193-衆-総務委員会 水道広域化を批判 田村氏 「自治体事情考慮を」

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
 きょうは、水道事業の広域化について、またその問題点について質問をしたいと思います。
 厚生労働省から馬場政務官、お越しいただいております。
 早速質問に入らせていただきます。
 総務省は、三月二十二日、公営企業の抜本的な改革の検討を求める、公営企業の経営のあり方に関する研究会による報告書を公表しました。
 このうち、水道事業の項目では、事業統合を視野に入れた広域化の検討などを留意点に上げています。「都道府県が主導的な役割を果たすべき」とし、「広域化等や更なる民間活用といった抜本的な改革を検討する必要がある。」としています。
 特に広域化については具体的な内容となっているんですけれども、簡単に御紹介していただけるでしょうか。


○黒田政府参考人 御指摘の公営企業の経営のあり方に関する研究会報告書におきましては、水道事業についての問題意識としまして、特に、人口減少が著しい団体を初め経営環境が厳しい中小規模の公営企業では問題がより深刻であり、現在の経営形態を前提とした経営改革だけでは持続可能性を保てない懸念があり、現在の経営形態のあり方自体を見直し、広域化等やさらなる民間活用といった抜本的な改革を検討する必要があるとした上で、広域化等の改革の方向としまして、各事業者が地域の実情に応じて適切な広域化等の形を選択することが望ましいが、改革の先行事例を踏まえると、広域化等の類型の中で、経費、更新投資の削減、水源の一元管理や管理体制強化による水の安定供給、人材育成等の点から、事業統合に最大の改革の効果が期待できるため、各事業者は事業統合も視野に入れて広域化等を検討する必要がある、また、これまでの事業統合を初めとする広域化等の先行事例を踏まえれば、長い時間とプロセスを要することから、早急に検討を開始することが必要であると記載されております。


○田村(貴)委員 そこで確認したいのでありますけれども、こうした内容、それからこうした広域化を望むのか、民間委託を選択するのか、いずれとも違う道を選んでいくのか、これは全て自治体が判断することだと私は考えます。決して政府が強制するものではないと思いますけれども、高市大臣、いかがでしょうか。


○高市国務大臣 具体的な方策につきましては、経営の現状と課題、将来のシミュレーション、地域の実情などを踏まえて、地方公共団体において適切に判断し、取り組んでいただきたいと考えております。
 総務省として、特定の経営形態を強制するということを考えているわけではございません。


○田村(貴)委員 わかりました。
 しかし、文書では詳細に、早くやる必要がある、できることから段階的に広域化を推進する必要性があると言われては、これは地方自治体にとってはかなりのプレッシャーになるのではないかと思います。
 そのプレッシャーとなる文書が、昨年二月二十九日、これまた総務省から出されております。市町村等の水道事業の広域連携に関する検討体制の構築等にという通知であります。
 この通知においても、広域連携については十分な検討が進んでいないとして、広域連携についての検討は都道府県内の全ての市町村をもって構成することとか、都道府県においては、生活衛生担当課、市町村担当課、広域連携担当課及び用水供給事業等の関係部局が参加した体制とすることなど、事細かに指示されています。
自治であるはずの水道事業に対して、国からこうした広域化を迫られれば、地方自治体はおのずと従わなければならないのではないでしょうか。
 きょうは、広域化が進んでいる香川県の事例を御紹介したいと思います。
 香川県では、岡山県から取水する直島町を除く全十四自治体が広域水道事業体検討協議会をつくっています。広域準備会に不参加を表明していた二つの自治体、坂出市、善通寺市も、この通知が出された前後で参加となりました。
 坂出市が不参加としていた理由は、自治体間の給水人口の違いから発言力が低下し、自己決定権が喪失することによって市民の声が届きにくくなるとか、地形的条件等に効率化は望むべくもなく、コストの低減は期待できないとしていました。
 しかし、広域準備組合から、広域準備会から、香川用水の受け入れ単価が、単独経営の場合、大幅に値上げをするとの試算が示されたのであります。広域化に参加しない限り、水道事業の経営が成り立たないように向けられていったということです。これはまさにペナルティーと言わなければなりません。
 善通寺市は、もともと自己水源の割合が高く、香川用水への依存度が低い、企業債の残高が少なく、将来的にも水道料金の値上げを抑えることができると踏んでいました。ところが、企業債残高を料金収入の三・五倍以内まで認めるとしたことで一転、参加となったわけであります。
 広域事業体に参加せずとも自前でやっていけるというその自治体の理由は、市民的にも大変説得力のあるものでありました。しかし、全県一本の広域化の強い流れの中で、大変悩まれたうちに、不参加、参加との判断になったわけであります。
 広域化になれば、それこそ自治体の事情が考慮されにくくなるのではありませんか。
 そこで、厚生労働省にお伺いします。
 事業が広域化された場合にも、共通水源とは別に、自己水源の必要性を主張する自治体もあります。災害によるリスク分散という観点からも、自己水源、自前の施設を維持していくということは、それはそれぞれの自治体の判断に基づいて尊重されるものだと思いますけれども、いかがでしょうか。


○北島政府参考人 お答えいたします。
 水道は、日常生活に必要不可欠であり、不断に提供される必要がありますことから、水道法の定めるところにより、水道事業者は、水道使用者に対し、常時水を供給する給水義務を負っております。
 この給水義務を履行するため、水道事業者は、将来の水需要、自然条件、社会条件、水源確保に関する費用、取水の安定性、確実性等を総合的に勘案し、地域の実情に応じて適切に水源を確保するとともに、施設の維持管理を適切に実施していく必要があります。
 広域化を進めるに当たりましては、こうした地域において、さまざまな観点から議論が尽くされることが重要であると考えております。


○田村(貴)委員 私と梅村さえこ議員と昨年末に香川県の視察、調査をさせていただきました。
 そのときに、香川県からの説明であったんですけれども、災害時などに備えて、幾つかの取水場を予備水源でとっていくということをお伺いいたしました。当然、そのためには維持管理の費用がかかります。そして、私は、それは広域事業体の一体財政の中で認めていく必要があると思いますし、そうでなければ、独自の財政措置が求められて当然だというふうに思いますけれども、厚労省はいかが考えておられるでしょうか。


○北島政府参考人 ただいま申し上げましたとおり、給水義務を履行するため、水道事業者は、地域の実情に応じて適切に水源を確保する必要があると考えております。
 このため、広域化によりまして、水源計画を見直して、自己水源を統合していくことも水源の整理の一つの方法であると考えておりますが、一方で、災害時を想定して複数の水源を有しておくという観点もあり、そのバランスを確保しつつ、水源を確保していくことが重要であると考えております。
 地域において、さまざまな観点から議論が尽くされることが重要であると考えております。


○田村(貴)委員 そのための財政措置というのもしっかりと位置づけていただきたいというふうに思うわけであります。そうやって広域化を推進していくならば、それは最低必要条件だというふうに思います。
 水道法第六条二項では、水道事業の市町村経営の原則を定めています。これは、法改正、入っていませんよね。それは、一定の区域に給水を行う水道事業の性質からして、地域の実情に通じた市町村による運営が最も公益に資するからであります。
 香川県では、早明浦ダムを活用する香川用水の水が県の隅々まで配られています。これは、不安定水源である上に、広域化で香川用水への依存度が高まることに対して、県民や地方議会から不安や疑問の声も出されています。全国初、県下全自治体参加の広域組合の話であります。一番大きな取水、この問題についての声が上がっている。
 厚生労働省、このことを御存じでしょうか。いかがお考えになっていますか。


○北島政府参考人 ただいまもお答え申し上げましたとおり、広域化によって、水源を見直して、水源を統合していくことも水源の整理の一つの方法であると考えますが、一方で、そういった災害時の想定をして、複数の水源を有していくという観点もあり、そのバランスを確保しつつ、水源を確保していくことが重要であると考えております。
 香川県では、県と関係市町村で水源や施設の考え方について議論され、再編整備の計画が作成されたものと理解しております。
いずれにいたしましても、地域において、さまざまな観点から議論が尽くされることが重要であると考えております。


○田村(貴)委員 国を挙げて、あるべき方向性を指示しているわけです。事細かに指図しているわけです。広域化をやれやれのオンパレードであります。このもとで、地方自治体が揺れ動いているんですよ。そこはしっかりと関心を持っていただきたいと思います。それは、人ごとにしたらだめですよ、国が指示しているわけなんですから。だって、法改正もそうでしょう。こうした問題が起こっているわけですよ。
 早明浦ダム、これはいつも夏場、出てきますよね、渇水時のときとか。それから、この香川用水というのは、この一本化でいいのかという議論は、当然、住民から出てくる、自治体からも出てくるわけです。ちゃんと関心を持っていただきたいと思います。
 時間がないから、次に進みます。
 水道の広域化に向けて、国が箸の上げおろしまで細かく指示するような音頭取りを推進してきたこと、そして、香川県での広域化に向けたさまざまな悩みとか現状、矛盾について、私、きょうは紹介させていただきました。
 そもそも、水道法の目的というのは、「清浄にして豊富低廉な水の供給を図り、もつて公衆衛生の向上と生活環境の改善とに寄与する」ということが究極の目標とされています。これは逐条解説にもちゃんと示されています。生存権を保障し、その実現のための国の役割を定めた憲法二十五条に基づく法律体系の一環として水道法があるわけであります。
 その水道法の改正案が、今国会に提出されています。
 政務官にお尋ねしたいと思います。
 この第一条の改正についてですけれども、第一条の目的規定から、水道の計画的な整備、水道事業の保護育成、この文言が削除されています。これは一体なぜでしょうか。
 それにかわって、「水道の基盤を強化する」となっています。水道の基盤強化とは、一体何を指すということでしょうか。これはすなわち、広域化の意味でしょうか。


○馬場大臣政務官 お答えします。
 まず、なぜ水道法第一条の改正において、水道の計画的整備、保護育成の文言が削除されたかというお尋ねでございますが、現在、水道の普及率が九七・八%に達している一方、人口減少に伴う水の需要の減少、高度経済成長期に布設された水道施設の老朽化の進行等の水道を取り巻く課題に対応し、将来にわたり安全な水の安定供給を確保していくためには、水道事業の基盤強化を図ることが最重要の課題となっております。
 このため、今般の改正においては、こうした時代の変化を踏まえ、法の目的として、水道事業の基盤強化を明確に位置づけるものでありますが、これは、水道を計画的に整備することや水道事業を保護育成することを含む広い概念であるというふうに考えておるところであります。
 また、水道の基盤強化とは何を指すかということでございますけれども、水道の基盤強化とは、水道施設の老朽化や人口減少に伴う料金収入の減少、水道事業を担う人材の不足など、水道を取り巻く厳しい状況に対応し、将来にわたって安全な水の安定供給を維持していくことを指すものであります。
 具体的には、適切な管理による健全な施設の保持、財政基盤の確保、経営ノウハウや技術力を有する人材の育成、確保をすることを指すものであります。


○田村(貴)委員 政務官とはこの間議論させていただいたんですけれども、水道の技術継承ができないということについて、政務官からは、水道事業を支える職員数減少については、水道事業の基盤を揺るがしかねない重大な課題であるというようなお答えがありました。そして、審議官からは、これまでの徹底した組織人員の削減、これが要因の一つとしてお答えなされたわけであります。
 水道事業の保護育成を怠ってきたのは、これはまさに国の責任ではないでしょうか。今こそ、若手職員の増員配置を初め、水道事業の育成保護が求められているときです。しかし、保護育成を削除するというのは、これは本末転倒していると言わざるを得ないというふうに思うわけであります。
 私は、やはりここが一番大事だと思うんです。政務官、施設が普及してきたと言うけれども、三十万人からの人口でまだ未給水、普及していないところもあります。それから、今から老朽管の取りかえ。しっかりと計画的な整備と、それから水道の保護育成というのは、これからまさに求められていくというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。


○馬場大臣政務官 お答えします。
 先ほどのお答えとも繰り返す部分もありますが、今般の法改正では、現状の水道を取り巻く課題を踏まえ、先ほど御紹介のあった点も踏まえ、将来にわたって安全な水の安定供給を確保する必要があることをより明確化するために、水道を計画的に整備することや、水道事業を保護育成することも含む広い概念として、水道の基盤を強化することを法の目的に掲げておるところであります。
 人口減少社会においては、人材そのものが不足する中で、水道事業の持続可能性を高めるためには、必要とする職員を直接確保することに加え、周辺自治体との広域連携を推進し、スケールメリットにより人材を確保すること、官民連携により民間の技術力を活用することと、地域の実情に応じて適切な方策を選択できる環境を整備することが重要であると考えております。
 水道事業を支える職員数の減少につきましては、水道事業の基盤を揺るがしかねない重大な課題であるとの認識に変わりはなく、まずは改正案の成立に全力で取り組んでまいりたいと存じます。


○田村(貴)委員 やはりこの二つの削除は認めることはできないというふうに思います。
時間がなくなりました。
 法改正の第五条の四で、都道府県が市町村の区域を超えた広域的な連携を推進する上で、広域的連携推進協議会を組織することができると言っています。
 端的に一問だけ。この市町村協議会への参加というのは、これは義務ですか、それとも任意なのか、その一点だけお答えいただけますか。


○北島政府参考人 この広域的連携等推進協議会への市町村の参加につきましては、都道府県の決定によって義務づけられるものではなく、各市町村の判断に委ねられるものであります。


○田村(貴)委員 確認できました。
 この総務委員会で、私、水道事業のことをきょうで三回目、取り上げさせていただきました。やはり、コンセッション方式であるとか広域化にはたくさんの問題があり、住民の不信も広がっているところであります。水道事業の窮状を招いてきた国の責任については、しっかりと踏まえていただきたいというふうに思います。
 水道というのは人の命を支えるものであります。決して、経済性、効率性だけで判断できるものではありません。水源の確保とか、それから水の供給というのは、自治体によって歴史があり、そしてやり方もそれぞれ異なってまいりました。それを無視してはいけないということであります。
 水道法の目的や市町村の水道の原則を、事実上、掘り崩して広域化を推進していくようなやり方、今度の法改正については重大な問題があるということを指摘しまして、きょうの質問を終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。