189-衆-総務委員会-2015年05月19日NHK「クロ現問題」最終報告、非常勤の特殊公務災害除外問題で田村貴昭議員が質問

○田村(貴)委員
おはようございます。日本共産党の田村貴昭です。
NHK「クローズアップ現代」の最終報告が出されました件について、それから総務省の行政指導について質問をします。
四月二十八日に、NHK「クローズアップ現代」についての最終報告が出されました。中間報告が出された後の四月十六日の本委員会で、私は、この不十分さを 指摘し、真相究明を求めました。しかし、最終報告でも基本的に変わっていません。これを了としない視聴者の声、論評も、今たくさん出されています。この問 題は終わっていないと考えます。
総務省は、最終報告と同日、四月二十八日、大臣名で、籾井会長に対して厳重注意の行政指導文書を発しました。こうあります。
「事実に基づかない報道や自らの番組基準に抵触する放送が行われたことは、公共放送である貴協会に対する国民視聴者の信頼を著しく損なうもの」とし、放送 法第四条においては、「報道は事実をまげないですること。」また、同法第五条においては、「放送事業者は、放送番組の種別及び放送の対象とする者に応じて 放送番組の編集の基準を定め、これに従って放送番組の編集をしなければならない。」とされるところ、「今回の事案はこれらの規定に抵触するものと認められ る。」と指摘したわけであります。
総務省にお伺いします。
放送法第四条、また第五条に照らして、昨年五月十四日放映の「クローズアップ現代 追跡“出家詐欺”~狙われる宗教法人~」という番組は、どの部分が抵触したと総務省は見ておられるんでしょうか、御説明いただきたいと思います。


○安藤政府参考人
お答え申し上げます。
四月二十八日にNHKが公表いたしました「「クローズアップ現代」報道に関する調査報告書」の中で、「クローズアップ現代」では、「記者がビルの一室を訪れる場面で、「看板の出ていない部屋が活動拠点でした」とコメントしたが、これは誤りであった。」としており、このように、実際にはブローカーの活動拠点ではなかった部屋を番組内において活動拠点であると伝えたことは、委員先ほど御指摘のとおり、放送法第四条第一項第三号、「報道は事実をまげないですること。」及び放送法第五条第一項、「放送事業者は、」「放送番組の編集の基準を定め、これに従って放送番組の編集をしなければならない。」と定められていることに抵触すると認められると判断したものでございます。


○田村(貴)委員
総務省が番組を検証する立場でないということはわかったとしても、第四条の「報道は事実をまげないですること。」ここにあって、番組は法に抵触するというふうに総務省は見たわけであります。
この抵触するということは、総務省は番組がやらせがあったというふうには見ておられるんでしょうか。


○安藤政府参考人
お答え申し上げます。
総務省といたしましては、放送法第四条第一項第三号の「報道は事実をまげないですること。」という規定に照らして、抵触しているというふうに判断したものでございます。


○田村(貴)委員
「事実をまげないですること。」に抵触したということは、やはり重大問題があったというふうに私も認識しています。
大臣の発した文書は「厳重注意」というふうにされています。監督官庁として放送局にこうした文書を出すことはよくあることなんでしょうか、この文書の意味合いはどういう重みがあるんでしょうか、御説明いただきたいと思います。


○高市国務大臣
過去にも、行政指導文書を発出、厳重注意の事例はございます。
私自身は、今回、NHKの方でつくられた報告書を隅から隅まで当日のうちに一行残らず読みました。
やはり、今回の事案は、今局長から説明ありましたとおり、法律にも、放送法にも抵触しております。視聴者の信頼を著しく損なうものであり、公共放送としての社会的責任に鑑み、非常に残念なことだと思いました。
それから、やはり放送法、番組基準などの遵守と徹底というのはもとよりなんですが、再発防止に向けた体制について、もっと踏み込んだ検討をしっかり早期に確立していただきたい、こういう思いで発出をしたものでございます。


○田村(貴)委員
今大臣の答弁にありましたように、大変重い、重要な文書であったというふうに私も認識をします。
そこで、NHKにお伺いします。
NHKは、「クローズアップ現代」の放送に関して、二度にわたる報告書を提出しました。本委員会理事会でも説明がありました。最終報告書は二十六ページにも上るものであります。そして、「取材・制作上の様々な問題や課題が明らかになった。」というふうにしています。
監督官庁の総務省としては、当然この最終報告に対して看過するわけにもいかないであろうし、再発防止に向けた取り組みを促す文書を出したのは当然であったというふうに私は思います。
先ほどから議論があっていますように、四月二十八日、この大臣の文書を受け取る、受け取らないのあの対応は全く解せません。
NHKは、監督官庁からの何らかのお達しがあるというふうには思わなかったんでしょうか。御答弁いただきたいと思います。


○堂元参考人
お答えをいたします。
三月二十八日に調査報告書を公表いたしたわけでございますけれども、私、調査委員長として、その時点……(発言する者あり)四月二十八日でございます。ごめんなさい。公表したわけでございますけれども、その時点で、まず視聴者の皆様がどういう反応をされるかということ、これは順不同でございますけれども、それから関係機関がどのような御判断をされるかというところに私は調査委員長として大きな関心を持っておりました。関係機関とは、総務省であり、BPOでありということでございます。
そういう観点から、今回の調査報告書に対する総務大臣から会長宛ての行政指導文書というものを非常に重いものだというふうに認識している次第でございます。


○田村(貴)委員
どういう反応があるのかと関心を持っておられたというふうに今、堂元さんはおっしゃいました。であるならば、やはりこうした文書はすぐに受け取るべきではなかったんですか。
先ほど高市大臣の答弁を聞いておりました。行政手続法に基づく文書であって、これは処分ではない、ですから、こうした意見は必ず耳にしなければいけないのではありませんか。受け取りを拒否する前提に法律は立っていない、そうですよね。
井上理事は、そのとき総務省におられて、そして文書を受け取らずにNHKに戻られた。その事情についてはここでは聞きませんけれども、そうしたら、受け取るべき人がちゃんと総務省に赴いて、そして、同日総務省が出したというんだったら、その文書をまず受け取って、見て、判断すべきではなかったんでしょうか。受け取るべき人がすぐに総務省に出向くべきではなかったんでしょうか。そのことについて御見解を聞きたいと思います。


○籾井参考人
まずもって、この問題で関係方面に多大な迷惑をかけていることについて、心からおわび申し上げたいと思います。
文書の受け取りについては、今申し上げるのは遅過ぎますが、委員仰せのとおり、やはりできるだけ早い時期に受け取るべきだったというふうに思っております。
これが随分とおくれたことについて、改めて大臣初め関係各位におわび申し上げたいと思います。


○田村(貴)委員
後でずっと聞くところの話では、逃げ惑っているようにしか見えないわけなんですね。
そこで、総務省に尋ねたいと思います。
文書は二十八日の夜にファクスと郵便によって送ったというふうに伺っています。あれから三週間たちました。NHKから、この行政指導文書に対しての何らかの返事そして回答というのは今日あっているのでしょうか。


○安藤政府参考人
お答え申し上げます。
御指摘につきましては、昨日、行政指導後のNHKにおける再発防止に向けた取り組み状況について、NHKから報告を受けておるところでございます。その内容について承知しております。
報告書の公表後、NHKにおいて直ちに取り組んでいる事項もある一方、検討中の事項もあるものと認識しており、今後ともしっかりフォローしていく所存でございます。
NHKにおいては、再発防止に向けた体制の早期確立に向けてさらに踏み込んだ検討を速やかに行っていただき、その検討結果を踏まえた具体的な再発防止策に取り組んでいただき、一日も早く国民・視聴者の信頼回復を実現していっていただきたいというふうに強く思っているところでございます。


○田村(貴)委員
何かばたばたされているような感じがしますね。
高市大臣にお伺いしたいと思います。
この指導文書は、NHKの今後の対応について具体的な取り組みを求めています。きのうNHKから何らかのアクションがあったというふうに今お答えあったんですけれども、放送ガイドラインの内容を深く理解する場をどのように確保するのか、情報の共有や、企画や試写等でのチェックなどについて、誰が、いつ、どのように実行するのか、大変具体的に、そして踏み込んだ要請をされています。
この文書に込められたNHKへの改善指導、大臣の思い、総務省としてのお考えをお聞かせいただければというふうに思います。


○高市国務大臣
四月二十八日、まさに最終報告書発表の当日に、その文書を隅から隅まで一行残らず読ませていただいた上で書かせていただいた。
その中で特に私が気になりましたのは、調査報告書の最終章に記述されている再発防止に向けた提言については、いずれももっともな提言ではあるんですけれども、提言の域を出ているものではなくて、それぞれの改善策について、どのようなタイミングで、どのような方法で進めていくのかというところについてまでは、まだ踏み込まれておりませんでした。
私は、やはり、国民・視聴者の受信料によって運営されている公共放送としての社会的使命に鑑み、この調査報告書に書かれた再発防止策をもっと踏み込んで具体化して、一刻も早く取り組んでいただきたいという思いから、どうしてもあの日に行政指導文書、助言的な位置づけでございますから、内容云々じゃなくて、まずは受け取って帰って検討していただきたかったんです。
きのう、局長が、事務方が、その後のNHKの再発防止策について書かれた文書を受け取っています。
私からの行政指導、放送ガイドラインの内容を深く理解する場をどのように確保するのかといったところについて、いろいろ、勉強会を開いたりしておられる旨は書いてありました。しかしながら、まだ全ての部局では実施をされていないということ。
あと、情報共有、企画や試写などでのチェックについて、誰が、いつ、どのように実行するのか、こういったことも行政指導文書で書かせていただきました。
これも一生懸命御努力はいただいているんですけれども、今は報道の現場で一生懸命匿名化した映像のチェックをしていただいているようですけれども、報道以外の制作現場や関係団体にも今後チェックシートなどの使用を広げていくとか、それから試写などのチェックの充実、当面の施策を五月中にまとめる予定だということで、まだ完成形ではない。
きのうの夕方、私も紙を受け取って、ゆうべ読みましたので、簡単なコメントですけれども、まだまだしっかりとお取り組みをいただきたいと思っております。


○田村(貴)委員
きのうの夕方でしたか。私もきのう、NHK、総務省ともに聞いたんですけれども、きのうまでは、読んだとも、こうするとも話がなかったということでありました。やっと動き出したかというような思いであります。
この問題については、やはり批判の声が同業のメディアからもたくさん出されています。視聴者を納得させるものではありません。そして、行政指導に会長みずからが背を向ける、そうした一幕もある。そして、再発防止の取り組みもやっと始まったといったところであります。
NHKのガバナンスに問題があるのではないか、経営委員会や監査委員会の改革を求める声が、この間、会長のハイヤー問題、いろいろな問題で上がっているわけです。私もこの連休明けにたくさんの文書を目にしたんですけれども、経営委員長として、こうした声を今どういうふうに受けとめておられるでしょうか。


○浜田参考人
経営委員会といたしましては、放送法にのっとり、適時適切な対応に努めてまいりました。しかし、御指摘のような御懸念を抱かれていることは大変残念なことというふうに受けとめております。
四月二十八日の経営委員会で行った今後の改善に向けた総括の議論の結果として、会長に対しても、公共放送のトップとしての責任を再確認し、さまざまな意見に対して、これまで以上に誠意を持って対処するよう求めております。
今後も、経営委員会による真摯な議論を行い、合意形成に努め、放送法にのっとり、NHKが公共放送の使命を果たしていけるよう努力をしてまいりたいというふうに思っております。


○田村(貴)委員
この問題含めて、NHKのことについてはまた論議をしていきたいと思います。
次の質問に移ります。
東日本大震災で被災した地方公務員への公務災害補償について伺いたいと思います。
東日本大震災の被災三県で、公務中に津波などに襲われて震災被害で亡くなられた人はどのぐらいおられますか。常勤、非常勤ごとの地方公務員の犠牲となった方々の数字についてお答えいただきたいと思います。


○丸山政府参考人
お答えをいたします。
岩手県、宮城県及び福島県の県及び市町村の職員で、東日本大震災により死亡または行方不明となられた常勤職員の人数は、総務省が平成二十三年に各県に対して照会し、回答をいただいたところ、二百九十一名となっております。
なお、被災三県の死亡または行方不明となられた非常勤職員の人数は、総務省においては把握してございません。


○田村(貴)委員
報道によれば、非常勤職員を含めたら三百三十人にもなるというふうにも言われています。
先ほど、正規職員二百九十一名と言われましたけれども、このうち、公務災害認定を受けた人、また特殊公務災害を認定された人は何人でしょうか。


○丸山政府参考人
お答えをいたします。
地方公務員災害補償法は、常時勤務に服することを要する地方公務員につきまして、地方公務員災害補償基金が災害補償を行うこととしているところでございます。
地方公務員災害補償基金に確認しましたところ、東日本大震災による公務災害の認定件数は、平成二十七年四月三十日時点で二百八十三人、このうち特殊公務災害の該当件数は二百四十六人となっております。


○田村(貴)委員
報道にもあったんですけれども、非常勤職員は特殊公務災害が認められない。それで、同じ被災者の救援に頑張ってきたんだけれども、何でこんなに差が立つのか、おかしいじゃないかという声が上がっています。
なぜ非常勤職員は特殊公務災害に適用されないんでしょうか。


○丸山政府参考人
お答えをいたします。
特殊公務災害につきましては、常勤の消防職員などが、その生命または身体に対し高度な危険が予測される状況のもとにおきまして、天災等の発生時における人命の救助等の職務に従事し、公務上の災害を受けた場合、通常の公務災害に加えて補償の額を加算する制度でございます。これにつきましては、地方公務員災害補償法第四十六条に規定されているところでございます。
一方、非常勤職員につきましては、その種類及び勤務形態が多様であることから、消防団員等の他の法律に特別の定めがある場合を除きまして、各地方公共団体において条例で災害補償制度を定めなければならないこととされております。これは、地方公務員災害補償法第六十九条第一項の規定するところでございます。
総務省ではこの条例案を示しておりまして、各地方公共団体では、総務省の条例案をもとに、非常勤職員の公務災害補償に関する条例が定められているものと考えてございます。
非常勤職員につきましては、地方公務員法上、臨時的、補助的な業務や特定の学識経験を必要とする職務に任期を限って任用されるものでありまして、生命または身体に対する高度な危険が予測される状況のもとにおいて、特殊な職務に従事することは想定されていないことから、総務省の条例案では、非常勤職員については通常の公務災害の対象としており、特殊公務災害の対象とはされていないところでございます。


○田村(貴)委員
高度な危険そのほかのお話がありましたけれども、やはり東日本大震災の地震後の津波、あの被害を見たときに、今おっしゃったような理由というのはなかなか当たらないんじゃないかなというふうに思うわけであります。
突然津波がやってきた、そして役所を初め建物から住民を避難させなければいけない、その誘導に当たるのに、常勤職員も非常勤職員も私はないと思うんです。あなたは非常勤だからここからすぐに家に帰りなさいというふうに上司は言うでしょうか。私は非正規の職員だから、けが人もいる、お年寄りもいる、その場を見限ってそこから離れることができるでしょうか。今や、自治体の職場、窓口を含めて、非正規労働の占める割合は本当に大きく、数割にも上っています。混乱の中でそう簡単に区別できるものではありません。
自治体が条例をつくらなかったら、非常勤職員は公務災害の対象ともなり得ないわけであります。そうした差があるということは、私はおかしいというふうに思います。やはり何らかの手段で補償、救済を行うべきではないでしょうか。
総務省として、こうした状況が指摘されているんですけれども、補償、救済する手だてはないものか、その検討もされていないのか、総務省にお伺いしたいというふうに思います。


○丸山政府参考人
お答えいたします。
先ほど申し上げたところと重なりますけれども、非常勤職員につきましては、地方公務員法上、臨時的、補助的な業務等に任期を限って任用されるものでございまして、本来、生命または身体に対する高度な危険が予測される状況のもとにおいて、特殊な職務に従事することは想定されていないことから、総務省の条例案では、臨時、非常勤職員について通常の公務災害の対象としており、特殊公務災害の対象とはされていないところでございます。
本来、その生命または身体に対し高度な危険が予測される状況下において、天災等の発生時における人命の救助等の職務に従事する役割の職員は、地方公共団体においては消防職員等でございまして、非常勤職員がこうした特殊な業務に従事することがないよう、任命権者である地方公共団体において、ふだんから制度趣旨に沿って適正に任用されることが重要であると考えております。
総務省としては、今後とも、引き続き公務災害補償制度の趣旨を周知しますとともに、非常勤職員の任用について必要な助言等を行ってまいります。


○田村(貴)委員
危険な特殊公務災害につかせないというのであるならば、やはり今後、各自治体が災害時に対応できるだけの正規職員をちゃんと十分確保する、財政面も含めたそういう措置をとる、筋道をつけていくことが大変大事だというふうに思っています。
少なくとも、この間の行政改革によって、人員削減、定数削減を迫ってきた、こうしたやり方というのは転換すべきだというふうに思います。ちゃんとした災害対応をするためにも、これからの対応が迫られているのではないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。


○高市国務大臣
平成十七年から平成二十二年の五年間は、行革推進法などに基づいて、各地方公共団体に対して、具体的な削減目標を掲げた集中改革プランを策定するように要請しておりました。
しかし、この集中改革プランの終了後は、総務省として、各地方公共団体の定員管理については、地域の実情を踏まえつつ、自主的に適正な定員管理の推進に取り組むよう助言をしております。
実際に総職員数を抑制する中においても、消防、警察部門や防災に携わる職員の数は増加をしてきているところでございますので、引き続き、各団体において効率的で質の高い行政を実現するために、行政需要の変化に対応した適正な定員管理の推進に取り組んでいただくことが重要と考えております。
なお、財源につきましては、その実態をしっかりと踏まえながら適切に対応をしてまいります。


○田村(貴)委員
同じように働いて亡くなった方を任用形態をもって差別するというのは、やはり私は納得できません。
何らかの対策を打つべきだ、そのことを強く申し上げて、きょうの質問を終わりたいと思います。