190-衆-総務委員会 東京一極集中の是正を/マイナンバーは欠陥制度 衆院総務委 田村貴昭氏

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭でございます。
 東京圏一極集中の問題について質問をします。
 先週二十六日の総理質疑のときにもこの問題を取り上げました。総理から明確なお答えがなかったことについて、引き続き質問をしたいというふうに思います。
 先週と同じ資料をお配りさせていただいています。住民基本台帳に基づいた東京圏転出入の推移について描いたグラフであります。
 まち・ひと・しごと創生総合戦略では、東京圏の転入超過数を減らしていく、転入を六万人減らして、転出を四万人ふやしていくということで、二〇一三年を起点に二〇二〇年まで、この赤の破線のカーブを描くという計画であります。ところが、現実はそうはいっていなくて、二〇一三年、二〇一四年、転入超過が進んでいるということにあります。
 そこで、お伺いしたいわけなんですけれども、この政府の計画はかなり厳しい状況にあるのではないかというふうに思いますけれども、どう認識されておられますか。


○牧島大臣政務官 お答えいたします。
 御指摘ございましたとおり、東京の一極集中を是正するということは、人口減少を克服し、地方創生をなし遂げるために大変重要であると考えております。
 今お話がございましたものはKPIでございまして、私どもとしては、東京圏から地方への転出を四万人増加するという目標を立てております。そのために、何としても、実現に向け、あらゆる施策をとってまいりたいと考えております。
 仕事と人の好循環を確立するために、地域しごと創生会議を開き、分析を行っております。地方の移住希望者の支援や、企業の地方拠点機能強化や政府関係機関の移転などにより、地方への新しい人の流れをつくる施策を強力に推進してまいります。
 また、より具体的にお話をさせていただきますと、私どもの内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局におきましては、地方移住のガイドブック「いなか暮らしはじめませんか?」というものを作成させていただいております。ここでは、私たちも地方移住を応援しますというコンセプトのもと、移住・交流情報ガーデン、NPO法人ふるさと回帰支援センター、一般社団法人移住・交流推進機構、JOIN、ニッポン移住・交流ナビなどの御案内もさせていただいておりますし、移住ナビのホームページの活用なども皆様にお図りをいただいているところでございます。


○田村(貴)委員 政務官、いろいろおっしゃいました。しかし、この転出入を均衡化させるというのは、これは閣議決定なんですよね。
 そして、このグラフでありますように、今、ここまで来ています。そして、二〇一六年もまた上昇するでしょう。そうすると、二〇二〇年までにどうやって均衡させていくのか。KPIといみじくもおっしゃられました。そのKPIは、今聞いておったら、四万人、六万人。これはもう三カ年は無理ですよ。そうすると、もっと厳しいカーブになっていく。
 この厳しい状況について御認識がありますかと、私は総理にも聞いているんです。達成は難しいんじゃないですかと聞いているんですけれども、その見通しはどうなんでしょうか。


○牧島大臣政務官 目標達成に向けて全力を挙げてまいりたいというふうに申しております。
 そして、地方へ新しい人の流れをつくるという点では、地方移住を希望する国民の方々は多くなってきていると私どもは実感しておりますし、さまざまなニーズも出てきております。例えば、お試し居住ですとか二地域の居住なども一つのライフスタイルとして出てきております。
年間移住あっせん件数は一万一千件という目標を立て、さらに、お試し居住に取り組む市町村の数を二〇一四年に比べて倍増していきたいと思っております。都市と農山漁村の交流人口一千三百万人、地域おこし協力隊四千人など、目標を掲げ、確実に進めてまいりたいと思います。


○田村(貴)委員 二〇二〇年といえば、東京オリンピック・パラリンピックの開催であります。それとこの方針というのは重なってまいります。さらに人が集まり、そして人が住んでいくんじゃないかというふうに私は思うわけです。国の人口長期ビジョンも、オリンピック・パラリンピック東京大会の開催は人口流入を増幅させる可能性が高いというふうにしています。
 オリパラ開催による人口増を政府としてどう見ておられるのか、これに対する何らかの対策というのがあるのか、それについてもお聞きしたいと思います。


○牧島大臣政務官 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック、この競技大会は、東京一極集中を加速させるものではなく、日本全体を元気にし、さらなる発展を目指すための大きなチャンスと捉えることが重要だと私たちは考えております。(発言する者あり)ありがとうございます。
 既に第一次のホストタウンなどがございますが、こちらの全国の分布を拝見いたしますと、現状、第一次におきましては、北海道から九州まで、四十の地域が世界各国のホストタウンとして名乗りを上げ、決まってきております。
 こうした行事を通じて、オリンピアン、パラリンピアン、世界各国の方々とそれぞれの地方の地域の方が交流をされることになりますし、事前合宿の受け入れの準備も始まり、さらに、日本の伝統文化を伝える文化プログラムなどは全国各地で地方において行われるものと思っております。
 これが、東京オリンピック・パラリンピック、東京大会は東京だけではなく日本全体の活気につながると私たちが考えているゆえんでございます。


○田村(貴)委員 人口の転出入の関係でもっと具体的に指標を持ち、KPIを持っておられるのかなと思ったんですけれども。
もう一問尋ねたいと思います。
 安倍政権は、東京圏を、世界から人材、資本、技術が集まる国際ビジネスやイノベーションの拠点として位置づけておられます。まち・ひと・しごと創生総合戦略の二〇二〇年までの転出入均衡という方針について、これは住民基本台帳をもとにして試算されてきていると思いますけれども、では、外国人労働者の数、あるいはこれからふえるであろう外国人居住者の数というのは、政府の一極集中是正のこの中に位置づけておられるんでしょうか、カウントされているんでしょうか。


○牧島大臣政務官 今御質問がありました総合戦略や基本方針において、外国人であるか日本人であるかということを東京一極集中において決めていくという、基づく取り組みというものは具体的に行っておりません。長期的、継続的に総合戦略や基本方針に基づいて東京一極集中を是正して図ってまいりたいというふうに考えております。


○田村(貴)委員 政務官、私がなぜきょうこの質問をするかといいますと、ふえる要素があるじゃないかという話をしているわけなんですよね。
 一つは、オリンピック・パラリンピック。これはにぎわいがあり、人と物と金が集中すれば、そこにやはり人は住み、人はふえていく。これは自明の理だと思うんですよ。
 それから、国際ビジネス都市東京などの位置づけであります。東京の経済的あるいは文化的な力が強くなればより人口がふえる、これは異論がないところだというふうに思います。そして、これは歴史が証明し、現に東京圏への転出超過は二十年連続であります。
 東京の人口は十年後も二十年後ももっと増加していくのではないか、こんな民間のシンクタンクの調査結果も明らかにされています。
 私は、東京圏が発展すること、オリパラが開催されること、そのことを取り上げているわけじゃないんですよね。一方で、政府は、地方創生で、まち・ひと・しごと創生長期ビジョンと総合戦略の中で東京一極集中の是正を掲げておられるんですよ。だから、このことをずっと取り上げているんですね。
 総理質問でも申しましたけれども、人口流入増がわかっているんです、わかっているんだけれども、その影響予測が詳細にされていない。それから、天井知らずの開発計画がわんさかある。そして、ビル群の集積がこれからどんどん計画されている。そうしたら、やはり人はついてくるじゃないですか、居住人口はふえてくるじゃないですか。これは、地方創生の一極集中の是正と私は矛盾すると思うんですよ。だから、具体的な手だてが必要じゃないか。
 安倍総理には、これまでのやり方、見直した方がいいんじゃないですか、もっと地方を大切にして地方の地場の経済を温める、住民の社会保障を改善していく、何よりも最低賃金なんかを全国一律水準にして、そして雇用を充実させていく、そんなことを提案させていただいたわけなんです。
 ここをしっかりとわきまえていかないと、一極集中も是正されないし、地方が一極集中の是正を前提に人口ビジョンを策定し、そして総合戦略をつくっているわけです。ここに大きな影響が出てくるんです。その戦略もビジョンも達成できないじゃないですかということを聞いているんですけれども。
 私は、今の段階では矛盾だというふうに思います。政務官、いかがでしょうか。


○牧島大臣政務官 地方創生を進めなければならないという委員の御指摘は、私たちの思いと同じでございます。
 その中で、矛盾するものではなくて、東京の国際化、イノベーション化、もちろん国際都市として進めなければならないもの、ただ、それは、東京と地方を対立事項としてパイを奪い合うというものではなくて、東京圏と地方とそれぞれの強みを生かして全体的にプラスになっていくようにしていこうということは、総理もこの間の答弁でもお話をさせていただいたとおりでございます。
 また、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックだけではなく、これから海外の多くのスポーツイベント、大会が日本で開催されますが、二〇一七年のアジア冬季競技大会は札幌市、帯広市で開催されますし、ラグビーワールドカップは全国で十二都市でございます。二〇二一年のワールドマスターズゲームズ二〇二一は関西圏、さらに福岡市でも二〇二一年には世界水泳選手権大会ということで、こうしたスポーツ行事を通じて、国内外から日本各地、地方も含めて全国に来られる方たちがいる。そうすると、日本人とはまた違う観点で意外な観光地が育っていくということは、私たちも実感として感じております。
 これを一つ、ローカルブランディングと呼ばせていただいておりますが……(田村(貴)委員「もういいです」と呼ぶ)はい。のみならず、ローカルイノベーションも東京だけではなく地方からも進めさせていただいておりますことをつけ加えさせていただきます。


○田村(貴)委員 政務官、いろいろおっしゃいました。しかし、二〇一四年に計画をつくって、三年がかりになっているけれども、東京への人口流入増はすごい勢いで上がっている。シビアな現実をやはり見きわめる必要があると思います。また議論させていただきたいと思います。
 次の質問に移らせていただきます。
 マイナンバー制度についてお尋ねします。
 先ほども議論があったんですけれども、番号通知カードの交付状況についてお尋ねいたしたいと思います。
 私も資料をいただいたんですけれども、数字の確認です。二月二十三日現在で、合計五千五百九十五万九千四通が交付された、未交付数は二百四十四万九千九百十通、未交付率は四・二%というふうにお伺いしていますけれども、間違いありませんか。


○稲山政府参考人 お答えいたします。
 二月二十三日時点での当省の調査では、ただいま御指摘のございました数値のとおりでございます。


○田村(貴)委員 議案でも出されています。地方税の改正案についても、マイナンバーに関連した部分が盛り込まれております。
 それから、一月からマイナンバーカード、個人番号カードの交付も既に始まっております。そんな中で、自治体の窓口を初め、国民生活のさまざまな場面において混乱とトラブルが発生しております。私に寄せられた事例を中心に紹介して、政府の見解を求めたいというふうに思います。
 まず最初に、住民生活の中で、自治体の窓口における各種申請手続がございます。例えばの話でいいますと、保育所の入所申請をしたいとします。そのときに、役所の方から、個人番号の提示がなかったということで受け付けてもらえなかったという例がありました。これはよろしいんでしょうか、お尋ねします。


○安藤政府参考人 御指摘の保育所の入所の手続も含めましてでございますが、申請書等にマイナンバーを記載することとされているものにつきましては、申請者等にマイナンバーを記載していただく必要があるのは当然でございます。ただし、こうした申請等におきまして、申請者等がマイナンバーの記載がないことをもちまして、市町村等で直ちに当該申請書を受け付けないという取り扱いにはしてございません。


○田村(貴)委員 はい、わかりました。
 人によっては、番号通知カードを携行したくない、あるいは番号を告げたくない、役所はいいけれどもその先が心配だという方もおられます。番号通知カードそのものの受け取りを拒否して、役所の方に送り返した方もおられるというふうに聞いております。
 役所に行きますと、住民基本台帳がありまして、住民票コードとマイナンバーというのはリンクしています。住民票コードを変換してマイナンバーはつくられています。ですから、各種申請手続において、役所の方で番号確認はできるというふうに伺っております。そうであるならば、今答弁ありましたように、各種申請において、個人番号の提示はなくても、そのことがないことをもって申請を阻害するものではないということであります。
 もう一度確認させていただきますけれども、そういう理解でよろしいんでしょうか。


○安藤政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおりでございます。


○田村(貴)委員 次の例であります。
 医療機関の窓口でマイナンバーカードの提示を求められたと。必要はありませんよね。いかがでしょうか。


○安藤政府参考人 私どもといたしましては、医療機関の窓口でマイナンバーの提示を求めることはないと承知しております。


○田村(貴)委員 これはあってはならないんですよね。カルテにマイナンバーが書かれたら、これは大変な問題になってまいります。
それから、次の事例です。
 一般的な契約についてお伺いします。
 例えば、レンタルビデオ店で会員登録をしたいとする、あるいはクレジットカードを作成したいとする。そのときにマイナンバーの提示、記載は、もちろん必要はないと思いますけれども、これを求められる例もあるやに聞いております。このことについてはいかがでしょうか。


○向井政府参考人 お答えいたします。
 一般的な民間同士の契約で、原則、マイナンバーの提示を求められることはございませんが、一方で、契約の相手先が、税法あるいは社会保険に関する法令に基づきまして調書を出すということがございます。例えば、雇用契約の賃金の支払いですとか、あるいは報酬の支払い、そういうふうなものがございますので、そういう場合に限りましてマイナンバーの提示が求められるということでございます。


○田村(貴)委員 雇用関係にあるときの書類の条件によって提示を求められる、そういうことはわかります。
 そのほかに、マイナンバーの提示が必須となる、そういうものについて、国税庁の方から、マル優制度、非課税貯蓄制度を活用したい、あるいは証券会社における口座開設の際には、マイナンバーカード、マイナンバーの提示は必須だというふうにお伺いしています。この二つを除けば、国民の一般的な生活においては、雇用関係を除いてマイナンバーカードの提示は必要ないというふうに私は理解しているんですけれども、基本的にそういうことでよろしいでしょうか。


○向井政府参考人 お答えいたします。
 いわゆる少額預金におきます障害者等のマル優制度、それからNISA、特定口座、それからあと年間収入が十五万円を超える法人または不動産事業者との不動産賃貸契約につきましても、これは調書が出ます。それから、税務署への法定調書の提出対象となります一定金額以上の報酬を支払う弁護士、税理士、ホステス、あるいは原稿料、講演料の類いもございます。
 こういう場合につきましては、税法の規定に基づき、マイナンバーを求められるところでございます。


○田村(貴)委員 次、ちょっと就職のことについてお伺いします。
 就職の面接において、面接官からマイナンバーを尋ねられました。これは雇用契約締結前であります。必要はないと思いますけれども、いかがでしょうか。


○向井政府参考人 お答えいたします。
 いわゆる雇用契約に基づきまして賃金を支払う場合のマイナンバーの取得時期という問題かと承知いたします。
 これにつきましては、賃金の支払い時というのが通常でございますけれども、個人情報保護委員会のガイドラインによりまして、そういう賃金の支払いが予想されるような契約が結ばれたときから可能であるというふうに解されてございます。したがいまして、雇用契約を締結したときから可能になるというふうに考えてございます。


○田村(貴)委員 続けてお伺いします。
 就職が内定しましたという事例です。
 事業主からマイナンバーの提示を求められ、提供を拒否される場合は貴殿を雇用できませんと文書で告げられた例が報告されています。この場合はどう見たらいいんでしょうか。


 

○大西政府参考人 今委員御指摘の採用内定時の紛争につきましては、個々の事案ごとに最終的には司法において判断されるものではございますけれども、私ども厚生労働省といたしましては、都道府県労働局あるいは総合労働相談コーナーにおきまして、マイナンバーをめぐる事業主の方あるいは労働者の方からの相談について、きめ細かく対応してまいりたいというぐあいに考えているところでございます。


○田村(貴)委員 細かくはまた見ていきたいと思います。
 このほか、たくさんの事例が寄せられました。議員の皆さんも、地元でいろいろな問い合わせがあっているんじゃないかなというふうに思います。
 国民の毎日の生活において、誤解と混乱が多く生じています。役所の窓口で個人番号の提示を迫られて、その場で申請に至らなかったケースもたくさんあります。
 最後に、高市大臣にお伺いしたいと思います。
 全国の自治体や事業所に対して、こうした混乱が起きないように周知徹底を図る必要があるんじゃないかと思います。とりわけ、自治体における対応というのは住民の権利と暮らしに直面することにつながります。
 内閣府はもとより、総務省、厚生労働省、それから国税庁、各省が連携して、国民にとって無用な混乱とそして誤解が生じないように、内閣として特段の配慮、対策が必要ではないか。今の時点で私はそう思うんですけれども、いかがでしょうか。


○高市国務大臣 私もそう思います。
 マイナンバー制度の円滑な導入、定着に当たっては、地方公共団体の職員や民間事業者の担当者を含めて、広く国民の皆様に制度を正しく理解していただく、それが重要だということで、これまでも周知広報には努めてまいりました。
 マイナンバーの提供ですとか利用が禁止されている場面において提供や利用が行われないように、また、マイナンバーの提供や利用が必要な社会保障や税の手続においては御協力をいただけるように、そのメリットも含めて、より一層広報周知に注力をしてまいります。
 現在、総務省、内閣官房、J―LISのホームページにもさまざま掲載しておりますし、あと市町村の窓口に備えていただきたいということで、先般、QアンドAも作成をいたしました。また、市町村の広報紙などでも制度について正しくお伝えいただくようにお願いをして、文例案、ひな形など、各自治体に提示をさせていただいたところです。


○田村(貴)委員 ぜひ、自治体、それから事業主、事業者に対しては周知徹底、とりわけ急いで図っていただきたいというふうに思います。
 私たちは、そもそもマイナンバー制度には反対であります。情報そのものの漏えいを絶対に防ぐ手だてがないからであります。それから、それを防ぐ完全なシステムを構築することが不可能であります。そして、一度漏れた情報は、流通、売買され、取り返しがつかない。また、情報は、集積されるほど利用価値が高まり、攻撃されやすくなる。こんなリスクを抱えているわけです。
 年金情報漏れの問題が去年ありました。こうしたことで国民の皆さんは大きな不安を抱いておられます。
 こうしたことも、これからまたただしていきたいというふうに思いますが、きょうは時間が来ました。これにて終わります。