190-衆-地方創生特別員会 「地方版ハローワーク」と、熊本被災者の避難所対策について質問 田村貴昭衆院議員

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
 ハローワーク特区について質問をいたします。
 ハローワーク特区については、これまで、埼玉県それから佐賀県において試行的に取り組まれてまいりました。
 私は、先日、佐賀県のハローワーク特区、ジョブカフェSAGA、ヤングハローワークSAGAの取り組みについて、佐賀県そして労働局に伺ってお話を聞いてまいりました。
 佐賀県のハローワーク特区事業は、県知事と厚生労働大臣の特区協定のもとで、若年者就労支援、障害者就労支援、福祉から就労への支援を行ってまいりました。そうした実績が若者や障害者の就労に結びついていくことは非常に重要なことだというふうに思っております。
 ところで、この佐賀のハローワーク特区なんですけれども、スタートした翌年の二〇一三年三月二十六日付で、古川知事から労働局に対して協定書に基づく指示が発出されました。それは、「ヤングハローワークSAGAにおいては、利用者に対し、カウンセリングから職業紹介までの切れ目のない支援サービスを一元的に提供するための体制整備を行っていただきたい。」とするものでありました。すなわち、県が担っていたカウンセリング業務をハローワーク、国の方に移して、サービスを一元化するという知事からの指示でありました。
 当時の佐賀新聞、二〇一三年十月二十九日付でも、県の職員が四人減り、国の職員が四人増となる逆転現象というふうにも報じられたところであります。
厚生労働省にお伺いします。この県の指示がなぜ出されたというふうに理解されておられるでしょうか。


○生田政府参考人 お答えいたします。
 御指摘のように、平成二十五年三月に行われました佐賀県知事から佐賀労働局長に対する指示に基づきまして、同じ年の四月一日から、ハローワーク特区におきます佐賀県の若者カウンセリング業務とハローワークの若年者への職業紹介をハローワークに一元化いたしております。
 このような指示の理由につきましては、佐賀県知事名の指示書に書いてございまして、カウンセリングから職業紹介までの切れ目のない支援サービスを一元的に提供するための体制整備を行うためと承知しております。
 この指示の結果といたしまして、若年求職者の方が国と県それぞれの窓口で利用者登録をする手間がなくなったり、あるいは同一の職員が一貫してサービスを提供できたりということで利便性を向上するなど、若者へのサービスの向上につながったというふうに考えてございます。


○田村(貴)委員 要するに、カウンセリングから職業紹介まで一体としてサービスを提供する上で、佐賀県の方には少し無理があったというところだというふうにも伺ってまいりました。
 佐賀県と国が一体となった特区事業であるのですけれども、県側の事業は実際は民間の人材ビジネス事業者が実施しています。一方、ハローワークは日本全体の雇用対策を行い、そしてブラック企業対策など労働監督業務も担っています。職員間の情報共有の仕方という事業だけでなく、全国的な視野、労働者保護の観点から求職者に役立つ情報が提供できる、ここがハローワークの強みであるというふうに私は認識しています。
 今の佐賀県の指示についてもそうしたことが背景にあるのではないかなというふうに思ったんですけれども、石破大臣にお伺いします。ハローワークのそもそもの役割について、大臣はどのように認識されておられるでしょうか。


○石破国務大臣 それは、憲法に定められた労働者の勤労権というものがきちんと実現をするというのがハローワークの役割であって、国としてそれに責任を持つ、それがハローワークの基本的な考え方だと私は考えております。


○田村(貴)委員 国として責任を持つという答弁がございました。
 そうした中で、地方版のハローワークというのは一体どういうふうな姿になっていくのかということについてお伺いしていきたいと思います。
 職業紹介事業の地方移管というのは、地方分権改革の焦点となってきた課題であります。しかし、昨年末、全国知事会は、地方移管そのものについては行わないというふうにしました。そこで、今回の改正による地方版ハローワークの創設で一体何がもたらされるのか。
 質問の一つは、名義貸しの禁止についてであります。改正法第二十九条の三は、「特定地方公共団体は、自己の名義をもつて、他人に無料の職業紹介事業を行わせてはならない。」としています。名義貸しの禁止というのは具体的にどういうことなんでしょうか。


○生田政府参考人 お答えいたします。
 職業安定法で禁じられております名義貸しにつきましては、今委員御指摘のように、職業安定法の二十九条の三で規定されることになってございますけれども、地方公共団体が、職業安定法上、無料の職業紹介事業を行うことが認められた主体としての自己の名義をもって、他者に業務を行わせることをいうという意味でございます。


○田村(貴)委員 地方自治体や労使の意見もこの中で反映させていくというふうにも伺っているんですけれども、その際、労働者保護の徹底、これは当然求められます。それから、働く人たちがピンはねを受けたり、あるいは雇用のミスマッチ、そうした情報が押しつけられたり、また法令違反の職業紹介など、働く人たち、求職者に対して被害が及ばないということが何よりも優先される、ここが大事だというふうに思います。
 その名義貸しの禁止を具体的に検討していく上で、厚生労働省としてどうした責任がこれから求められていくのか。名義貸しの禁止についての厚生労働省の責任性についてお伺いしたいと思います。


○生田政府参考人 お答えいたします。
 名義貸しの禁止につきましては、新しく誕生する地方版ハローワークにつきましても適用があるということでございます。
 今回の改正で地方公共団体に名義貸しを禁止する理由でございますけれども、これにつきましては、地方公共団体が無料職業紹介事業を実施する規制につきまして、今回、届け出制をやめるというふうなこともございまして、規制が一部廃止されるということでございます。
 このために、地方公共団体が無料職業紹介事業の主体として名義を他の団体等に貸すことを認めますと、他の団体等が地方公共団体の名義のもとに事業規制がかからずに職業紹介事業を実施できることになってしまうということになってしまいます。
 今回の地方版ハローワークの考え方は、あくまで地方公共団体が公的位置づけに基づいて中間搾取等の職業紹介に伴う弊害がないと見込まれることが前提でございますので、労働者の保護を図るためには、そういった名義を他の団体等に貸すということは許されないというふうに考えてございます。


○田村(貴)委員 中間搾取などあってはならないわけなんですけれども、民間委託についてはどうなんでしょうか。これは認められるんでしょうか。また、指定管理者制度の導入についてはどう捉えておられるんでしょうか。また、厚生労働省は丸投げはしないというふうにレクチャーのときにもお伺いしたんですけれども、このことを踏まえてどう整理したらいいんでしょうか。


○生田政府参考人 お答えいたします。
 まず、民間委託の関係ですけれども、地方公共団体が職業安定法上の許可を受けた民間職業紹介事業者に委託して無料職業紹介サービスを実施すること自体は可能ということだと考えております。
 ただ、この場合につきましては、委託を受けた職業紹介事業者の方が職業紹介事業の実施主体としてきちんとその許可を受けられているということが前提なんですけれども、あくまで民間職業紹介事業者の方が職業紹介事業の実施主体ですので、改正案の職業安定法四条七項の規定に基づきまして、今回の法律に基づきます地方版ハローワークという扱いにはならないということでございます。あくまで従前と同様に、民間の職業紹介事業者の方に対する規制が適用されるということになります。
 続きまして、指定管理者制度の関係でございます。
 これにつきましては地方自治法に根拠がございますけれども、地方公共団体が指定する法人その他の団体が公の施設を管理するという仕組みでございます。その施設内で職業紹介事業が実施されている場合につきましては、その施設の管理を指定管理者に委託すること自体は否定されない、要するに、指定管理者がその施設の中で職業紹介事業をやるということ自体は禁止されないというふうに考えてございます。
 ただ、指定管理者の方が職業紹介事業をやる以上、職業紹介事業をやる根拠が必要ですので、許可等を受けておられるということが必要でございますし、あとは、地方公共団体が指定管理者の方にお願いされているということになりますので、そうしますと、先ほど民間委託で申しましたように、民間職業紹介事業者に関する規制がそのまま適用になるということでございます。ですから、職業安定法に基づく民間事業者に対する規制が適用になる形になります。
 丸投げということで今委員から御指摘がございましたけれども、今回あくまで職業紹介事業に関するルールとして地方版ハローワークというのが誕生して、今、職業紹介事業についての委託なりあるいは指定管理者制度、指定管理者が行う場合のことを御答弁いたしましたが、職業紹介をやる場合については、例えばカウンセリングだとかセミナーだとかさまざまな付随的な業務があるわけですけれども、そういったようなものにつきましては特に規制はないということでございますので、そういったようなものを民間の企業の方がやられるということについては構わないということになると思っております。
 いずれにしましても、職業紹介事業を委託する場合につきましては、あくまで民間の職業紹介事業に対するルールが適用になるということでございます。


○田村(貴)委員 この特区事業をもし民間事業者が行うことになったら、それは民間の人材ビジネス会社に委託するということになるので、これを認めるのであるならば、やはり自治体を介した単なる人材ビジネスへの委託になりかねないという懸念を私は持っています。
 また、指定管理についても、これは地方版ハローワークですから、国の指導監督は及ばないんじゃないですかね。そうした懸念もつきまとう。これは重要な点だというふうに思っています。
 地方自治体の委託を受けて民間事業者が無料紹介事業を実施する場合に、民間事業者に対する国の指導それから監督権限にはどのようなものがありますか。指導や業務改善命令、事業の取り消しなどの件数はどのようになっているか、説明をいただきたいと思います。


○生田政府参考人 お答えいたします。
 職業安定法上、有料職業紹介事業者に対しましていろいろな指導監督がございますけれども、法律の四十八条の二で指導助言、四十八条の三で改善命令、三十二条の九第二項で事業停止命令、三十二条の九第一項で許可の取り消し、それから五十条で報告徴収、立入検査などの指導監督権限が書かれてございます。(田村(貴)委員「件数は」と呼ぶ)件数、済みません。大変失礼をいたしました。
 件数につきましては、二十六年度の数字でございますけれども、職業紹介事業者に対する文書指導の実施件数でございます。これにつきましては違反条項数の積み上げで計算しておりますけれども、有料職業紹介事業者に関します文書指導につきましては千八百七十三件、それから無料職業紹介事業者に対するものが四百七十八件でございます。


○田村(貴)委員 次に、全国のハローワークについて伺いたいと思います。
 お配りしている資料の表は、厚生労働省の公共職業安定所職員数等の推移であります。一九六七年度に一万四千六百六人いた正職員が、二〇一五年には一万九百十七人と大幅に減少しています。ハローワークの人員については、求職者数がふえているにもかかわらず正職員が減らされて、その補充に非正規が充てられてきていることが読み取れます。いわば補充型の非正規雇用労働現場となっているのがハローワークであります。

(委員会配布資料はコチラ)

 佐賀県のハローワーク特区の現場でも、国のハローワークの部分、ここは国の嘱託職員と非正規職員であります。正職員の配置は一名でありました。しかも、いつもおられるというわけではありません。ハローワークの職員が雇いどめに遭って、次の日に自分の仕事を求めてハローワークにやってくる。これは笑い話ではないんですよ。実際に各地のハローワークで起こっています。報道もされています。やはり、職業安定のとりでの場所としての範を示すべきではないかなというふうに思うわけです。
 正規雇用をふやしていくというのは、安倍政権の目標の一つでもあります。安心して失業者が求職活動の相談ができるハローワークの体制の抜本的な強化が今求められると思います。そのためにも、ハローワークに従事する職員の人が安心して、そして意欲を持って働くことができる、そういう人的な体制をつくることが求められると思います。
私はそう考えますけれども、石破大臣の所見をお伺いしたいと思います。


○石破国務大臣 若い方に限りませんが、安定した雇用環境のもとで、生活していくに十分足る、できれば余裕を持った収入が得られ、そしてまた生きがいを持って働くことができる、きれいごとを言うようですけれども、やはりそういうものを実現していくということが必要で、また地方創生の立場から申し上げれば、地方においてそういう職場を確保しなければ東京の一極集中はとまらないという認識を持っております。
 これはいかなる党の立場であれ、そういうような地方創生、東京の一極集中の是正、そしてそれぞれの人々の自己実現の完成というか成就というか、それを目指してやっていくことは当然のことであって、ハローワークが今回それにおいてより有効に機能するようによく配慮していかねばなりません。
 委員がおっしゃるようなことが笑い話ではなくて現実に起きているとすれば、それはちっとも範を示したことになりませんので、よく実態を把握して、現場からそういうことがないように、こんなことは笑い話では済みませんので、私どもは、よく厚生労働省と連携をしながら、今度の改正がもしできますれば、さらにそれに努めていかねばならないと考えております。


○田村(貴)委員 しっかりそういう点で取り組んでいただきたいと思います。
 次に、熊本県の震災被害と被災者の支援について質問をいたしたいと思います。
 地域の振興、それから地方再生、いろいろなまちづくりの取り組み、地方創生の取り組み、全てがこの大地震によって今寸断されてしまいました。
 緊急を要する課題があります。
 私は昨日総務委員会でも質問したんですけれども、熊本市で避難所となっている体育館が閉鎖されている事態が生じています。理由は耐震上の問題であります。現地からの連絡を受けて、十八日の夜に私は内閣府の非常災害対策本部事務局に一報を入れて、昨日も質問をしたところなんですけれども、そもそも内閣府はこの事態を掌握できているんですか。現状認識を疑わざるを得ないようなところもちょっとあったんですけれども、確認できていますか。


○中村政府参考人 お答えいたします。
 お尋ねの事態につきましては、昨日も熊本県の方に確認をいたしました。具体的には、熊本県の災害救助法の担当ですとかあるいは災害対策本部。それから、熊本県の災害対策本部におきましては、御指摘の市でありますところの熊本市の災害対策本部にも確認した上でこちらに回答をいただいたということなんですけれども、お尋ねのような事態につきましては熊本県において把握しておらないという回答を得ました。
 さらに、昨日夜に本日の御質問の通告をいただきました後、改めて熊本県の災害対策本部には確認をいたしております。その際、当初はむしろ漏れがないようにという観点から熊本市内という以上の特定をせずに尋ねたのでございますけれども、より具体的に北区や東区などの学校というように特定して確認をとったんですけれども、やはり同じように、そのような情報を確認していないという回答を得たところでございまして、関係自治体に問い合わせたところでありますが、お尋ねのような事態、要するに被災者の方々の行き場がなくなるといったような事態については確認をできなかったところです。


○田村(貴)委員 これは重大であります。
 大臣も内閣府のことなので聞いていただきたいんですけれども、これはもう報道されています。県立大学が避難所閉鎖ですよね。それで、五百人が避難している県立大学の体育館、大学の事情によって閉鎖する、夫と避難する近くに住む主婦は、地震で自宅の中はめちゃくちゃ、行き場所がないのにどうしたらいいのか、別の主婦は、周辺の避難所は満員で入れないと聞いた、どこに行けばいいのか情報が欲しいですとなっています。
 それから、私もそういうふうなことを言われるので確認したんですけれども、熊本市北区の市立北部東小学校では、十六日の本震で、二日後に本震があって壁が落下して、十七日のお昼までに出ていってほしいとの指示が出て閉鎖になっています。それから、一部の学校では、体育館から被災者を追い出すわけにもいかないので、急遽教室を被災者に提供してやっているところも現にあります。そのほかの学校においても、体育館は危ないからここは避難所として使えないというふうになっているわけなんです。
 これは事実なんですよ。事実としてあるのに、県の災害対策本部、誰が誰にどう聞いたのかわからないんだけれども、そのような事実はあっていないという認識自体が私は本当に不思議でならないんですよ。現認されましたか。避難所を追い出されているんですよ。そういうことでいいんでしょうか。もっと、調べてくるとか言えないんですかね。
 石破大臣、防災担当ではないと思うんですけれども、松本副大臣が現地に入っておられます。ちょっと内閣の方から連絡を入れていただいて、指定避難所が本震によって壁が崩れた、いろいろな理由によって出ていかなくてはいけない。ほかの避難所を案内するところもあるんです。しかし、この報道にもあるように、行き場所を失っている、また路上での車内泊をしなければいけない人がふえているという状況について、これは一刻も猶予できない状況であります。直ちにそれにかわる避難所を国の責任において、民間でもいいです、どこの研究機関でもいいです、屋根つきのところを急いで探さなければいけない、こういうふうに思うんですけれども、大臣、ちょっと動いていただけるでしょうか。


○石破国務大臣 これは担当だとか担当じゃないとかいうお話ではございませんので、河野大臣あるいは現地の松本副大臣に早速連絡をとって対応しなければならないものだと思っております。
 委員御指摘のように、出ていけだけではしようもないので、では一体どこへ行きますか、そんなものは自分で見つけてくださいという話にはなりませんもので、それは結局、県立の大学の体育館が崩れちゃったらみんな圧死しちゃうわけですから、よかれと思ってもちろんやっている。意地悪をしているわけではありません。
 どこに行けばいいのかということは、おっしゃるように教室でもいいでしょう。あるいは賃貸住宅ですね、空き家あるいは空き部屋。そういうものの提供は、三・一一のときも、翌日からそういう賃貸の関係の方々が積極的に動いてそれを提供しておるところです。今回もそれが随分と活用されておりますが、そういうもの。
 あるいは、それも地震で危ないとするならば、ほかに何の手があるのか。これは政府もいろいろなものを持っておりますので、前も議論があったことですが、病院船的な機能を持った輸送艦というものが使えるのか使えないのか、そこはまた防衛省で御検討いただいていることだと思います。
 政府として、そういう方々の不安を除去し、エコノミークラス症候群の発症が一人もないように、これは早速に対応させていただきたいと思います。


○田村(貴)委員 ぜひそうしていただきたいというふうに思います。
 二百五十六カ所の避難所に、熊本市ですね、六万七千二百一人の方が避難されています。これは、一カ所平均ですと約三百人になるわけです。
 それで、私も、先週金曜日、土曜日、被災地に入って、避難所も回ってお見舞いもし、そして御要望も聞いてきたわけなんですけれども、想像以上の被災者であふれかえっています。そして、夜になるとまた数がふえる。きょうも報道されていますけれども、せめて足を伸ばして寝たいというのが現地の状況なんですよ。
 その上で、出ていかなくてはいけない人がいる。もちろん危ないところにいてはいけない、それはわかるんです。だけれども、閉所するならば、別の避難所をつくり誘導するのが行政として当たり前のやり方じゃないですか。しっかりしていただきたいと思います。
 時間も来ましたので、エコノミークラス症候群、大臣からもありました。エコノミークラス症候群にかかって搬送されている方がふえています。そして、車中泊をしている被災者が一人お亡くなりになったというような報道もあっています。
 被災地で長く車中泊を続けていくと、どういう病気が生じて、そして悪化していくのか、厚生労働省にお伺いしたいと思います。


○樽見政府参考人 エコノミークラス症候群、大変残念ながら、今先生御指摘のような事態になっております。亡くなられた方に心からお悔やみ申し上げるとともに、患っておられる方の一刻も早い回復を祈っている次第でございます。
 いわゆるエコノミークラス症候群と申しますのは、車などの狭い座席に座って長時間足を動かさないような場合に、血液の流れが悪くなって、血液の塊、いわゆる血栓が生ずる、それが足などの血管に詰まると深部静脈血栓症、これがまた肺の血管に詰まりますと肺塞栓症というふうに申しますけれども、そういったようなことをいう言葉でございます。
 足の血管に血栓を生じますと、足が腫れる、むくむ、あるいは痛みが出現するといった症状が出現するということがございまして、また、血栓が肺の血管に詰まりますと、息切れや胸の痛み、一時的に気を失う、場合によってはお亡くなりになるというようなケースがあるということでございます。
 飛行機などでずっと座っているということで生じるということでエコノミークラス症候群という言葉が出たわけでございますけれども、発生の仕組みについては、それと震災の場合と基本的には同じでございます。


○田村(貴)委員 熊本市の民間病院、民医連の医療チームが、十九日の夜に、エコノミークラス症候群予防のためのチラシを持って車中泊の被災者を巡回しました。少しお話を聞いたんですけれども、夜泣きを気遣って小さい子供連れの世帯が車中泊をしている。お年寄りを抱えた世帯が八割にも上っていた、中には百歳の方も車中泊をしていた。驚く状況であります。
 このような状況の中でエコノミークラス症候群を発生させないためには、安心してくつろげる、そして寝泊まりできる環境が何よりも必要であるというふうに思います。これが長引けば長引くほど、病気は深刻になってまいります。
 実際どうすればいいというふうにお考えでしょうか、医療的には。


○樽見政府参考人 これは、まさに先生がおっしゃいますように、できるだけ足を伸ばせる環境ということでございますが、その前に、今先生御指摘のようなチラシをということがございました。
 私どもの方でも、実は地震の直後からエコノミークラス症候群ということに対する情報を発信すると同時に、地元の各マスコミなどでも報道していただいているというところだったわけでございますけれども、起きてしまったということでございます。
 エコノミークラス症候群予防のためには、まず歩くなど足を動かすという運動を行うこと、それから適度な水分をとることが必要でございます。したがいまして、車内などで長時間同じ姿勢でいる、しかも水分をとらないということになりますと危ない、そういうことを少しでも避けていただくということが重要なわけでございます。
車の中にいらっしゃるということでありますので、例えば、報道などがされていてもテレビを見ていないかもしれないということで、私どもも昨日から、チラシをつくりまして、「エコノミークラス症候群の予防のために」ということで、チラシを関係自治体に送付したというところでございます。
 あわせて、私どもがアレンジしまして、避難所を保健師のチームが回ってございます。その保健師から車にいらっしゃる方に直接お渡しをする。避難所で配るというだけではなくて、車の方にお配りをする。それから、同じように配ることについて、実は、自衛隊、それから警察、消防という方々にも御協力をいただいてそういうものを配付するということをやっているところでございます。
 それから、まさに車中泊をしている人を減らすということが大事でございますので、避難所を少しでもあけて、車内から避難所の方に行っていただく。そういうためにも、例えば高齢者、障害者の方について、もう少し安全なところを見つけて移っていただくといったようなことも大事であろうということで、そういうことを県庁にも働きかけているところでございます。


○田村(貴)委員 つまり、避難所がないんですよ。避難所が決定的に欠けている、少ない、そして狭い。だから、ふやす必要があるんですよ。中村参事官、よろしくお願いします。そこが一番の大事なところですよ、今。
 そして、通告しておったんですけれども、国土交通省、ごめんなさい、時間がなくなりました。被災地に行かなければならない緊急車両が緊急物資を届けるために、渋滞解消それから迂回路の案内とか、そうした措置を直ちにとっていただきたいと思うんですけれども、一言、やっていただくと御答弁いただけますか。


○青木政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のように、九州自動車道の一部区間が通行どめになりましたものですから、その出入り口ですとか並行する国道で渋滞が発生しているということであります。
 このために、例えば料金所に人員を増強するとか、現地の方で渋滞対策の協議会をつくりまして、そこで、今お話がございましたように、混んでいるインターがあるものですから、もっと手前でおりていただくというようなことを誘導申し上げたり、あるいは、おりたところで、混んでいる並行する三号線以外の迂回路、こちらの方に誘導するような対応というのを今しております。
 それから、昨日から、通行どめになってございます植木から益城熊本インターの間で、その途中の熊本インターのところの応急復旧作業が完了いたしましたものですから、被災地への物資輸送車両等を通行可能とする、こういった対策を講じているところでございますので、引き続き関係方面と協力して対応してまいります。


○田村(貴)委員 終わります。よろしくお願いします。