196-衆-農林水産委員会-5号 平成30年03月28日 

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
諫早湾干拓工事について、きょうは干拓農地のことについて、さまざまな問題について質問をさせていただきたいと思います。
国営諫早湾干拓事業は、二〇〇八年から経営体等によって、貸付けがされ、今、十年たっていますが、農業が行われているところであります。
まず最初に、大臣に伺います。
営農地は長崎県農業振興公社において所有、運営されているわけでありますけれども、国は、つくったらおしまいではないと私も考えております。巨費を投じてつくったあの干拓農地について、あるいはそこで行われる農業について、農水省は、大臣は、どのように考えておられるでしょうか。


○齋藤国務大臣 実は、昨年十一月に現地を視察させていただいておりますが、その際、諫早湾干拓の造成農地における営農状況を、御説明を伺い、拝見をいたしました。
そのとき、レタスとかキャベツなど、大規模な環境保全型の畑作農業が展開されているなと。そして、その中で、香港等への輸出に取り組まれたり、グローバルGAPの認証を取得しましたというお話も伺って、持続可能性を追求した生産を行っている法人がおられるということも視察で目の当たりにしてまいりました。農業者が、大規模で平たんな優良農地で意欲的に営農に取り組まれているなということをそのとき実感いたしました。
この造成農地は、今御指摘のように、長崎県農業振興公社が国から土地配分を受けて、農業者へ貸付けをされているというものであります。したがって、一義的には、当該農地に係る課題については、農地を所有する同公社において、農業者の皆さんとともに検討されるべきものではありますけれども、農林水産省としては、造成農地における農業振興に向けて御相談、要望がありましたら、長崎県や諫早市と連携して、しっかり対応を検討していくというふうに考えているところでございます。


○田村(貴)委員 それで、対応を検討していただきたいことがたくさんあるわけなんですけれども、この間、干拓農地ではたくさんの問題が生じています。その一つが、カモによる食害であります。
資料1をごらんいただきたいと思います。
諫早の営農地でおととい私が撮ったものでありますけれども、この霜よけシートを破って、カモがレタスを食べているわけであります。食いちぎられています。そして、大根の葉っぱは生育途中で食べてしまうと生育がとまってしまうということで、被害のなかったものと比べると、ごらんのとおりというような状況であります。
このほかに、ブロッコリー、ナバナ、キャベツ、チンゲンサイ、コマツナ等の野菜がやられている。カモにも嗜好があって、ホウレンソウとかネギは食べないということであります。
営農者によれば、こうした食害はもう五、六年前から起こっているということであります。きのう、きょうの話ではありません。
一昨年、二〇一六年度の食害被害は、全体で約二千三百万円というふうにも公表されています。国や県に損害賠償を求めて提訴した農業生産法人の二社は、ことし四千万円の被害が生じているというふうにも述べておられます。
そこで、農水省にお伺いします。
農水省は、干拓地における食害の調査をされていますか。あるいは、食害の原因や被害の実態について詳細は把握されているでしょうか。


○荒川政府参考人 お答えを申し上げます。
今先生からお話ございました、諫早干拓地におけるカモの被害の実態でございます。
私ども農林水産省は、諫早湾に限らず、都道府県の御協力をいただきまして、毎年度、野生鳥獣による農作物の被害状況調査というものを実施しているところでございます。
諫早湾干拓地を含めた諫早市全体でのカモによる被害額というのを頂戴しておりますが、それまではなかったのでございますが、二十五年度に初めて諫早市でカモによる被害というものが報告をされたところでございまして、そのときは被害額は二十万円だったというふうに承知しております。
その後、先生お話ございましたが、二十八年度に約二千三百万円ということで、急増している状況を認識しておるところでございます。


○田村(貴)委員 全国的にはカモの食害は減っている傾向にあるというふうに私聞いているんですけれども、ここではふえているということであります。原因究明が待たれるところなんですけれども、ぜひ関心を持って対応に当たっていただきたいというふうに思います。
一つ飛んで、資料3なんですけれども、環境省から出してもらった、ここ三十年間の諫早湾におけるカモ類の観測個体数であります。たくさん数字が並んでいるんですけれども、毎年数万羽のカモの個体が観測されているということであります。
環境省にお伺いするんですけれども、水鳥にとって、諫早湾の生息環境というのはこの間ずっと変わってまいりました。潮受け堤防ができた、そしてその堤防も閉まってしまった、そして調整池もできたという環境の変化の中で、この個体数、カモの生息というのはどういうふうに見てとれるでしょうか。


○米谷政府参考人 環境省では、我が国で越冬するガン、カモ、ハクチョウ類の生息状況を把握するため、都道府県に依頼して、毎年一月に全国一斉調査を実施しています。
調査地の一つである諫早湾においては、昭和六十三年度より継続して調査を実施しているところでございます。
調査日の天候等の条件で数の増減はありますが、過去三十年の調査において、諫早湾においては、少ない年で約八千羽、多い年で約七万羽のカモ類がカウントされています。
なお、諫早干拓事業による潮受け堤防の締切り前の九年の平均で約三万四千羽、締切り後の九年の平均で約二万四千羽のカモ類がカウントされ、平均で減少が見られたものの、直近の十年の平均では約三万八千羽のカモ類がカウントされ、回復傾向が見られているところであります。
これらの個体数の変化はありますが、干拓事業との因果関係については、現時点でにわかに判断することが難しいという状況でございます。


○田村(貴)委員 諫早のカモは干拓工事前からたくさん飛来してきた、全体として見れば余り変わっていないというような話であったというふうに思います。
もともとこの諫早湾には多数のカモが生息していたということで、そこに農地ができたわけなんですよね。ここで生息するカモにとって餌は重要であり、農地ができてそこでおいしい野菜ができることによって、その餌として野菜をついばむことになっている。言ってみれば、この食害というのは、干拓営農地づくり、干拓事業の過程の中で起こった必然の流れであるというふうに私は捉えているわけであります。
この表は、カモは二つに分けられて、海カモとそれから陸カモ、食害を及ぼすのは陸カモなんですけれども、黄色を陸カモ、水色の方を海カモというふうに識別をしました。
この陸カモの個体数はどうなっているでしょうか、マガモ、カルガモ、オナガガモ、トモエガモなどの陸カモの個体数。営農開始の二〇〇八年と二〇一八年の個体数を教えていただけますか。


○米谷政府参考人 ガンカモ調査の結果で、マガモ等のいわゆる陸ガモは、二〇〇八年に千六百十五羽がカウントされています。二〇一八年は、暫定値ですが、一万七十二羽がカウントされているところでございます。このうち五千三百九十四羽は、これまでの諫早湾での調査で観察記録がなかったトモエガモが占めているという状況でございます。

なお、渡りの時期やルートの変動、調査日の天候等の条件でも渡り鳥の数の増減があるところであり、単純に単年度ごとの比較はできないと考えておるところでございます。


○田村(貴)委員 今のお話をグラフ化したのが資料4であります。
陸カモの個体数は営農開始とともにふえて、最近は急増しています。その習性と食害との因果関係については解明されなければならないわけですけれども、この陸カモが急増している、諫早湾の干拓地において急増している、諫早湾において急増しているということは重要なことであります。このカモが農地を餌場とするならば、これは重大問題になってまいります。
そこで、農水省にお伺いします。
被害は長く続いているわけでありますけれども、対策は今からだということなんですね。大規模農業でありますから、その被害額についても半端ではありません。収入は減る中で、リース料や土地改良賦課金で営農者は一ヘクタール当たり二十七万円払わなければならないということであります。
被害農家の悩み、要求に対して自治体、公社と一緒に耳を傾けて、原因の究明と対策にしっかりと国としてかかわっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。


○荒川政府参考人 お答え申し上げます。

今先生お話ございました諫早湾干拓農地のカモ被害でございますが、先ほどもちょっと御答弁させていただきました、二十五年度に初めて被害報告を私どもいただきまして、その後も低位で推移をしておったんですが、二十八年度に二千三百万円ということで急増しておるということで、原因究明も含めて、被害対策、これからしっかりやっていかなきゃいけないというふうに認識をしておるところでございます。
諫早市におかれましては、まず個体数を減らすという意味での銃による捕獲はもとよりでございますけれども、農作物を守るための不織布等を作物に直接被覆する形でのべたがけ、先ほど先生の資料にございましたけれども、ああいったもの、これも不織布の種類によっていろいろな効果があり得るということで、そういったものを実施していただいたり、あるいは、吹き流しといいまして、棒の先にひらひらをつけてというようなことをしっかりやっていくというようなことだと思っております。
また、最近、長崎県といたしましては、カモの天敵でありますミミズクの鳴き声を利用しましたカモの追い払い装置の設置ですとか、それから、ドロップネットといいまして、そういうものをしっかり長崎県の方でも取り組んでおられるというふうに承知をしております。
我々、鳥獣被害防止対策総合交付金がございますので、この交付金を使いまして、県、市とよく相談をしながらやってまいりたいと思っております。


○田村(貴)委員 それが功を奏していない、そして本格的な対策は今からだ、自治体もそういう状況なんですよね。だからこそ知見のある農水省がしっかりかかわっていただきたいということなんです。わかっていただけたと思います。
最後に大臣にお伺いしたいんですけれども、食害だけじゃないんですよね、干拓営農地。
資料2に戻っていただきたいんですけれども、これはちょっと畑の土とは見えないんですけれども、これは土なんですよね。トラクターが通った後、排水不良があって、雨が降っていないのに水がたまったままである。こうしたところでつくった大根というのは、生育が、伸びない。それから、調整池、これは海流が流れてきませんので、調整池そのままですから、冬は外の気温よりも数度低い、二度から五度ぐらい低いといったところで、凍傷、大根でいうと、土の部分に出たところの皮がめくれる。こんな被害があるわけであります。食害に加えて冷害、それから排水不良と土壌の問題、こうした問題があるわけなんです。
大臣、去年の記者会見、十一月に、優良農地というふうに評価されたんですけれども、一概に優良農地ではないんじゃないかと私は思うわけですけれども、いかがでしょうか。
せっかくつくった農地であります。ここでの農業生産と振興、私もそういう同じ思いを持っています。ただ、障害がある。農家と農業経営体が今苦難に直面をしているわけであります。農水省は、しっかりと、つくった立場でありますので対策と支援を尽くすべきだと思いますけれども、短い時間で私主張させていただきました、大臣、いかがでしょうか。


○齋藤国務大臣 諫早湾干拓の造成農地における推定農業産出額は、平成二十年度の約二十億円から平成二十八年度には約三十八億円へと着実に増加をしてきておりまして、生産性が高くて実需者ニーズに対応した営農が全体としてはなされているのではないかと認識をしておりますが、ただ一方で、さまざまな問題があるのも、それは現実としてあるわけであります。
今、諫早湾干拓の造成農地は、調整池を水源としたかんがい用水を完備した、大型機械による効率的な農業が可能な標準区画六ヘクタールの平たんで大規模な農地でありますので、優良農地であると考えております。
しかしながら、営農者から圃場の排水対策、先ほど絵を見せていただきましたけれども、排水対策について要望があったので、平成二十八年に長崎県農業振興公社が造成農地の排水不良に対するアンケートや営農者への聞き取り調査を実施いたしまして、約三割の区画で排水不良との結果を得たというふうに聞いております。
その後、同公社が現地調査をいたしましたところ、諫早湾干拓事業の欠陥ではなく、地盤沈下や営農上の排水管理の問題があるということがわかって、現在、同公社において、農地に緩やかな勾配をつけるための工事を行うなど、対策に着手をしているというところでございます。
農林水産省としても、先ほど申し上げましたが、造成農地における農業振興に向けて相談や要望があれば、長崎県や諫早市と連携して対応を検討していきたいと考えているところでございます。


○田村(貴)委員 わかりました。
二千五百三十三億円、巨費を投じての諫早湾干拓工事、これは海に対しては取り返しのつかない被害も起こり、そして異変を起こしました。おかにおいても、農地においてもこれだけの問題があるわけなんですね。
全てが干拓事業、国策から始まった事業であります。私は、海にも、そして畑にもたくさんの問題があるというふうに思います。この問題から農水省はしっかりと逃げないで向き合って、目に見える対策を打っていただきたいというふうに思います。
きょうは以上で終わります。