190-衆-地方創生特別委員会 バス運転 現場は悲鳴 労働時間の見直し要求 、小さな拠点、「地方消滅」批判、企業版ふるさと納税

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。きょう最後の質問者です。よろしくお願いします。
 最初に、バスの運転手さんが不足している問題について質問をします。
 日本を訪れる外国人旅行者の方が急増されています。そして、この間、地方創生の関連交付金に観光振興事業で手を挙げた自治体も少なくありません。そんな中で、観光バスを中心とした運転手の不足が新聞等々で報じられているところであります。
 まず最初に、国土交通省にお伺いします。バス運転手の数について、貸し切り、乗り合い合わせてでもいいですけれども、ここ十年間の推移は、増減についてはどのようになっているでしょうか。


○宮城政府参考人 お答えいたします。
 バスの運転者でございますが、これは、昭和五十一年ごろをピークといたしまして、それからずっと漸減傾向にございました。最近十年について見ますと、最近少し持ち直してございまして、平成十六年度、このときが十一万四千二百一人でございます。内訳を申しますと、乗り合いが七万二千三百三人、貸し切りが四万一千八百九十八人。その十年後、ある数字で一番新しい数字でございますが、平成二十五年度、二十六年の三月でございます、このときには、全部で十三万七百八十人、乗り合いが八万三千百九十九人、貸し切りが四万七千五百八十一人でございまして、この十年間だけをとりますと一五%の増、このようになってございます。
 以上でございます。
〔委員長退席、福井委員長代理着席〕


○田村(貴)委員 微増か横ばいかというようなところかもわかりません。
 九州運輸局が、昨年、事業所アンケートを行いました。そうしたら、六三%が運転手不足だというふうに答えておられます。また、運転手の半数が五十一歳以上で、三十歳以下はわずか三%だったという回答を得たというふうに伝えられています。
 テレビでも新聞でもあちこちでバスの運転手の不足が報じられているんですけれども、この運転者不足の原因はどこにあるというふうに考えておられますか。


○宮城政府参考人 お答えいたします。
 バス業界における運転者不足の原因といたしましては、一つは、この業界が全産業と比べて労働時間が長い、約一五%増しでございます。その一方で、年間所得が逆に全産業の平均の八五%、要するに低い水準にある、これが第一かと考えております。
 また、そもそも、バス運転手の担い手となります大型二種免許の保有者でございますが、これが平成十七年には約百十五万人でございました。これが、平成二十六年になりますと九十八万人まで減ってございます。このような基本的な数字の減少がございます。
 さらに、これに加えまして、今お話がありましたように、全国的な少子高齢化の進展によりまして働き盛りの方の人数も減っておる、このようなことが原因である、このように考えてございます。


○田村(貴)委員 いずれにしても、急増する需要に対して運転手さんが不足しているというのは大きな問題だというふうに思います。
 資料をお配りしています。資料①は、バス運転手の離職率を書いたものです。国土交通省の資料をもとにして作成をいたしました。一年目で二九%であります。四年目になると四八%の離職率になっています。志望者が減っているというだけでなく、多くの人が働き続けられないというような状況になっているわけであります。
 一方で、外国人観光客の増加などで需要はふえているため、そのしわ寄せというのが現職の運転手さんに及んでいるわけです。
 三月七日の毎日新聞の記事にこういうのがありました。「バス業界 特需の九州は運転手不足深刻」と題して、実態を伝えています。
 人手不足で、急遽、単身赴任を命じられた、右も左もわからない土地で正直不安、OBや七十過ぎの人が運転することもある、休みの日に呼び出されることも、悲鳴が上がっているというふうに報じられているわけであります。
 そこでまたお伺いしますけれども、バス運転者一人当たりの年間労働時間について教えていただけますか。平成二十六年、二〇一四年時点では何時間ですか。また、全産業平均と比べてはどうなっていますか。


○宮城政府参考人 お答え申し上げます。
 平成二十六年の平均労働時間でございますが、全産業労働者、これは二千百七十二時間でございました。これに対しまして、バス運転者は二千四百九十六時間となっており、これを比べますと一五%増ということになってございます。
〔福井委員長代理退席、委員長着席〕


○田村(貴)委員 これも資料をお配りしています。 資料の②であります。バス運転者一人当たりの年間労働時間。もう一目瞭然であります。一人当たりの年間労働時間が二千四百九十六時間。全産業平均が二千百七十二時間でありますので、バス運転者の方が年間三百二十四時間長いということです。ほかの労働者より、単純に見て一日に一時間程度多く働いているというような状況であります。
 この対策についてお伺いしたいと思います。
 バス運転者の高齢化それから人手不足、このことによる国の方の対応策については、どのようにお考えになっておられますか。


○宮城政府参考人 バス運転者の高齢化と人手不足に対する対策について、お答えいたします。
 まず、バス運転者をふやすためには、何よりもまず、事業者の収益構造を改善いたしまして、運転者の方々が受け取るお金、賃金、これを上げること、それに加えまして、例えば泊まりがけの仕事だとかこういったものを減らす、仕事の魅力を高める、このようなことが大事というふうに考えてございます。
 ちなみに、貸し切りバスにつきましては、平成二十六年の四月から、安全コストを反映した新運賃・料金制度を導入しております。また、今回、軽井沢のスキーバスの事故を踏まえまして、対策検討委員会におきまして、さらにその検討を踏まえて、今後、届け出運賃とか料金の遵守の徹底を図ってまいりたい、このようなことで、事業者の収益構造を改善し、かつ運転者の方々の収入をふやす、このようなことを考えてございます。
 さらに今年度は、今ございました女性や若年層のバス業界への新規就労あるいは定着につきまして、先進的な取り組み事例の調査でありますとかモデル事業を実施してございまして、このような取り組みを通じましてバス運転者の不足の解消に努めてまいりたい、このように考えてございます。


○田村(貴)委員 人手不足のそもそもの原因というのは、規制緩和にあったわけです。一九九九年の規制緩和によって、バス事業参入がふえました。過当競争が起こりました。それで、私のいる九州では、二〇〇〇年から二〇一五年でバス事業者は倍化、四百六十九事業所までふえたわけであります。そして、低賃金、非正規化が進んで、労働環境が大きく悪化したというのが経過であります。
 このまま抜本的な改善が進まないままに、やれ観光立国だと、バスの需要をふやすことだけをやっていては、現場はますます、過重労働、そして離職、さらに過重労働の悪循環に陥ってしまいます。
 それは何を指しているかといいますと、国民の安全、乗客の安全が脅かされることにつながってまいります。せんだってのバスの事故は、その最たる例であります。低賃金と長時間労働、この最悪の労働条件、労働環境を改善することが今一番求められているというふうに考えます。
 そこで、厚生労働省の方にお伺いします。
 現行の大臣告示、自動車運転者の労働時間等の改善のための基準、いわゆる改善基準を守っても、かなりの長時間労働になります。これは我が党議員団がかねてから指摘してきましたけれども、十三日連続で勤務することも可能であるという基準なんですね。私は、労働条件の改善のために、やはり長時間労働のさらなる規制を行う必要があると思います。
 例えば十一時間のインターバル規制など、改善の必要性について、厚労省、いかがお考えになっておられますか。


○大西政府参考人 改善基準告示に関する御質問をいただきました。
 改善基準告示につきましては、委員御指摘のとおり、全ての産業に適用されている労働基準法に加えまして、拘束時間の制限、あるいは休息時間の確保等の規制のあり方につきまして、自動車運転者の乗務の特性を踏まえまして、関係労使に御議論いただき合意形成を図りながら定めた、そういう経緯がございます。
 この改善基準告示につきましては、労働基準法による一律の規制に上乗せ規制というものも課しているというものでございまして、これをより厳しく見直すことにつきましては、事業の運営にどのような影響を与えるかということも踏まえながら、関係労使の意見を伺いつつ、慎重に対応していく必要があるというぐあいに考えているところでございます。
 ただ、委員御指摘のように、過重労働の防止につきましては、私どもといたしましても大変重要なことと考えております。
この改善基準告示につきまして、関係労使団体を通じた周知啓発はもとより、労働基準法等の法令違反がないかどうかにつきましては、全国の労働基準監督署におきまして、バス事業者に対しまして的確に監督指導を行ってまいりたいというぐあいに考えているところでございます。
 今後とも、厚生労働省の労働基準監督署あるいは国土交通省とも緊密な連携を図りつつ、そうした法令の遵守の徹底に努めてまいりたいと考えております。


○田村(貴)委員 前に進めていただきたい、さらに規制を進めていただきたい、そして、バス運転者の過重労働を改善する、このために力を尽くしていただきたいというふうに思います。
 思い出すのは、やはりせんだっての長野県軽井沢町のバス転落事故でありました。大勢の若者が命を奪われました。亡くなったのは乗客だけでなく、運転手さんも亡くなったわけであります。あの運転手さんは六十五歳でありました。大型バスになれていませんでした。そして、深夜の運転経験も乏しかった。非常に過酷な労働状況の中でこの事故が起こったわけであります。
 人手不足の中で、無理してこうしてなれない仕事についているドライバーが全国各地におられます。そして、今この時間もハンドルを握っておられるわけであります。厚労省、急いで改善の仕事を進めていただきたいというふうに思います。
 やはり、先ほども言いましたように、バス運転手の、そもそもの原因は、規制緩和から始まったわけであります。過当競争を生じさせ、コストカット、そして人件費が削られてきた。寝る間も惜しんで働かざるを得ない、そして賃金を稼ぐ、そういう状況は一日も早く打破していかなければならないというふうに思います。
 この問題の最後に、石破大臣にお伺いします。
 政府は観光客をふやそうとしています。そして、地方創生推進交付金では日本版DMOを対象の一つともしているわけであります。観光をまさに足元で担っているのはバスであり、バスを運転しているのはバス運転手であります。安全をしっかり確保して、そして人手不足を解消する、改善を図っていかなければならないと私は思います。
 交通機関に一番求められるのは、何といっても安全性であります。それがなければ、外国から日本にやってくるお客さんも、そして行楽で旅をする国民にとっても安心できるものでもありませんし、観光そのものが成り立ってまいりません。
 観光については、内閣府、国土交通省、厚労省、そして観光庁、あるいは文部科学省、その他多くの省庁にまたがっていく分野であります。政府を挙げて労働条件の改善そして運転手不足の解消に向けて取り組んでいただきたいというふうに思いますけれども、大臣、所見をお伺いしたいと思います。


○石破国務大臣 委員の御指摘は、まことにそのとおりであります。全く異論はございません。何よりも安全が優先するのでありますし、外国から人を呼ぶ、あるいはシニアになられた方々にあちらこちらに行っていただいて幸せな老後を送っていただきたくても、事故が起こったら全てが吹っ飛ぶわけですから、それは安全が全てに優先するに決まっております。
 バスも、例えば、これは委員も御案内かと思いますが、東北でみちのりホールディングスというバス会社がございます。幾つかの系統のバスを運行しております。つまり、従来にはない経営形態で、ともすればバス会社というのは、貸し切りとまた乗り合いバスと違いますけれども、いろいろな新しい形態の、労働者の処遇というものをきちんと維持しながら、向上させながら、バス事業というものの収益性を上げているというモデルもございます。
 どんどんと過当競争を行い、労働者の処遇を悪化させてもうけるというようなものが世の中を幸せにするはずはないのであって、そういうような意味で、新しいバス会社のモデルというものも私どももよく研究をしながら、労働者の方々のそういう過酷な労働を除去するように、私どもとしては努めていかねばならないと考えております。


○田村(貴)委員 これから本格的な行楽シーズンを迎えます。春もやってまいりました。
 委員長も御存じだと思うんですけれども、私は、国会に来る前は、博多駅からバスに乗って通勤していた期間がありました。バスに乗ったらびっくりしたことがあるんですけれども、お客さんが日本語を話していないときが結構あるんですね。韓国語と中国語、特に福岡ですから、たくさん観光に訪れておられます。本当にたくさんの商品を買われて、町のにぎわいなんかもつくっているんです。
 そして、今からまさに観光シーズンが始まる。その楽しい時期にやはり悲劇が起こってはならないということで、このバスの運転者の確保そして育成、そのためには何といっても労働条件の改善が何よりも必要だということを強調させていただきたいというふうに思います。

 それでは、次の質問に入ります。次は、小さな拠点と交通ネットワークについてお尋ねしたいというふうに思います。
 まず最初に、交通ネットワークであります。
 地方版総合戦略の策定を踏まえて、地方創生の本格実施となってまいります。集落と小さな拠点を結ぶネットワーク対策というのは、どのような状況になっているでしょうか。
 昨年の五月十九日の地方創生特別委員会で、私はネットワークのことについて質問をしました。石破大臣は、交通ネットワークが重要だということで、次のように答弁をいただいたわけであります。小さな拠点への連絡というものがきちんとなければ、幾ら小さな拠点を整備しても何にもならぬというお話でございます、小さな拠点とともに、集落に住めるということも重視していかなければなりませんので、それをつなぐのは交通ネットワークである、かような認識であるというふうに答弁をいただいたところであります。
 国土交通省にお伺いをいたします。
 昨年私は、質問の中で、バス路線の廃止があって、その後、ディマンドバス等々の交通が非常に重要となってくる、その充実について質問をいたしました。そのときに、国交省の方からは、現状では全ての集落をネットワークでつなぐことを網羅できていない、そういう答弁でありました。
 一年たってまたお伺いするんですけれども、集落を結ぶネットワークというのは前進しているんでしょうか。今の実態について教えていただきたいと思います。調査は当然されていることと思いますけれども、いかがでしょうか。


○佐々木政府参考人 内閣府の方からお答えさせていただきます。
 中山間地域における生活交通の確保では、路線バスに加えまして、今先生おっしゃいましたように、コミュニティーバスとかディマンドタクシーとか、あるいは最近では、市町村やNPOが運営する公共交通空白地有償運送というものがございまして、それぞれの地域で、実態に合わせていろいろな試みがなされているというふうに承知しております。
 小さな拠点を制度化したのは昨年でございまして、かつ、先生先ほどおっしゃいましたように、毎年バス路線がどんどん減っているというような状況の中で、この一年でどのくらい前進したのかという検証はなかなか難しいのでございますけれども、例を挙げさせていただきますと、佐賀県伊万里市波多津町というところがございますけれども、そこでは、小さな拠点の形成に向けまして、地方創生の先行型交付金、上乗せ交付金を活用いたしまして、公共交通空白地有償運送として、住民主体で運行及び運営を行い、地域の実情に即した交通網を形成しよう、こういう事例が出てきているところでございます。
 一般的にも、公共交通空白地有償運送につきましては、毎年毎年車両数が増加しているという状況でございまして、交通手段の確保に向けた地域の取り組みが進んでいるとは思っております。しかし、公共交通の空白地域というのが今後ますますふえていくということも懸念されておりますので、小さな拠点づくりの一環といたしまして、交通ネットワークの確保に努める地方公共団体を関係省庁と連携して精いっぱい応援していきたいというふうに思っております。


○田村(貴)委員 ちょっとがっかりしました。
 やはり、交通ネットワーク、小さな拠点、集落を結ぶという計画があるにもかかわらず、現状について把握されていない。去年も伺って、ことしも伺って、この調査については難しいと。これでは次に進まないのではないかな、そもそもの議論がちょっとできないなというふうな思いもするんです。
 予算面についてはいかがでしょうか。こちらは国交省の方ですかね。国交省の地方創生関連予算の中にある地域公共交通確保維持改善事業、これの予算について、今、二十七年度、二十八年度、どういう状況になっているか、教えていただけますか。


○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
 地域公共交通確保維持改善事業でございますが、これは、多様な関係者の連携によりまして、乗り合いバスやディマンド交通などの地域内の生活交通のネットワークの確保、維持等に向けた取り組みを支援するものでございます。
 その予算額でございますが、平成二十七年度が約二百九十億円、平成二十八年度、これはまだ予算案の段階でございますが、約二百二十九億円となっております。これに加えまして、平成二十七年度の補正予算、これを約四十九億円いただいております。これと二十八年度の予算案を足しますと約二百七十八億円ということで、対前年度比〇・九六ぐらいの率となっております。
 以上でございます。


○田村(貴)委員 もうちょっとふやしてもらってもいいのではないかなと思うんですけれども。そのうち、中山間地を抱える自治体などが独自に運営しているディマンド型交通などへの補助金、フィーダー補助金については今どういう交付状況にありますか。教えていただけますか。


○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
 地域公共交通確保維持改善事業のうち、乗り合いバスやディマンド交通などの地域内の生活交通の運行に関する支援でございますが、これは二十六年度の交付実績ベースになりますけれども、約三十一億円となっております。


○田村(貴)委員 去年お伺いしたときも三十一億円で、その数字が変わっていないということなんですけれども、お伺いしたときは、事業者、事業団体、これはほとんど赤字だということでありました。これでネットワークが築いていけるんだろうかなというふうに思います。やはり全ての集落、ここを視野に入れて、そして小さな拠点と結んでいく、集落の方が日常生活に苦労しない、そうした面で、予算面でもやはり拡充すべきだというふうに思います。政府として、しっかりネットワークを結ぶことについて御努力いただきたいというふうに思います。
 それから、ディマンド型交通への支援について、前進点あるいは改善点はあるでしょうか。交付が、補助金の額が三十一億、それから予算についてはちょっと減ったという中で、例えば、ほとんどこれは人件費なんですよね。人件費なんだけれども、バス運営で人件費がほとんどを占めるんだけれども、人件費等々で活用できるような制度はあるのか、検討なんかはされているのかということについてもお伺いしたいと思います。


○蒲生政府参考人 お答え申し上げます。
 乗り合いバスやディマンド交通などに対しましての地域公共交通確保維持改善事業の改善策といたしまして、今年度、平成二十七年でございますが、地域公共交通活性化再生法に基づきましての地域公共交通ネットワーク、これを効率化するための再編計画等をつくるような取り組みに対しまして、定時定路線型からディマンド型へ運行形態を変更するような場合、そういった場合に必要になる小型の車両とか予約システムのような設備に関しましても補助対象にするなどの措置を講じております。
 来年度でございますが、これに加えまして、地域公共交通ネットワークの再編の取り組みをさらに支援する、そういう観点から、補助対象となります小型車両に関しまして範囲の拡大、例えばバン型に加えましてセダン型も加える、そういった面での措置も講じていくこととしております。
今後とも、地域の実情やニーズに応じまして、生活交通の確保に向けてしっかりと必要な措置を講じてまいりたいと思っております。
 よろしくお願い申し上げます。


○田村(貴)委員 大変苦労されて、おでかけ交通とかされているんですけれども、人件費を助成するような制度はございませんか。


○蒲生政府参考人 地域のディマンド交通等の生活の足に関します補助でございますが、それに関しましては、運行費の補助をしておりますので、そういった意味では、運行費に関しましては必然的には人件費も入っていくというふうに承知しております。


○田村(貴)委員 去年の質問でも、わざわざコンパクト・アンド・ネットワーク、こういうふうに位置づけているわけですね。コンパクト・アンド・ネットワーク。だったら、バス路線のディマンド交通の整備についてしっかりと取り組んでいただきたい。内閣府としても独自の取り組みが求められるのではないかなというふうに私はお尋ねしたところであります。
 せんだって、都内で、小さな拠点についてのフォーラムが開かれました。大臣御存じだと思います。小さな拠点形成にかかわりの深い有識者の方から、まずはネットワークで集落を結ぶことが絶対的な条件、そういうふうに強調されておられました。
 今ちょっとお話を進めてきたんですけれども、石破大臣、やはり、実態把握の面でも、それから予算額の面でも弱いんじゃないかな、制度改善の面でもおくれているんじゃないかな、率直に思いました。御認識を伺いたいと思います。


○石破国務大臣 小さな拠点というのを進めてまいる上において、ネットワークというのは極めて重要な役割を果たすと思っております。それがないと小さな拠点の意味がないので、小さな拠点をつくっても、集落へ行けなければどうにもなりません。そこにおいて、実態を把握するべく私どもとしても努めてまいります。
 あわせまして、これはディマンドバス、ディマンドタクシーのほかにも、あるいは自動走行、これはまだレベルを上げた実証実験中でございますが、自動走行のバス、自動車でありますとか、あるいはドローンでありますとか、いろいろな先端的な技術というのはむしろそういう過疎地、地方において活用の余地があるのではないかと思っております。
 委員が冒頭御指摘になりましたように、そこにおいて安全性が最大限確保されねばならないのは当然のことでございますが、実態把握とともに、ディマンド交通の普及とともに、あわせて、そういうような先駆的な技術というものも取り込んでまいりたいと思っております。


○田村(貴)委員 自動走行バスが出てくるとはちょっと思わなかったんですけれども、やはり山間地ですね。そして、人里離れたところの集落から町中に出ていく。小さな拠点で用足しに出かけていくといったときに、これは人と人との触れ合いが基本であるというふうに私は思っていますので、やはり、実態把握の面、予算額の面、制度改善の面、今三つお伺いしましたけれども、全く進んでいないし、納得できるものがないといったところで、大きな改善、そして制度の促進をお願いしたいというふうに思います。

 次に、小さな拠点の方について質問をいたします。
 総合戦略二〇一五改訂版においては、小さな拠点について全国で一千カ所、地域運営組織の形成が三千カ所、地方版総合戦略の集計をもとに五カ年の国の目標、KPIを定めました。一方で、国土交通省の国土のグランドデザイン二〇五〇では、集落六万五千戸に対して、小さな拠点は約五千カ所と示されているところであります。
 小さな拠点が千と五千という数字があるんですけれども、五千カ所をめどとする、この考え方は維持されていくんでしょうか。


○北本政府参考人 お答え申し上げます。
 平成二十六年七月に国土交通省が取りまとめました国土のグランドデザイン二〇五〇でお示しいたしました五千という小さな拠点の想定箇所数でございますけれども、これは、現在の全国の過疎地域におきます集落の数、市町村役場及び支所、出張所の数、過疎地域にある小学校の数などを勘案いたしまして、仮に現在の状態で小さな拠点を全国に設置すると想定した場合の数の規模感をお示ししたものでございまして、具体的な目標として設定したということではございません。
 したがいまして、昨年十二月に閣議決定されました、まち・ひと・しごと創生総合戦略二〇一五改訂版におきます目標数とは性格が異なるものというふうに認識してございます。


○田村(貴)委員 今、一千というのが決まっているんですけれども、五カ年計画でふやしていく、その最終地点が五千ということではないんですか。


○北本政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほどの千といいますのは、二〇二〇年までの目標というふうに認識してございますけれども、当然、それで終わるというものではないと認識しておりますけれども、五千が最終目標かということになりますと、私どもはそういう意図で五千という数字を算出したものではなく、あくまで数の規模感として大体どのぐらいかということをお示しするために五千という数字を出したということで御理解いただければと思います。


○田村(貴)委員 規模感ということですね。
 国土のグランドデザイン二〇五〇、二〇一四年七月、国土交通省の文書ですけれども、次のように書かれています。「中山間地域から大都市に至るまで、コンパクト+ネットワークにより新たな活力の集積を図り、それらが重層的に重なる国土を形成する」「まず、サービス機能の集約化・高度化を進め、交通及び情報ネットワークで住民と結ぶとともに、その後、一定の時間軸の中で、誘導策等により居住地の集約化を進める。」とされています。
 「一定の時間軸の中で、誘導策等により居住地の集約化を進める。」と書かれているわけです。読みようによっては、小さな拠点も集約化の対象となってしまうのではないかなと思うんですけれども、集約化してしまうんですか。


○北本政府参考人 お答え申し上げます。
 平成二十六年七月に国土交通省が取りまとめました国土のグランドデザイン二〇五〇におきます御指摘の記述でございますが、こちらの方は、国土構造、地域構造の全体的な方針でありますコンパクト・プラス・ネットワークの概念を説明した文章でございます。
 その後、平成二十七年八月、昨年の八月でございますが、閣議決定されました国土形成計画全国計画におきましては、居住地のあり方につきまして、都市地域と集落地域とに分けてきめ細かく記述しておるところでございます。その中では、集落地域におけるコンパクトとは、「防災上の必要性や地域における合意がある場合等は別として、居住機能の集約までを本来的な目的とするものではない。」と記載してございます。
 したがいまして、いわゆる集落地域におきましては、防災上の必要性や地域における合意がある場合等は別といたしまして、居住地の集約化を進めるべきという認識には立ってございません。


○田村(貴)委員 新しい文書が出た、その中ではちゃんと位置づけていると。
 そうすると、グランドデザイン二〇五〇の、誘導策等により居住地の集約を進めるというのは、非常に誤解を与えますよね。余りよくないと思います。六万五千の集落は維持して小さな拠点をつくっていく、そういうことに変わりはないですね、確認です。


○北本政府参考人 お答え申し上げます。
 まさにそのとおりでございます。


○田村(貴)委員 次に、内閣府地方創生推進室にお伺いをしたいと思います。
 小さな拠点づくりの手引というのがありまして、この中では、「住み慣れた地域で暮らし続けるために」というふうに記されています。集落を維持していくとかじゃないんですね。集落を維持するためになどのはっきりした表現がないわけなんですけれども、集落の維持は、小さな拠点の前提であると思います。
 集落の維持ということが前提になっているかという確認の質問なんですけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。


○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいまお話ありました、「住み慣れた地域で暮らし続けるために」という小さな拠点づくりの手引は、将来にわたり集落が維持するという前提のもとで、その集落で持続的に暮らし続けていくための取り組みを進めるための手引ということでつくらせていただいているものでございます。


○田村(貴)委員 石破大臣もよく御存じの、島根県の雲南市、山形県の川西町、小さな拠点の先進事例として紹介されています。学校もなくなった寂しい地域などを、小さな拠点をつくって、そして再生していこうという取り組みであります。住民や自治体の努力が始まっていることは非常に大事ではないかなというふうに思います。
 石破大臣は、三月一日の記者会見で次のように述べておられます。町村合併で合併されてしまった側の町村において、相当行政の能力が落ちている、そして、そこで急激な人口減少が進んでいるのは否めない事実であると述べて、地域運営組織の必要性を強調されました。
大臣が市町村合併の結果についてこのように述べたことについて、私は重要であると思いますし、それから注目させていただきました。大臣、平成の大合併がもたらした一つの教訓というふうに捉えていいんでしょうか。


○石破国務大臣 数字として事実ですので、そのように申し上げたところであります。
 ただ、何でもそうですけれども、物事には光と影がございまして、合併をしたからこそ得られたメリットというのも当然ございますが、私の選挙区を見ておりましても、合併されちゃった町村、ましてやそこの集落になると、相当に行政の光が当たりにくくなっているなというのはあります。それは、合併そのものがそうであったのか、合併に伴ういろいろな諸制度の運営がなお改善を要する点があるかといえば、それは私は後者ではないかというふうに思っております。
 先ほどの雲南市でもそうですし、あるいはそのほかの地域でもそうなのですが、市町村合併をもとへ戻すという話には全くなりませんものですから、そこにおいて、ミニ役場的なという言い方を使われる方もありましたが、どうやって集落の、いろいろな地域の方々に行政の光が当たるようにするかということは考えていかねばなりません。
 合併の教訓というのは、この合併そのものが、本当にしてよかったねというふうに思ってもらえるためにいかに知恵を出すかということで、そこのところがややフリーズをしておった場面があったのではないかと思います。


 

○田村(貴)委員 地域運営組織を探求するのであるならば、やはり、町村合併によって行政能力が低下し、大臣が言われる急激な人口減少に至った、そこのところは、やはり教訓、反省点としてしっかり分析することが必要ではないかなというふうに思います。
 私は、九州のいろいろな自治体を訪ねて、合併が大きく進んだ例えば大分県であるとか長崎県であるとか、市役所に行って担当者の方からお話を聞くんですけれども、総括があるところもあります。ただ、デメリット、メリットを含めて総括がない。吸収された町やあるいは島なんかはどうなっていたのか、人口がどういうふうに動いているのかということを聞いても、ぱっと返ってこないところも結構あります。
 私は、ちょっとお考えが違うかもわかりませんけれども、やはり、行政能力が低下した、人口減少を招いた、そして何とかしなければならない、またもとの姿に戻すことができないんだったら、何でこういうことになってしまったのかといったところの反省があるんだったら、ちゃんとそこは教訓として論議すべきだというふうに思うわけなんですけれども、いかがでしょうか。


○石破国務大臣 そのとおりです。
 私、自分の先見性をこんなところで申し上げるつもりもございませんが、麻生内閣で農林水産大臣をいたしておりましたときに、地域マネジメント法人というのがつくれないかということで、地域の実態を把握する、そして法案の条文を書くという作業を始めました。それは、私が先ほど申し上げた鳥取市の大合併の例がどうしても強烈に私の中にあったからでございます。
 そこにおいて、私は、JAというのが大きな役割が果たせるのではないかと思いました。それは、協同の理念というのは、一人は万人のために、万人は一人のために、そういう理念でございますので、合併になってしまったんだけれども、例えば、JAであるとか、ユニバーサルサービスを維持する郵便局でありますとか、あるいは土地改良でありますとか、社会福祉協議会でありますとか、そういう社会インフラがまだ残っているはずだと。そういうものをいかなる形で活用して地域マネジメント法人というものがつくれるかということを努力したのですが、時間と私の能力が足りなくて、具現化には至りませんでした。
 もう一度そういうものをやってみたいと思っておりまして、今有識者の方々にも御議論をいただいておりますが、それが、NPOがよろしいのか、あるいは株式会社がよろしいのか、合同会社がよろしいのか。どういう形で地域マネジメントの組織というものをつくることができるか、それに対してどういう財政支援ができるか。もちろん総務省あるいは国土交通省において随分議論されたことでありますが、地方創生の観点から、両省にも加わっていただいて議論をさらに詰めてまいりたい、そして結論を得てまいりたいと思っております。


○田村(貴)委員 先ほど大臣は、合併してよかったねというふうに言えるように、そこが大事じゃないかなと言われたんですけれども、合併していいことなかったねというのも結構ありますよね。それは、一つの役所、役場がなくなるということは、お金の域内循環、地域循環というのが一つなくなってしまうわけなんですね。そこで相当な商いがあった、人の出入りがあった、それがぱっとなくなったわけなんですからね。
 私は、地域の再生で、地域経済循環を絶対に破壊してはならない、それがやはり平成の大合併の一つの教訓、反省点ではないかなというふうに思っているわけであります。いろいろな先進事例が出てきましたので、地域運営組織は、視察もさせていただいて、また論議をさせていただきたいというふうに思います。

 次の質問に移りたいと思います。
 次は、いわゆる地方消滅論、増田レポートについて、大臣のお話をちょっとお伺いしたいなというふうに思います。
人口減少、少子化問題とのかかわりで、地方創生論のいわゆる議論のはしりとなった、地方消滅、増田レポートであります。増田氏の主張では、二〇一〇年から二〇四〇年にかけての、若年女性、二十歳から三十九歳の人口減少率が五割を超える八百九十六自治体が消滅可能性都市に当たり、さらに、二〇四〇年に人口一万人未満、推計の五百二十三自治体については消滅可能性が高いとしている、そういう主張であります。
 読んで私もショックを受けたんですけれども、人口一万人以下の自治体というのは、今でも五百はあるんですね。自治体の人口が一万人を切ればなぜ消滅可能性が高いとなるのか、これは甚だ私は疑問であります。
 最初に総務省の方にお伺いします。
 人口が減って、なくなった自治体というのはこれまであるんでしょうか。自治体が名前を返上する、自治体がなくなるというのはどういうときを指すんでしょうか。よろしいですか。


○宮地政府参考人 お答えを申し上げます。
 市町村の廃止を伴う廃置分合ということになろうかと思いますが、この市町村の廃止を伴う廃置分合につきましては、地方自治法の第七条にその手続の規定がございまして、関係市町村の議会の議決を経た上で行われました申請に基づいて、都道府県知事が当該都道府県の議会の議決を経て定めることとなっております。
 これまでの状況ということで、所管をしております地方自治法の施行後の状況についてお答えを申し上げますと、それぞれの廃置分合の理由につきましては種々あると思われるところでございますが、いわゆる他の市町村との合併であります編入やあるいは新設を伴わないで、市町村の廃止だけが行われたという例は承知をしていないところでございます。


○田村(貴)委員 地方においては、長く、人口減それから高齢化は続いてきたわけであります。しかし、人がいなくなったからといって消滅した自治体は、今御答弁あったように、ないわけであります。それを、固有の自治体名がつけられて、あなたのところは消滅可能性が高い、消滅してしまうのではないか、そう言われたら、やはりびっくりしてしまうものであります。
 政府はそうではないと思いますけれども、確認のために質問をさせていただきます。政府も、地方消滅の立場をとられるんでしょうか、地方消滅論の立場をとられてきているんでしょうか。これはちょっと大臣にお伺いしたいと思います。


○石破国務大臣 それは消滅可能性ということを増田先生はおっしゃっておられるのであって、それは言葉が、消滅という言葉がなかなかセンセーショナルというか刺激的というか、でも、問題はこういうことだと思うんです。
 百年先とか二百年先とか三百年先とか、そういうことは非常にイメージしにくいです。日本全体と言われてもイメージしにくいです。私は増田論文というのを最初に読んだ一人のつもりですが、あそこのユニークというか説得力のあるところは、日本にあるそれぞれの市町村、基礎自治体の二〇四〇年という、その当時の勘定からいえば二十六年後だったと思います、今からいえば二十四年後になりますが、二〇四〇年の二十代、三十代の若年女性の数はどうなりますかというところから論を起こしているところに、私は大きな説得力があると思っております。
 それから、委員も御案内のとおり、これから先の日本が迎える人口急減期というのは、恐らく人類が今まで経験したことのない規模とスピードで起こるのであって、今のままいくと、西暦二一〇〇年には日本の人口は半分以下になる。二百年後には十分の一になる。三百年後には日本人は三十分の一になる。この計算をずっと続けると、西暦二九〇〇年には日本人は四千人になり、西暦三〇〇〇には千になる。コンピューターにかければそう出てくるわけで、これはやはり消滅という言葉、国家消滅と言ってもいいです。そういうような事態なのではないだろうかと思います。
 増田先生が言いたかったのは、そういう世の中を驚かせて恐怖に陥れてということではなくて、こうならないためにどうするかということでございます。
 ですから、委員が多分よく御認識の島根県の邑南町というのがございますが、そこの町長さんがおっしゃるのは、一生懸命努力をした、そうすると移住者がふえ、高齢化比率は社人研の予測よりも低くなったということでございます。
 ですから、そうならないためにどうするかということを皆で考えるのであって、何も悲観論に立ったり、おどかしをしたりというようなつもりは政府はございません。
 しかしながら、基本的な考え方は、増田先生と少なくとも私は軌を一にするものでございます。


○田村(貴)委員 創成会議の悲観的な未来と対照的に、邑南町の人口減少への取り組みが邑南町からは報告されているというのも事実なんですよね。
 大臣もやはり、二十年後、三十年後、百年後、このままいけばといったところの話をされるんですけれども、悲壮感で悲観的な話ばかりでは解決しないというふうに思うわけであります。
 それと、増田レポートは一つの問題があります。なぜならば、二〇〇五年から二〇一〇年の国勢調査の人口動態、社人研の推計をもとにシミュレーションをしているということです。
 これはもうよく御存じだと思うんですけれども、いわゆるこの創生特委員会があるし、地方再生とかそういう議論がまだないときの数字であります。
それから、東日本大震災が起こる前のデータを使っています。この間も私、東京一極集中のときに大臣にグラフをお見せしたんですけれども、社人研の予測と東京都の予測と民間団体の予測は大きな差がある、それはとっている人口の幅が違うからだというお話をしました。ですから、推測するには少し古いデータを使っているということであります。
 また、東日本大震災、原発事故を受けて、国民の中に地元志向、田園回帰といった意識も出てきました。
加えて、今いみじくも大臣がおっしゃったように、島根県の中山間地や離島での人口定着あるいは出生率向上などの地道な努力、そして成果が得られているということもありました。
 こうした変化が捉えられていないといったところはやはり大きな問題ではあると思うんですけれども、軌を同じくするとおっしゃったけれども、大臣はいかがでしょうか。私はそう思うんですけれども。


○石破国務大臣 今委員の御指摘は、増田先生もよく認識をしておられるところであります。ですが、そういうところが、少しデータが古いとか、東日本大震災前のものであるということですが、そのことがあったとしても、増田論文の正当性は私はいささかも揺らぐものではないと思っております。
増田論文というものを見て、自治体によっては、もうこんなところにはいられないみたいな議論が沸騰したところもあるんでしょうけれども、そういうのはないとは私は言いませんが、しかし、自治体によっては、今御指摘の邑南町であるとか、あるいは海士町もそうでしょう、あるいは雲南市もそうなのでありましょう、あるいは、島根県に限らず、全国にそんなお話はいっぱいあります。逆にこれをばねとして、消滅してたまるか宣言みたいなことをやっているところもたくさんあるわけでございます。
要は、物事をきちんと冷静に見て、どのようにしておのれを鼓舞するか、そして行政はそれに対して、国の行政もどうやって支援をするかということであって、決して悲観論に立っておるわけではございません。


○田村(貴)委員 でも、大臣からはどうしても何か悲観論が聞こえてくるような感じがするんですよね、本会議でも百年後と言われたので。
 島根県の邑南町も、予測に反して、人口の社会増が三年連続達成していますよね。それから、宮崎県の西米良村というところ、九四年、当時の厚労省の人口予測で二〇一〇年に七百四十八人になるというふうにされていたんですけれども、二〇一三年に一千二百四十九人にふえて、維持されているということです。村民の幸福度を上げること、これが村づくりの結果だというふうに村長はおっしゃって、山をおりる人が減ったというふうに言われています。
 機械的に、血も涙もない人口シミュレーションを聞くよりも、こういう話を聞く方が、よし、やってみようじゃないかと自治体も前に進むのではないかなと思うわけです。
 私はやはり、自治体職員とか、そこに住む住民の方に諦め感が広がってしまうのが一番いけないというふうに思います。人口シミュレーションというのはコンピューターがはじきます。それは、ある意味ではかなり乱暴なアイテムではないかなというふうにも思います。
 少なくとも、消滅という言葉は使うべきではないし、消滅論の立場はとっていないと政府からは回答がありました。人口シミュレーションで自治体が焦ることがないように、重ねて要求させていただきたいというふうに思います。

 次の質問に移りたいと思います。
 何で人口が減ってくるのか、この要因をしっかりと分析する必要があると思います。社会的な要因の分析を持たずして、この問題は解決できません。その一つは、私は雇用問題であるというふうに思います。
 この間から東京圏の一極集中の問題を議論しているわけでありますけれども、仕事がある、そこでの給料が高いとなれば、人はおのずとそちらの方に流れてまいります。特に不況においてはそうであります。
 ここでは最低賃金の問題を取り上げたいというふうに思います。
 私がいます福岡県の最低賃金は、時給七百四十三円であります。福岡であっても、全国加重平均の七百九十八円よりも五十五円低いということです。ほかの九州の六県は六百九十三円か六百九十四円で、これは最低賃金の中でも一番最低のランクにあるわけであります。鳥取県も六百九十三円ではないかなというふうに思います。
 この認識について、大臣、いかがでしょうか。やはり賃金が高いところに行くと思うんです。この間、我が党の議員が予算委員会でも質問したんですけれども、橋を渡って隣の自治体に行ったら給料が高い、同じこちらのコンビニと向こうのコンビニで時給が違うんだったら向こうに行くと、わかりやすい話をしていました。
 例えば佐賀県の鳥栖市というところは福岡県と隣接しているんですけれども、行き来がしやすいですよね。そうすると、どうしてもやはり福岡に行って働いてみようじゃないかという意識が働いてくると思うんですけれども、この最低賃金と雇用、そして地方の問題を考えるときに、大臣はどういう御所見を持っておられるでしょうか。


○石破国務大臣 政府といたしましても最低賃金の引き上げは重要であると考えており、三年連続で合計五十円の引き上げを行ったところであります。政府として、最低賃金について、年率三%程度をめどとして引き上げ、これにより全国加重平均が千円になるということを目指しておるわけであります。
 ですから、これが全国加重平均でありますので、委員の御指摘は、多分、加重平均ではなくて、鳥取県だろうが鹿児島県だろうが山形県だろうが、とにかく千円だというお考えだと承知をいたしております。ただ、そうなった場合に、その地域地域のいろいろな状況が反映をされないのではないかという御批判もありまして、最低賃金額を全国一律とすることをKPIと思って取り組むべきではないという考え方もあるわけです。政府は、どちらかといえばそういう立場に立っております。というのが政府の立場であります。
 ですから、確かに、委員御指摘のように、川を渡ったらばそんなに状況も違わないのに最賃が違うのは変ではないか、そうしたら高い方に行くでしょう、そのとおりであります。
 では、鳥取県と東京、それから福岡県と鹿児島県、一緒でいいかというと、そこはやや違和感があるのではないだろうか。
 そこで、委員も聞いておられると思いますが、最低賃金千円なんかにしたら経営できなくなっちゃうよという中小企業の方々も大勢おられるわけです。そうであれば、いや、それでいいと、そこで雇用の流動性が起こり、より労働環境のいいところに人が移っていくからそれでいいのだという所見も世の中にはございます。
 私自身、そこはまだうまく整理をできていないところでございますが、とにもかくにも、現状として加重平均が千円になることを目指すというのが政府の立場でございます。


○田村(貴)委員 東京と地方と条件は違うという議論はあるんですよね。例えば東京におりますと、やはり公共交通機関が物すごく発達していますので、マイカーも乗らなくていい。しかし、地方に行きますと、必ず車は生活の必要手段になってくる。この維持経費なんかを考えたら、やはり東京はお金がかかるという言い方は一概には言えないのではないか。それから、家計消費、支出についても、あるいは大都市の方が低くて地方の方が高いというデータもあるわけなんです。
 大臣の方から言われたんですけれども、私たちはやはり全国一律の最低賃金を果たすべきだというふうに思いますし、それが中小企業にとって無理だというのは重々知っています。だからこそ政府の出番だ、行政の支援が必要ではないかなということであります。そのことは強く要求させていただきたいと思います。
 もう一つは、やはり正規化を図らなければいけないということであります。
 内閣府の結婚・家族形成に関する調査報告書、平成二十二年度を読ませていただきました。男性は収入が低いほど既婚率は低く、年収三百万円未満の三十代では九・三%、五百万円から六百万円の三五・三%の約四分の一という状況であります。所得があって生活が安定してくると結婚もできるというような指標でありますけれども、やはり地方創生を論じるときに重要なテーマだというふうに思います。
 非正規雇用をなくして正規雇用をふやしていく、政府の目標でもあるんですけれども、どうやって加速させていくのか、最後に大臣にお答えいただきたいというふうに思います。


○石破国務大臣 それは、やはり若い方々の生活を安定させる、より高い収入とともに、よりよい雇用環境というものを実現するために、非正規というものを減らし正規職員をふやすということをやっていかなければいけないと思っております。これは、労働者の方々あるいは企業の方々、それぞれの思いがあろうかと思いますので、そこを捨象して議論することはできませんが、基本的な方向として、非正規を減らし正規をふやすということは政府として取り組んでいかなければならないことであります。


○田村(貴)委員 時間が来ました。また次回、議論させていただきたいと思います。
終わります。ありがとうございました。