190-衆-総務委員会 子ども・障害者医療費助成自治体に国は減額措置するな・学校事業予算少ない 衆院総務委 田村貴昭氏が批判

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 最初に、自治体の子どもの医療費助成制度とペナルティー問題について質問をします。
この件については、さきの国会でもたびたび取り上げてまいりました。全国四十七都道府県を初め、多くの自治体が医療費助成制度を実施し、全国市長会はナショナルミニマムとして国が全国一律の無料化を行うべきだと要求していることについても指摘をしました。だからこそ、国民健康保険の国庫負担減額、いわゆるペナルティーについては行わないこと、そして、国の交付金を活用した分については、国民健康保険の事務費負担金等の交付額等の算定に関する省令に基づいて、減額してはならないと私は主張してまいりました。
 そこで、伺います。
 地域活性化交付金を活用して子ども医療費助成制度を行った自治体数、それから事業額について説明してください。


○末宗政府参考人 地方創生先行型交付金の基礎交付分のうち、子ども医療費助成につきましては、交付決定ベースで申し上げますと、七十四の市町村におきまして、合計十三億円となっております。


○田村(貴)委員 厚生労働省は、昨年の十二月十五日、地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金を活用した地方単独事業による医療費助成の取り扱いについてと題する通知を地方自治体に発しました。これについても簡単に説明をしてください。


○谷内政府参考人 お答えいたします。

 ただいま議員御指摘の通知でございますけれども、地方単独の医療費助成につきまして、地方創生先行型交付金の交付を受けまして、年齢要件や所得要件を緩和するなど対象者の拡大を行った場合等につきまして明らかにしたものでございまして、その通知では、その拡大分については減額調整措置の対象にしない旨をお示ししているところでございます。


○田村(貴)委員 要するに、地域活性化交付金を使って新規で助成をする場合、あるいは上乗せで拡充する場合はペナルティーはかけない、調整はしないということでよろしいんでしょうか。


○谷内政府参考人 お答えいたします。

 ただいま議員御指摘になりました、地方創生先行型交付金の交付を受けまして、新たに乳幼児等に対しまして地方単独の医療費助成を行った場合には、その事業の範囲内については減額調整の措置の対象にならないということでございますし、また、市町村が既に行っております医療費助成の年齢要件や所得要件を緩和するなど対象者の拡大を行った場合には、その拡大分につきまして減額調整措置の対象にはしないという扱いでございます。


○田村(貴)委員 もう一つ。

 従来の助成措置の財源をそのままこの交付金に置きかえて実施した場合も、調整は適用外ということでしょうか。


○谷内政府参考人 お答えいたします。

 地方創生先行型交付金につきましては、基本的には新規事業に充当されるものだというふうに聞いておりますけれども、議員御指摘のように、仮に市町村が既に実施していた子どもの医療費助成事業につきまして、地方創生先行型交付金の交付を受けまして実施した場合には、その事業の範囲内につきましては減額調整措置の対象にはならない扱いになります。


○田村(貴)委員 医療費助成制度は、子ども医療以外に、障害者医療、あるいは一人親世帯医療、いろいろあると思うんですけれども、もし自治体がこれらの助成制度を活用した場合、考え方は同じということでよろしいんでしょうか。国費を充てたということでは調整はしないということでよろしいんでしょうか。


○谷内政府参考人 お答えいたします。

 ただいま議員御指摘になりました、子ども以外にも、例えば重度心身障害者や一人親世帯などにつきまして、この交付金の交付を受けまして新たに地方単独の医療費助成を行った場合につきましても、その事業の範囲につきましては減額調整措置の対象にはならない扱いになります。


○田村(貴)委員 確認できました。

 医療費助成制度について、国がなぜ調整したりペナルティーをかけてくるのかといえば、それは、医療費の負担増が起こり、ほかの自治体との間に不均衡を生むという理由でありました。では、国費を充てた場合に、不均衡を生んだり、あるいは波及増が起こらないということなんですか。違いますよね。一緒じゃないですか。だから、これは論理の矛盾なんです。自治体の独自分についてはペナルティーをかける、国費分については調整の対象外、これはおかしいと思います。
 子ども医療のあり方については、今政府内で検討されているということでありますけれども、この際、子ども医療、障害者医療初め自治体の医療費助成に対しては国庫負担の減額措置をとらないことを強く要求するものであります。

 

 次に、地方交付税の一部改正案に関連して、二点尋ねたいと思います。
 一つは、公立学校の施設整備費についてであります。
 学校の耐震化、老朽化、エアコンの設置、トイレの改修などについて欠かせぬ国庫補助事業が公立学校施設整備費であります。
 私は、福岡県のある自治体関係者から、市長がエアコンの設置を決めたんだけれども、国に学校施設環境改善交付金の申請をしたら認められずに設置ができないという悩ましいお話を伺いました。文部科学省の担当に伺いますと、財源が確保されずに自治体の要望に応えられない、二〇一四年度ぐらいからとりわけ厳しくなっているとのことでありました。
 どのぐらい採択されていないのか。昨年九月二日、衆議院文部科学委員会で、我が党の大平喜信議員の質問に対して文部科学省は、未採択となった事業件数は今年度、二〇一五年度で二千件、二千事業ある、その中で、エアコンが千二百、トイレが七百、調理場整備が八十であると答弁をされています。これはすごい数であります。学校と自治体は今大変困っているという状況であります。
  お手元配付の資料は、公立学校施設整備費の予算額の推移であります。予算額全体に占める当初予算の割合は、この二十年間で三分の一までに削減されています。それは、義務的経費を除く裁量的経費が年度ごとに減らされてきているからであります。そして、その不足分を補正予算で措置するというやり方が常態化しています。

(委員会配布資料はコチラ)

  ここ十年間は、グラフのとおり、学校耐震化が進み、二〇一五年度までに学校耐震化を基本的にやり上げるということで、復興特別会計からも、この赤のグラフです、予算に充てられてきました。それでも、概算要求費では、資料の二枚目に記していますように、二〇一四年度、平成二十六年度で約六割、それから二〇一五年度、平成二十七年度では約七割にすぎないという状況です。そして、来年度では三割にすぎないという状況にあります。
 そして、来年度は復興特会による耐震化事業への予算措置は廃止されます。七百九億円の当初予算政府案に二〇一五年度の補正額三百八十八億円を足したとしても一千九十七億円、これは資料の二枚目、平成二十八年度の(b)というところに書いてありますけれども、概算要求の二千八十九億円の約半分しかない。それしか確保されていないということであります。
 文部科学省にお尋ねします。
 学校の耐震化は全国的にまだ残されています。それから、校舎の補修など施設整備は子どもたちが学校生活を送る上で欠くことのできないものであります。この状況は危機的状況と考えますけれども、いかがですか。学校、自治体の要求に応えていないこの状況をこれからどうやって打開されていくのか、教えていただきたいと思います。


○堂故大臣政務官 お答えします。

 学校施設は、子どもたちの学習、生活の場であるとともに、災害時には地域住民の避難所にもなる施設であり、また、地域コミュニティーの拠点ともなる極めて重要な施設であります。
 御指摘の公立小中学校の耐震化については、平成二十七年度当初予算の執行後、約九八%まで進捗する予定であり、おおむね完了する見込みであります。対策未了の施設についても、今後適切に対応してまいりたいと思います。
 引き続き、大変厳しい財政状況ではありますが、耐震化や空調設置など、公立学校の施設整備にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
 以上です。


○田村(貴)委員 しっかり取り組むためには、必要な予算が確保されなければならないんですよね。それはしっかりと財務省に要求してもらわなければいけないんです。

 下村前文科大臣は、昨年の文科委員会でこう答弁されています。地方公共団体の要望を踏まえ、二千八十九億円を要求したところであり、この要求額を確保できるようしっかり取り組んでいきたい。つまり、自治体が必要と判断した事業の積み上げ額が二千八十九億円ということなんです。これに対して、当初予算額は政府予算案七百九億円で、遠く及ばないんですよ。
財務省にお伺いしたいと思います。
 なぜ当初予算で必要額を計上しないんですか。自治体の要望に応えていない現状をどう考えているんですか。子どもたちの学びやにおいて緊急かつ重要な要望がかなえられていない、この現状をどう考えるのか、御所見を聞かせていただきたいと思います。


○大岡大臣政務官 田村先生にお答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、学校施設は、子どもたちの学習とそれから生活の場であるとともに、災害時には多くの避難の方々の避難場所になりますことから、安全性の確保は極めて重要だというふうに思っております。
 先ほど堂故政務官から御答弁ありましたとおり、公立学校の耐震化を進めてきておりまして、今年度終了時点では耐震化率は九八%に至る見込みとなっております。
 あわせて、現在御審議いただいております平成二十七年度補正予算におきましては、校舎だとかつり天井と言われる非構造部材、こちらの耐震化、それから災害対策用のトイレということで、三百八十八億円の予算をお願いしているところでございます。
 こうした中で、平成二十八年度予算でございますが、限られた財源の中で、子どもたちの安全に関することでございますのでできる限りの予算措置をしたところでございまして、先生からお示しいただいた資料をおかりして御説明をさせていただきますと、二十七年度当初六百四十五億円から二十八年度は七百九億円でお願いをしておりますし、また、補正予算も含めましても、二十六年度補正プラス二十七年度当初と、今回お願いしております二十七年度補正プラス二十八年度当初で比べましても、いずれも増額でお願いをしております。
 全体のパイが少なく見えておりますことにつきましては、これは先ほど先生からも御指摘のありました復興特会の全国防災事業が期限切れを迎えたことに伴う減額でございまして、この点につきましては御理解をいただきたいと思います。
 いずれにしましても、今後とも、子どもたちの安全、安心のためにも、限られた財源の中でできる限りの対応を、また地方自治体とも協議を進めながら進めてまいることとしたいと思っております。
 よろしくお願いいたします。


○田村(貴)委員 耐震化事業は収束の方向にあるんですけれども、やはり新しく予算化していくものもふえてくるわけです。

 例えば、学校のエアコン、冷房です。普通教室で既に三〇%を超える状況にあります。私は九州ですけれども、九州市議会議長会は、気候の高温化は、特に空調施設のない学校施設で教育を受ける子供たちにとって、その学習環境を非常に厳しく過酷なものにしていると思われるとし、国に対して補助事業の充実等を求めているわけであります。
 自治体、学校からの希望額の積み上げの半分しかない。ここはしっかりと受けとめていただいて、当初予算でちゃんと措置していく、こういう方向に切りかえていただきたいと思います。
 次の質問に移ります。
 社会福祉施設等施設整備費について質問します。
 障害者それから障害児の施設設置に国が二分の一の補助をする、この社会福祉施設整備費について、これは欠くことのできない制度であります。しかし、この整備費の予算計上のあり方も大変おかしなやり方です。当初予算で上げずに、大半を当該年度の補正で行う異常なものとなっています。
例えば、二〇一五年度は、当初予算が二十五億六千百万円に対して、補正、今出ていますけれども、六十億四千百万円であります。なかなか補助申請しても認めてもらえないという声を九州の自治体関係者からも福祉の関係者からも聞きました。
 なぜこのような予算の計上をするんでしょうか。自治体、事業者の年度計画に合わせて予算を年度当初からつけるように転換すべきではないかと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。


○藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 障害を有する方が地域で安心して生活を送れるよう、グループホームなどの居住の場、あるいは日中活動の場を確保することは、私どもといたしましても大変重要な施策であると考えております。
 先生御指摘の社会福祉施設等施設整備費補助金につきましては、障害福祉計画等に基づきまして各自治体が円滑に居住の場や日中活動の場等の整備を進められるように、できる限りの必要額を私ども当初予算で計上する一方で、補正予算におきましては、緊急的な対応が必要と判断するものを中心に、やはりできる限りの計上をしているところでございます。
 国の財政状況が厳しい中で、私どもといたしましては、それぞれに必要な予算の確保につきましてできる限り努力をしてございまして、平成二十八年度の当初予算案におきましては、対前年度で四十四億円増の七十億円を計上したところでございます。
 私どもといたしましては、今後とも必要な予算の確保ができるように、引き続き努めてまいりたいと思います。


○田村(貴)委員 高市大臣、学校や社会福祉施設にやはり必要なお金が計上されていない、そして、これは国の歳出削減に地方自治体がまた追随しているというような中で、いろいろな要求が起こっています。議論をさせていただいたんですけれども、地方の一般財源を厳しく抑え込むやり方、これはやはりやめるべきじゃないかと思いますけれども、御所見を聞かせていただきたいと思います。


○高市国務大臣 先ほどからの御議論を伺っておりましたけれども、やはり施設整備に真に必要な経費につきましては、これは、地方が計画的に事業を進めていただくためにも、本来でしたら当初予算に計上されるべきだと感じました。ただ、さまざまな予算調整の中で、そしてまた緊急を要する整備事業もあり、補正予算で対応しているものもあると思います。

 しかしながら、地方団体で真に必要な施設整備の経費につきましては、可能な限り地方の意見をしっかりと聞きながら、適切に必要額が措置されるべきだと考えます。


○田村(貴)委員 終わります。