193-衆-地方創生に関する特別委 公営住宅は増設こそ 規制緩和に懸念 確保は住宅政策の根本 田村貴昭議員

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
 分権七次一括法案のうち、公営住宅の改正法について質問をします。
 まず、公営住宅の集約を前提にした建てかえ事業について伺います。
 改正案では、これまでの現地建てかえ要件を緩和して、近隣地への建てかえを可能にするとしています。そして、移転先については、居住者の生活環境に著しい変化を及ぼさない地域内に確保されることと配慮義務が定められています。居住者の生活環境に著しい変化を及ぼさない地域内とは具体的にどういう地域を想定されているんでしょうか。御説明いただきたいと思います。


伊藤政府参考人 お答えいたします。
 今回の改正においては、建てかえ計画は、公営住宅建てかえ事業が除却する公営住宅の存していた土地に近接する土地に新たに公営住宅を整備する場合においては、新たに整備すべき公営住宅が入居者の生活環境に著しい変化を及ぼさない地域内において確保されるよう適切な考慮が払われたものでなければならないというふうにしております。
 具体的には、例えば同一駅利用圏や同一小学校区など、地域の交通状況、教育や福祉などの公共サービスの状況、地域的状況などの諸条件を総合的に勘案して地方公共団体において判断されるものと考えております。


田村(貴)委員 今言った例なんですけれども、地方自治体にはどうやって通知されていかれるんでしょうか。


伊藤政府参考人 お答えいたします。
 近接する土地の範囲につきましては、先ほど申し上げたとおり、同一駅利用圏や同一小学校区などを例示した上で、地域の交通状況、教育や福祉などの公共サービスの状況、地理的状況などの諸条件を総合的に勘案して地方公共団体が判断すべきだということを技術的助言として通知することを考えております。


田村(貴)委員 公営住宅における法定建てかえ事業は、整備すべき公営住宅の戸数は当該事業により除却すべき公営住宅の戸数以上であることとされています。あわせて、ただし、当該土地の区域内で新たに社会福祉施設等を整備する場合は、建てかえ計画の申請をする日において入居者の存する公営住宅の戸数以上であれば足りるとなっています。つまり、入居者の数ということでされるわけであります。
 入居者の戸数以上となれば、これは、コンパクトシティーを目指すまちづくりの中で公営住宅の集約を行う場合は提供戸数が減ってしまう可能性があるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。


伊藤政府参考人 公営住宅の法定事業については、原則として従前の戸数以上を確保することとしておりますが、社会福祉施設を整備する場合等特別の事情がある場合には、従前の入居戸数以上を確保することが要件となっております。
 今回の法改正においては、近接地における建てかえを可能とするというものでございますが、現行の戸数要件に関しては何ら変更を加えていないところでありまして、この改正によって公営住宅を減少させていくというような趣旨のものではないと考えております。


田村(貴)委員 例えば、入居者の戸数以上ということになれば、ある団地とある団地が集約する、一つの団地は著しく老朽化していて人気がなく、入居者数そのものが少ない、これが集約化されて建てかえとなっていくわけです。こうなると、やはり提供戸数そのものが、従前と建てかえ後では減っていくのではないかなと思いますけれども、いかがでしょうか。


伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の法定事業に近接地における建てかえ事業を加えるに際しましては、先ほど御説明いたしましたとおり、原則として従前の戸数以上を確保することとする現行の戸数要件に何ら変更は加えていないところです。
よって、公営住宅団地を集約する場合にあっても、基本的に、従前の各団地の戸数の合計を確保することが法定建てかえの要件となっております。したがって、現地建てかえと同様に、社会福祉施設を整備する場合等特別の事情がある場合を除き、今回の改正によって戸数が減少されるという性格のものではないというふうには思っております。
 いずれにしましても、地方公共団体において、このような要件のもと、地域の実情を踏まえた建てかえ計画に基づき適切に整備がなされるものと認識しております。


田村(貴)委員 しかし、その懸念と心配は尽きないというふうに私は申し上げたいと思います。
 近隣地の指定も、先ほど例を言われましたけれども、やはり住民にとってみたら、環境とかコミュニティーが変わってしまうのは間違いありません。それから、入居者数を基本とすると、これはもう数の問題ですから、必ず減ってくるという心配があることをこの際指摘しておきたいと思います。
 集約を図りたいという自治体側の目標はいろいろあると思います。その中で、財政上の理由を挙げているところもあります。これはある県ですけれども、紹介します。本県では、平成三十七年次までに十団地を用途廃止し、中・大規模団地へ集約する目標値を設定しており、厳しい財政状況の中で再編整備を効果的かつ効率よく推進するためには、非現地での建てかえを法定建てかえとして実施できるよう現地要件を緩和することが必要であると、財政上の理由を立てておられるわけであります。
 こういう理由で公営住宅を集約していけば、おのずと提供戸数が減っていくのではないかという懸念もあわせて指摘しておきたいというふうに思います。
 続いてお伺いしたいと思います。
 今度の改正案では、政令で上限額と下限額を定めた範囲内で、収入基準を条例委任するとしています。この入居収入基準を超えた超過収入者のことについて、この対象となるのはどのぐらいの世帯であるのか、退去を求められる入居者がふえていくのではないかという心配については、どういうふうにお答えなされますか。


伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
 今般の法改正案において、地方公共団体が条例で決定することとなる高額所得者の収入基準の範囲につきましては、月収二十五万九千円、要は収入分位五〇%、年収でいいますと六百万弱になりますが、以上を超えて、収入分位六〇%以下、三十一万三千円以下の範囲内を政令で定めて、条例で委任するということを検討しております。この範囲内の収入に該当する入居者の割合は、これは平成二十六年度末時点でございますが、全国で約一・六%であります。
 ただ、今回の改正につきましては、全国一律の基準を残しつつ、地域の事情によって、特に必要と認められる場合に、条例によって、そういう高額所得者の収入基準の引き下げを可能とするものだということを申し上げさせていただきたいというふうに思います。


田村(貴)委員 一律にならないということは、各自治体が条例を設けるということでわかるんですけれども、いわゆる対象者については、公営住宅の全入居者が大体百九十万人というふうにお伺いしていますので、一・六%に当たるといえば、約三万二千人ぐらいというふうに計算上なりますけれども、そういうことでよろしいんでしょうか。


伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、全国の公営住宅の入居者の数は約二百万世帯でございますので、本当に機械的に今の一・六%を掛けると約三万世帯ということになります。
 ただ、先ほど申し上げましたとおり、今回は手挙げ方式で条例をつくるという格好でございますので、現在のところ、千六百七十六団体、公営住宅の事業主体がございますが、今のところ、条例によって場合によったら措置をしたいという御意向があると伺っているのは四十団体程度、約二%程度というふうになっております。
 また、今回の改正についての提案団体は、豊田市等六団体でございますが、これら六団体のこの範囲の収入に該当する世帯は、約三百三十九世帯というふうになっております。


田村(貴)委員 これからはわかりませんよね、今はそうであっても。
 それで、明け渡しを強制することにはならないという法律上の根拠があれば教えていただきたいのですけれども、いかがでしょうか。


伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
 現行の公営住宅法においては、事業主体が高額所得者に明け渡しを求める場合には、入居者の居住に対する必要な配慮が規定されておりまして、それらの規定については今回の改正においても何ら変更されることなく、同様に適用されることになります。
 具体的には、入居者やその家族が病気にかかっている等の特別な事情がある場合には明け渡し期限を延長できること、それから、ほかの公的住宅等へのあっせんに努めること、他の公的住宅への入居を容易にするよう特別の配慮をすること等としておりまして、明け渡しに当たって、丁寧に対応するということになっております。


田村(貴)委員 ぜひ、それは貫いていただきたいと思います。
 全国どこでも公営住宅の入居待機者がたくさんおられるわけです。今国会には住宅セーフティーネット法の改正案が提出されています。この背景には、本来、住宅セーフティーネットであるはずの公営住宅の応募倍率が高い状況にありながら、地方自治体財政の状況から新増設ができない、老朽化したストックの改修や建てかえをもって優先せざるを得ないという状況があるわけです。だから、空き家とか、それから民間賃貸活用を進めていこうとするものであります。これをよくする方向については、私たちは異論はございません。しかし、この住宅政策の根本に今据えるべきものは、公営住宅をやはり基本に据えること、そして、自治体が増設していきたいだけの財政措置をやはり行うべきだというふうに思うわけです。
 国交省の藤井政務官にお越しいただいております。
 公営住宅法は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」とうたった憲法二十五条に基づくものであります。現在の入居者が住み続けられること、その上で、入居待機者がいるのであれば、公営住宅を新たに供給していくことが本来必要であるというふうに考えるわけであります。
 住宅セーフティーネット法の改正はもちろんでありますけれども、一番のセーフティーネットというのは、公営住宅そのものを必要分確保することではないでしょうか。地方財政が厳しいからそれができないという現状を大きく変えていく必要が今あるというふうに考えますけれども、政務官、御見解を伺いたいと思います。


藤井大臣政務官 公営住宅は、住宅に困窮する低額所得者の居住の安定を確保する住宅セーフティーネットの根幹をなす政策であり、その供給は極めて重要でございます。
 地方公共団体におきましては、人口減少など地域の今後の人口動向や厳しい行財政事情を踏まえつつ、公営住宅のストックの状況等を勘案し、改修や建てかえを含めて、適切に公営住宅の整備、管理を行っているものと考えております。
 国といたしましては、引き続き社会資本整備総合交付金等により、しっかりと支援を行ってまいります。


田村(貴)委員 やはり、新設を抑制するという方向から脱却していかなければならない、そういう状況に地方が来ているというふうに思います。
 ここの項の最後の質問なんですけれども、公営住宅法の改正は、この間、地方分権改革関連の一括法の中で行われてまいりました。二〇一一年の第一次分権一括法では、入居収入基準についての条例委任が行われました。また、同年の第二次一括法では、建てかえ事業を施行する土地の面積、整備すべき公営住宅の構造といった公営住宅建てかえ計画の記載事項について、義務から努力義務にしたわけであります。
 これらは、公営住宅の建てかえ事業制度にかかわる重要な改正でありました。しかし、この国交省所管の法改正を審議するの が、この地方創生特別委員会であります。
 今申しましたところの改正質疑に立ったのは、議員でたった一人であります。第二次一括法では誰もされなかったわけであります。なぜなのか。第一次は四十一本の法律が束になりました。第二次では、何と百八十八本の法律が一括して出されたために、取り上げたくても取り上げられなかった、こういう状況であります。こういう提案の仕方というのは、やはり国民にもこの内容が十分行き渡らないというふうに考えるものであります。
 山本大臣にお伺いします。
 今回も、今議論しましたけれども、たくさんの懸念があります。そういう法改正であります。公営住宅入居の収入基準や建てかえ事業について、これだけ重要な案件にもかかわらず、この審議で国土交通大臣は答弁されないんですよね。そして、立法府の役割をこれでは十分果たせないのではないかなというふうに私は考えます。
 こうした、一括して提案していく、重要法案を束となって一括提案するというやり方はもう見直さなければいけないというふうに考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。


山本(幸)国務大臣 今回の法案は、過去六次にわたる一括法と同様に、地方公共団体への事務、権限の移譲、義務づけ、枠づけの見直し等を通じて地域の自主性及び自立性を高め、みずからの判断と責任において行政を実施する仕組みに改めるという同一の趣旨、目的を有するものでありまして、一括法として統一的に見直すことが適当であると考えているところであります。
 また、本法案は、提案募集方式という共通の枠組みに基づき措置することとした改正事項を盛り込んでいるところであり、関係する法律を個別に改正するよりも、一括して改正案を取りまとめることにより、改正の趣旨、全体像がわかりやすくなるものと考えております。
 今後とも、改正する法律の趣旨、目的及び改正の経緯に鑑み、統一的に見直すことが適当であるかを検討しつつ法案を提出してまいりたいと思います。
 なお、公営住宅法の改正についても、提案募集方式による地方からの提案に基づき検討が行われたものであり、現地建てかえ要件の緩和により、円滑な公営住宅の建てかえ、集約の実施が可能となることで、地域の住宅事情を踏まえたより適切な公営住宅の管理運営に資する等、地域の自主性及び自立性を高めるものであると考えております。


田村(貴)委員 地方自治体からの提案であれば、なおさら重要な案件であります。所管大臣がちゃんと答弁に立てるところ、そうしたところで一本一本やはり法案というのは審議していくべきだというふうに思います。
 この辺の改善を求めて、次の質問に移りたいと思います。藤井政務官、ありがとうございました。御退席いただいて結構です。
 続いて、東京圏一極集中の是正について伺います。
 総務省から、住民基本台帳人口移動報告、二〇一六年結果が一月に発表されました。この中で、東京圏の転入転出の状況について説明をしていただきたいと思います。


千野政府参考人 お答えいたします。
 二〇一六年の住民基本台帳人口移動報告から東京圏の転入転出超過数を見ますと、十一万七千八百六十八人の転入超過となっております。東京圏の転入超過は、一九九六年以降二十一年連続でございます。また、この転入超過数は、前年に比べますと千四百八十九人の減少となっております。東京圏で転入超過数が減少するのは、二〇一一年以来五年ぶりでございます。


田村(貴)委員 資料を配付させていただいています。
 都道府県別転入転出超過数ということでありますけれども、これはもう一目瞭然であります。東京圏、東京都それから神奈川県、千葉県、埼玉県、群を抜いて転入超過になっている。ほかの県はほとんど転出超過になっているということです。
 私は福岡県でありまして、北九州市に暮らしているんですけれども、山本大臣御存じのように、北九州市の転出超過というのは日本で群を抜いているといったところで問題にもなっています。
 その福岡県が転入増になっているのは、福岡市を中心とする福岡市都市圏の転入増の話であります。その福岡都市圏をもってしても、東京圏と比較しますと、東京圏との間では転出超過になっているという状況でありまして、やはり東京圏が全国の若者を中心として吸収しているという状況にあるわけであります。
 この一極集中が長年にわたって変わっていないということであります。一九九六年といいますから、二十一年連続で東京圏の転入超過が続いているということであります。
 こうした状況の中で、お尋ねしていきたいというふうに思いますけれども、政府は、まち・ひと・しごと創生総合戦略、二〇一四年のこの戦略の中で、東京一極集中の是正として、二〇一三年を起点に、東京圏から地方への転出を年間四万人増加させ、地方から東京圏への転入を年間六万人減少させて、二〇二〇年の時点で東京圏から地方への転出転入を均衡させるという方針を閣議決定して打ち出しました。
 しかし、現実には、二〇一三年以降、目標と真逆の状況になっていることを、私は昨年、本委員会でもそれから別の委員会でも再三にわたって指摘して、この計画の見直しはしないのですかということをお尋ねしてきました。
 当時の石破大臣は、KPIについては見直しをしないというふうに言われたんですけれども、今般、まち・ひと・しごと創生総合戦略二〇一六改訂版については、総合戦略の見直しについても言及しています。ここについて説明をしていただきたいと思います。

 

(配布資料はこちら)


山本(幸)国務大臣 御指摘のように、二〇一六年、五年ぶりに若干は減少したんですけれども、依然として東京一極集中の傾向は続いていると承知しております。
 こうした厳しい状況が続いておりますが、国としては、企業の地方拠点強化税制の拡充、政府関係機関の地方移転、プロフェッショナル人材の地方での活用促進、若者の地元就職時の奨学金の返還免除、生涯活躍のまちの実現、地方創生インターンシップ事業等、多岐にわたる施策を推進するとともに、新たに創設した地方創生推進交付金や各府省庁の地方創生関連予算等を通じて、意欲と熱意のある地方公共団体の取り組みを積極的に支援してきたところであります。
 さらに、今後は、空き店舗など遊休資産の活用や地域経済を牽引する事業への支援のほか、地方大学の振興、地方における若者雇用、東京における大学の新増設の抑制等についての総合的な対策の検討等を推進することにより、東京一極集中是正の基本目標達成に向けて最大限努力してまいりたいと思っております。
 ただ、二〇一七年度は、まち・ひと・しごと創生総合戦略の中で五カ年を展望した中間年に当たります。その意味で、総合戦略で設定している基本目標やKPIについても必要な見直しを行い、より効果的な対応を検討することとしているところでありまして、基本目標について必要な見直しを行う中で、その目標を修正する可能性については否定いたしません。


田村(貴)委員 まさに、ここの一丁目一番地に掲げた目標については、中間年であるので見直しになっていくというふうな理解として受けとめました。
 そこで、私は、この東京圏一極集中の是正が地方創生の一丁目一番地だというふうに思って、前の大臣、石破大臣もそのとおりというふうにお答えいただいたんですけれども、その旗印は鮮明であったとしても、その旗印がオール・ジャパンとしての方針になっているのかという疑問があります。
 東京圏の一都三県については、転入超過を縮小させる目標を掲げているんでしょうか。(山本(幸)国務大臣「もう一回質問を」と呼ぶ)


木村委員長 もう一度質問して。ごめんなさい。


田村(貴)委員 まち・ひと・しごとの一丁目一番の目標は東京圏一極集中の是正なんですけれども、では、その東京圏である一都三県は、転入超過を縮小させるというような人口ビジョンを打ち出しているのでしょうか。


山本(幸)国務大臣 地方創生は、地方と東京都がパイを奪い合うゼロサムではなくて、地方と東京都がそれぞれの強みを生かして日本全体を引っ張っていくプラスサムでなければならないと考えております。
 こうした認識のもとで、石破前大臣のときに一都三県との間で地方創生に係る課題についての連絡会議を設けて、連携の方向性について検討したと承知しております。
 地方人口ビジョンは、各地方公共団体において、人口減少をめぐる問題の認識の共有と目指すべき将来の方向性を提示することを目的として策定されているものでありまして、委員御指摘のとおり、一都三県の地方版総合戦略、人口ビジョンでは、東京圏と地方との転出入均衡という国の目標には必ずしも触れられてはおりません。


田村(貴)委員 そうなんです。そうなっていないんですよね。ここは非常に大事なところであるんですけれども、まち・ひと・しごとの総合戦略の一番中心的な目標が、御本尊の、肝心な一都三県の政策と整合していないという一番の大きい問題があります。
 転入超過が桁違いなのは東京であります。その東京は、個々人の意思に反して政策的に誘導することは困難である、人口の流入超過について、これを政策的に動かしていくことは難しいというふうにされています。
 去年、石破前大臣は、このくだりにはかなり違和感を持つというふうにおっしゃいました。そして、東京圏の知事と問題意識を共有するところから作業を始めているというふうにお答えになったわけであります。
 新しく大臣となられた山本大臣は、この重要問題について、東京都の小池知事あるいは三県の知事と、この問題についての認識を共有する話し合いを持たれておられるでしょうか。


山本(幸)国務大臣 直接一都三県の知事と一緒に会合したということはありませんけれども、地方六団体との意見交換会や国と地方の協議の場などについて、東京一極集中の是正を含む地方創生の諸課題については地方公共団体と意見交換しております。
 小池知事とは個人的にもお話をしておりますが、小池知事は、東京をぜひ国際金融都市として引っ張る姿にしたいと言っておられます。
 一方で、私は知事に対しても、やはり東京で余りに人口が集中する、特に若者が進学や就職のときに集中するというのは、これは問題があるという指摘もして、ぜひお互いにウイン・ウインの関係になるようにいきましょうねというような話をしているところであります。
 私のもとで、今、先ほども紹介しましたけれども、地方の大学の振興や若者の地方での就職支援、あるいは東京における大学の新設、増設についての抑制というようなことについての議論を行っていただいているところでありますが、そこで私が指摘したのは、私は経済理論的に物を考える癖があるものですから、もうこれは市場が失敗している、明らかに。東京と地方では与えられた条件が全く違う、それから情報量が違う、そういう意味からいえば、市場の流れに任せていては全く解決できない。
 そういう市場の失敗があるときには行政が介入をすることは可能であるというのがこれまでの私が学んできたことでありまして、そういう意味で、何らかの対策を講じないとこの傾向はなくならないと思いますので、そういうことも含めて今、有識者会議で検討していただいているところであります。


田村(貴)委員 大臣が小池東京都知事と国際金融都市等についてお話しすることは、いろいろな重要なことがあると思います。
 しかし、地方創生担当大臣としては、この問題が一丁目一番地なんですから、国としては、日本全国の人口減少社会に突入している中で、ここをクリアしないと地方創生ができないと言っているわけですから、この問題に限って、東京都、それから神奈川県、埼玉県、千葉県の知事含めてお話をされるのがやはり重要だというふうに考えております。
大臣は、大臣着任以降、六十五市町村を視察されたと。たくさんの地方創生の事業を御視察されたということは、これは非常に有益であるし重要であると思います。しかし、一番大事なところは、私が今申し上げたところだと思うわけなんです。
 そもそも、二〇一四年の十一月、まち・ひと・しごと創生法ができたときに、この総則の目的、第一条には、「急速な少子高齢化の進展に的確に対応し、人口の減少に歯止めをかけるとともに、」つまり、この問題は、人口問題を考えて、そして扱うんだと。そして、東京圏への人口の過度の集積を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保していくという大前提があるわけですね。この旗頭が基本になっているんです。この旗頭があって、この創生委員会も開かれているわけであります。しかし、現実は、閣議決定した目標も全く変わらない。
 先ほど、東京圏の転入超過数が少し減ったと言いますけれども、これは少子化が一層進んで、そもそも移動する若者が減っているということのあらわれでもありますから、ここは余り強調をされない方がいいと思います。
 こういう状況に変わりはありませんので、やはり原点に戻って、地方創生の一番大事な、東京圏一極集中の是正について全力を挙げていただきたい。必要な協議は直ちに開始していただきたいということを申し上げたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか、最後。


山本(幸)国務大臣 御指摘のところはおっしゃるとおりだというふうに思います。
そういう意味で、必要に応じて、そうした会もしっかりやっていきたいと思います。


田村(貴)委員 転出超過の北九州とかの事象については、今度また機会がありましたら議論させていただきたいと思います。
以上で終わります。ありがとうございました。