190-衆-総務委員会 被災地の自治体職員 メンタルヘルス対策継続 田村貴昭議員に総務省が答弁・総務相は発言撤回を 田村貴昭氏「表現の自由への介入」

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 最初に、総務省が新年度から実施を予定しています被災団体に対するメンタルヘルス対策総合支援について伺います。
 東日本大震災の被災地において、復旧復興に携わる自治体職員が疲れて心の健康を害することが大きな問題となり、その対策の充実強化を昨年本委員会で私は取り上げてまいりました。
 メンタルヘルス対策は、地方公務員災害補償基金を実施主体にして、二〇一一年度、平成二十三年度から取り組まれてまいりましたが、二〇一五年度、平成二十七年度をもって終了しました。二〇一六年度以降の事業の継続と、そして充実を求めてきたところでございますが、新年度からは、メンタルヘルス対策を交付税措置により今後五年間にわたって行うことになりました。
 そこで伺います。新しく始まる制度の概要について、簡単で結構ですので御説明をいただきたいと思います。そしてまた、なぜ交付税措置をしたのか、このことについても説明をしていただきたいと思います。


 

○北崎政府参考人 お答えいたします。
 平成二十八年度以降につきまして、メンタルヘルス対策事業の実施主体を被災自治体などといたしまして、地域の実情に応じたきめ細やかなメンタルヘルス対策事業に要する経費に対しまして、震災復興特別交付税及び特別交付税による措置を講じることとしたところでございます。
 以上であります。


 

○田村(貴)委員 復旧復興に当たる職員は、膨大な業務量を抱え、そして、やったことのない仕事にいきなりつかざるを得ないときもあります。プロフェッショナルとして成果、結果を出さなくてはいけないときもあり、時としては心ない言葉も浴びせられることもあります。そして、いつ終わるかわからない閉塞感に悩まされ、職員はこうした複合的なストレスを抱えてまいります。
 大震災から五年がたとうとしているけれども、復興事業はまだまだこれからであります。被災地におけるこれまでの取り組みについて、メンタルヘルス対策について、参加団体、延べ参加人員について御報告をお願いします。


 

○北崎政府参考人 お答えいたします。
 東日本大震災に関連するメンタルヘルス総合対策事業という名前で、被災自治体からの要望や職員からのアンケート結果などを踏まえて、事業内容の充実を図りながら実施してきておるところでありまして、平成二十三年度では、参加団体数二十一団体、延べ参加人数千九十四人。同じく二十四年度では、百二団体、二万九千八百六十二人。二十五年度では、百二十一団体、八万六千五十二人。平成二十六年度では、百三十七団体、九万三千七百七十二人。平成二十七年度は、事業が完了をしておりませんけれども、参加予定団体数は百六十八団体、延べ参加予定人数は十一万九千人程度を予定しております。
 以上であります。


 

○田村(貴)委員 被災直後の一千人から始まって、直近では十一万九千人、年を追うごとにふえているわけであります。メンタルヘルス対策事業の周知が広がり、ストレスチェック、メンタルヘルスセミナー、心の回復事業など、事業も二〇一三年度からは三年間フルサポート、自治体に対する助成もふえてきたことがこの数字にあらわれていると思います。
 また同時に、仕事がふえて、展望の見えない業務などから、心の健康を害する職員もふえてきているのではないかなというふうに私は推察をいたします。
 そこで、自治体のメンタルヘルス対策支援に交付税が措置されます。それは、被災地に職員を送る、いわゆる派遣元の自治体についても同様であるんでしょうか。その交付税の充当割合は幾らになっているか、御説明いただきたいと思います。


 

○北崎政府参考人 お答えいたします。
現に被災地に派遣されております職員、それから被災地におきます団体の職員につきましては、引き続き復興特別交付税において措置をされるものでございます。また、被災自治体に派遣され、派遣元団体の職務に復帰した元応援職員に係りますメンタルヘルス対策に要する経費に対しては、特別交付税による措置を講ずることとしたところでございます。
 特別交付税による措置を講ずるに当たっては、従前から実質的に地方団体の負担なしで実施してきた実績を踏まえ、平成二十八年度の措置率についても、これまでと同様の措置で特別交付税措置を講じる予定としております。
 以上であります。


 

○田村(貴)委員 ということは、交付税の充当割合は十分の十ということでよろしいんでしょうか。確認です。


 

○北崎政府参考人 お答えいたします。
 さようでございまして、従来より実質的に地方団体の負担なしで実施してきているところでございます。
以上でございます。


 

○田村(貴)委員 対象者について伺います。
 メンタルヘルス対策事業を受けられる職員は、例えば、正規職員はもとより、非正規職員、臨時職員や、あるいはパートなどの職員も含まれるんでしょうか。


 

○北崎政府参考人 お答えいたします。
 平成二十八年度からの東日本大震災に関連するメンタルヘルス対策五カ年事業については、常勤職員のみならず、臨時、非常勤職員も対象となります。
以上であります。


 

○田村(貴)委員 確認させていただきました。
 それでは、今まで五年間、基金を原資にした、そして交付税措置によってなされてきたメンタルヘルス対策事業、そして、これからの総務省が実施を予定しているメンタルヘルス対策総合支援について、この五年間の取り組みの教訓、そして反省点、これを今後五年間に生かすべきところは一体どこにあるのか、こうしたことについてお伺いしたいと思います。


 

○北崎政府参考人 お答えいたします。
 発災から約五年が経過いたしまして、被災自治体の置かれております状況は各地域で異なってきております。現在、地方公務員災害補償基金が実施しております被災自治体等の職員に対するメンタルヘルス対策についても、各被災自治体よりさまざまな意見をいただいているところでございます。
具体的には、被災自治体からは、例えば、地方公務員災害補償基金が現在実施しております事業は、実施内容によっては被災自治体の実情や要望に柔軟に対応できないものがあったりしますこととか、あるいは、職員の健康状態を継続的に把握する観点から、自治体によってはメンタルヘルス対策は従前より地域の特定の医療機関やあるいは業者の方に継続して依頼をしている、したがって、この基金の実施する事業を現在活用していないとか、いろいろな御意見もいただいているところでございます。
 そこで、今回、被災自治体などが地域の実情に応じてみずからきめ細やかなメンタルヘルス対策を行い、これに要する経費に対して国が震災復興特別交付税及び特別交付税により措置するスキームとすることで、より効率的な支援となるものだと考えているところであります。
以上であります。


 

○田村(貴)委員 ぜひこの制度が、これまでの教訓と反省の上に立って、十分な成果が得られることを望んでおります。
それから、今後五年間で、メンタルヘルス対策の何が必要なのかということもぜひしっかりつかんでいただきたいというふうに思います。
自治体職員にとって、必要なメンタルヘルス対策を進めていくことは非常に大事であります。一方で、職員が心の健康を害することなく働く環境をつくっていくことも非常に重要であると思います。
 資料を二枚お配りしています。これは被災地三県における職員の充足状況を記したもので、1は県別、2は市町村別に記したものであります。ごらんになっていただくとおわかりだと思うんですけれども、三県ともに充足数に足りていないわけであります。

(委員会配布資料はコチラ)

 市町村別で見ますと、2ですけれども、三県の三十九市町村で、充足しているところはわずか十三自治体であります。昨年一月一日と比較すると、岩手県の充足率は九一・七%、それから福島県は九二・九%、これは昨年そういう数字であったので、この二県で下がったということにもなります。一層の支援、充実が求められるところであります。
 高市大臣にお伺いします。
 大臣は所信表明の中で、被災自治体が復旧復興事業に迅速かつ着実に取り組めるよう、職員派遣についてより一層の協力を要請するなど、被災自治体における人材確保を支援してまいりますとお述べになりました。
 送る側の派遣元の自治体も人手不足で今大変なことになっている、送り出せない事情がある。だからこそ、これまでの行政改革、人員削減計画というのが、ある意味復興の妨げになっているという面がこの数字からうかがえます。
 こうした状況をよくわきまえる必要があると思いますけれども、大規模災害、これはいつ起こるかわかりません。毎年のように大きな被災が起こってまいります。不測の事態に備えるためにも、全国の自治体職員、行政マン、マンパワー、これをしっかり確保していく必要があるんじゃないでしょうか。
 このマンパワーの確保のために、大臣、所信にありましたように、国としてどういう支援をされていこうとお考えになっているのか、お答えいただきたいと思います。


 

○高市国務大臣 地方公共団体の職員数につきましては、各団体で総職員数を抑制する中におきましても、例えば土木技師、建築技師の方々につきましては近年増加傾向にあります。行政需要の変化に対応した、めり張りのある人員配置が行われていると存じます。
 また、都道府県や政令市におかれましては、被災市町村への派遣職員を確保するために、条例定数の増加や任期つき職員の採用などもしていただいていて、増員を行っている団体もございます。
 被災自治体への人的支援でございますが、被災自治体の復興事業がこれから本格化することから、一月六日に私から全国の都道府県知事及び市区町村長に対しまして書簡を発出して、より一層の力強い御協力をお願いいたしました。
 総務省としても、一日も早い被災地の復興に向けて、これからも被災自治体の御要望を伺いながら人材確保に努めてまいります。
 また、被災自治体における派遣職員の受け入れ経費につきましては、平成二十八年度以降も震災復興特別交付税による措置を講じてまいります。必要な財政支援についても、引き続き取り組んでまいります。


 

○田村(貴)委員 やはり一番大事なのは、こういう業務とこういう仕事があるからこれだけの職員数が要ると被災自治体がそれぞれ要望数を要求している、それに応えられていないということをやはりシビアに見る必要があると思います。その妨げになっているのが、行政改革であったり、際限なき地方自治体職員の削減にあるんだったら、これはやはり見直していかなければならないというふうに思うわけであります。
 もう一つ、高市大臣にお伺いしたいというふうに思います。
 メンタルヘルス対策事業に、今年度、これは平成二十七年度ですけれども、百六十八団体、延べ十一万九千人の参加があったと先ほど答弁もいただきました。心の病にかかりながら、まだ発症の可能性がありながら、ストレスチェックさえ受けていない自治体の職員はまだおられるんじゃないかなというふうに私は思っております。
 先ほどは、五年間の教訓と反省の中に、自治体の要望、そうしたところにも応えられていないというお話もありましたけれども、被災地の自治体職員それから全国から派遣される職員の全てが、漏れなく制度の適用がしっかりと受けられることがやはり大事だというふうに思います。
 新しい制度のスタートに際して、大臣は制度の周知徹底をどのように図られていかれると考えておられますか。


 

○高市国務大臣 被災地では、今もなお、被災自治体の職員の方々、派遣職員の方々が、復旧復興事業に日々従事され、大変御苦労されておりますので、今田村委員が御指摘くださったとおり、メンタルヘルス対策というのは非常に重要だと認識をしております。
 今回、被災自治体等が実施するメンタルヘルス対策事業に要する経費に、まず、申し上げますけれども、震災復興特別交付税と特別交付税による措置を講じまして、その事業規模は五年間で総額十二・五億円程度、つまり、単年度当たり二・五億円と想定しておりますので、これまでと比較しますと二倍増の事業規模を予定しています。
 さらに、地方公務員災害補償基金等と連携して、新たに相談窓口を設け、メンタルヘルス対策の実施方法に関する相談対応ですとかノウハウの提供を行って、被災自治体の取り組みを総合的に支援することにしています。
 これらの事柄につきましても、被災自治体に対する周知に当たりましては、全国会議において説明しましたほか、これに加えて、被災三県に対しまして個別に説明をさせていただいております。本年一月、二月の合計で七日間にわたりまして説明会を行っております。


 

○田村(貴)委員 しっかり周知徹底を図っていただきたいと思います。
次の質問に移ります。
 放送法と報道の自由について、質問をします。
 放送法と高市大臣のこの間の一つのみの番組と電波停止発言、そして政府統一見解については、憲法の保障する表現の自由、そして放送番組編集の自由に介入するものだと批判が相次いでいます。与党内からも、慎重対応を求める声も出されています。
放送法第四条一項第二号の政治的公平性の適合性の判断については、これまで、一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断することとされてまいりました。
 しかし、大臣は、昨年五月十二日、参議院総務委員会で、補充的な説明とした上で、一つの番組のみでも、第四条の政治的公平性を確保されているとは認められない場合があるとしたのであります。さらに、類似の質問に答える中で、電波法に基づく電波停止も行い得ると答弁してきているのであります。
一つの番組ではなく放送事業者の番組全体と、一つの番組のみでもとでは、これは全く違うんですよね。大臣が幾ら抗弁されても、解釈の補充的説明などというものではなくて、これは一つの番組に対して政府が判断しようとするものであって、この解釈はやはり認められるものではありません。その撤回を私からも求めたいと思います。
 そこで、まず総務省に確認したいと思うんですけれども、補充的な説明にしても、一つの番組のみでも判断し得る旨の大臣答弁が今まで国会であったことがあるんでしょうか。


 

○今林政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘の補充的な説明がなされたのは、委員がお話しになった参議院の総務委員会、平成二十七年の五月十二日でございますが、そのときが初めてでございます。
 ただ、その御説明は、総務委員会においてそのような質問がなされたことから、総務大臣の方から御答弁を申し上げたものでございます。


 

○田村(貴)委員 これまでにないということであります。それから、政府の統一見解というのも明らかにされたこともありませんでした。
 二月八日の予算委員会で、高市大臣は、奥野総一郎議員の質問に対して、事情の変更はないとされたのであります。だったらなぜ、あえて一つの番組のみを持ち出されたのか。これは本当に私、疑問なんですよ。
 大臣が一つの番組のみと最初に言及されたのが、今申しましたように、昨年五月の参議院総務委員会での答弁でありました。質問者は、自民党の藤川政人議員であります。こう問うておられます。「最近の放送番組を見ておりますと、一番組だけであってもやはり極端に政治的公平性が遵守されていないものがあると考えますが、いかがでしょうか。」これに答えて、高市大臣が、一つの番組のみで判断し得るとしたわけなんですよね。
 では、高市大臣も、この質問者のように、極端に政治的公平性が遵守されていない番組があるという認識なんでしょうか。そういう認識があったから、一つの番組でもという判断に至ったんでしょうか。お答えいただきたいと思います。


 

○高市国務大臣 平成二十七年五月十二日、参議院総務委員会において私に対して質問がされたことから、放送法を所管する総務大臣として、一般論として回答をいたしました。そのとき、特に具体的に政治的に公平であることを遵守していない番組があるという認識があったから答弁をしたものではございません。


 

○田村(貴)委員 そういう認識はないとのことであります。
 しかし、大臣、政権与党の自民党はそういうふうに見ていないのであります。
 例えば、一昨年の衆議院選挙の直前、十一月二十日付で、自民党の筆頭副幹事長と報道局長名で在京テレビ局、キー局各社に対して、選挙期間中における報道の公平中立並びに公正の確保についてのお願いと題する要請文が渡されました。その中で、街角インタビュー、資料映像等で一方的な意見に偏る、あるいは特定の政治的立場が強調されることのないよう、公平中立、公正を期していただきたいというふうにあります。
 これが何を指しているのかというのは、もう皆さん御存じのように、安倍首相が生出演をされて街角インタビューの厳しい声が向けられた同年十一月十八日のTBSの報道番組、NEWS23であります。
 また、一昨年十一月二十四日放送のテレビ朝日、報道ステーションがアベノミクスの効果を批判したことに対して、放送法四条四号の規定に照らし、特殊な事情をいたずらに強調した編集及び解説は十分な意を尽くしているとは言えないとして、十一月二十六日に自民党の方から公平中立を求める文書が送られたわけであります。党として、個別の番組を放送法に照らして、事業者に要請をされています。
 では、高市大臣は、安倍首相が出演をされたTBSのNEWS23や、アベノミクスを扱った報道ステーションのあの番組のあり方自体に何か問題意識をお感じになったんですか。


 

○高市国務大臣 両方とも私は見ていないので、何の問題意識も持っておりませんでした。


 

○田村(貴)委員 問題意識はないとおっしゃるんです。だったらなぜ、これは重要なんですよ、あえて、一つの番組のみであってもと持ち出されてこられたのか。個別の番組に問題意識がないというのならば、従来の、一つの番組ではなく放送事業者の番組全体を見て判断すること、その解釈をそのままとり続けるのが私は自然ではないかなと思うわけなんです。問題があるという認識があるからこそ、一つの番組であっても電波停止と踏み込んだりすることになったんじゃないかなと思うわけです。これだけ私が尋ねても大臣がないと言われることが、本当に私はわからないわけなんです。
 大臣は、一つの番組でも電波停止の事例として、選挙の公平性に明らかに支障を及ぼす場合の例に加えて、国論を二分する政治課題で、一方の見解だけを支持する内容を相当の時間繰り返し放送する、こうした例も挙げておられます。
もう一つ、例えを出します。
 昨年九月十六日のTBS番組NEWS23のキャスターの安保法制に対する発言を捉えて意見広告を出した団体からの質問状に、高市大臣は大臣名で回答を寄せています。その回答文書の中でも、一つの番組のみでもという考え方が記されているわけであります。一つの番組に回答を求めた質問状に対して、政権与党の大臣が、一般論とはしながらも、一つの番組のみでもと呼応しているのは事実なんですよ。
 これはやはり重大なことだと私は思います。放送事業者への規制権限を持っている政権党がさきに述べたような注文をずっと放送事業者に続けていくとするならば、大臣がこうして呼応すれば、政権党の番組チェックが常態化されるのではないか、そういう危惧感を私は持ちます。それが、今、放送業界に対する事実上の圧力になっている、そういう御認識はありますか。


 

○高市国務大臣 まず、一つの番組でも電波停止を行うと私が言った、そういう御趣旨の発言がありましたが、そうではございません。
 私は、予算委員会におきまして、放送法百七十四条及び電波法第七十六条という実際にある法律の規定について、これを今後絶対適用しないかという問いを受けて、現実に法治国家で法律にある条文ですから、それを全く否定する、適用は未来永劫あり得ないというような答弁を反対に私がしましたら、法律を所管する大臣として、全くおかしなことになってしまいます。その適用の可能性がないように期待をしていますし、放送法は、放送事業者の自主的また自律的な御努力によって放送番組の編集をしておられる、それを尊重している法律でございますので、一つの番組のみで電波をとめる、つまり無線局の運用停止を行うということを私は申し上げておりません。
 また、自民党のさまざまな動きということでございますけれども、一昨年の十一月に、これは自民党だけではなくて、御党も含めまして、報道によるところでは、二つの野党からも公正な報道を求める要望書が出されたと承知をしております。ただ、これは党の行動でございますので、総務省として、これについてコメントをすることはございません。
 放送法の第百七十四条、電波法七十六条の運用というものについては、法律の規定に違反した放送が行われたことが明らかであることに加え、その放送が公益を害し、放送法の目的にも反し、これを将来に向けて阻止することが必要であり、かつ、同一の事業者が同様の事態を繰り返し、かつ、事態発生の原因から再発防止のための措置が十分でなく、放送事業者の自主規制に期待するのでは法律を遵守した放送が確保されないと認められるといった極めて限定的な状況のみに行うとすることなど、極めて慎重な配慮のもと運用すべきであると取り扱ってきていて、これも予算委員会で答弁をさせていただいたとおりでございます。


 

○田村(貴)委員 大臣、一つ確認したいのは、やはり、放送事業者への規制権限を持っている政権党における言動というのは、大きな影響を及ぼしかねません。それは野党とは全然違うと思います。
 時間がなくなってきたんですけれども。
 政府は、放送法四条を法規範性があるというふうにおっしゃっています。しかし、報道を保障する観点から、四条の四項目、政治的公平、事実を曲げない、意見の対立する問題はできるだけ多くの角度から論点を明らかにする等々、これはやはり放送局自身がみずから守るべき倫理的規定とするのが、これは憲法やメディア法の専門の方々の通説となっています。行き過ぎているかどうかは、視聴者やリスナーが、放送事業者みずからの努力の中で判断していくことだと思います。現職の総務大臣が、一つの番組のみでも電波停止はあり得る、そういうふうにとられてしまう、そういう発言がどれだけ大きな問題となっているか、そして、それが制作者に対してどれだけの萎縮作用を今及ぼしているか、このことに思いをはせていただきたいと思います。
 大臣の放送法解釈の変更、それに基づく政府統一見解の撤回を強く求めて、きょうの質問を終わります。