196-衆-予算委員会第八分科会-1号 平成30年02月23日 九州豪雨の運休線 鉄道復旧は国の責任で 田村衆院議員が要求

○田村(貴)分科員 日本共産党の田村貴昭です。
まず最初に、災害による鉄道の復旧について質問をいたします。
東日本大震災、熊本地震、そして台風、また九州北部豪雨など、大きな災害が続き、鉄道が被害に遭っています。JRを含め、災害で不通になった鉄道路線が復旧されないままに廃線に追い込まれる、そういう事態も各地で起きています。災害を原因とする鉄道廃止は絶対にあってはなりません。
まず最初に、石井大臣にお伺いします。
災害が起きて鉄道路線が被災した際、まずは一刻も早い復旧を目指すべきでありますが、鉄道事業者を監督する国土交通省の基本的な立場と対応についてお伺いをいたします。


○石井国務大臣 鉄道事業は、営利を目的とする鉄道事業者により営まれるものでございますので、鉄道施設が災害により被害を受けた場合には、鉄道事業者がみずからの判断のもと、みずからの資力により復旧することを基本としております。
しかしながら、経営が厳しく、鉄道事業者の資力のみでは復旧することが著しく困難な場合には、復旧について鉄道事業者と地方公共団体との間において合意がなされることを前提といたしまして、鉄道軌道整備法に基づき国が助成を行うスキームが設けられております。
国土交通省といたしましては、このような補助制度も活用しつつ、被害の状況や被災地域のニーズを踏まえて、必要な支援を行うこととしております。


○田村(貴)分科員 営利を目的とする、そしてみずからの努力、資力というふうに言われましたけれども、公共交通でありますので、ここは一番大事な点であります。
配付資料をごらんいただきたいと思うんですけれども、九州では、一昨年四月の熊本地震、それでJR豊肥線が被災しました。第三セクターの南阿蘇鉄道も被災しました。昨年の九州北部豪雨ではJR久大本線、そしてJR日田彦山線が被災しました。また、去年の台風十八号では日豊本線が被災しました。
JRの復旧状況については、豊肥本線が復旧作業中であります。久大本線は来年七月に復旧の見込みとのことであります。日豊本線は昨年十二月に既に復旧しています。唯一、復旧の見通しが立っていないのが日田彦山線であります。国土交通省は、日田彦山線の復旧についてどのように把握されていますか。


○藤井政府参考人 お答えをいたします。
日田彦山線につきましては、昨年七月の九州北部豪雨により、現在も添田駅と夜明駅の間、二十九・二キロで運転を休止しております。
この区間の被災箇所は六十三カ所に上り、特に大きな被害として、五つの橋梁の損傷や斜面崩壊等の被害が生じ、JR九州はその復旧総額を約七十億円と見込んでいるところでございます。
現在、JR九州は、今後の進め方につきまして、関係地方公共団体等と相談しながら検討を行っているものと承知をしております。


○田村(貴)分科員 関係自治体と復旧に対する協議を行っているとの理解でよろしいんでしょうか。もう一度お聞かせください。


○藤井政府参考人 このことにつきましては、今、被害額が非常に大きい額である、この額をなかなかJR九州だけで賄うことはできない、そういったことで、どういった方策があるかを検討している、そういったことを今も相談をされているというふうに承知をしているところでございます。


○田村(貴)分科員 確かに、六十三カ所の被災があった、復旧費用七十億円というのは、従前の鉄道の被災に比べては大きいものということであります。
同じ九州北部豪雨水害で被災した久大本線、この花月川の橋梁が流失するという大きな被害があったわけなんですけれども、この花月川の橋梁については、昨年からもう既にやりかえの工事が開始され、そして来年復旧のめどがついております。こうした復旧状況がある一方で、日田彦山線については、まだ復旧についての意思というものがどこからも発せられないといった状況。この違いは一体どこにあるというふうに把握されていますか。


○藤井政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘ありましたとおり、昨年七月の九州北部豪雨によりまして、JR九州の久大線も被災をしたところでございます。
久大線につきましては、流失をいたしました花月川橋梁を含む二・四キロが現在も運転休止となっておりますけれども、本年七月中に橋梁のかけかえが完了し、全区間の運行が再開する予定となっております。
この久大線の橋梁のかけかえ、これを含む復旧の総額が約十七億円の見込みということでございます。それに比べて、先ほど申し上げましたとおり、日田彦山線は七十億円ということでございます。やはり被災の規模が大きいということが、日田彦山線について調整に時間を要している理由であるというふうに考えているところでございます。


○田村(貴)分科員 日田彦山線の、これは福岡県のある沿線自治体の首長さんが述べておられたんですけれども、災害時には、九州ですから九州電力も、そしてNTTも、何はさておいても復旧に当たる、なのにどうしてJRはそうしないのだろうかと疑問を呈しておられたんですけれども、私はそのとおりだというふうに思うわけであります。
JR九州は、日田彦山線に限って、復旧の見通しについて述べていないんです。日田彦山線だけについて復旧の見通しを述べていないんです。被災額、復旧費用の多寡はあります。しかし、これまでの路線は復旧してきているんですよ。大分県とも沿線自治体とも協議があったかもわからないけれども、やはり復旧してきた。難工事であってもやってきた。何でこの路線だけはしないのか。ここが、私も含め、沿線住民、沿線自治体の皆さん方の疑問なわけなんです。
復旧の見通しについて述べないどころか、JR九州は、単独での復旧は厳しいと。そして、復旧した将来、持続可能にしておくことが大切として、自治体に協力を求めているわけであります。沿線自治体の福岡県東峰村や添田町というのは、財政規模の小さな自治体であります。その財政規模の小さな自治体が甚大な被害を受けているにもかかわらず、災害をだしにして自治体に負担を求めるというのならば、それは本末転倒していると言わなければなりません。
石井大臣にお伺いします。
災害で不通になった道路や橋があったとするなら、それが復旧されないことはまずありません。まず復旧します。後先のことは言わずに、まずは復旧する。鉄道も復旧する。ほかはやってきたんだから、日田彦山線もやはり復旧すべきであります。鉄道事業者としてその立場に立つよう、JR九州に対して指導をしていただくように大臣に求めますが、いかがでしょうか。


○石井国務大臣 先ほどお答えしたところでありますが、鉄道事業は営利事業であることから、鉄道施設が被災した場合の対応につきましては、鉄道事業者みずからが判断すべきものと考えております。
具体的には、復旧費用の規模等を踏まえつつ、復旧のあり方や輸送形態等について、鉄道事業者が地方公共団体等の関係者と十分な意見交換を行い、検討を行う必要があるものと考えております。


○田村(貴)分科員 そういうスタンスでいきますと、鉄道事業者がその経営形態について今のあり方を変えると言ってしまったら、国はもう手も足も出なくなってしまうじゃないですか。それは、沿線住民にとってこれ以上不幸なことはないわけなんですよ。
毎日の住民の足なんです。そして、通勤通学に欠かすことができない交通手段であるわけなんです。それはもう理解できますよね。日田彦山線には代替のバスがあります。そして、この代替バスが鉄道の走行線、ルートから外れるところもあるので、二十五キロ離れた病院にタクシーを利用して通院しなければいけない高齢者の方もおられたわけなんです。これはもう報道されています。それから、通学のために親が子供の送迎を自家用車でしなければいけないという状況もあるわけなんです。代替バスに加えて代替タクシーを走らせている、バスをおりて、また代替のタクシーに乗らなければ目的地に行くことができない、そういう区間もあるわけなんですよね。住民は大変な思いをして、大変な状況を強いられているという状況なのであります。
国の支援について伺います。
鉄道軌道整備法による災害復旧補助について、JR九州は適用されませんよね、今のスキームでされませんね。それは、対象事業者が、みずからの資力のみでは復旧することが著しく困難な鉄道事業者、過去三年間、鉄道事業及び全事業が赤字であるとなっているからであります。
そこでお伺いしたいのは、この全事業が赤字であるの条件がなければ、JR日田彦山線について災害復旧の補助は行えると考えますが、いかがでしょうか。


○藤井政府参考人 お答えいたします。
今委員から御紹介がございましたけれども、被災した鉄道施設の復旧に対する国の助成措置としては、鉄道軌道整備法による補助制度がございます。この制度は、みずからの資力のみでは復旧することが著しく困難な鉄道事業者、具体的には、過去三年間、鉄道事業及び全事業が赤字であること等に該当する事業者を対象としているところでございます。
JR九州については、鉄道事業及び全事業が黒字であるということでございますので、今の制度のもとではこの補助の対象にはなりません。仮に、赤字要件、先ほど申し上げました、鉄道事業及び全事業が赤字である、こういった要件がこの制度からなくなった、そういう仮定でございますけれども、そういった、なくなったということであれば、JR九州は補助対象になる可能性はあると考えております。


○田村(貴)分科員 はい、わかりました。
先ほどから大臣から答弁があっている、みずからの資力、それからみずからの努力、著しくその資力に欠けるといったところの議論なんですけれども、JR九州という会社はどういう経営状況にあるか、これはやはり見なければいけないというふうに思うわけです。
一部上場企業となりはしましたけれども、鉄道事業というのは構造的な赤字を抱えています。これは脱却できていません、ですよね。そして、全体としての経営黒字は、不動産部門、ホテル事業とかそうしたところからもたらされているものであります、そうですね。もともとは国鉄分割・民営化後も経営安定基金からの運用収益で経営を維持してきた。そういう仕組みをつくって指導をしてきたのがまさに政府、国土交通省ではありませんか。
三島特例で、やはり国の支援がなかったら経営ができなかった、これはこの間までの話なんですよ。そうした会社が上場した今、毎年のように大きな災害に遭っている、そして七十億円というかなり大きな復旧費用が今から求められている。これは、鉄道軌道整備法とそれから災害復旧事業、この枠組みをやはり適用して支援すべきだ、これはやはり一大事なんですから、私はそういうふうに思うわけなんです。
黒字会社は対象にしていないとしているところがそもそもの間違いであります。連続して甚大な災害があっているわけですから、災害復旧事業費を、この補助金制度を改正して、直ちに復旧支援の措置をJR九州に対してとるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。


○藤井政府参考人 お答えいたします。
委員が今御指摘の点につきまして、現在、一定の要件を満たす場合には、黒字の鉄道事業者でありましても、その赤字路線に対してはこういった災害復旧の補助を可能とする鉄道軌道整備法の改正法案、これが与党において議員立法の形で検討されているというふうに承知をしているところでございます。今そういった形で議員立法の形での検討がなされているという状況でございますので、その内容に関する事項について、政府としてはコメントを差し控えさせていただきたいと存じます。


○田村(貴)分科員 JR九州はいろいろな発言をしているわけなんですよ、社長からも。観光列車が走る非常に重要な路線として位置づけているのが久大本線、それから、日豊本線などは幹線であるから大事であると、そして復旧してきた。日田彦山線については、大臣、ローカル線なんですよ。これについては復旧するともしないとも言わないわけなんです。
社長の会見報道、いろいろあっているわけですけれども、経営的に見ればずっと前になくなっていた路線であるとか、それから、バスなどの輸送手段にするかを選択肢として協議するなどと述べておられるわけなんです。スキームが決まっていない前の段階でこういう発言をされている。だったら、これは沿線住民、被災沿線住民に対して、もう鉄道はなくなってしまうか、そういう不安が今大きく広がっているわけなんです。こうした状況を放置していいのでしょうか。
鉄道による復旧、そして全線運行再開は、沿線住民と、北九州市から日田市まである七つの沿線自治体の共通の要求であります。福岡県も復旧を願っています。住民の思いを、石井大臣、ぜひ重く受けとめていただきたいと思います。被災鉄道の復旧に国が全力を挙げていただくこと、このことを強く求めたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。


○石井国務大臣 日田彦山線につきましては、まずは地域における関係者間で、復旧方針等について十分御議論をしていただく必要があると考えております。国土交通省といたしましても、運輸局が議論に参画する等、必要な協力を行ってまいりたいと考えております。


○田村(貴)分科員 ぜひ、傍観者的立場でなくて、国土交通省、大臣含めて、こうした被災路線があって、そして復旧の展望が示せずに沿線住民と自治体が本当に頭を抱えて困っておられる、毎日の朝から晩までの生活に困っておられるという事態を重く受けとめていただいて、被災支援に動き出していただきたいと思います。
赤字、黒字を問わず、被災した鉄道事業者に国の支援措置をとる、こういう動きも与党からも出ている、これは非常に大事であるというふうに思います。これまでの制度の適用を柔軟に対応していただくことも含めて、国が責任を持って被災鉄道の復旧に当たっていただきたい、このことを強く申し上げておきたいというふうに思います。
次に、建設労働者の不足問題について質問します。
熊本地震から四月で二年になるわけでありますけれども、熊本県は県内十二の被災自治体に千七百三十五戸の災害公営住宅を建設する予定であります。しかし、着工済みは二百三十七戸、あした、二十四日着工予定も含めて二百三十七戸、一三・七%という状況であります。五割弱が当初の建設予定からおくれる、そういう状況も報じられているところであります。
このおくれている理由の一つに、建設職人の不足問題が挙げられています。熊本県の甲佐町、宇土市では、入札参加者がなく、不調となったこともあります。
昨年七月の九州北部豪雨水害では、私が住んでいる福岡県朝倉市で一番大きな農地の被害があったわけなんですけれども、土砂を除去する災害復旧事業において、土砂を撤去する業者さんがいない。したがって、全くと言っていいほど、災害復旧事業、土砂の撤去作業が進んでいません。
災害復旧にも大きな影響を生み出している建設業者、建設労働者の不足の問題の原因がどこにあるのかと国土交通省は捉えておられるでしょうか。


○田村政府参考人 お答えいたします。
建設業の許可業者数は、平成二十九年三月末現在で約四十六万業者で、平成十一年のピーク時に比べると二三%減、また、建設業の従事者数で見ますと、総務省の労働力調査で見ますと、平成二十九年暦年平均で四百九十二万人、これは平成九年のピーク時に比べると三五%減少ということで、こういったピーク時に比べますと減少をしております。
その要因というところでございますが、一つは、国内全体の生産年齢人口が減少しているということ、さらには、平成四年がピークでございますが、建設投資額が減少をしてきたことに起因するものと考えております。
なお、建設業者数はここ数年横ばいであり、また、建設業従事者数は、むしろ二十八年と二十九年で比較しますと六万人増加しているということで、足元では必ずしも減少傾向になっているわけではないと思っております。
いずれにしましても、中長期的な建設業の担い手の確保、育成というのは大事なテーマでございます。引き続き、適切な賃金水準の確保、社会保険の加入の促進など、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。


○田村(貴)分科員 近年の傾向はそういう傾向にあるかもわかりませんけれども、十年スパンぐらいで見たら、今おっしゃったように、大きく減っているわけであります。そして、若者を始めとする建設業界離れというのも、これは深刻な問題になっているわけであります。
問題の背景にはいろいろあるわけですけれども、その一つが大型工事への偏重、ここにあるというふうに思います。
政府は、笹子トンネルの事故の後、二〇一三年に策定したインフラ長寿命化基本計画で、メンテナンス産業を発展させることが重要、メンテナンス産業の市場創出、拡大を図るとしてきましたけれども、意図したとおりにはなっていません。
お配りした資料2でありますけれども、「近年の公共投資の動向について」、内閣府のグラフであります。この間、二〇一〇年から二〇一六年度、十億円以上の大型公共事業が一五・八%から二五・四%に、一〇%も増加している。その一方で、五千万円未満の小さな工事は三〇・四%から二二・六%に大きく減っています。グラフには減っているところの部分は数字は書いていませんけれども、青の斜線部分が三〇・四%から二二・六%に減っているという状況です。
インフラの維持管理、メンテナンスを図るというような小規模な工事が減っており、中小の事業者は経営が苦しい状況が続いている、私はそういうふうに見ましたけれども、そういう状況ではありませんか。いかがでしょうか。


○田村政府参考人 内閣府が昨年九月に発表いたしました「近年の公共投資の動向について」によれば、公共工事の請負金額に占める十億円以上の工事の割合が二〇一〇年度の一五・八%から一六年度二五・四%に増加していることは、確かにそのとおりと承知しております。
ただ、これを請負金額ベースで見た場合につきましては、公共工事の前払い保証統計というのがございますけれども、資本金三億円未満の中小建設企業の請負金額は、二〇一〇年度の六・二兆円から二〇一六年度七・六兆円と、この間、二二%増ということでございますが、大幅に増加をしており、必ずしも、金額ベースで見た場合、中小の建設企業の受注金額が減少しているわけではないと考えております。
このような中小建設企業の請負金額の増加を背景にいたしまして、法人企業統計で見ますと、資本金一億円未満の中小建設企業の営業利益率は改善傾向にあるのではないかというふうに考えております。


○田村(貴)分科員 しかし、内閣府の資料では、請負金額別の構成比では、今お認めになったように、こういう状況にあるわけなんですよね。
そこで、石井大臣に伺いますけれども、この内閣府の資料には、大型工事の例として、圏央道、外環道、リニア中央新幹線、ずらずらと大型事業が挙がっているわけなんです。わざわざ紹介してくれているわけですよね。私の地元でも、下関北九州道路、第二関門橋なるものがまたぞろ動き出しているというような状況であります。
こんな大規模工事の偏重を改めて、地域の業者が受注できる防災や安全の工事にこそもっと重点的に措置すべきであるというふうに思いますけれども、全体的にはそういう流れをつくっていくべきだと私は思うんです、九州の被災地をずっと見てきていながら。そういう転換が今こそ図られるべきではないか。東日本の被災地も、今、大変な状況です。大臣、いかがでしょうか。


○石井国務大臣 地域の建設企業は、社会資本整備の担い手であると同時に、地域経済や雇用を支え、災害の対応、除雪といった地域を維持する役割を担うなど、地域の守り手として重要な存在と認識をしております。
国土交通省におきましては、競争性、透明性の確保に留意しつつ、分離分割発注の徹底に努めるとともに、個々の工事の内容に応じまして、地域要件の設定や経営事項審査、総合評価落札方式における災害時の活動実績等の加点評価等の措置によりまして、中小企業を始めとした地域企業を対象とする工事の発注に努めているところであります。
また、大規模工事の発注におきましても、工事の規模、性格等に照らしまして、中小企業も参画をいたします特定建設工事共同企業体の結成を認めるなど、混合入札を実施をしております。
引き続き、中小企業を始めとする地域の建設企業が将来にわたって地域を支えていけるよう、地域企業の受注機会の確保に努めてまいりたいと存じます。


○田村(貴)分科員 もう一つ、建設労働者の不足の問題として、東京圏一極集中、東京一極集中。
これは資料の3で出しています。日刊建設工業新聞で「地方の工事減少深刻」という記事があって、私も都道府県別に調べたのが配付したとおりの内容であります。東京だけが、全体的に建設工事の出来高推移が減っている中で、東京は突出してふえている。ほとんどの県が減っている、そして、減少率が二桁に及んでいる県も多数ある。東日本大震災、この被災地がふえているのは当然のこととして、こういう面でも一極集中があらわれているのではないか。
石井大臣、安倍政権の地方創生の一丁目一番地、このかなめとなるのは東京圏一極集中の是正であるはずでありますけれども、こうした状況をやはり見直していかなければいけない、偏在是正していかなければいけない、ここにやはり建設労働者確保の一つの光明が見えてくると思うんですけれども、一極集中、改めるべきではありませんか。


○石井国務大臣 社会資本整備につきましては、大規模自然災害から国民の生命と財産を守るための国土強靱化や、地方の隅々にまでアベノミクスの効果を波及させることによる地方創生の推進等の諸課題に対応して、計画的に進めていくことが重要であります。
そのため、こうした地域の抱える諸課題に対しまして適切な支援が行えるよう、必要な予算の確保に努めております。
その際、地域の守り手としての役割を担う地域の建設企業が将来にわたって地域を支えていけるよう、地域企業の受注機会の確保に努めているところでございます。
また、地域の建設企業が引き続きその役割を果たし続けていけるためには、建設業の中長期的な担い手の確保、育成が重要であります。引き続き、適切な賃金水準の確保や社会保険加入の促進などの処遇改善、週休二日の確保を始めとした長時間労働の抑制などの働き方改革を推進をいたしまして、建設業の担い手確保にしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。


○田村(貴)分科員 その働き方、賃金の問題について引き続き質問しますけれども、賃金改善、処遇改善、これは一番大事なところだというふうに思うわけです。
賃金改善の大きな手だてとなっているのが、全国各地の自治体における公契約条例であります。福岡県直方市での工事に参入した建設職人からは、適正賃金で仕事ができた、これは公契約条例があるからでありますけれども、こういう成果も上げているわけであります。
大臣は、一昨年三月二十三日の国交委員会で、既に条例を制定している地方自治体の状況等を注視する必要があるというふうに述べておられます。注視されておられるでしょうか。地方自治体が、地域における建設労働者の処遇改善のために、条例を制定して、賃金の下限を設定するなどの公契約条例、こうした条例を制定している、こうした取組については大変意義のある取組だと私は思うわけでありますけれども、大臣の受けとめはいかがでしょうか。


○石井国務大臣 国や地方公共団体が発注をする契約におきまして、適正な賃金を確保することは重要な課題であると考えております。
建設業につきましては、技能労働者の処遇改善や若手入職者の増加を図るためにも、技能労働者の適切な賃金水準を確保する必要がございます。
一方で、賃金等の労働条件は、労働基準法等の関係法令に反しない限りにおいて、労使が自主的に決定することとされております。
いわゆる公契約条例により賃金等の基準を新たに設けることにつきましては、今後も幅広い観点から各地方公共団体において議論がなされるべきものではないかと考えているところでございます。


○田村(貴)分科員 もうちょっと踏み込んだ答弁を期待しておったんですけれども、残念であります。
今最も急がなければならないのは、大きな災害によって被災を受けている、そうした国民、住民の生活となりわいを一日も早く取り戻す、こうした災害関連の事業等であります。災害復旧対策がおくれる、その原因が、大型事業偏重、東京一極集中であること、そして、きょうは質問できませんでしたけれども、賃金が規定の水準に達していない、そうした問題等々が改善されないとだめであります。
抜本是正を強く求めて、きょうの質問を終わります。ありがとうございました。