193-衆-総務委員会 自治体職員 国の削減強要を告発 田村議員 被災地応援に障害 衆院総務委

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
 きょうは、自治体職員の増員の必要性について質問します。
 二月十六日の本会議で、私は、自治体業務の委託化、民営化によって地方自治体の職員が一貫して削減されてきたこと、そして、総務省の推し進めた集中改革プランによって、その地方公務員の削減は自治体の力を大きく後退させてきたことを指摘いたしました。そして、この人員削減が被災地の応援要請に応えられていないということで、大臣の認識を問いました。これに対して、高市大臣は、「総務省は、これまでも、被災自治体における派遣のニーズを丁寧にお伺いしながら、必要な職員の確保に努めてまいりました。」と述べられました。
 しかし、東北三県においても、熊本県においても、必要とされる応援職員が確保されていません。被災地における職員不足が慢性化していることが、今大きく報道されています。
 お配りしている資料の1は、河北新報三月二日付の報道にあった職員確保の推移であります。これによりますと、二〇一六年四月一日現在で、岩手県は六十二人、宮城県は二百二十七人、福島県は五十二人足りていません。
 総務省の直近の発表、ことし一月一日付の資料でも、岩手県、宮城県、福島県、ともに不足の傾向であることに変わりありません。

(配布資料はコチラ)

 また、熊本県においては、二〇一七年度で、十三市町村が二百十七人の応援職員を求めていますけれども、県外からの応援職員は九十二人しか確保されておらず、県内での応援三十人を新たに加えたとしても五六%しか確保されていない、確保できない、厳しい状況に直面しています。
 高市大臣、必要な職員の確保というには、まだ言えない状況ではありませんか。お答えいただきたいと思います。
〔委員長退席、左藤委員長代理着席〕


○高市国務大臣 二月十六日の衆議院本会議で御質問をいただきました。私の答弁ですが、総務省は、これまでも、被災自治体における派遣のニーズを丁寧にお伺いしながら、必要な職員の確保に努めてまいりましたというものでございました。
 東日本大震災や熊本地震の被災地からの派遣ニーズにつきましては、昨年十二月に平成二十九年度分の要請数について取りまとめまして、現在、各地方自治体に対し、派遣の働きかけを行っております。
 このような職員派遣の法的根拠としましては、被災自治体は地方自治法第二百五十二条の十七に基づき応援職員の派遣を求めることができ、当該規定に基づく派遣に必要な経費に対しては、特別交付税措置を講じることで職員派遣の促進を図っています。
 一方で、派遣を行うか否かというのは各地方自治体の自主的な判断によるため、その御理解をいただくことが重要でございます。全国会議の場においても、毎回時間を確保して、被災団体から直接ニーズを説明していただくとともに、総務省からも要請しています。また、地方公務員月報を活用して、被災団体の長の方々それから総務担当部長から、被災団体の実態を九回にわたって連載もしています。きめ細やかな取り組みをしてまいりました。
 充足しているかどうかということですが、被災団体の派遣ニーズに対して、東日本大震災に関しては八八・七%、熊本地震に関しては八六・二%の充足率でございますので、いまだ充足していない部分があるのも事実でございます。
 しかし、総務省としては、できる限りこの不足分を解消すべく、今後も、さまざまな場で各地方自治体に説明をし、要請を重ねてまいります。


○田村(貴)委員 大臣、お答えにありましたように、充足されていない事実はあるわけなんですよね。
 なぜこういう事態になっているかということで、私、本会議でもう一問大臣に問いました。集中改革プラン、この五年間で十八万人を超える職員の削減というのが応援派遣に困難をもたらしているのではないですかと言ったんですけれども、お答えありませんでした。お答えいただけるでしょうか。


○高市国務大臣 地方公共団体の職員数につきましては、平成十七年から平成二十二年の五年間、国、地方を通じた効率的で質の高い行政の実現を図るという観点から、行革推進法などに基づいて、各地方公共団体に対して、具体的な削減目標を掲げた集中改革プランを要請していました。
 集中改革プランの期間終了後は、各地方公共団体の定員管理につきましては、地域の実情を踏まえながら、自主的に適正な定員管理の推進に取り組むように助言をしています。
 地方公共団体の職員数は、ピーク時の平成六年比で五十四万人の減少となっていますが、この間も、防災部門の職員数は約三倍の増加、復興に必要な土木、建築の技師についても近年増加傾向にございます。土木技師は平成二十四年から四年連続で、建築技師についても平成二十一年から七年連続で増加しています。
 ですから、地域の実情を踏まえながら、行政需要の変化に対応した、めり張りのある人員配置を地方公共団体で行っていただいていると認識をしております。その中で、できる限りの被災地支援に取り組んでいただけると考えております。


○田村(貴)委員 大臣そうおっしゃいますけれども、やはり行革で五十四万人、集中改革プランの間で十八万人、地方自治体の職員が減ったという事実が今の応援派遣職員の困難をもたらしているということは、もう間違いない事実であります。
 熊本県では、県内市町村からの応援派遣は特に厳しい状況でありまして、熊本日日新聞が次のように報じております。県北のある市は派遣の方針を変えていない、行政改革で職員数はぎりぎり、少ない技術職員を割けばみずからの業務が回らなくなる、担当者の声を挙げて紹介している状況であります。
 集中改革プランによって、どれだけ職員が減っていたのか。岩手県下の市町村では一〇・五%、宮城県下の市町村では九・二%、福島県下の市町村では八・六%、熊本県下の市町村の職員は九・〇%減ってきたわけであります。これが復興の足かせになっているのであります。このことの総括と反省が本当に大事であるということを、私はこの場で指摘しておきたいと思います。
 そして、大臣も今言われましたけれども、被災自治体で最も厳しいのは技術職の確保の問題であります。土木職は、岩手県で十八人、宮城県では九十八人、福島県では十一人、足りていません。熊本県では二、三割程度しか確保されていないという状況であります。大臣は本会議で、土木技師は平成二十五年から二年連続で、建築技師につきましても二十一年から五年連続で増加傾向にある、今も御答弁がありました。
 資料2をごらんいただきたいと思うんですけれども、確かに数字の上では技術職は増加の傾向にあります。しかし、この上の表の土木を見ていただくとわかるんですけれども、最も落ち込んだ二〇一二年、平成二十四年と比べても、わずか土木技師の増員は三千人にとどまっているというところです。しかし、この間の行革で見ますと、一万七千人の職員が削減に遭ってまいっています。
 したがって、こういう状況を見るならば、被災自治体の要望に応えるにはかなり厳しい状況にあるのではないかと私は思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。


○高市国務大臣 先ほど私が答弁申し上げたのは、土木技師は平成二十四年から四年連続で、建築技師についても平成二十一年から七年連続で増加していると申し上げました。
 地方公共団体では、総職員数を抑制する中においても、行政需要においてめり張りのある人員配置が行われていると考えております。これは、地方公共団体の御判断で、必要な行政ニーズに対応した職員配置をしていただいております。また、都道府県ですとか政令市にあっては、被災市町村の派遣職員を確保するために、条例定数の増加や任期つき職員の採用などによって増員を行ってくださっている団体もございます。
 この被災地方公共団体に対する応援職員の派遣につきましては、総務省として、既にさまざまな取り組みを通じて確保に努めているところですので、引き続き、各地方公共団体に対して、できる限りの職員派遣をお願いしてまいります。


○田村(貴)委員 大臣、私は、総務省も大臣も音頭をとっていただいて、応援職員の確保に努力されていることについては認めております、評価もさせていただいています。
 しかし、その努力がなかなか、今、熊日新聞の話を言いましたけれども、出したくても出せない、自分のところで手いっぱいだという状況がある。それはどこに原因があるのかというと、この間のやはり行革の押しつけにあった。これはもう間違いのない事実であります。だとするならば、こうしたやり方から脱却する必要があるんじゃないかということを、私は強く求めていきたいと思うんです。
 それで、資料の3なんですけれども、これは総務省から出していただいた資料であります。熊本県下の土木技師数の市町村ごとの推移をまとめたものであります。
 ごらんになってもうおわかりいただけると思うんですけれども、ほとんどの自治体にとっては、土木技師数の増加というのは読み取れません。しかも、規模の小さい町や村ではほとんどゼロという状況で、これが改善をされている傾向もありません。
 総務省にお伺いしますけれども、これはいただいた資料から私たちこういうふうに表をつくったんですけれども、小さい自治体の技術職員の不足というのは、これは今大変な深刻な事態にあるのではないか。まさに、被災地においたらその意味はますます厳しいのではないかなと私は思うわけですけれども、どう認識されているでしょうか。
〔左藤委員長代理退席、委員長着席〕


○高原政府参考人 御答弁申し上げます。
 政令指定都市や特別区を除く一般市及び町村における土木、建築の技師の数につきましても、全体の傾向と基本的に同じ状況になっておりまして、平成十一年をピークに、平成二十四年で八千八百七十五人、約一七%の減少となっておりますが、全国的には近年は増加傾向にあるということでございます。
 具体的には、一般市及び町村における土木技師については、平成十一年をピークに、平成二十四年度まで減少し、その後、二十四年と比べて五%増加しております。建築技師についても、平成十二年をピークに、平成二十一年まで減少し、その後、一〇%の増加傾向にございます。
 厳しい財政状況の中にあっても、各団体において、技術職員の確保に向け、最大限の努力を講じておられるものというふうに認識しております。
 以上でございます。


○田村(貴)委員 これは、部長さん、ゼロですよね、ゼロ。小さい自治体において、技術職員、土木技師数はゼロとなっているんです。
 なぜここは私は熊本県を持ち出してきたかというと、被災地だからでありますよ。復興復旧に多くのマンパワーを必要とする。現状はどうなのかというと、技術職員がいない、小さな町や村ほど被災が大きかった、ここで応援職員を求めても来てくれないという状況があって、これは本当に厳しい状況であるのではないかと私は問うたんですけれども、全体的にはこの間伸びているという認識。ちょっと認識を変えていただきたいと思うんですよ。
 改めてお尋ねしますけれども、私、去年のお盆明けに被災地を回りました。熊本のある自治体の市長さんはこう言われました。応援職員を七人求めているんだけれども、一人も来てくれていないと。それが私はずっと気になっていました。
 この間、我が党の地方議員さんを通じてまた聞いていただいたんですけれども、ある町、A町では応援職員の充足率は六割という状況でありました。ある町、B町では、四人希望しているんですけれども、ゼロのままだということであります。このB町というのは、私が去年聞いた、七人要請したけれどもゼロである、今四人要請しているというんだけれどもゼロであると。いずれも、小さい町は農業技術職、土木職員を切望しておられるわけなんですよね。
 両自治体ともに土木職員は、この中にあります、ゼロなんです。ゼロ自治体職員なんです。このゼロ自治体職員の中で、被害の査定とか、それから復旧復興をするための工事、土木技術職員が要るんだけれども、要請しても来ない、この状況については認識していただきたいと思うわけなんです。
 復旧が進んでいきません。即刻手だてを打つ、ゼロ自治体で応援ゼロのこういう自治体にこそ、やはり手を差し伸べるべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。


○高原政府参考人 御答弁申し上げます。
 熊本地震における被災市町村への平成二十八年度の職員派遣の状況については、本年一月一日現在で、三百十二名の要請数に対し、全国の地方公共団体から二百六十九名の職員派遣を行っていただいております。
 また、平成二十九年度分につきましては、九州、山口九県で確保された百九名を除き、二百二十二名について、平成二十八年十二月七日付の総務省公務員部長通知により、全国の地方公共団体に対して職員派遣の協力をお願いしているところでございます。
 私ども、通知を出すだけじゃなくて、引き続き、個別団体への働きかけなどを通じて、職員が充足するように努めてまいります。
 以上でございます。


○田村(貴)委員 部長、今、私、非常に限定した話を言ったんですよ。土木技術職員がいないゼロ自治体で応援派遣要請をしている、被災した後、その後の台風被害にも遭った、本当に必要なんだけれども、要請しても来ないという小さな自治体がある、こういうところには即刻手だてを打つべきではないかと。
 高市大臣は被災自治体における派遣のニーズを丁寧にお伺いしながらと述べておられるんですから、この丁寧な聞き取りと、そして即刻手だてを打つということを求めたいと思うんです。
 もう一回お答えいただけますか。


○高原政府参考人 御答弁申し上げます。(田村(貴)委員「全体はいいですよ」と呼ぶ)はい。
 本年一月一日現在で、土木職につきましては、要請人数百五人に対して九十七名ということで、充足率九〇%以上でございますが、特に農業土木につきまして、四十六人の要請に対して対応が今二十七人ということで、六割を切っておるということで、私ども、大変大きな問題であるというふうに認識しております。
 総務省といたしましては、熊本県と協議を行いまして、被災市町村における農地被害の災害査定等に適切に対応するため、熊本県において、県や土地改良事業団体連合会から支援職員を派遣する等、さまざまな取り組みを行っているところでございます。
 以上でございます。


○田村(貴)委員 しっかり認識をしていただいて、そして即刻対応していただきたいと重ねて要望しておきたいと思います。
 次に、人員が不足している大きな問題となっているのが、水道の現場のことであります。
 厚生労働馬場政務官にきょうもお越しいただいております。
 二月二十一日の本委員会の質問で、私、水道職員の不足問題を指摘しました。そうしたら、政務官の方から次のような答弁がございました。水道事業を支える職員数の減少につきましては、水道事業の基盤を揺るがしかねない重大な課題と認識しているところであります、加えて、施設の老朽化の進行や料金収入の減少など、水道事業は深刻な課題に直面しており、水道事業の基盤強化が喫緊の課題となっておりますということであります。
 厚労省にお伺いしたいんですけれども、水道事業の基盤を揺るがしかねない重大な課題と認識するもとで、職員の確保に対し、地方自治体に何か発した文書というのはあるんでしょうか。


○北島政府参考人 お答えいたします。
 水道事業は、自治体が独自に実施する事務であることから、地域の実情に応じて自主的に、適正な定員管理、人員配置を行っていただくことが基本になると考えております。
 しかし一方で、水道施設の老朽化や人口減少に伴う料金収入の減少、事業を担う職員の大幅な減少など、水道事業を取り巻く厳しい状況に鑑み、厚生労働省としても、水道事業における職員の確保の必要性を各水道事業者に対して示してきております。
 平成二十五年三月に策定し、水道事業者にお示しをしている新水道ビジョンにおいては、多様な災害等の発生が懸念される中、職員数が減少し、職員も被災する可能性がある状況下においても、最低限のサービスが継続できるように事業継続計画を策定することや、広域的な水道施設の被災を想定した相互応援のネットワーク化の推進が課題であるとし、また、目指すべき方向性として、水道事業に精通する職員が適切に配置され、地域に根づく水道サービスの信頼を支えるとともに、人員の確保と育成が計画的に行われることなどを挙げております。
 また、厚生科学審議会の水道事業の維持・向上に関する専門委員会の報告書においても、今後の水道行政において講ずべき施策の基本的な方向性として、中小規模の水道事業者及び水道用水供給事業者においては、職員確保や経営面でのスケールメリットの創出につながり、災害対応能力の確保にも有効な広域連携を図ることが必要であると提言されており、これについても水道事業者にお示しをしてきたところでございます。


○田村(貴)委員 私は、地方自治体に対して具体的に発信した文書はあるのかと聞いたんですけれども、水道ビジョンとか、厚生労働省の見解を今るる説明されたと思うんです。私、余り緊張感がないなというふうに思うわけなんです。
 技術継承ができない、そして水道現場の技術職がいないということについて、では、具体的な対応というのは今何をしているのか。これを簡単に説明していただけますか。


○北島政府参考人 具体的には、水道の老朽化や、それから技術職員の減少、そういったことに対応するために、今回、広域化、広域連携などを進めていくことが重要であると考えており、水道法を改正いたしまして、スケールメリットを出せるような広域連携、そしてコンセッション方式など民間の力をかりるような改正を考えているところでございます。


○田村(貴)委員 具体的な努力はしていないじゃないですか。これだけ、技術継承ができない、職員不足で大変だ大変だと言っている。そこまでそうなんですよね。だったら、必要な職員を確保したらどうですか。
 そこを飛び越えて、民営化、そして官民連携、広域化、これが答えなんですか。水道法の改正は万能なんですか。コンセッション方式については、この間の本委員会において、政府は笛吹けど踊らずという状況について、私、指摘しましたよね。今こういう状況に直面しているんだったら、現実的に、その職員不足を補おうというのが当たり前の行政のやり方じゃないですか。私は、そこをぜひ考え直していただきたいというふうに思います。
 横浜市では、技能職の採用を再開いたしました。これまで、現業職は誰でもできる仕事だということで委託化を進めてきたんですけれども、事故がふえてまいりました。そこで、管理職からも腰を据えて水道局の仕事をする職員をふやしてほしいと要望が上がって、水道技術枠での採用を行うことになったというふうに伺いました。これは学ぶべき取り組みだというふうに思います。
 必要な財政措置を保障していくことも総務省に求めていきたいと思うんですけれども、足りない人員がいて問題だというならば、そこにやはり手だてを打っていく、これがまさに求められると思います。
 高市大臣、横浜市の例も出させていただきましたけれども、いかがお考えでしょうか。


○高市国務大臣 各地方公共団体において、地域の実情を踏まえながら、行政需要の変化に対応して、自主的に適正な定員管理を推進することが重要でございます。この件に関しましては、助言の通知も昨年の十月に発出いたしております。
 総務省としましては、普通会計における技術職員も含めて標準的な業務に必要な職員給与費について、適切に財政措置を講じております。


○田村(貴)委員 地方財政審議会からの意見でも、もう地方公共団体の職員は削減してこれ以上減らすことは限界に来ているという意見も上がっているじゃないですか。そして、これだけの困難をきわめている地方自治体がある。そこはやはり増員をして手だてを打っていく、このことをしっかりと求めていきたいというふうに思います。
 それから、少なくとも、自治体の頭越しに広域化、民営化を押しつけるというようなことは絶対にやめていただきたい。このことを要請して、きょうの質問を終わります。
ありがとうございました。