収穫量ともに減って、お金になるものがとれないから、油代にもならず、漁に出られない。ことしに入ってから、一カ月のうちに二、三日しか漁に出ていない。事実上の失業状態。こんな声が上がっていますよ。

アサリ養殖の状況についてはどうですか。

佐賀県有明水産振興センターが昨年四月から五月に実施した調査では、稚貝の数が前年から比べて七分の一、激減しています。
長崎のアサリ養殖、こんな話を伺いましたよ。環境の悪化で稚貝が育たないから、中国産の大きなアサリを輸入してきて、その大きなアサリをまいて、それをとっている。これは品質表示に問題があるから、有明海でとったとしても、中国産と表示して販売しなければならない。こんな矛盾を来していますよ。

そして、名産のノリはどうでしょうか。
林大臣、ここにノリを持ってきました。佐賀県の太良町大浦でとれた秋芽の一番ノリです。ごらんいただけますように、色落ちしています。確認できましたか。
おすし屋さんで食べるノリというのは、ぴかぴか光って、黒々として本当においしいんですけれども、これは明らかに色が落ちています。売り物になりません。
香りがしないんですよ。ノリの風味がない。いその香りがしない。このノリは一枚四円二十銭、六等級であります。

佐賀県の西部は、この十年ほど毎年赤潮続きで、そして、ことしはその中でも最も最悪な状況ということであります。秋芽が色落ちし悪かった上に、赤潮のために冷凍ノリを張るのも延期せざるを得ず、特に太良町では、三週間も延期した結果、色落ちするとわかっていても、網を張らなければ共済のお金もおりないので仕方なく網を張ったけれども、結局一回しかとることができなかったということであります。

赤腐れ、それから芽流れ、熊本でも長崎でも福岡でも、地域によっては同様の状況が報告されています。

貝が立たない、ノリが色落ちする、そして魚がとれない、漁に出られない、油代も賄えない、こんな状況の漁民の声を、切なる思いをどのように農林水産省として受けとめておられますか。大臣、どうですか。


○あべ副大臣

有明海につきましては、赤潮、貧酸素水塊の発生などによって漁業が本当に大きな影響を受けており、タイラギに関しましては、佐賀、福岡両県でタイラギ潜水器の漁業が平成二十四年から三年連続休漁であること、もう委員がおっしゃったように、アサリに関しましても、平成二十四年の漁獲量千五百五十六トンで、
ピークであった昭和五十八年九万九百十九トンの約二%であること、また、委員が御持参くださいましたノリ、毎年色落ちが発生していることなど厳しい状況であること、私ども十分に認識をしているところでございます。

農林水産省といたしましても、有明海の再生、国としても重要な政策課題であることを認識しておりまして、これまでも、増養殖技術の開発、赤潮、貧酸素水塊の発生機構の解明、また、覆砂、海底耕うん等による漁場の環境の改善などに取り組んできたところでございます。

今後とも、関係県と連携しながら、必要な取り組みを推進してまいります。


○田村(貴)分科員
今、副大臣、御説明ありました。いろいろやってきた、海底耕うん、覆砂その他、それを私は全て否定するものではございません。だけれども、やっても根本的な解決につながっていない。長く長く、どの漁業をとっても深刻なやはり影響が出ていることに変わりはないんですよ。

これを打開するためには、福岡高裁の確定判決も述べているように、やはり一回開門したらどうなのかということですよ。開門しないとわからないじゃないですか。開門して環境がよくなるのか、それとも変わらないのか、あけてみないとわからないじゃないですか。
福岡高裁の確定判決に従う、国はそう言い続けてきました。その確定判決では、漁業被害と、そして干拓事業との関係においてはこう述べています。諫早湾では、潮受け堤防の閉め切りによって生物の生息環境に影響を及ぼす貧酸素水塊の発生が促進されている可能性が高い。赤潮の発生が促進されている可能性もあり、諫早湾やその周辺では魚類資源減少に関与する要因が複数生じた可能性が高いとして、堤防閉め切りと漁業被害との因果関係を肯定するのが相当だ。この確定判決に従うべきではありませんか。

林大臣は、去年、まさにこの分科会で我が党の赤嶺政賢衆議院議員の質問に対して、因果関係の問題と
か、それから共済金があるとか、いろいろ御答弁されたことは伺っています。しかし、今、副大臣もおしゃったような対策ではもう解決できないといったところは明らかであります。

今後どうしていくんですか。ノリがとれるように、貝が立つために、魚がとれるように、どうするんですか。しかとお答えいただきたいと思います。


○林国務大臣

前回もここで赤嶺先生にはそういうお答えをしたと記憶をしておりますが、その後、裁判がいろいろ積み重なっております。国が負った義務は、開門義務と同時に開門禁止義務、相反する二つの義務を負っておるわけでございますので、法的にはどちらが優先するか明らかではなく、裁判所の判断を経なければいずれか一方の立場に立つことができない状況にあるということで、先ほどの西川前大臣のコメントということになろうか、こういうふうに思っております。


○田村(貴)分科員

大臣、二つの異なる決定だとか、それから義務の衝突だとか言われているんですけれども、開門差しとめ仮処分の決定はこういうことなんですよ。被害防止のための対策工事をせずに開門するということを禁じたんですよ。換言すれば、被害が出ないように開門すればよいということではないですか。そのために農林水産省も、開門による被害が出ないように、農業用水を確保するために今努力をしてきたんじゃないんですか。何でこの工事をしないんですか。


○林国務大臣

この対策工事の実施のためには、河川法に基づきまして地元地方自治体との協議、それから、工事に必要な民有地の使用についての地権者の了解等が不可欠になってまいりますが、地元関係者、地方自治体、これが開門に強硬に反対をしておりまして、協力を得られていない状況が続いているわけでございます。

また、地元関係者の一部は、開門差しとめ訴訟において国と係争中でございますので、開門しない前提でなければ話し合いには応じない、こういう姿勢を崩していないわけでございます。

こういう状況を踏まえまして、開門差しとめ訴訟などにおいて国の主張を申し述べるとともに、粘り強く関係者間の接点を探る努力を続けていく必要があると考えておるところでございます。


○田村(貴)分科員
それでは解決しませんよ。やはり、反対している側の人たちを確定判決に従って説得するのが農水省の仕事というものじゃないんですか。

統一的な判断を最高裁に求める以外にすべがないとおっしゃいますけれども、その当の最高裁は何と述べていますか。この間の間接強制の決定の理由の中でこういうくだりがあります。
当事者が異なり、別個に審理された裁判の判断が分かれることは制度上あり得るとし、法的要件は満たされているとの理由であります。開門の是非については審理する立場にない、この間接強制の判断で審理する立場にない、開門、開門しないか。民事訴訟上、対立する二つの主張は認めることはあり得る。

だから、これ以上農水省が統一的な判断を求めたところで、それを望むことはもはやできないのではありませんか、最高裁がこう言っているんですから。いかがですか。


○佐藤大臣政務官
本年一月二十二日の決定におきまして、最高裁が御指摘のような内容について言及したことについては承知をしております。

一方、この最高裁決定後におきましても、国は依然として相反する二つの義務を負い、いずれか一方の立場に立てない状況にございます。

このような状況を解消していくため、速やかな最高裁による統一的な判断を求める必要があると考えているものでございます。


○田村(貴)分科員
同じことを何度も繰り返すんですけれども、間接強制が福岡高裁で決定されたときに、佐賀新聞が一橋大学大学院の山本和彦教授の次のコメントを報じました。
順当な判断だ。長崎県側の協力は必要なく、国の意思だけで開門できると、はっきりした判断を下している。国は開門してもしなくても制裁金を支払う立場に置かれている。国の財政からみたら大した額ではないが、理由もなく税金から支払う事態は避けるべきだ。当事者間の話し合いで解決できれば別だが、開門義務が確定している以上、国が営農者側の仮処分決定の取り消しを求めるしか選択肢はなくなっているように思える。

民事訴訟法の専門家もこう指摘しているではありませんか。

そして、何度も言いますけれども、農林水産省が期待を寄せる最高裁判所、この間の決定の最後にこう結んでいます。
なお、本件各排水門の開放に関し、本件確定判決と別件仮処分決定とによって抗告人が実質的に相反する実体的な義務を負い、それぞれの義務について強制執行の申立てがされるという事態は民事訴訟の構造等から制度上あり得るとしても、そのような事態を解消し、全体的に紛争を解決するための十分な努力が期待されるところである。
抗告人というのは国のことですよね。紛争解決の十分な努力が期待されているというのは国のことを指していると思いますけれども、それで間違いないですね。どうですか。


○三浦政府参考人
先生の引用されたくだりにつきましては、こうなっております。
本件各排水門の開放に関し、本件確定判決と別件仮処分決定とによって抗告人が実質的に相反する実体的な義務を負い、それぞれの義務について強制執行の申立てがされるという事態は民事訴訟の構造等から制度上あり得るとしても、そのような事態を解消し、全体的に紛争を解決するための十分な努力が期待されるところである。
となっておりまして、最高裁判所がこれで具体的に名宛て人として誰に対し言っているのかというのは、国も当然入ってくるとは思いますけれども、「全体的に紛争を解決するための十分な努力が期待される」というところでどこまで指しているかというのは、必ずしも決定文から一義的に明確ではないのではないかと受けとめております。


○田村(貴)分科員

それはないでしょう。この文脈からいって、誰に、全体的に紛争を解決するための十分な努力が期待されているところであるか。これは国しかないですよ。決定文を読んだみんなが言っていますよ、ジャーナリストも専門家も報道も。農水省がそういう立場ではだめですよ。無責任もいいところです。
林大臣、最高裁もサジェスチョンを示しています、打開の方向を示しています。最高裁に一方的な統一的な判断を求めているけれども、国の十分な努力によって期待されることを最高裁判所は投げかけているんです。努力を怠ってはいけません。この決定理由を読み返してみて、やはり、私は国の努力が一番必要だというふうに感じました。

こう指摘されても、その一つの責任者である国は何もしないんですか。何も動かないんですか。この決定を受けて何かしたんですか。何かしたら答えてください。どう受けとめたのですか。


○林国務大臣

何もしない、何もしないで待っているという意味ではなくて、引き続き、先ほど申し上げましたように、これまでもやってまいりましたけれども、この問題の解決に向けて今後も関係者間の接点を探る努力、これは続けていくということは当然の前提でございますが、先ほど来いろいろなやり取りをさせていただいておりますように、我々としては相反する義務を負っている状況というのは変わっていない、こういうことでありますし、地元との関係も、先ほど私が答弁したとおりでございます。

したがって、今委員がお引きになったところ、解釈は今局長から答弁があったとおりでございますが、全体的に紛争を解決するための十分な努力が期待されるということは承知をしておりますので、引き続き、問題の解決に向けて我々ができること、すなわち関係者間の接点を探る努力、これはしっかりと続けてまいりたいと思っております。


○田村(貴)分科員
大臣、もう一つ。
日本経済新聞の一月二十八日付の社説であります。「政権として諫早湾の解決を」、これが見出しであります。「もともと国に責任があるのに、相変わらずよそ事であるかのような農水省の姿勢には違和感をぬぐえない。司法判断が示されるたびに関係者が一喜一憂する姿はむなしい。もつれた糸を解きほぐすには法廷外で関係者が一堂に会して話し合うしかないのではないか。」「もはや農水省任せではなく、安倍政権として解決に乗り出すべき時ではないか。」

私もそう思いますし、国民もそういう解決方法を望んでいると思います。大臣、開門を前提にしない会合を幾らやってもだめなんですよ。開門による農業被害を防止する立場での実質的な協議に直ちに入ることを求めたいと思います。
もう一点。せっかくつくった干拓営農地です。農業を定着させる、そして、豊穣の海と言われる有明海をもとに戻して豊かな漁場をよみがえらせる。農林水産省がとるべき立場というのは農漁共存ではないですか。今は干拓地において営農はできます。しかし、漁業はもう先が見えない状況になっています。農漁共存の立場をとるのが農水省ではありませんか。

確認します。誰か答えてください。


○三浦政府参考人
農林水産省は、農林水産業の振興を図ることを重要な責務としております。どの地域におきましても、農業の振興を図り、また、漁業の振興を図るということを進めていくことは私どもの責務でございます。

ただ、本諫早湾干拓事業に関することにつきましては、ただいま先生の御質問にるる答えてまいりましたような状況を踏まえて、どういったことが適切かということを考えていかなければならないという状況にございます。
裁判に関しましては、お答え申してまいりましたように、二つの相反する義務がある中でいずれか一方の立場に立つことができないという状況にあるということ、それから、それを踏まえて今最高裁の統一的な判断を求める必要があるというふうに考えているということ、こういったことを申し上げてまいりました。

そういった訴訟に適切に対応しつつ、関係者間の問題として、関係者間の接点を探っていくという努力もあわせて行っていくということを基本に進めてまいります。

その中で、先ほど副大臣から御答弁申し上げました漁業の振興を図ること、それから、当然、干拓地における農業の振興を図っていくことということも重要な課題として捉えてまいりたいと考えております。


○石原主査
田村君、申し合わせの時間なので、まとめてください。


○田村(貴)分科員
はい、わかりました。

最高裁からも国の努力を求められ、各界各方面からも政治の責任で解決すべきとの指摘がなされているにもかかわらず、相も変わらず、主体性のない無責任な姿勢をとり続けていることが明らかになりました。多くの国民はそうした国の対応を決して許さないと私は思います。

豊穣の海をよみがえらせるために、潮受け堤防を開門すること、そのために農業用水や防災など開門に伴う被害が生じないよう万全な対策を施すこと、そして、農漁共存の地域再生へ国がイニシアチブをとって責任を果たすこと、そのことを強く求めて、きょうの質問を終わります。