193-衆-地方創生に関する特別委「学芸員発言」山本地方創生担当相に辞任求める/子ども詰め込み 小規模保育・対象拡大を批判

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
 山本大臣が今月十六日、大津市で述べた、一番のガンは文化学芸員、一掃しなければいけない、この発言に、全国から抗議の声が上がっています。
 そもそも学芸員は、博物館法に定める資格と任務を持った専門職であります。法律を誰よりも守らなければならない大臣が、この学芸員を侮辱し、一掃しなければならないと発言したことは、許されるものではありません。大臣がいかに釈明されようが、誤解の余地のない暴言であります。撤回すれば済む問題でもありません。
 みずから発した発言であります。大臣、責任をとって大臣の職を辞職すべきだと考えますが、いかがですか。


山本(幸)国務大臣 お答え申し上げます。
 四月十六日の滋賀県大津市の地方創生セミナーにおける発言につきまして、私の真意としては、文化財を保護することだけでなく、観光立国の観点からも、文化財は地域資源として活用していくことが重要であり、学芸員の方々にも、より一層観光マインドを持っていただきたいという思いから発言したところであります。
 しかしながら、当日の発言はこの真意が伝わらない不適切なものであったと深く反省しておりまして、十八日の本会議及び十九日の本委員会においても、発言の撤回とおわびを申し上げたところであります。
 反省すべきところは反省して、しっかりと任務に当たっていきたいと思っております。


田村(貴)委員 ずっと議論がありますけれども、文化財を保存することの重要さや学芸員の職務を全くわきまえない発言でありました。
 山本大臣、学芸員が果たしているこの役割を御存じでしょうか。博物館法第四条第四項に定めている学芸員の任務についてお答えいただきたいと思います。


山本(幸)国務大臣 博物館法第四条第四項では、「学芸員は、博物館資料の収集、保管、展示及び調査研究その他これと関連する事業についての専門的事項をつかさどる。」と規定されていると承知しております。


田村(貴)委員 そうなんですよね。博物館法第四条第四項に定める学芸員の任務というのは、まず何といっても資料の収集であります。そして、保管、展示及び調査研究その他これと関連する事業についての専門的事項をつかさどる、これが学芸員の役割であります。文化財をまず収集、保管しなければ、展示することもできません。まして、観光に役立つこともないわけなんです。大臣はこうした学芸員の任務を、その理解を著しく欠いた、そんな発言だと言わなければなりません。
 日本の国立博物館あるいは国立美術館の学芸員一人に対する来館者数について紹介したいと思います。
 ほかの国の博物館などと比べれば多いんです。文化庁の資料によれば、国立博物館は四万九千人、国立美術館は八万人であります。大臣が例に出された大英博物館は二万四千人であります。統計の上でも、学芸員は一生懸命努力されていることがうかがえると思います。
 文部科学省にお尋ねいたします。
自治体が設立した博物館から、もし学芸員を置かないとするならば、この博物館はどうなってしまうんでしょうか。


○神山政府参考人 お答えいたします。
 登録博物館におきましては、博物館法第四条及び第十二条の規定に基づきまして、学芸員を置くこととされているところでございます。学芸員を置かなくなり、都道府県または指定都市の教育委員会が博物館法第十二条の登録要件を欠くに至ったものと認めたときには、博物館法第十四条に基づきまして、博物館の登録を取り消すこととなると規定されてございます。

田村(貴)委員 登録を取り消される、それは博物館のステータスがなくなってしまうということであります。つまり、博物館の魅力そのものがそがれてしまう、烙印を押されてしまうということであります。大臣、学芸員あっての博物館ではありませんか。
 熊本では、震災によって被害のあった文化財の救出活動が行われてきました。続いています。文化財レスキューという制度とその事業であります。転倒した仏像の修復、倒壊した家屋の中から古文書など歴史的な資料を一つ一つ学芸員が取り出して、修復、保存に当たっています。
 東日本大震災で、全国の学芸員がボランティアとして集まって被災した文化財を救い出すことから始まった、この文化財レスキュー制度、熊本では、これまで延べ一千人が参加され、そして六千二百点にも及ぶ文化財及びそれに匹敵する重要な資料を救い出して、保管と修復に当たっているわけであります。
 山本大臣、こうした取り組み一つをとっても、学芸員は貴重な文化財を後世に伝えるために重要な役割を果たしているとはお思いになりませんでしょうか。


山本(幸)国務大臣 その点は委員御指摘のとおりだと思います。熊本震災によって被災した熊本県内の動産文化財等を緊急に調査、保全し、我が国の貴重な文化財等の廃棄、散逸を防止するため、多くの学芸員や研究者が文化財レスキュー事業に御尽力いただいたと承知しております。
 学芸員は、博物館資料の収集、保管、展示及び調査研究等を行う専門的職員であり、地域や人類にとって大切な資料を取り扱い、人々の新しい知識の創造と普及に役立てるとともに、次代に継承するという極めて重要な業務を担っていると認識しております。
 他方で、学芸員がそうした業務を行うに当たっては、文化財を保護することだけではなく、観光立国の観点からも、文化財は地域資源として活用していくことが重要であり、学芸員の方々にもより一層観光マインドを持っていただきたいと考えております。
引き続き、昨年十二月に閣議決定したまち・ひと・しごと創生総合戦略二〇一六改訂版を踏まえ、今後、地域の宝である文化財を、適切な保存を図りつつ、観光資源として活用することにより地域活性化を図ることができるよう、政府全体として取り組んでまいりたいと思っております。


田村(貴)委員 大臣も陳情を受けたと思いますけれども、私の地元でもある北九州市、その小倉南区の城野で、大変歴史的、重要な遺構が出現しました。この城野遺跡の保存をめぐって市民運動が起こって、大臣の事務所にも陳情されたということです。そして、この遺跡を残そうということで、多くの歴史家、考古学者、学芸員の方が努力をされているわけです。こうした学芸員の名誉を傷つけ、そして、がん患者さんに対する思慮を欠いた発言であったわけであります。
 山本大臣は謝罪をされました。しかし、本会議と本委員会で述べたその弁明の言葉の中には、学芸員とがん患者さん、その家族に対する言葉はありませんでした。私は、真摯な反省が見られないというふうに感じております。みずから発した言葉に責任をとられて、山本大臣は大臣を辞任すべきであります。再度要求したいと思います。
 続いて、きょうは法案の質疑でありますので、法案の中身について、今からただしていきたいと思います。
 小規模保育事業の入園対象年齢の拡大について質問をします。
現在、ゼロ歳児から二歳までの子供を対象としている小規模認可保育事業については、三歳以上児でも受け入れることを可能にする規制緩和の提案であります。
 資料をお配りしています。
小規模保育所の現状について書かれたものですけれども、始まって二年、ふえています。こうした理由等について、現状について簡単に説明をしていただけますか。

 

(配布資料はこちら)


吉本政府参考人 お答え申し上げます。
 平成二十八年四月一日時点での小規模保育事業全体の数は二千四百二十九件でございまして、平成二十七年の同日時点に比べまして、七百七十四件増加しているところでございます。
 この増加の原因といたしましては、一つは、平成二十七年度から子ども・子育て新制度の中でこの新しい小規模保育事業ができたわけでございますが、特に土地の確保が困難な都市部におきます受け皿拡大、また待機児童解消の方策としまして、この事業の浸透が図られているということではないかというふうに考えております。


田村(貴)委員 この年齢制限の緩和は東京都などから要望が出されているということでありますけれども、都心における小規模保育所というのは、どういった立地条件のもとで運営されているんでしょうか。


吉本政府参考人 お答え申し上げます。
 どういった建物であるかとか、あるいは建物の何階にあるかといったような形での定量的な把握はちょっとできておりませんけれども、私ども、小規模保育の整備に関しまして一定の支援、補助を行っておりまして、自己所有の建物の施設整備に対する補助と、一方で、賃貸物件を改修して整備するといったものとを比較いたしますと、賃貸物件を改修して事業を実施するといったケースの方がかなり多いといったような状況は見てとれるところでございます。
 あと、東京都から一覧を提供いただいて見ましたところ、やはりビルなり建物の一部を利用して実施しているというようなものが多いのではないかということはうかがえるところでございます。


田村(貴)委員 やはり都心でありますので、ビルであるとか集合住宅であるとか、その中の一室を利用しての小規模保育所が多いということが、今、答弁でもわかりました。
では、この小規模保育所の年齢引き上げについてなんですけれども、保育所の保育士さんの配置はどうなっていくんでしょうか。
 例えば、A型の保育所で、ゼロ歳児を五人見ている、それから一、二歳児が五人、計十人いたとします。そうすると、保育士の配置基準によって、三人であります、この保育所は。ここに三歳児以上の子供たちを受け入れるとする。一人入園したとします。そうすると、保育士は一人ふえるということになりますけれども、それでよろしいですね。


吉本政府参考人 国が定めます小規模保育事業の人員配置基準によりますと、三歳児二十名に対しまして保育士が一名、四歳以上児三十名に対しまして保育士一名ということでございまして、ただいまの例で計算をいたしますと、必要な保育士数の増は一名ということになろうかと存じます。


田村(貴)委員 そうなんです。一人、保育士さんはふえるわけなんです。
 三歳児、四歳児、五歳児を受け入れるということになりますと、上限が十九人になっておりますので、小規模保育所で三歳児から五歳児までの子供が、あとぎりぎり入って九人、入ってきたとしても、これは配置基準からいったら、保育士は一名のままだと。二名にはならないわけなんですよね。いかがですか。


吉本政府参考人 そのような例でありましても、増は一名までということでございます。


田村(貴)委員 三歳児が二十対一、そして四歳から五歳児は三十対一の配置基準でありますから、この小規模保育所の定員の上限が十九人とすると、保育士はふえても一人ということになってくるわけなんですよ。
 では、保育所の面積についてはどうなっていくのか。広がっていくんでしょうか。
 特区の要望を出している東京都から、子供が生活するこの施設面積を拡大、確保する取り組みについての情報等は、今、聞かれていますか。


吉本政府参考人 東京都の方からの今回の要望であったわけでございますが、面積の基準なりその拡大に関しましては、特段の、何らかを改めるといったようなことについては、お伺いはしておりません。


田村(貴)委員 保育士の加算は、たくさん入ってきたとしても一名である、そして、面積が広がるという話も伺っていないということであります。
 これは、厚生労働省、保育の質の低下につながるのではないかという不安の声が上がっているわけであります。
 小規模認可保育事業が基準根拠としている、家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準があります。これは最低基準として策定されているものと理解していますけれども、それで間違いないですか。


吉本政府参考人 家庭的保育事業の設備、運営の基準に関しましては、市町村は条例でその基準を定めなければならない、これが児童福祉法三十四条の十六の規定でございます。
 この条例を定めるに当たっては、厚生労働省の方で定めております家庭的保育事業等の設備運営基準のうち、職員配置また連携施設の確保については、従うべき基準ということになっておりまして、また、その他の屋外遊戯場の設置等に関しましては、参酌すべき基準ということで、そうした基準、今の考え方をもとに各市町村が条例を定めるということになっておりまして、保育事業者はその条例を遵守しなければならないということでございます。(田村(貴)委員「最低基準なのかということ」と呼ぶ)
 職員配置、面積基準等につきまして、従うべき基準ということでございますので、それに関しましては、厚労省が定めるその設備運営基準、それを下回る条例はございませんので、そういう意味ではそれが最低基準ということでございます。


田村(貴)委員 最低基準ということです。
 この設備運営基準の一条二項には、こういうふうに定められています。設備運営基準は、家庭的保育事業等を利用する乳幼児が、明るくて衛生的な環境において、素養があり、かつ適切な訓練を受けた職員が保育を提供することにより、心身ともに健やかに育成されることを保障するものとすると定めてあります。同条第三項では、厚生労働大臣は設備運営基準を常に向上させるように努めることとされているわけであります。
 でも、今お話ししてきましたように、保育士がふえても一人、面積が広がるような話になっていないということであるならば、今度の改正というのは、厚生労働大臣は最低基準を常に向上させるべき、この努力規定に違反することになってしまう措置にはなりませんか。いかがですか。


吉本政府参考人 今般の国家戦略特区における小規模保育事業の対象年齢の拡大に当たりましては、職員配置、面積の基準などにつきましては、現行の家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準、これを遵守するということは当然のことでございますが、これに加えまして、三歳以上の児童を預かる場合の保育の質の確保を図るための措置を新たに設けることを考えているところでございます。
 具体的に申し上げますと、異年齢で構成されるグループ保育などにおきましては、個々の発達過程等に応じた適切な支援ができるように配慮すること、また、三歳以上児については、特に個の成長、それから友達との相互的、協力的な活動が促されるように配慮すること、そういったことを徹底いたしますとともに、ただいま申し上げました設備運営基準、さらには保育所保育指針などをきちんと適用していくということをいたします。それとともに、今申し上げましたそれぞれの配慮がきちんとなされているかどうかにつきまして、事業者は市町村を通じて都道府県に報告をし、都道府県はそれを公表するといったことも定めたいというふうに考えているところでございます。
 こうしたことから、今御指摘の、基準第一条第二項、第三項の規定に違反しているという御指摘は当たらないのではないかというふうに考えております。


田村(貴)委員 いろいろ言われましたけれども、配慮すべき、配慮すべきという話です。つまり、お願いしているという程度の話なんですよね。
 子供一人当たりの居室面積は広がらないけれども、三歳児以上の子供の受け入れを可能にしていく。現場の負担はふえますよね。そして、入所するゼロ歳から二歳までの、また三歳児以上の保育環境を、これは後退しかねない問題なんですよ。最低基準を国がみずから掘り崩すものではありませんか。これでどうして最低基準の改善と言えるんでしょうか。
 今おっしゃったことは、いわゆる基準がないわけなんですよ。努力義務みたいなものですよ。配慮を促しているだけの話なんですよ。子供たちの毎日生活する、その保育所の空間、面積について、これがふえるという保証はあるんですか。しっかとお答えいただきたいと思います、面積について。


吉本政府参考人 職員配置また面積に関する基準につきましては、現行の基準をきちんと引き続き徹底していくということで申し上げましたけれども、これにつきましては、現在三歳以上も含めて保育をしております通常の認可保育園におきますその基準と同等のものでございまして、そういう意味では、それと変わるところがないものでございます。
 ですので、そういった最低基準にのっとった上で、その中で、適切な、先ほど申し上げましたような、個々の発達過程に応じた適切な支援が行われるようにやっていっていただけるようにしていくということで考えているところでございます。


田村(貴)委員 一番重大なことは、この設備及び運営の基準に基づく条例委任による面積基準、これを参酌基準、先ほどお答えもあったんですけれども、参酌基準としたことであります。面積が広がらないにもかかわらず、ゼロ歳から五歳までの異なる年齢がこれだけ広がっている保育を事業主の判断で行えるようにする。本法案は、やはり保育の質に対する国の責任を投げ捨てるものでもあるというふうに指摘せざるを得ません。
 少し紹介したいと思います。
 二〇一六年三月、政府は、待機児童対策として、保育士配置基準や面積基準が国基準よりも手厚い独自基準を設けている自治体に対して、国基準まで引き下げるように求めました。これに対して、回答した中で独自基準がある五十五自治体のうち四十八自治体が緩和予定はないとしたのであります。これはなぜか。保育士配置基準や面積基準は保育の質を低下する、だからやらないということになっているわけですよね。自治体は真剣に向き合っていますよ。こうした規制緩和を厚生労働省が対策なしに推進していくというのは、やはり問題があります。
 私、小規模保育所の当事者の声を伺いました。少し紹介したいと思います。
 小規模保育所の運営者ですけれども、就学前までに身につけるべき力が育てられるのかという懸念がある。幼児は集団の生活の中で成長していくが、その保証ができない。小規模に入れてしまうということで、安上がりの詰め込みになる。本来は保育所での生活を保障すべきだ。こういう意見です。
 保育園の施設長にもお伺いしました。二歳児までは一人で遊ぶ、あるいは少人数の集団で遊ぶことが多いんだけれども、三歳児からはごっこ遊びがふえていく、何々ごっこですね。それで、集団での活動が主体になっていくけれども、この保証ができるかどうかわからない。昼寝の時間も違う。お昼寝は、二歳児までは幼児とは全く違うわけで、三歳になったら少し早く起きて、そして活動が活発になるということであります。
 十名程度の小規模B型の小規模保育所で働く保育士さん、この方は、三歳児以上を複数で受け入れるというのはなかなかしにくいのではないかとおっしゃっています。
 また、小規模保育所に子供さんを預ける保護者の方です。心配なことは、ワンフロアで狭いので、これは先ほど御答弁があった、いわゆる都心のビルの一室ですよね、部屋を分けることができないといったところで、動きの活発な三歳児が入ってくると、二歳以下の幼児にとっても、三歳以上の子供にとっても、双方ストレスになっていくのではないかと親御さんが言っておられるわけなんですよね。
 こうした声に対して、厚生労働省、耳を傾けておられますか。こういう声が上がっていることは御存じですか。お答えいただきたいと思います。


吉本政府参考人 これまで二歳以下の児童を預かる事業だったところが三歳以上の児童を預かるということで、さまざまな御懸念の声があろうかというふうに思いますが、それにつきましては、きめ細かく、先ほど申し上げましたことと重なりますけれども、それぞれの年齢によりまして、ただいま御指摘がございましたように、生活のパターンでありますとか、また遊びの種類、あるいは学ぶこと等々が違ってくるということでございますので、それぞれの発達の状況、段階に応じて適切に支援できるようにしていきたいということで考えているところでございます。


田村(貴)委員 先ほどの話の続きですけれども、ゼロ―二歳児にとっても、それから年長さんに当たっていく三、四歳、五歳が一緒になっていく、しかし、その居住空間、小規模保育所は面積が限られている、ビルの一室である、部屋を区切ることができないといった中に無理やり入れるということは余り、保育の質上、いいことではないというふうに思いますけれども、そういうことを、やはり詰め込みにならないように、そして子供の保育に影響が及ばないようにするためには、どうしたらいいんですか。この設定の中で、この仕組みの中で三歳児以上を受け入れる、そして箱物については一定限られている、その大きな矛盾については、厚労省はどうしたらいいと考えていますか。


吉本政府参考人 お答えいたします。
 お話し申し上げたのは最低基準でございまして、まあ基準でございまして、その中でどのように異年齢の子供たちをきちんと保育していくことができるか、それについては、さまざまな場所の状況等が違いますでしょうから、その現場現場でしかるべき適切な判断をなされていくように、私どもも先ほど来申し上げておりますような配慮をきちんと促していきたいというふうに考えております。
 今回のこの事業でございますが、改めて申し上げるまでもございませんけれども、今回は特に、特区の中で、三歳以上の、三歳の壁があって、そこの受け皿確保が困難だというような指摘もあることからの、特区内に限った限定的な事業ということでございます。
 その範囲内でできる限りの先ほど申し上げたような配慮をしていただきながら、適切な質の保育が提供できるように促してまいりたいというふうに考えております。


田村(貴)委員 いろいろ工夫はされているかもわかりません。しかし、保育室をパーティションで区切るとか、あるいは保育室の利用の仕方を工夫するとかしておくことをやっても、限界があります。
 厚労省の保育所保育指針では、三歳以上の子供の保育に関し、「三歳以上児については、個の成長と、子ども相互の関係や協同的な活動が促されるよう配慮すること。」とされているではありませんか。ここに基づくならば、今度の設定は無理があると思います。
 保育の質を後退させてはなりません。待機児童解消というのであれば、公立保育所の増設、公営保育所の増設、保育士の処遇改善とその増員で行うことが筋ではないでしょうか。そのために、自治体への国の財政支援を抜本的に強化していく、これが今一番大事ではないかなと思いますけれども、いかがですか。


吉本政府参考人 待機児童解消につきましては、こうした状況を、保育事業のみならず、通常の認可保育所も当然含めて、その受け皿の拡大を図るべく、ハードの整備も行っておりますし、それを加速化して行っておりますし、それを担うための保育人材の確保といったことも力を入れてやっているところでございます。
 そうしたさまざまな方策の中の一つとして、特に都市部におきましては待機児童の問題が大きく、三歳の壁もある。三歳以上についてはその連携施設を確保していただくということになっておりますけれども、それも困難な事情がある。三歳以上の受け皿もやはり不足している状況がある。そういったさまざまな事情から、今般、特区の中でこうした事業もあわせて活用することによって、待機児童の解消を図っていこう、そういう趣旨でございます。


田村(貴)委員 元気な子供たちが自由に走り回れる、そういう園庭もない、保育士さんの数も少ない、そういう状況はあってはならないというふうに思うわけです。
 そして、何度も言いますけれども、待機児童解消というのは、大事なのは、やはり公設の保育所をちゃんと増設していく、そして保育士さんの増員とその処遇を改善していく、このことにやはり政府は一番頑張らなければいけない、このことを指摘して、きょうの質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。