189-衆-総務委員会-2015年04月16日 「クローズアップ現代」の報道と、子ども医療費助成制度と国保のペナルティー問題について質問 田村貴昭衆院議員

○田村(貴)委員
日本共産党の田村貴昭です。
きょうは、「クローズアップ現代」の報道と、そして中間報告について質問をします。
NHKという公共放送で、しかも報道の看板番組となっている「クローズアップ現代」でやらせの疑惑が指摘されています。NHKは、中間報告で、番組の表現 の一部に誤りがあることを認めました。一方、取材の対象となった人が、記者にやらせの指示を受けたと、NHKに訂正を求める事態となっています。社会の真 相に迫る取材とそして解説、多くのファンを持つこの番組にこういう疑惑が持たれることは、本当に残念であります。
やらせが本当なら、取材と報道の根幹が問われる問題であります。放映から一年近くもたち、一日も早い真相解明が望まれますが、中間報告を読む限りは、視聴者を納得させるものとはなっていません。
昨年五月十四日の番組では、「クローズアップ現代」のそのタイトルは、「追跡“出家詐欺”~狙われる宗教法人~」でありました。出家詐欺を指南するブロー カーA氏と多重債務者B氏による出家詐欺の打ち合わせ現場という、生々しいシーンが放映されました。報道が真実であるならば、B氏は、出家し、改名し、そ して多重債務を免れるという展開になっていきます。しかし、中間報告では、B氏は多重債務者のままであります。
そこで伺います。
B氏は、出家したんですか、改名したんでしょうか、また改名しようとした事実があるのでしょうか、お答えください。


○堂元参考人
お答えをいたします。
現在、聞き取り等の調査を行っておりますけれども、いわゆるB氏、多重債務者として登場した男性でございますけれども、プライバシー等にかかわることなので、中間報告に記載した以上の内容のことは答えを控えさせていただきたいというふうに思います。


○田村(貴)委員
それでは、A氏はブローカーだったんでしょうか、過去にブローカーとして出家詐欺を指南した、そういう事実をつかんだんでしょうか、お答えください。


○堂元参考人
お答えをいたします。
取材担当の記者によりますと、出家をあっせんするブローカーと紹介した男性が、インタビューシーンが出てまいりますけれども、専門的な用語を使って出家詐欺の手口を詳細に語っています。また、インタビューの中で、我々ブローカーと称したこと等から、この男性がブローカーで間違いないと思ったと話しております。
これに対しまして、その男性は、番組で語った内容は知人などから聞いた話で、自分はブローカーではないというふうに話しております。
こうした食い違いがあるために、さらに調査を続行しておるという状況でございます。


○田村(貴)委員
結局、A氏とB氏がどういう人なのか、報道がやらせであるのかないのか、一番核心をなす点についてはわからないわけなんですね。しかし、オンエアからやがて一年になろうとしている今に至っても、A氏とB氏の実情と出家詐欺の事実が判明していません。NHKはそこを曖昧にして、A氏とB氏と記者との話の食い違いを論点にしています。だから、中間報告はピントがずれているのではないか等の声が上がっているわけであります。
そこでお尋ねします。
NHKの「取材・制作の基本ルール」について、その中の「取材先との関係」について、放送ガイドラインではどのように規定されていますか、説明をお願いします。


○板野参考人
お答えいたします。
放送ガイドライン二〇一五の「取材・制作の基本ルール」の中の「取材先との関係」には、次のように記述されております。
取材相手との関係においては、常に放送倫理や公平・公正な放送を意識し、節度ある距離を保たなければならない。
国民の知る権利や公共の利益のために密着取材が必要な場合であっても、相手の利益を図ったり、癒着と受け止められる行動をとったりしてはならない。
取材にあたっては、番組および取材の意図を事前に十分説明し、理解を得る。取材後の状況の変化によって番組のねらいを変更した場合にも、取材相手に十分に説明する。
となっております。


○田村(貴)委員
取材に当たっては、番組の意図を事前に十分説明し、理解を得る、これはガイドラインです。中間報告では、記者とA氏との言い分に食い違いがあると、傍観者的な表現になっています。
ガイドラインに従って十分に説明を記者がしていれば、こういう事態にならなかったのではありませんか。また、ガイドラインに沿って検証すべきではありませんか。いかがでしょうか。


○堂元参考人
お答えをいたします。
今回の問題では、事実関係を明らかにすることに加えまして、取材、制作のプロセスが適正だったのかについても検証することが重要だと考えております。取材に至った経緯、取材に当たってどのような説明を行ったのか等につきましても調査を尽くしていく考えでございます。


○田村(貴)委員
もう一つ伺います。
今回の「クローズアップ現代」の報道に照らしてみて、企画と制作についての状況はどうだったのか。基本ルールは放送ガイドラインに何と定められていますか。


○板野参考人
お答えいたします。
放送ガイドラインの「取材・制作の基本ルール」の「企画・制作」の中には、以下のような記述がございます。「事実の再現の枠をはみ出して、事実のねつ造につながるいわゆる「やらせ」などは行わない。」放送ガイドラインにはこのように記載されております。


○田村(貴)委員
当然のことなんですけれども、捏造ややらせはやってはならないということであります。しかし、どういう行為、映像が捏造ややらせに当たるのか、そうした基準をあの放送に照らして検証しなければ、調査というのは成り立っていかないと思うんです。
A氏とB氏が出家詐欺の相談をするシーンの場面があります。カメラは、向こうの側のビルからブラインド越しに撮影しています。隠し撮り的な映像であります。しかし、その現場に記者はおられたんですね。それは映像からはうかがえません。そして、記者と多重債務のB氏とは、八年から九年前から知り合いの仲であったということであります。間違いありませんね。
記者は、相談を終えて去っていくB氏を走って追いかけて、犯罪につながる認識はとインタビューをしています。事前に三者で打ち合わせをしているわけです。そして、あの部屋で収録をしているわけです。長年の知り合いの関係にあるにもかかわらず、直撃取材したように見せているわけであります。
中間報告を私読んで、そして改めてこの出家詐欺の放映を見て、非常に不自然な映像だ、不自然な報道だというふうに思いました。ここは、NHKさん、やらせ疑惑の核となるシーンなんですよ。演技の要請があったのかなかったのか、やらせの事実があったのかなかったのか、これは意見の食い違いで片づけてはいけない問題だと思います。
最終報告には、ここの点のしっかりとした真相究明が必要ではないんでしょうか。しっかり調査する必要が待たれているのではないでしょうか。いかがですか。


○堂元参考人
お答えをいたします。
中間報告にありますように、視聴者の皆さんの多くは、取材記者がブローカーから了解を得た上で、多重債務者が相談にあらわれるのを待って撮影したと、実際とは異なる取材過程を印象づけられたと思われます。
構成が適切さを欠いていなかったか、演出が過剰ではなかったかという観点から、調査や検証を進めていくということでございます。


○田村(貴)委員
やらせであると当事者が語っています。そして、やらせがあったと報道関係者がこのシーンなどでは指摘しています。だからこそ、ガイドラインに従って、今回の「クローズアップ現代」の場合はどういうことをすればやらせに当たるのか、その基軸を示すことなく、演出が過剰であるとか、構成に適切さを欠いていなかったかというような表現では、視聴者は納得はいたしません。しっかりと調査を進めていただきたいと思います。
こうした問題が起こったときに何が大切かといったことを述べたいと思います。
誤りがあったならば素直に認めて、そして迅速で適切な対応をとることが何よりも重要です。BPO、放送倫理・番組機構で審議された一つの教訓を挙げたいと思います。
昨年九月十日、テレビ朝日の「報道ステーション」が、川内原発の報道の中で、原子力規制委員長と記者のやりとりを取り間違え、不適切な編集があったことが判明いたしました。翌日に原子力規制委員会からの抗議を受けたテレビ朝日は、翌十二日、放送緊急対策委員会を開いて、誤りを確認、午後に規制委員会に謝罪文を提出し、夜の番組の中で四分四十秒の時間を割いて訂正とおわびを放送しました。
この問題とテレビ朝日の対応については、BPOの放送倫理検証委員会で審議され、その意見で、局側の対応については迅速で、適切だったと認められると評されています。同局は、誤りを重く受けとめ、再発防止策をつくり、社員やスタッフへの周知を図ったが、この点についても、「本件放送の誤りを手痛い教訓として生かそうとする真摯な姿勢がくみ取れる。」とBPOは評価をしました。
迅速で、そして適切な対応、まさに今、教訓とすべき事例ではないでしょうか。NHKに求められているのはこうした対応ではないでしょうか。いかがですか。


○堂元参考人
お答えをいたします。
NHKの放送ガイドラインでは、「事実関係の誤りが明らかになった場合には、速やかに訂正する。」としております。今回の場合でも、中間報告をまとめた時点で明らかになっている誤りにつきましては、おわびをいたしました。「クローズアップ現代」の番組の中でおわびをしたということでございます。
関係者の話に食い違いがあること等から、事実関係の解明に一定の時間がかかっているわけでございますけれども、調査はできる限りスピード感を持って進めておるつもりでございます。取材、制作のプロセスが適切であったか、チェック体制はどうだったのか等につきまして、改善策も含めまして調査報告書をまとめ、公表したいと考えております。


○田村(貴)委員
BPOでは「クローズアップ現代」の放送についても論議になったというふうに伺っています。
大事なことは、こうした事態になったときに、放送や、あるいは報道の現場に萎縮作用を絶対に及ぼしてはならないということであります。
BPOも、「報道ステーション」の検証の意見の中でも次のように述べています。「委員会での審議入りや委員会決定が現場の萎縮につながったとしたら、それは本末転倒と言われても仕方がない」としています。
反省を糧にして、そしてさらにいい番組をつくっていく、いい方向に「クローズアップ現代」を持っていく、そういう流れをつくることが今大事ではないかと思いますけれども、御見解をいただきたいと思います。


○板野参考人
お答えいたします。
NHKとしましては、できる限り早い時期に調査報告書を公表し、視聴者への説明責任を果たしたいと考えております。その上で、正確で公平公正な情報や、豊かで質の高い番組を提供してまいりたいというふうに思っております。


○田村(貴)委員
籾井会長もおられます。一つお伺いします。
今回の事件を放送ガイドラインに基づいて検証し、協会を挙げて再発防止に取り組むこと、そして、事実に基づいた報道、国民の関心と要求に応えて、質の高い「クローズアップ現代」の前進につなげていくことを私は期待したいと思います。
会長として、そのトップとして、決意のほどをお聞かせください。


○籾井参考人
今回の問題では、調査委員会が今、事実関係等々、プロセスについても適正だったかどうかについて、調査を進めております。我々は、先入観を持たずに、事実を明白にし、今後の改善策も含めた調査報告書を公表することにしております。
委員おっしゃるとおり、事実に基づいて報道するということは我々にとりましても最も重要なことでございますので、調査報告書を踏まえて、正確で公平公正で、豊かな質の高い番組を視聴者の皆様に提供していきたいというふうに考えております。


○田村(貴)委員
NHKの問題については以上で終わります。
次に、子供医療費助成制度と国保のペナルティー問題について伺ってまいります。
我が党は、子供医療費助成制度の拡充を求める立場から、今国会でも、ナショナルミニマムとして国の制度とすること、そして自治体国保へのペナルティーをやめることを強く求めてまいりました。
二〇一四年度補正予算で創設した地域住民生活等緊急支援のための交付金について、内閣府は、三月二十四日付で交付決定を発表いたしました。地方創生先行型、千三百四十四億円を活用して子供の医療費の助成制度を取り入れた自治体はどのくらいに上っていますか。例を挙げてその事業内容を紹介してください。


○末宗政府参考人
お答えいたします。
地方創生先行型交付金基礎交付分におきまして、御指摘の子供医療費助成も含まれておりまして、事例をということでございますので幾つか申し上げますと、ある市におきましては、医療費助成の年齢制限を緩和しまして、例えば、現在の小学三年生までだったものを六年生までに拡大するとか、あるいは、別の市では、入院のみを対象としていたところ通院まで対象を拡大する、そういうようなことで、それぞれの地域の実情に応じまして、いろいろな活用事例があると承知しております。
全体的な額で申し上げますと、少子化対策全体の事業費では二千三百四十億円ほど充てられているわけですが、そのうち、子供医療費助成ということで見ますと一割を下回るような状況になっている、そのような状況でございます。


○田村(貴)委員
自治体数についてはどうでしょうか。


○末宗政府参考人
数にいたしますと、精査が必要ではございますが、今把握しておりますのはおおむね七十四ほどでございます。


○田村(貴)委員
多くの自治体が、やはり国の方がそういう交付金をつけてくれたということで実施に踏み切ったものと思われます。
私も、交付金に手を挙げられた自治体、幾つか聞いてまいりました。
神奈川県の逗子市です。
昨年十月の市会議員選挙の後の議会で、小児医療費助成制度の拡充を求める決議が全会一致で議決された。地方先行交付金は千五百八十万円で、その全額を子供医療費拡充と妊婦健診助成の拡充に充てたとのことであります。逗子市は高齢化率が三〇%と高く、その対策として出産、育児への支援が必要と判断したとのことでありました。財源については一層の努力が必要となりますが、子供の医療費助成の拡充や妊婦健診助成の拡充は来年度以降も継続していくというふうに伺いました。
次いで、青森市です。
もともと市長は、中学校修了までの子供医療費無料化を公約に掲げてまいりました。三月に入って、今回の地方創生先行型交付金が子供医療費に充てることができるということがわかり、市民の方々からの強い要望もあって拡充に踏み切ったとのことであります。交付金は単年度だけれども、今後も、市財政のやりくりによって、拡充した子供医療費助成を維持していくように工夫したいということでありました。
交付金が子供医療拡充への流れとなって、そして自治体の背中を押した、私は、非常にいいことだというふうに捉えております。
一昨日、我が党の高橋千鶴子議員の本会議質問で厚生労働大臣から答弁がありましたように、通院医療費の助成では、十五歳まで実施する市町村が千五百三十八自治体、それ以上の年齢で実施している市町村が二百四と、大きく広がっています。
子供医療費助成制度は、子供の健康と健やかな育成を図り、誰もが安心して子供を育てられる社会をつくるという重要な意義があります。同時に、深刻化する少子化対策、人口減少対策の中で、最もベーシックな施策であると言えます。
そこで、高市大臣にお伺いします。
住民の願いを受けて、その願いに応えての子供医療費助成制度の自治体の広がりについて、また自治体の努力についてどういうふうに受けとめておられるでしょうか。


○高市国務大臣
現在、全ての市町村が、医療保険制度において、子供の医療費に係る自己負担を軽減するための独自の補助を実施してくださっているところでございます。
この医療費助成につきましては、子ども・子育て支援策の重要性に鑑み、各地方団体が、さまざまな御努力の上で、地域の実情を踏まえて実施しているものと理解をしています。


○田村(貴)委員
わかりました。
では、厚労省はいかがでしょうか。


○木下政府参考人
ただいま御指摘の地方創生先行型交付金につきましては、御案内のとおり、移住対策ですとか観光振興ですとか少子化対策、いろいろな、多岐にわたる分野について、地域の実情に応じて事業を行うことが可能でございます。
少子化対策につきましても、結婚、妊娠、出産、子育て支援など、各自治体が地域の実情を踏まえて活用するものと承知をしております。
御指摘の、先行型交付金を活用した自治体が子供の医療費助成を行っていることにつきましても、各自治体が地域の実情を踏まえて独自に判断されているものと考えてございます。


○田村(貴)委員
済みません、今は先行型については伺っていないんですけれども、先に答弁があっちゃったので。
子供医療費助成制度、全般的に、都道府県では全ての自治体がやっている、そして年齢制限も引き上げて拡充を図っていることについては、全体としてどういうふうに受けとめておられるでしょうか。


○木下政府参考人
ただいま御答弁申し上げましたとおり、各自治体が、この交付金をも活用した自治体の事業として判断をされたものだというふうに私どもは理解しております。


○田村(貴)委員
そこでお伺いしたいのは、自治体が行う子供医療費助成制度において、国によるいわゆるペナルティー問題であります。
現物給付を行って窓口負担を減らすなどの助成措置を行うと、国は、国民健康保険の国庫負担金と普通調整交付金を減額する措置をとっています。今国会でもたびたび取り上げられてまいりました。もう超党派の意見となっています。私も、さきの地方創生特別委員会でこのことを取り上げましたけれども、改めて質問します。
今回、地方創生先行型の交付金を活用して子供医療費の助成制度を自治体が行った場合も、国庫負担金の減額措置となるんでしょうか。


○武田政府参考人
ただいま御質問いただきました、国保の国庫負担金に係る減額調整措置についてでございます。
乳幼児などに対する地方単独の医療費助成により窓口負担が軽減される場合につきましては、一般的に医療費が増加するため、国保において、国庫負担の公平な配分という観点から、増加した医療費分の国庫負担につきまして減額調整をしているところでございます。
現行法令上、この減額調整措置につきましては、国の負担金または補助金の交付を受けないで地方自治体が実施する医療の窓口負担の軽減のための事業について実施することとされております。
今回のこの地方創生先行型交付金を活用して子供の医療の窓口負担を軽減した場合の対応につきましては、今後、具体的な実施状況などをよく伺いつつ、減額調整の制度趣旨を踏まえて検討する必要があると考えております。


○田村(貴)委員
ここで大事なのは、厚労省の省令であります。
国民健康保険の事務費負担金、調整交付金の算定に関する省令では、国の負担金または補助金の交付を受けない場合は調整の対象となっている。換言すれば、国の負担金、補助金を活用して医療費を助成する場合は調整の対象とならないことなんです。ですから、ここは交付金を活用して自治体がしっかりやっているわけだから、これには調整をかけませんよと省令をしっかりと周知すること、これを自治体に対して伝える、知らせるべきだと思います。そして、この省令に基づいて、調整の対象としないということを自治体にきっぱりと伝えることが大事であると思いますけれども、いかがですか。


○武田政府参考人
お答えをいたします。
ただいまお答えいたしましたとおり、この地方創生先行型交付金を活用して子供の医療の窓口負担を軽減した場合の対応につきましては、今後、具体的な実施状況等をよく伺いつつ、減額調整の制度趣旨を踏まえて検討する必要があると考えておりますので、現行の省令の周知につきましては、その上で検討させていただきたいと考えております。


○田村(貴)委員
その周知については、いつごろまでにするお考えなんでしょうか。これは急がないとだめです。


○武田政府参考人
ただいま申し上げましたとおり、各自治体の具体的な実施状況をよく伺っていかなければならないと考えておりますが、現在、関係自治体の実施状況の把握に着手したところでございますので、早期に対応できるように努めてまいりたいと思います。


○田村(貴)委員 
ペナルティー、そもそも論なんですけれども、従来は、無料化を実施している自治体と実施していないところがあって、国庫の公平な配分との理由で減額されてきました。しかし、先ほど大臣も答弁ありましたように、都道府県段階では全ての自治体が取り組んでいる。就学前の子供に対する医療費助成は、ほとんどの自治体で行われています。ですから、この分を仮に国が行ったとしても新たな波及増はない、これも厚生労働省、もう幾つかの委員会で答弁されていますよね。
だったら、この国保の減額調整というのはすべきではない、してはならないと思いますけれども、いかがですか。


○武田政府参考人
お答えいたします。
最初に申し上げましたとおり、この国庫負担の減額調整の趣旨が、限られた財源の公平な配分の観点ということでございます。また、医療費につきましては、自己負担の軽減により、一般的に医療費が増加するというふうに認められております。
そういった観点から、この調整措置については必要な措置ではないかというふうに考えております。


○田村(貴)委員
最後に、大臣にお伺いします。
今議論してきましたように、地方が子供医療費助成制度をすれば国保の減額をする、しかし乳幼児まではもう地域差がなく、医療費が増大する波及増という理由もなくなってまいりました。一方で、国費を使って医療費助成を行えば減額はしないと省令で定められています。同じ子供医療費助成制度なのに、私はおかしいと思います。制度の矛盾をお感じになりませんか。
地方創生で少子化対策に交付金の活用を奨励する一方で、自治体の努力分については国庫を減らす、こうしたペナルティーはもう行うべきではない。安倍内閣として、この問題に向き合っていただきたいと思います。取り組んでいただきたいと思います。いかがでしょうか。


○桝屋委員長
時間が参っております。高市総務大臣、簡略にお答えを願います。


○高市国務大臣
地方団体から、国民健康保険に係る国庫負担金の減額措置を見直すべきという御意見をいただいておりますので、厚生労働省におきましては、引き続き御議論されると思いますけれども、地方の意見をよく踏まえながら検討していただきたいと思っております。


○田村(貴)委員
終わります。