192-衆-総務委員会 「一部損壊」住宅支援を 衆院総務委 田村貴昭議員が要求

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
 高市総務大臣は、所信的発言で次のように述べられました。「国民の生命、生活を守ることは、消防防災、ライフラインとしての情報通信などを担当する総務省の重要な責務です。 今般の災害の教訓を踏まえ、将来発生が危惧される大規模災害に備えるため、地域の防災体制の再構築が必要です。」とお述べになったので、防災と熊本地震の支援について、きょうは質問をさせていただきます。
 熊本地震では六つの自治体庁舎が被災し、八代市あるいは宇土市などの本庁舎が建てかえを迫られています。建てかえを迫られている庁舎というのは、まさに防災拠点の中心であったのであります。
 消防庁にお尋ねしたいと思います。
 防災拠点となる公共施設等の耐震化推進状況、この最新の調査結果について、施設区分ごとに説明をしていただきたいと思います。


○大庭政府参考人 地方公共団体が所有または管理する防災拠点となる公共施設等の耐震率は、平成二十六年度末時点で八八・三%となっております。
 これを施設ごとに見ますと、文教施設が九四・六%、消防本部・消防署所が八六・一%、診療施設が八五・二%、社会福祉施設が八二・六%、警察本部・警察署等が八一・二%、体育館が七八・三%、県民会館・公民館等が七六・四%、庁舎が七四・八%となっており、庁舎が最も低い状況にあります。


○田村(貴)委員 お配りしている資料の2に今説明をしていただいた数字が載っているわけであります。公共施設の中で一番耐震化の数字が低いのが庁舎であります。防災拠点の中心の中の中心である庁舎の耐震がおくれているわけであります。
 そこで、防災行政無線について尋ねます。(配布資料はコチラ)
 会計検査院が今月二十日、国土交通省の事業、地震に強い都市づくり緊急整備事業、これは二〇〇八年から二〇一四年度の事業ですけれども、防災行政無線を設置したものの、災害時に機能しないおそれがあるものが全国二十七市区町、これは耐震性が確保されていない建物に設置したもの、そして、耐震性が確保されていない建物に設置されている親局から防災情報を受信する設備、これが七百三十二基あることを発表しました。
 国土交通省が該当自治体に照会したところ、そういう状態にあったということであります。総務省はこのことについて掌握されているでしょうか。


○大庭政府参考人 委員御指摘の事実につきましては、十月五日の新聞報道を通じて認識するとともに、補助金を所管する国土交通省に対し、その内容を確認したところでございます。
 また、十月二十日には、会計検査院から、検査結果及び国土交通大臣に対する是正処置の要求などが公表されまして、その内容につきましても承知いたしております。


○田村(貴)委員 私は、熊本地震の発災直後の四月十五日、益城町に行きました。停電、断水、ガスもとまる。そして、空を飛んでいるヘリコプターでかき消されそうな中で、防災無線の情報が唯一の手がかりだったということを私も肌身で感じました。本当に大事であります。
 ライフラインの一つである防災行政無線が非耐震の庁舎に設置されていては機能は果たせません。会計検査院が指摘した二十七市区町、七百三十二基の防災行政無線について緊急な対応が求められると思いますけれども、消防庁、いかがでしょうか。


○大庭政府参考人 消防庁といたしましては、これまでも、市町村に対しまして、防災行政無線の地震対策、浸水対策、停電対策などを実施するよう、通知などにより求めてきたところでございます。
 ただ、今回の事案を踏まえまして、改めて、防災行政無線を設置している建物の耐震化や耐震性のある建物への設置を強く求めていきたいと考えております。
 また、防災行政無線が活用できない場合に備え、緊急速報メールやコミュニティーFMなどの多様な情報伝達手段を活用し、住民に情報が適時適切に伝えられるよう取り組んでいく考えでございます。


○田村(貴)委員 今お答えがあったんですけれども、消防庁自身が、市町村における風水害対策の強化について、避難勧告等の伝達として防災行政無線等が実際の災害時に確実に機能し得るよというふうに通知も出されているわけであります。一層支援をすること、緊急的に対策を講じていただくこと、このことを要望したいと思います。
 次に、高市大臣にお伺いいたします。
 一つは、庁舎の耐震化についてです。もう一つは、庁舎の建てかえについてです。一括して御答弁いただきたいと思うんです。
 耐震化については、総務省の方で緊急防災・減災事業債があります。大臣は、来年度以降の継続については、地方からの御意見を踏まえ、延長を前提に考えていくというふうに述べておられます。
 緊防債の延長について、これはしていただきたいんですけれども、これに加えて、庁舎の耐震化をできるだけ早く一〇〇%に近づけていくことが必要ではないのか。財政支援を含めた新たな手だてが必要になっているのではないか。先ほど消防庁の方からの調査結果の回答があったんですけれども、この状況に照らして、急がれると思います。新たな手だてについて御答弁をいただきたいのが一点。
 もう一つは、庁舎の建てかえであります。庁舎の建てかえは一般単独事業とされています。これは、地方債の起債については充当率七五%で、地方交付税の措置はつきません。
 庁舎建設、建てかえが地方の単独事業ということにしても、今後、こうした実態を踏まえて、地方の要望をよく聞いて、財政的な支援措置の前進が図られて当然ではないかなと私は思いますけれども、耐震化と、それから建てかえについて、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。


○高市国務大臣 まず、緊急防災・減災事業債につきましては、平成二十八年度までとなっている実施期間の延長を前提に考えております。今後は、来年度以降の対象事業の内容などにつきまして、地方団体の御意見やニーズも踏まえながら、年末の地方財政対策を講じる中で具体的に決定をしてまいります。
 それから、熊本地震での庁舎被災を踏まえまして、関係省と連携して、耐震診断、改修に活用できる財政措置や耐震改修事例集の技術情報を紹介するといったことなど、地方公共団体の取り組みを支援しています。
 今後、さらに庁舎耐震化への住民の皆様の御理解が進みますように、新たに市町村別の耐震化状況を公表するなどによって、取り組みを促してまいりたいと思います。
 庁舎の建てかえでございますが、これはもう既に田村委員がおっしゃいましたとおり、自己財源や一般単独事業債を活用してやっていただいています。公用施設の基本ともいうべき庁舎の建設事業というのは、まさに各地方公共団体の判断に基づいて、長期的視点に立った建設計画や財源確保が必要なものだということでございます。
 ただ、庁舎の建てかえ事業であっても、一般単独事業債のほかに、市町村合併を行った自治体には合併特例債が充当可能であったり、津波浸水想定区域内にある庁舎には緊急防災・減災事業債が活用可能な場合もありますので、総務省として、具体の事業内容を伺いながら、必要な助言を行ってまいります。


○田村(貴)委員 急いで進めていただきたいし、財政支援も思い切ってしていただきたいんですけれども、大臣、一点だけ。
 公共施設というのは、やはり防災の拠点となります。その耐震化というのは、やはり一日も早く一〇〇%を目指すべきだと私は考えますけれども、一〇〇%を目指すべきではないでしょうか。いかがでしょうか。


○高市国務大臣 とても大切な御指摘です。一〇〇%に近づけていけるように、各地方公共団体にも意識を持って取り組んでいただきたいと思っております。


○田村(貴)委員 庁舎の建てかえについても、東日本大震災並みの措置を強くお願いしたいというふうに思っております。
 続いて、一部損壊住家への支援について質問をしたいと思います。
 前回の委員会で、熊本県の一部損壊世帯については写真で御説明をしたところであります。
 熊本市の震災被害が発表されました。被害総額一兆六千三百六十二億九千万円、うち建築物、住宅関係の被害が一兆二千百二十一億五千万円と、七四%が住家被害であります。その住家被害のうち、一部損壊件数というのは八三%を占めるわけであります。繰り返しになりますけれども、私は、一部損壊への支援なくして震災復興はないというふうに考えております。
 二十一日、鳥取県で震度六弱の大きな地震が起こりました。被災された方に心からお見舞いを申し上げます。
 その鳥取県では、一部損壊世帯への補修費を、最大三十万円を支給するということが決められたと毎日新聞で報道されています。そのほかにも、熊本県内において、合志市では五十万円以上の復旧工事に対して商品券を出すとか、あるいは玉名市においては二十万円で工事費を助成、補助していくとか、こういう措置がとられているんですけれども、内閣府防災にお尋ねします、自治体任せにしておいていいのでしょうか。


○緒方政府参考人 お答えいたします。
 被災者生活再建支援制度がございますが、自然災害によりましてその生活基盤に著しい被害を受けた方の生活の再建を支援することを目的としているため、全壊や大規模半壊などの甚大な被害があった世帯を対象といたしております。
 被害程度の小さい一部損壊の被害を受けた方に対しましても、独立行政法人住宅金融支援機構の災害復興住宅融資等の支援がございます。被害の程度に応じまして、国として必要な支援を行ってきておる状況でございます。
 こういった中、一部損壊の被災者に対しまして、地方自治体によりましては、地域や災害の実情、財政状況などに応じまして、みずからの御判断のもとで独自の支援措置を実施しておられる、そういったふうな状況と認識をいたしております。


○田村(貴)委員 認識しておりますではだめなんですよ。やっている自治体とやっていない自治体では差異が出てきます。それでは被災者は救われません。
 きょうは、松本副大臣、お越しいただいております。県や市町村は、政府へ一部損壊への支援を求めています。そして、今度の鳥取県の判断も、やはりその住民、被災者の要望があり、必要だと感じたから自治体がこういう施策に踏み切っているわけであります。
 政府としては、一部損壊への支援というのは自治体がやるべきだというふうに思っておられるんでしょうか。お答えいただきたいと思います。


○松本副大臣 お答えをいたします。
 先ほど答弁がありましたように、一部損壊に関しましても、災害復興住宅融資等の制度というものを国としても用意させていただいているところであります。被災市町村や都道府県のみで対応が困難な一定規模以上の自然災害が発生した場合、被災者生活再建支援制度など、全都道府県相互扶助及び国による財政支援の仕組みというものがあるわけであります。
 一方、今お話がありましたように、支援制度の対象とならない被災者の生活再建につきましては、各自治体において支援制度の実施について検討するなど、必要な対応を講じていただくように適時お願いをしているところでありまして、こうした国の制度、そして地方自治体における制度を組み合わせて被災者支援というものを行ってまいりたいと考えております。


○田村(貴)委員 半壊世帯と一部損壊世帯の間にさほど開きがないという例は、前回もお見せして、私も述べたところであります。しかし、その支援については雲泥の差があるわけですね。義援金が出る、それから補修費が出る。しかし、一部損壊世帯に対しては、自治体がやらない限り何もないわけなんですよ。逆転現象も起こってくることを前回も指摘したところであります。
 半壊と一部損壊のその境目について、こうした答弁があります。二〇一二年の衆議院災害対策特別委員会で、当時、災害救助法の担当だった西藤厚労省大臣官房審議官はこのように答弁されています。「一部損壊の場合には、応急修理をしなくとも差し当たり日常生活に支障のない範囲内の損害であると考えられる」。
 熊本県を初め、現実は明らかに違うのではありませんか。一部損壊世帯の多くは、損害箇所を修理しなければ日常生活を営むことはできません。瓦が吹き飛んだ、そうしたら雨が入ってくる、そうしたら生活できないじゃないですか。熊本県内で十三万棟にも及ぶ一部損壊世帯の全てが、修理をしなくても差し当たり支障なく日常生活を営むことができる、そういうふうに考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。


○緒方政府参考人 お答えいたします。
 御指摘の災害救助法の応急修理でございますけれども、引用いただきました平成二十四年六月の衆議院災害対策特別委員会の答弁におきましても、要件としまして半壊以上必要だということははっきりと申し上げております。
 こういったように、災害のために住家が半壊等の被害を受けまして、そのままでは住むことができない、こういったふうな場合に、応急的な対応といたしまして、その破損箇所を修理しまして差し当たり日常生活を営むことができるように必要最小限の修理を行っていく、これが応急修理でございます。
 一部損壊の場合につきましては、繰り返しになっていきますけれども、応急修理の対象となっておりませんけれども、住宅金融支援機構の災害復興住宅融資等によりまして、国として必要な支援を行ってまいります。
 いずれにしましても、引き続き、被災自治体と一体となりまして、被災者の方々へのきめ細やかな支援策を講じてまいります。


○田村(貴)委員 応急修理をしなければ生活ができないという状況がごまんとあるわけなんですね。ですから、この答弁に照らして、現実はそうなっていない、だから支援策が必要なんですよ。
 せんだって、参議院の総務委員会で、我が党仁比聡平議員の質問に対して、松本副大臣はこう述べておられます。一部損壊と判定された方々を含めまして、地方公共団体向けのアンケート調査などによって被災認定調査の運用実態をしっかりと把握してまいりたいと言われました。
 これに加えて、副大臣、復旧に莫大なお金を要する、例えば屋根を全部かえて数百万円かかっている。これはもう、鳥取でも一緒ですよ。熊本でも、それから東北、北海道でも一緒です。こうした一部損壊世帯の、まず実情を把握すべきではありませんか。
 これだけ大規模災害が続発し、規模も大きくなっています。被災者が十万単位でおられるわけですよね。まず、被災者の要望を、これは自治体を通じてでもいいです、アンケートでもいいです、やはり政府としてしっかり把握されることが今一番求められているのではないかと思うんですけれども、どうでしょうか。


○松本副大臣 アンケート調査の実施についてでありますが、一部損壊世帯の実情につきまして、被害認定調査を実施し、住宅再建の相談なども行っているのは、あくまでも地方公共団体でありまして、よくそのあたりのことは地方公共団体が把握していることと承知をしておりますので、熊本県や県内市町村等から、被災者の思い、現在の状況も含めしっかりと聞き取ってまいりたいと考えております。


○田村(貴)委員 被災者の思いも確認するということで今お聞きしました。ぜひ、被災者の切実な願い、そして状況について把握されていただきたいというふうに思います。
 いまだ多くの数え切れない家屋がブルーシートのままであります。修理したくともできない、そして、再建に踏み出そうとしても莫大な費用を要する。被災者の苦しみ、そして支援を求める声を、政府としても共有していただきたいというふうに思います。
 今月八日には、熊本県で、阿蘇中岳の爆発的噴火がありました。降灰、噴石によって住家、農家に大きな被害も生じました。ハウスの張りかえ支援、道路の降灰の除去、高齢者を初めとする被災者の降灰除去支援などが今要望されているところであります。地震、豪雨、火山噴火、災害続きの熊本県の被災者に寄り添った支援を一層強化していただきたい、このことをお願いしたいと思います。
 それから、一部損壊世帯については、オール・ジャパンの制度で、政府が決断をしていただきたい、そのことも重ねて要望して、質問を終わります。
 終わります。