192-衆-総務委員会 就学援助の地域差拡大 消費税10%増税 田村貴氏「断念を」

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
 消費税と地方税について質問をします。
 消費税の八%増税が、国民の消費マインドを大きく低下させました。
 先日、我が党の梅村さえこ議員が取り上げました経済財政白書、平成二十八年版でありますけれども、「個人消費は二〇一四年の消費税率引上げ以降、力強さを欠いた状態にある。」と、ここでもちゃんと書かれているわけであります。
 地域経済にも大きな打撃を与えているこの消費税増税。自治体も、この消費税増税を反映した産業連関分析を行っているところであります。
 例えば三重県ですけれども、五%から八%への引き上げで、家計消費支出の減少額は六百九十八億円としました。県内産業にもたらす経済波及効果は、生産誘発額でマイナス五百六億円としたところであります。
 一〇%になればどうなるのか、新潟県が試算しました。減少する民間の消費支出が五%とした場合、GDPはおよそ二%縮小するというふうにしています。
 また、宮崎大学の入谷貴夫教授は、八%増税における宮崎県の経済影響を試算いたしました。三百二十七億六千万円の消費が減少することになり、宮崎県全体で三百九十三億一千六百万円の生産減少が生じるとしました。付加価値は二百六十三億七千七百万円減少、うち雇用者所得は百七億八千六百万円の減少、就業誘発者は四千百六人の減少としたわけであります。
 そこで、高市総務大臣にお伺いをいたします。地域経済にとっても、住民生活にとっても大きな負担をかぶせることになったこの消費税の増税について、自治体や学者の方がこのような試算と指摘をされています。どう受けとめておられるでしょうか。


高市国務大臣 地方消費税は、地域間の偏在性が小さく、税収の安定性も高いことから、社会保障制度を支える地方団体の財源としてはふさわしいものだと考えています。ですから、その税率の引き上げは必要なものだと認識をしています。
 平成二十四年十二月の政権復帰以来、一貫して経済再生に取り組んできております。また、平成二十六年に消費税率を五%から八%に引き上げる際には、五兆円規模の経済対策を実施しています。
 これらの結果、各都道府県の平成二十八年度当初予算において、平成二十四年度当初予算と比べて、全ての都道府県で法人関係税が増加するなど、アベノミクスの成果が徐々に地方にも波及している状況でございますので、今回、一〇%への引き上げを二年半延期することとしていますが、平成三十一年十月の引き上げ時期に向けて、さらに政策を総動員して、引き上げが確実に実施できる環境を整えてまいりたいと存じます。


田村(貴)委員 やはり二回にわたる延期というのは、もうできないということを実証しているにほかならないと思います。
 消費税と自治体の関係でいいますと、公共料金への転嫁というのが求められてまいります。自治体の首長におかれては、苦渋の選択を迫るものでもあります。そして、住民生活への影響を考慮して、転嫁を見送った自治体もあります。
 地域自治体、それから地方経済、雇用、そして地域住民の生活に大きな打撃となる消費税の一〇%増税は、延期ではなくて、この際中止とすべきと考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。


高市国務大臣 消費税率の引き上げは、安倍総理が先般答弁されたとおり、世界に冠たる社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすとともに、市場や国際社会からの国の信認を確保するために必要であると考えております。
 消費税率の引き上げを確実に実施するために、私としましても、経済の好循環を拡大して、地域住民の皆様に景気回復を実感していただけるように、地域に働く場、雇用を生み出していけるローカルアベノミクスを一層推進してまいります。


田村(貴)委員 それがうまいこといっていないから、増税すべきではないというふうに主張をしたいと思います。
 先ほど述べました経済財政白書なんですけれども、消費に力強さが見られない階層として、総務省の家計調査をもとに、世帯主が三十九歳以下の世帯、若年子育て期世帯を第一に挙げているわけであります。そして、その背景として、「子どもに対する保育料や教育資金、社会保険料などの負担が発生する中で、将来も安定的に収入を確保できるのか、老後の生活設計は大丈夫なのかといった将来不安が考えられる。」この白書ではそういうふうに指摘しているわけであります。
 そこで、子どもの教育にかかわる消費支出の負担軽減策として、きょうは就学援助制度について質問をさせていただきたいと思います。
 子どもの貧困率が上がる中で、さまざまな支援措置が必要になってまいります。その中で、就学援助制度というのは、欠くことのできない根幹の制度と私は考えます。
 今日の状況のもとで就学援助制度の果たす役割について、説明をしていただきたいと思います。根拠法である憲法とそして教育基本法、ぜひそのところも引用していただきたいと思います。お願いします。


瀧本政府参考人 お答え申し上げます。
 就学援助制度は、憲法第二十六条「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」及び教育基本法第四条第一項「すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、」、第三項で「国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学が困難な者に対して、奨学の措置を講じなければならない。」と。これらに基づきまして、さらに学校教育法の十九条において「経済的理由によつて、就学困難と認められる学齢児童又は学齢生徒の保護者に対しては、市町村は、必要な援助を」行わなければならないと規定されております。
 このように、就学援助制度は、義務教育段階におきます教育の機会均等を実現するために重要な制度であると考えております。


田村(貴)委員 まさに重要な制度であります。
 今答弁いただいたところでいきますと、公立小中学校の授業料とそして教科書が現在の無償化の範囲となっています。憲法が要請する義務教育無償化については、一部実施されているだけであります。
 この中で、就学援助制度というのは、義務教育無償化につながるものとして実施されてきて、そして、それがひとしく就学困難な児童生徒に対して適用される、このことが今求められているというふうに思います。
 資料をお配りしています。資料1は、就学援助受給者、要保護者と準要保護者の推移を記したものであります。著しい増加傾向にあることが読み取れます。直近の二〇一三年度では、一五・六八%の援助率であります。百五十四万人が受けています。準要保護者の受給率は、全体の九割近くにまで及んでいます。
 要保護者については、二分の一の国庫補助金がつきます。
 準要保護者については、二〇〇五年、平成十七年に一般財源化されました。市町村の事業となったわけでありますけれども、これはなぜ一般財源化したのでしょうか。大臣、お答えいただけるでしょうか。

(配布資料はコチラ)


高市国務大臣 三位一体改革の中で、平成十七年度から一般財源化することとされました。
 まず、なぜかということですが、準要保護児童生徒に対する就学援助に係る国庫補助金については、長年にわたって地方自治体において実施されてきた事業であり、既に地方の事務として定着しているものであること、地方団体が税源移譲対象に挙げていること、一般財源化すれば、地方自治体において地域の多様なニーズを踏まえ、より柔軟な対応が成ることなどを踏まえ、当時、一般財源化を決定したと承知をしています。


田村(貴)委員 その国庫補助制度の廃止によって、少なくない地方自治体の中で認定基準の引き下げが行われてまいりました。
 例えば、二〇〇七年、市町村の就学援助制度の運用実態について、全国の市町村教育委員会へ調査票を送付して行った民間の結果がございます。一般財源化で認定基準を引き下げた自治体が百四十三に上りました。引き下げた理由としては、全体としての歳出削減策を挙げたところが四一・三%、準要保護分補助金の廃止を受けた、それを理由としたところが三九・九%とされています。
 このように、認定基準を引き下げた、そういう傾向にあったことについて、文部科学省は掌握されているでしょうか。


瀧本政府参考人 お答え申し上げます。
 一般財源化後の平成十七年度における準要保護児童生徒に係る認定基準等の変更状況について、文部科学省で平成十八年一月から三月に調査を行いました。その結果、平成十七年度に準要保護児童生徒の認定基準等の変更を行った市区町村は百二十三市区町村あり、このうち、認定基準の引き下げ、または認定要件の縮小を行ったものが八十七市区町村ございました。


田村(貴)委員 文科省の調査によっても、認定基準の引き下げあるいは縮小があったというふうに今お答えいただいたところであります。
 本来援助しなければならない小中学生の就学援助というのが、財源がないからといって抑制しようということは、これは私はあってはならないというふうに思います。自治体の財政力によって認定基準に大きな格差が生まれ、そして広がっている事態について、今から述べていきたいと思います。
 資料の2がそのグラフでありますけれども、文部科学省の平成二十六年度就学援助実施状況から、これは私の地元であります福岡県下の六十市町村についてグラフ化したものであります。給与収入をとっているところでは最大四百万円台、そして一番低いところは二百万円台、課税所得をとっているところが一番大きいところで三百万円台、下が百万円台といったところです。大きな差があるわけです。ある自治体では就学援助を受けられていたんだけれども、転勤とか引っ越しによってよその自治体に行ったら、あら、受けられなくなってしまったよといったところが、この今の状況を示しているところであります。
 子どもの貧困対策推進法が、二〇一三年、全会一致で成立をいたしました。この子どもの貧困対策推進法の一条には、次のような条文があります。「この法律は、子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、貧困の状況にある子どもが健やかに育成される環境を整備する」と書かれています。
 貧困の状況にある子どもが生まれ育った環境によって左右されてはならない、こういう法律のもとで、今、就学援助、非常に根幹となる施策でこのような自治体格差があるということは、これはやはり正さなければならない。私は、低い方に合わせよと言うつもりはもちろん毛頭ありませんけれども、これはやはり国の責任において改善をしていくべきであるというふうに思っています。
 なぜ自治体でこうした格差の拡大が生まれているのか、その要因について、文科省はどのように受けとめておられるでしょうか。


瀧本政府参考人 お答え申し上げます。
 その前に、大変申しわけありません。一点、おわびがございます。
 先生に配付いただいた資料2の下の課税所得のデータでございますが、先ほど先生から言及がございました一番下の百から百四十九万円、一自治体ですが、福岡県のある町でございましたが、私どもの確認を先ほどまでしておりましたが、確認の結果、大変申しわけありません、この一自治体というのをこの区分で先生の事務所に御提出したのは文部科学省でございますが、二つ上の区分の二百から二百四十九万の誤りでございました。大変申しわけありません。つい先ほど確認されました。申しわけありません。
 御質問の方にお答えさせていただきます。
 就学援助制度は、学校教育法第十九条の規定により、市町村に実施義務が課されているものであります。準要保護の認定基準につきましては、従来から各市町村が定めているものでございまして、各市町村が地域の実情に応じて判断をして決めているためと認識をしております。


田村(貴)委員 数字の訂正は了承いたしました。その町は引き上げたということで、これはよかったのではないかなと思います。
 それでも、二百万円台と三百万円台、課税所得ではこれだけの差があるということなんですね。それは事実ですね。
 そして、今御答弁いただいたんですけれども、自治体の判断ということを理由にしてはだめですよ、これだけ開きがあるんですから。その要因をやはり曖昧にしてはいけません。なぜこれだけの開きが出てきているのか。頑張ってやっている自治体もありますし、どうしてもやはりこれだけの基準を設けることができない、それは財政難であるから、こうして述べる自治体も少なからずあるわけなんですよね。財政困難な自治体は、限りなく生保基準に近づけていくわけですよ。これはもうよく御存じのことだと思います。
 私は福岡なんですけれども、西日本新聞とNHKが、九州、沖縄の全市町村調査を行いました。五月三十日付の西日本新聞に大きく報道されているんですけれども、ここでは地域差三倍と報道されています。生保基準一・一で、収入基準が最も低い額の宮崎県高鍋町の担当者はこういうふうに述べています、財政が厳しく、予算確保が困難、国庫補助を復活させてほしいと。
 財政難で認定基準を低くせざるを得ないと自治体が言っているじゃないですか。国庫補助の廃止と一般財源化によって、自治体間に制度の運用差が生まれてきたんです。そのことについては、これはシビアな現実なんですよ。
 お認めになりますか。文科省、いかがですか。


瀧本政府参考人 お答え申し上げます。
 準要保護の認定基準につきましては、三位一体の改革の以前から各市町村がその基準を定めているものでございまして、各市町村が地域の実情に応じて判断をして決めてきたという経緯があるものと認識をしております。


田村(貴)委員 文科省から樋口政務官にお越しいただいております。事務方の答弁は、これだけの自治体間格差があると言うんだけれども、それは自治体の自主性だと言うんです。先ほど言いましたように、ある市では就学援助を受けられたんだけれども、隣町に行ったら受けられない。これはやはり、憲法、学校教育法、教育基本法、そして今おっしゃっていただいたところの意義からいっても、貧困対策推進法の趣旨からいってもおかしいということも含めて、後で御答弁いただきたいと思います。
 お認めにならないので、また数字を挙げざるを得ないんですけれども、準要保護者の減少というのは、補助金削減前の七年間、ここにおいてはわずかに一県、二年連続のこの一県だけだったということなんですよ。しかし、一般財源化された二〇〇五年は三都県にふえたんです。
 政務官、今からずっと言いますね。二〇〇七年度、二〇〇八年度は、七都府県と大きくなってきた。そして、二〇一一年度は十四都道府県にふえて、二〇一二年度は二十五都道府県。そして、資料をいただいた直近の二〇一三年度では三十三都道府県に、前年度比で、この基準、引き下げてきたわけなんですよね、就学援助を受ける人の数が下がってきたということなんです。
 なぜそうなっているのか。やはり、就学困難な状況にあるにもかかわらず、住んでいる自治体の基準が厳しくて就学援助が受けられないという子どもがいることは、間違いのない事実であります。だから、私は、まずここを調査すべきだというふうに思うわけなんです。
 実際に、例えば、先ほどは西日本新聞を挙げましたけれども、ほかの地方紙では、琉球新報の八月十三日付に、財政難を理由に基準のハードルを上げ、財政力の弱い市町村ほど援助枠を狭める傾向にある、こう指摘されています。援助対象を狭める傾向は全国でも同様というふうに報道もされています。これは事実であります。
 政務官、るるお話しさせていただいたんですけれども、子どもの貧困がこれだけ重要な問題となってきています。義務教育無償化に向けた、この役割を持つ就学援助制度というのは非常に大事で、その財政措置のあり方に今十分な検討が求められてきているのではないかな。一般財源化による影響と、そのふさわしい財政措置のあり方、まず調査する、検討を始めていく、そこを私は必要性を感じますけれども、政務官、いかがでしょうか。


樋口大臣政務官 先生から、認定基準の引き下げがふえているというお話、そして、調査したらどうかという御提言をいただいております。
 準要保護児童生徒に対する就学援助については、総務省において適正に地方財政措置が講じられているという認識をしております。その上で、各市町村における準要保護認定の基準、また支給の内容については、市町村の判断で実施をしているところでございます。
 一方で、平成二十六年八月に閣議決定をされました子どもの貧困対策に関する大綱において、国として就学援助の実施状況を定期的に調査し、公表するとともに、就学援助ポータルサイトを整備するなど、就学援助の適切な運用、きめ細やかな広報等の取り組みを促し、各市町村における就学援助の活用、充実を図ることとされておりまして、現在、この対応を実施しているところでございます。
 文部科学省といたしましては、引き続き、就学援助実施状況等調査などを実施することによりまして、各市町村の就学援助の充実に向けた検討に資してまいりたい、このように思っております。


田村(貴)委員 政務官、今の大綱に基づく文科省の取り組みについてはわかりました。
 それでは、今の現状については、やはり改善するところは改善しなければいけないし、ふさわしい財政措置も地方交付税で総務省が行っていると聞きました。それは、その割合が上がっていることについては私も認めています。しかし、自治体の現実はこうである、こうした問題があるということについてはやはり手を打たなければいけない、そういう認識は共有していただけるでしょうか。政務官、いかがですか。


樋口大臣政務官 先生の御認識は共有させていただきたいと思います。
 御案内のとおり、これは地方からの御要望を受けて三位一体改革を行っているところでありまして、その際に一般財源化されたものだというふうに思っております。
 いずれにしても、私どもは就学援助制度を所管する文部科学省として、各自治体が地方の実情に応じて、経済的理由により就学困難な児童に援助できるよう、地方財政制度を所管されています総務省と連携しながら適切に対応してまいりたい、このように考えております。


田村(貴)委員 高市大臣、同じ質問でございます。御所見があったら、お願いします。


高市国務大臣 文部科学省が毎年度実施している各市町村の実施状況調査の決算額も踏まえた上で、就学援助の所要額が児童生徒数に比例するという考え方のもとで、各市町村の児童生徒数に応じて普通交付税によって措置をさせていただいております。
 つまり、準要保護児童生徒に対する就学援助については、一般財源化された従来の国庫補助分も含めた地方負担の全額について地方財政措置を講じているということです。
 さらに、普通交付税の算定上、一般財源化された国庫補助金相当分の地方負担額については、従来の国庫補助金の配分基準も踏まえた補正を行うなど、きめ細やかな措置を講じておりますので、今後も、地域の実情に応じて、経済的に厳しい児童生徒に援助ができるように適切に対応してまいります。


田村(貴)委員 子どもの貧困の状況のもとで、就学できない児童生徒があまねくこの制度が受けられるように、そして、自治体が安心してこの制度が適用できるように、財政面を含めた措置をぜひ文科省にも総務省にもお願いしたい。以上を主張させていただきたいと思います。
 残った時間で、被災者と消費税について質問させていただきます。
 今から三年後には一〇%への増税になるんですけれども、これからの被災者の生活となりわいの再建にとって、これはまた消費税増税が重大な障害になるというふうに思うわけです。
資料の3であります。ことしに入ってからの主な災害と、それによる住家の被害件数をまとめました。先月の鳥取地震を含めて、ことしに入って主なものだけでも十四もの雪害、地震、台風、豪雨等が全国を襲っているわけであります。被害がこれだけ出ています。全壊、半壊、一部損壊を含めて実に十八万五千七百五十六棟。
 そのほかに、東日本大震災で今もなお十三万人の方が避難生活を送られています。今後の生活と、そして住宅の再建の上で消費税の一〇%というのが重くのしかかってくるわけであります。
 そこで、お尋ねします。財務省にお伺いします。
 消費税の増税というのは、家も失った、そうした被災者にも例外なく課税されてまいります。家となりわいの再建で、この被災者の消費支出にかかわる上で減免制度というのはあるんでしょうか。


井上政府参考人 お答えいたします。
 消費税は、消費一般に広く公平に負担を求める税でございます。取引段階ごとに、前段階で負担した税額を控除する仕組みとなってございます。こうした消費税の性格や仕組みに鑑みまして、特定の地域や特定の方に配慮した措置は設けていないところでございます。


田村(貴)委員 そうなんです。厳しい制度なんです。
 総務省にもお伺いします。
 例えば、自治体が、被災をされた方の消費税一〇%の負担、その支出を軽減する措置をとる工夫は何かありますか。そういう施策はありますか。


林崎政府参考人 お答え申し上げます。
 税制という意味で、地方消費税制度においては、国の消費税と同様に、税の性格や仕組みに鑑みまして、特定の地域や特定の方に着目した特例措置といったものは講じられてはおりません。
 その上で、例えば、東日本大震災の被災者の生活再建について、消費税率引き上げのときに、地方公共団体の施策についてのお尋ねというふうに受けとめまして申し上げますと、地方税制を担当する立場でございますので、各地方団体の施策を詳細に把握しているわけではございませんけれども、地方団体の対応の中には、住宅再建時の借り入れに係る利子補給、住宅移転時の引っ越し費用補助などについて、消費税率引き上げに伴って、その影響を勘案して、それまでの補助額を増額した、そういった例があるというふうに承知をしているところでございます。


田村(貴)委員 だから、この消費税の一〇%を減免する制度はないんですよ。
 例えば、熊本県の被災者でいいますと、三年後といいますと、仮設住宅を出て、そして住む家を決めて、家具や調度品をそろえていく。一番物入りのときに大課税を課していく。傷口に塩をすり込むようなこういうやり方は、やはり間違った政治だと私は思います。
 熊本だけではありません。もうことしだけでもこれだけの災害があって、そして何の罪もない人が、家を失い、財産を失っているわけですよね。そして、二年たったら仮設住宅は出ていかざるを得ない。そして、家を見つけ、あるいは家の再建のためにまたローンを組んで、また新たに家をつくる、そこに消費税というのは重くのしかかってくるわけです。そんな塗炭の苦しみを被災者にも味わわせる、そんな消費税一〇%というのは行うべきではありません。
 朝から晩までの買い物にかかるこの消費税。だからこそ、この人に、この買い物だけは減税するということは、今答弁がありましたように、制度上難しいんです。できないんですよ。だとするならば、こういう状況下にあって、冒頭申しました、地方経済、雇用、そして住民の暮らし、加えて、災害が起こってこれだけ大変なときに、三年後であろうとも、消費税増税というのは間違いであります。
 延期ではなく、きっぱり中止することを強く強く求めまして、きょうの質問を終わります。