193-衆-総務委員会 非正規職員 処遇改善を 地方公務員法改定案 田村貴氏が質問 衆院総務委

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
 地方公務員法の改正案について質問します。
 四月十三日の参議院総務委員会において、総務省は次のような答弁をなされました。「今回の任用根拠の適正化に当たりましては、各地方公共団体において臨時、非常勤の職の全てについて個別に検証を行い、それぞれ適切な任用根拠を選択することとなろうかと思いますが、その際、常勤職員と同様の業務を行う職が存在することが明らかになった場合には、会計年度任用職員制度ではなくて常勤職員や任期付職員の活用について検討することが必要になるものと考えております。」との答弁でありました。
 この答弁、方針に照らして質問をいたします。
 同一任命権者において十年以上同じ人が繰り返して任用されている、この事例について、総務省の調査結果ではどうなっていますか。全国の合計でいいですので、該当団体の概要等について御説明をいただきたいと思います。


高原政府参考人 御答弁申し上げます。
 平成二十八年四月の総務省実態調査によりますと、同一任命権者において十年以上同一人を繰り返し任用する事例のある団体の主な職種別の数と割合は、例えば、保育所保育士さんでは五百四十四団体ございまして、任用されている団体が千三百二十五団体でございますので四一・一%、消費生活相談員は二百一団体で三一・八%、事務補助職員は四百八十六団体で三一・六%などとなっているところでございます。以上でございます。


田村(貴)委員 これだけの人が十年以上任用にあるということなんですよ。保育士さん、看護師さん、図書館の司書さん、それから学校の先生、専門職の方もたくさんおられるわけであります。当然、高原公務員部長のその答弁に照らしていけば、こうした任用に当たっている人たちも検討、調査の対象になるわけです。
 そして、常勤職員と同様の業務を行う職が存在することが明らかになった場合は、常勤職員や任期つき職員の活用を検討するということになるということでよろしいんですよね。


高原政府参考人 御答弁申し上げます。
 今回の任用根拠の適正化に当たりましては、各地方公共団体において臨時、非常勤の職の全てについて個別に検証を行い、それぞれ適切な任用根拠を選択していただくことになろうかと思っております。同一任命権者において十年以上同一人を繰り返し任用する事例につきましても、検討の対象になるものと考えております。
 その際、必ずしも繰り返しの任用の状況のみにより判断されるべきものではございませんが、常勤職員と同様の業務を行う職が存在することが明らかになった場合には、臨時、非常勤職員制度ではなく、常勤職員や任期つき職員の活用について検討することが必要になるものと考えております。以上でございます。


田村(貴)委員 検討の可能性は確認できました。
ただ、これは確認だけではだめなんですよ。検討するだけではだめなんです。だって、十年間正規職員と同じ時間、同じ仕事を、恒常的にずっと続いているわけであります。ですから、恒常の職であります。
保育士、教員などの専門職は、子供の数に対して配置される人員というのは一定割合で決まっているわけであります。このような職については常勤職員の任用で対応するべきではないかと思いますけれども、いかがですか。


高原政府参考人 御答弁申し上げます。
 例えば、学校現場等におきましては、少子化等の影響で将来的に教員の数が少なくなっていくというような状況の中で、正規採用の状況等との兼ね合いの中で、やはり一定程度臨時、非常勤職員の方が活用されているケースもあるものというふうに考えているところでございます。以上でございます。


田村(貴)委員 ちょっと質問を続けますけれども、継続性のある職種について紹介したいというふうに思います。
 大臣も副大臣も政務官も聞いていただきたいと思うんですけれども、再任用十年以上の事例のトップ、これが保育士さんでありました。保育士は、乳幼児の毎日の成長と生活に向き合っている専門職です。継続性がとりわけ重要な職であります。保育士さんがころころかわってしまうのでは子供たちにとって望ましくないと自治体側が考えるのは当然でありまして、だから、繰り返しの任用が必然となっているわけであります。しかし、それでは正規と同じになってしまうということで、形式上の差をつけるために臨時、非常勤職員に不利益を押しつけている、こういう構図があるわけです。
 一例を申し上げます。
 ある自治体では、正規との違いを明確にするために、非常勤の保育士の一日の勤務時間を十五分だけ短く設定しています。では、非常勤の方は実際に十五分早く帰るのかといえば、十五分の時間外手当を支給して、実質八時間、正規職員と同じ時間だけ働いているわけであります。こうした自治体がある。こうした状況で十年以上任用されているという事例があります、聞きました。
臨時、非常勤や会計年度任用職員といった任用形態は、継続性が求められる業務と根本的に矛盾いたします。それゆえに、繰り返し任用の問題や、フルタイム、パートタイムの労働時間設定にひずみを生まざるを得ないという状況があるわけです。
 継続性が重要な職はほかにもございます。今度は図書館の職員、司書さんの例を紹介したいと思います。
 東京都のある図書館の司書さんの話です。司書は正規職員での任用はほとんどなく、三、四年で異動する正規職員のかわりに専門職としての役割を果たしている。異動がないから、継続性を当てにされているということであります。ある司書さんはこう言っています。勤務して十七年、都内図書館の正規採用はほとんどない、非常勤は好きで選んだ働き方ではなく、図書館で働くための苦渋の選択なのである、正規職員に仕事を教えているのは私なのであるというふうに述べられています。まさに恒常的な職務、そして常勤職員として位置づけられて当然であると思います。
 高市大臣にお伺いをいたします。
 十年以上同じ仕事にあり、同じ人が正規職員と変わらぬ業務についています。法の趣旨に反して正規の職を臨時で代替してきた部分については、正規職員、常勤職員の任用で対応するという道筋を自治体に明確に示すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。


高市国務大臣 今御審議いただいております法案の目的の一つでもございます任用根拠の適正化ということに当たりましては、各地方公共団体において、臨時、非常勤の職の全てについて個別に検証を行い、それぞれ適切な任用根拠を選択していただくことになります。
 その際、今委員がおっしゃいました、常勤職員と同様の業務を行う職が存在するということが明らかになった場合には、臨時、非常勤職員制度ではなく、常勤職員や任期つき職員の活用について検討することが必要だと考えております。
 この法案を成立させていただきました暁には、総務省として、今申し上げましたような趣旨につきましても、この夏をめどに作成するマニュアルなどに記載をして、各地方公共団体に助言を行ってまいります。


田村(貴)委員 確認しました。そこは非常に明確にしていただきたいというふうに思います。自治体の判断が第一義的にあるということもあるんですけれども、正規職員への登用があるという選択肢、この対応があるということをやはり自治体に明示することが何よりも大事だ。
 そしてもう一つは、先ほどから議論のあっている財政措置であります。必要な財政措置をとると高市大臣さっきからおっしゃっておられますけれども、こうした任用の形態についての転換は財政措置もあるということをぜひ明示していただきたい。
 そうじゃないと、自治体は安心できないと思うんです。そうでなければやはり会計年度職員にざあっと流れてしまう、そういう懸念を私は持っていますけれども、しっかりと明示していただく、その中に必要な財政措置も取り入れていくということについては、大臣、いかがでしょうか。


高市国務大臣 地方財政措置につきましては、各地方公共団体のお取り組みについて、今後、調査をして、しっかりと検討をしてまいります。
 これまでも、本法案を提出させていただくに当たりまして、地方公共団体からの御意見もいただいてまいりました。御懸念の点については十分承知をしているつもりでございます。また、この国会での御審議を皆さん注目してくださっておりますので、この審議を通じて、さまざまなことを具体的に申し上げる機会をいただいているものと思います。


田村(貴)委員 本改正案の内容では、臨時、非常勤、この職をとにかく会計年度任用職員にしていくという方向性が強調されております。常勤職員が担うべき職について、年度ごとの雇いどめや、あるいは任用回数や年数で線引きした応募制限などで無理やりに会計年度の職にしてしまわないように、こうしたところも周知をしていくべきだというふうに思います。それでこそ適正な任用が進むということであります。
 次の質問に移ります。会計年度任用職員と臨時的任用職員との違いについてであります。
 会計年度任用職員は最長一年以内でのみ設置される職とされておりますが、臨時的任用にも臨時の職というのがあり、六カ月任期の一回更新で同じく一年間の任期期間でありますが、この二つの職にどのような違いがあるのでしょうか。御説明していただけますか。


高原政府参考人 御答弁申し上げます。
 今般の改正法案により、臨時的任用職員については、その対象を常時勤務を要する職に欠員を生じた場合に厳格化することにより、パートタイムでの任用は認められないこととなります。臨時的任用職員は、そういう意味で常勤職員が行うべき業務に従事するということでございます。
 一方、会計年度任用職員につきましては、非常勤職員として、常勤職員が行うべき業務以外の業務に従事すべきものであり、職務の内容や責任の程度について、臨時的任用職員とは異なる設定とすべきものと考えております。
以上でございます。


田村(貴)委員 部長、前の答弁で、職務の内容や責任の程度は任期の定めのない職員とは異なる設定をすべきというふうにされました。どのような、あるいはどの程度の違いがあると想定しておられますか。


高原政府参考人 御答弁申し上げます。
 個別具体に申し上げにくいところはあるわけですが、最終的には地方公共団体に決定していただくことになるわけですが、今回は、国家公務員法制における常勤、非常勤の概念整理とあわせまして、常時勤務を要する職員というのは、相当の期間勤務すべき業務であって、なおかつフルタイムであるというふうに整理をさせていただいたところでございます。以上でございます。


田村(貴)委員 先日の一般質問でも取り上げましたけれども、任用の空白についても質問をします。
 再任用における空白については、総務省も通知で見直しを求めてまいりました。法的根拠がなく、職員に不利益を強いるものであります。
 総務省の調査で最も空白設定の多かったのは、現行の二十二条臨時的任用職員であります。改正後も、常勤の欠員代替に限ってこの職は存続してまいります。
 不適切な任用の空白について、会計年度や臨時的などの任用の形態を問わず、会計職員やあるいは臨時的などの職の形態を問わず、なくしていく必要があるというふうに考えます。
 改めて、総務省、どのような対応をこれからしていくのか、説明してください。


高原政府参考人 御答弁申し上げます。
 臨時、非常勤職員の任期につきましては、基本的には、各地方公共団体において適切に判断されるべきものでございます。
 しかしながら、退職手当や社会保険料等の負担を回避するために空白期間を設けることは適切ではございませんし、また、任用されていない方が事実上業務に従事するという場合には、公務上重大な問題が生ずるおそれもございます。
 このため、今般の改正法案においては、会計年度任用職員について、国の期間業務職員についての人事院規則も参考とし、各地方公共団体が任期を定める際に、職務の遂行に必要かつ十分な任期を定めるものとする配慮義務を明確に規定し、いわゆる空白期間の適正化を図ることとしております。
 臨時的任用職員につきましても、空白期間に関する考え方は会計年度任用職員と同様であり、総務省としては、今後、任期の設定が適切に行われ、不適切な空白期間の是正が図られますよう、地方公共団体に対して助言等を行っていくこととしております。
以上でございます。


田村(貴)委員 改善が見られない場合はどうされるんでしょうか。簡潔に御説明いただけますか。

○高原政府参考人 先ほど来申し上げておりますが、やはり地方公共団体は働き方改革をしっかり取り組んでいただく必要がございます。そういった意味で、私ども、問題がありましたら丁寧に個別の地方公共団体に働きかけをしてまいりたいというふうに考えております。以上でございます。


田村(貴)委員 高市大臣に改めてお伺いします。
いわゆる研究会報告書、地方公務員の臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等の在り方に関する研究会報告書、この中では、「常勤職員が行うべき業務である本格的業務」という言葉が用いられています。「組織の管理・運営自体に関する業務や、財産の差押え、許認可といった権力的業務などが想定される。」としています。
 この研究会報告書と総務省も同じ考え方でしょうか。具体的にどのような業務が本格的業務と想定されておられるんでしょうか。


原田副大臣 お答えを申し上げます。
 総務省研究会報告書におきましては、任用根拠の適正化に当たりましては、常勤職員と同様の職が存在することが明らかになった場合には、常勤職員や任期つき職員の活用について検討する必要があるものとしております。
 これにあわせて、常勤職員と同様の業務について、わかりやすく例示をするために、あくまで個々具体的な事例に即して判断されるべきことを前提としつつ、御指摘のような業務が挙げられておるところでございます。
 しかしながら、これらは、あくまで典型的な事例として例示されているものでございまして、常勤職員が行うべき業務はこれらの業務に限定されるものではなく、また、これまでの取り扱いを変更するものではないものでございます。
 その上で、地方公共団体の運営においては、公務の中立性の確保や職員の長期育成を基礎として、職員が職務に精励することを確保することを通じ、能率性を追求し、地方行政の質を担保するといった観点から、国家公務員と同様、会計年度任用職員制度導入後においても、任期の定めのない常勤職員を中心とする公務の運営という原則は維持するべきものと考えております。


田村(貴)委員 副大臣、私の次の質問にも答えていただきました。
 私は、本格的業務という言葉が今度新たに用いられる、そこで、やはり常勤職員の任務というのが本当に集約されていくんじゃないか、そのかわりに、臨時、非常勤、いわゆる会計年度任用職員の分野というのが広がっていく、あるいはアウトソーシングがもっと広がっていくんじゃないか、こういう懸念を持たれる方はたくさん自治体関係者におられるということを指摘したいと思います。
 この十年間に、正規職員は三十万人減少し、非正規職員は二十万人ふえて六十四万人にも増大いたしました。官製ワーキングプアを生み出したのが正規職員の削減と非正規化であります。地方公務員法の期限の定めのない任用の原則を揺るがしていくのではないかという懸念が、今度の会計年度任用職員の制度の導入にもあるというふうに思います。
 私はやはり、自治体の業務を縮小させていく、ここに大きな懸念を持つものであります。住民生活を支えて、そして地方自治の発展のために欠くことのできない役割を果たされている地方自治体の臨時、非常勤職員の方々の処遇改善に正面から、そして真剣に取り組むことを求めまして、きょうの質問を終わります。
終わります。ありがとうございました。