193-衆-総務委員会 情報漏えいリスク高まる 田村貴議員 マイナンバー拡大で

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
 地方公共団体情報システム機構法等の一部改正案について質問します。
 最初に、住民基本台帳法の改正についてであります。
 端的にお答えいただきたいと思います。機構が機構保存本人確認情報を利用して扱う事務が、この法改正によってどう変わるのでしょうか。


○安田政府参考人 お答えいたします。
 現在、機構が保有する本人確認情報につきましては、番号利用法上の事務のうち、個人番号とすべき番号の生成の事務にのみ利用できるということになっているわけでございますが、今回の改正によりまして、省令で定めるものとしておりますが、今申し上げたものに加えまして、通知カード及びマイナンバーカード関連の事務にも拡大するということを考えているところでございます。


○田村(貴)委員 つまり、本人確認情報の利用拡大を可能にするという法改正であります。これは大きな変更でありまして、私たちは重大であるというふうに考えております。
 続いて伺いたいと思います。
 本人確認情報と番号カード管理システムをJ―LISにおいて照合して、不一致があれば自治体に連絡をするという話を伺いました。その目的は何なんでしょうか。そして、この照合というのは誰が行い、自治体に対する連絡というのはどなたが行うのか、お答えください。


○安田政府参考人 お答えいたします。
 現在の仕組みでございますけれども、住民の氏名、住所等に異動があった場合には、市町村が既存の住基システムに異動情報を登録すること、これに加えまして、マイナンバーカードの申請に備えて、J―LISのカード管理システムにもその情報を登録する必要がございます。これが、市町村からは、事務負担になっている、あるいはミスが生ずる原因になっている、こういう指摘があるわけでございます。
 こうしたことを踏まえまして、今回の改正によりまして、先ほど御答弁申し上げましたように、通知カードやマイナンバーカードを発行する業務に本人確認情報を利用することを可能とするということによりまして、本人確認情報とカード管理システムの情報の不一致があれば地方公共団体に連絡され、カード管理システムの情報が更新されるということを考えているところでございます。
 これによりまして、異動が確認できた場合のみ異動情報を登録するといった運用も可能になるのではないか、それによって市町村の事務作業が必要最小限になるのではないかと考えております。また、市町村の事務処理誤りの防止、これはできるだろうというふうに考えております。こういうことを目的にしたものでございます。
 そして、この本人確認情報とカード管理システムの情報の確認を誰がやるかということでございますが、これはJ―LISにおいて行っていただく。その情報に不一致があった場合の地方公共団体への連絡も、これはJ―LISが行うということを考えているところでございます。


○田村(貴)委員 なかなかよくわからないんですけれども、その情報の照合、例えば住民票の異動における情報とそれからカード管理システム、この照合というのは、これは自治体の仕事ではないのか、カードを発行する人が希望して、窓口においてこの照合を自治体が行えば済む話ではないかなと私は思うんですけれども、今ちょっとお答えを聞いていて、私はそう思ったわけですよ。局長、いかがですか。


○安田政府参考人 基本的に、カード管理システムの情報登録、これは自治体が行っていただくべきものでございます。
 ただ、現実の話といたしまして、これが二つのシステムを操作しなければいけないということになっておりましたので、ミスが生じたり手間がかかっているということがございまして、この照合を行って通知することによって自治体の登録を事実上助ける、そういう位置づけになろうかというふうに思います。


○田村(貴)委員 それで、J―LISの方から自治体に対して、番号管理システムも入力してくださいよ、ここに照合していないので、この入力をお願いしますよというふうに連絡するということです。
 この連絡というのは、連絡なのか指示なのか、どちらなんでしょうか。


○安田政府参考人 お答えいたします。
 あくまで連絡であるというふうに考えております。
 異動情報の登録は、その連絡を受けた市町村が行うべきものというふうに考えております。


○田村(貴)委員 しかし、情報をちゃんと照合して、符合していませんから調整してくださいよ、入力してくださいよと連絡するんですから、これは指示であるんですよ。私はそう理解します。
 長崎市で住所の誤記載があって、今度の法改正につながったというふうに伺っておりますけれども、カード発行の段階において長崎市のような事例はほかから報告が上がっているんでしょうか。


○安田政府参考人 長崎市の事例に関してのお尋ねでございますが、長崎市で発生したマイナンバーカードの誤記載の事例がございましたが、これは、既存住基システムに異動情報は登録したのでございますけれども、カード管理システムの方の登録を怠ってしまった、こういうケースであったと聞いております。
 ほかにあるかというお尋ねでございますが、全ての事例を網羅的に把握するということはいたしておりませんけれども、私どもに少なくとも一件の情報がほかにも寄せられてございます。
 こういうものが、今回の改正によりまして、チェックによって防げるのではないか、このように考えている次第でございます。


○田村(貴)委員 だから、希有なケースだったわけですよね。レアケースであったということであります。
 先ほど言いましたように、その情報の照合というのは、これはやはり第一義的には自治体の仕事であって、自治体でできるならば自治体が行うべきである。局長、うなずいておられるんですけれども。だから、別にこういうことをやる必要はないんじゃないかなと私は思うわけであります。
 それで、今度の法改正ですけれども、J―LISは番号の生成のみを事務とする仕事だったんですけれども、今度は、カードの発行、それに伴う本人確認情報の利用拡大をしていくということであります。しかも、自治体に対して指示的な連絡も含まれるということになります。
 J―LISは行政機関ではありません。そのJ―LISが、公務員でもない人が国民の個人情報等に触れる機会をこれからふやしていくというもので、私は、これは重大な法改正であるというふうに思うわけであります。大変なリスクもこれから伴っていくのではないかなというふうに思います。
 改めてお伺いしますけれども、機構の職員が本人確認情報を扱う機会がふえるとするのであれば、情報保全へのリスクも高まっていくのではないでしょうか。いかがでしょうか。


○安田政府参考人 現在の運用におきましても、住民の氏名、住所等に異動があった場合に市町村からJ―LISのカード管理システムに当該情報を登録するということになっておりまして、カード管理システムにおいても、本人確認情報と同等の情報は保有しているわけでございます。機構においてもこれは保有しているということでございます。
 今回の改正によりまして、J―LISが通知カードやマイナンバーカードの発行を行うシステムにおいて、住基ネットの本人確認情報の利用を可能とすることで、カード管理システムの情報の不一致を確認することになりますけれども、本来、これらの情報はカード管理システムが保有すべき情報でございます。
 そのため、カード管理システムと住基ネットにおいて保有する情報の量がふえるわけではなく、また、あくまでJ―LISの内部で利用するものでございますので、本人確認情報の保全先がふえるといったものではないというふうに考えているところでございます。


○田村(貴)委員 機構の職員が、機構が保有する本人確認情報を扱う機会はふえていくわけなんですよ、この法律のたてつけによったら。そうですよね。それは間違いないですよ。リスクが伴っていくんじゃないですか、拡大していくんじゃないですかということをお伺いしているんです。
 高市大臣に伺います。
 今後、機構の機構処理事務がふえていく、それを、総務省令が改定となれば、本人確認情報の機構における利用というのはふえていく傾向にあるのではないでしょうか。


○あかま副大臣 お答えいたします。
 今回の住民基本台帳法の改正により、現行、規定されているマイナンバーとなるべき番号の生成事務に加えて、機構処理事務のうちマイナンバーカードの発行事務に本人確認情報を利用できるようにするものでございます。
 ここで言う機構処理事務とは、マイナンバー法の規定によりJ―LISが処理する事務と定義されており、マイナンバー法自体に規定されている事務や、マイナンバー法上の具体的な省令への委任規定をもとに省令に規定されている事務に限定されているものであり、無際限に新たな事務を追加することができるものではございません。
 なお、そもそも、機構処理事務の範囲でしか本人確認情報を利用できないことから、J―LIS内部でしか用いられないものであり、他の機関などへ拡散していくものではございません。
 以上です。


○田村(貴)委員 そうはあっても、機構職員が本人確認情報にアクセスできる機会をふやしていけば、それはやはり情報漏えいのリスクが高まるということではないでしょうか。
 リスクの拡大が高まる、そういう事務量をふやしていくと同時に機構のガバナンスを強化するというのは、私は、おのずと限界があり、矛盾していると思います。こうしたやり方は認められないということを指摘させていただきます。
 住民の個人情報を扱って、その個人情報の保護に努める仕事というのは、まず第一義的には地方自治体の仕事ではないでしょうか。確認させていただきたいと思います。いかがですか。通告していますよ。


○安田政府参考人 J―LISにおける個人情報保護につきましては、マイナンバーを含む個人情報、すなわち特定個人情報を提供する場合にも、地方公共団体と同様に、安全確保措置、提供の制限等の義務が課せられておりまして、また、一定の事務に関しましては、正当な理由なく特定個人情報ファイルを提供し、知り得たマイナンバーを自己や第三者の不正な利益を図る目的で提供した場合には罰則が適用されることになる、こういう法的な保護が図られております。
 したがいまして、J―LISが特定個人情報を取り扱う場合に、地方公共団体と比較してリスクが大きくなるとは必ずしも言えないのではないかというふうに考えている次第でございます。


○田村(貴)委員 時間の関係上、次の質問に移ります。
 次は、マイナンバーカードの利活用について質問です。
 マイナンバーカードを図書館のカードとして利用する図書館があっています。カードAP方式であるとかJPKI方式であります。これに加えて、総務省は、貸出券機能にマイキープラットフォームを活用した方式を今後立ち上げるというふうに伺っております。
 このマイキープラットフォームを活用した方式によって、図書館利用者にとってはどういう利便性が生まれてくるのか、このことについて御説明いただけるでしょうか。


○時澤政府参考人 お答えいたします。
 現在、図書館やスポーツ施設の利用者証など、自治体サービスのためのさまざまなカードが存在をしております。このため、複数のカードを持ち歩かなければならない住民にとって不便でございますし、また、各カードの管理を行う地方公共団体の負担となっているところであります。
 そこで、マイナンバーカードのマイキーと呼ばれる公的個人認証の部分を活用しまして、一枚のカードでふだん利用しております図書館などの利用者カード等として活用できるようにするマイキープラットフォームを構築することとしているものでございます。


○田村(貴)委員 総務省の資料をお配りさせていただいております。
 ここに、マイキープラットフォームを活用した図書館の利用のイメージが描かれています。ここの対象の自治体は、福岡県の大牟田市、それから熊本県の荒尾市を初め、有明圏定住自立圏の連携にある六つの自治体をイメージしてつくられているわけであります。
 そこで、お伺いしますけれども、この共通利用というのは、マイキープラットフォームを使って、マイナンバーカードを毎日持ち歩くことを前提としているわけであります。しかし、そのマイナンバーカードというのは、住所、氏名、生年月日、それから大事な個人番号が付されています。
 個人番号というのは、大臣、他人に見せないように慎重に扱うべきという性質があります。もう一つは、手軽に持ち歩いて利活用というのは、これは私は相反しているのではないかなと思うんですけれども、この矛盾について大臣はどうお考えでしょうか。


○高市国務大臣 まず、マイナンバーそのものでございますけれども、仮にマイナンバーが他人に知られた場合も、マイナンバーを使う手続というのは厳格な本人確認が必要でございますから、マイナンバーだけでは手続ができないようになっていて、本人への成り済ましはできません。
 それから、マイナンバーカードを図書館利用者カードとして利用する際には、マイナンバーそのものは利用しないという前提でございます。
 それから、マイキープラットフォームを活用される際には、マイナンバーカードに追加で情報登録することはございません。
 マイナンバーカードのセキュリティーも、ICチップには税や年金などのプライバシー性の高い情報は記録されず、また、特殊な加工によって偽造や不正利用もできないようになっています。
 それから、たくさんのカードを今多くの方は持ち歩いていると思います。例えば免許証や保険証などにも氏名など個人情報は記載されています。クレジットカードなども大切なカードでございます。ところが、マイナンバーカードを紛失した場合には、三百六十五日、二十四時間コールセンターで対応しておりまして、電話一本ですぐに、マイナンバーカード、全ての機能を停止することができますので、たくさんのカードを財布に入れていて、全部落としてしまって、もうどこに電話をすればいいのかわからない状況に比べると、セキュリティー面でも配慮したつもりでございます。
 こういった対策を国民の皆様に周知して、マイナンバーカードを積極的に利用していただきたいと思います。
 やみくもに番号そのものを他人に見せるということは好ましくないことから、今、カードのケースには番号が隠れるような対応がなされているということも事実でございます。


○田村(貴)委員 いや、そうはいっても、やはり利活用というのは、持ち歩くということです。持ち歩くということは、つまり、紛失、盗難それから盗撮等々、個人情報の漏えい、悪用にいつも向き合うということになるわけであります。
 政府広報、QアンドAでも、マイナンバーを取り扱う場合に何を注意すればいいのですか、これに対する回答として、「通知カードやマイナンバーカードをなくしたり、マイナンバーをむやみに提供したりしないようにしてください。」と呼びかけているではありませんか。
 利活用というのは情報漏えいと背中合わせにあります。それがマイナンバーカードの根本的矛盾であり、それは解決できない問題であることをこの際指摘させていただきたいと思います。
 先ほどの、この有明圏の六つの自治体におけるマイキープラットフォームのイメージ図なんですけれども、大牟田市や荒尾市を初めとするこの六つの自治体は、既に協議して実施を計画しているんでしょうか。いかがですか。


○時澤政府参考人 大牟田市を含めました関係六市町から成ります有明圏域定住自立圏におきまして、圏域内の住民に対しまして、各地方公共団体の図書館での貸し出しを含む相互利用によります図書サービスが提供されてきたところでございます。
 これまでの相互利用に当たりましては、それぞれの地方公共団体が発行します図書館カードが必要とされたわけでございますが、今回、マイキープラットフォームを活用することで、マイナンバーカード一枚で全ての図書館の利用を可能とするものでございます。
 このマイナンバーカードを使っての相互利用につきましては、団体間での情報共有がなされておりまして、今後、検討を進めるというふうに聞いているところでございます。


○田村(貴)委員 つまり、決まっていないわけなんですよ。話し合いもやっていないんですよ。六つの自治体が合い議したこともないわけなんですね。そういった中で、このように御丁寧に六つの自治体名まで入れていく、漫画まで入れていく。そして、こうしてやったら便利になりますよというふうにプレゼンテーションしたという話であります。総務省はそこまでするんですか。私は改めて驚きました。
 ある自治体は、マイナンバーカードを使った利活用については、慎重の上にも慎重を期して検討していきたいというふうに話しているところもあるわけであります。
ここで、確認したいんですけれども、マイナンバーカードを使っての利活用はこういうメリットがありますよと説明されることはあろうかと思います。しかし、その利活用について、それを取り入れるのも自治体の判断、活用するのは住民の判断ではないかと思います。決して政府はそれを押しつけたり強制したりしてはいけないと思いますが、いかがでしょうか。大臣でも局長でもいいです。


○高市国務大臣 決して押しつけたり強制したりはしておりません。
 ただ、マイナンバーカードというのはICチップを搭載したカードでございますから、それぞれの自治体で似たようなものをつくろうと思うと大変高いコストがかかります。
 自治体の行政サービスに伴うさまざまなカードにも御活用いただけますし、また、商店街など、ポイントカード、なかなかセキュリティー性の高いものをつくれないといったところでも御活用いただけます。
 私どもが自治体に要請をしておりますのは、特にマイナポータルに伴います子育てワンストップサービス、これは多くの子育て世代にメリットのあるサービスでございますから、できるだけ全ての自治体で対応していただきたい。それから、住民票などをコンビニでとれるサービスについても、入っている自治体、入っていない自治体がありますと、これは全ての国民の皆様にメリットが及びませんので、ただ、導入するには自治体にもコストがかかるということで、その軽減策も私どもで構築をいたしました上で要請をしているというものでございます。


○田村(貴)委員 もう終わりますけれども、マイナンバーの整備にこれまで要した費用は五千億円を超えています。利活用すればするほど、この負担が自治体にも、また国民にもかかってくる。こうした点も指摘して、きょうの質問を終わらせていただきたいと思います。
 終わります。