196-衆-本会議-19号 平成30年04月17日 “TPP11、生活に大打撃” 衆院本会議で田村氏、承認案を批判

○田村貴昭君 日本共産党の田村貴昭です。
私は、日本共産党を代表して、TPPに関する包括的協定について質問します。(拍手)
まず、日米首脳会談について聞きます。
トランプ大統領が米通商拡大法二百三十二条を発動し、鉄鋼に二五%、アルミニウムに一〇%の関税を課す輸入制限を行ったことをめぐり、安倍総理は日本の除外を求めるとのことです。
そもそも安倍政権は、一〇〇%アメリカとともにあるとして、貿易自由化の道を突き進んできました。しかし、今、貿易制裁に直面しています。安倍政権の米国言いなりの路線の破綻は明白ではありませんか。
今回の会談は、日米双方の関心事項について突っ込んだやりとりが行われると菅官房長官が述べました。一体、トランプ大統領から新たにどういう関心事項が持ち出され、安倍総理が譲歩し、約束させられようとしているのですか。
米国がアメリカ・ファーストを掲げ、日本に対して、TPP復帰に向けた再交渉の可能性をちらつかせながら、バイ・アメリカン、米国製を買えと全分野にわたる要求をぶつけてきていることは極めて重大です。政府の見解を伺います。
安倍総理は、昨年二月の訪米で、日米経済対話をみずから進んで提案しました。総理の提案は、結局、TPPの離脱宣言をしたトランプ大統領の二国間交渉重視の姿勢に迎合したものだったのではありませんか。日米経済対話は、今や、米国からのさまざまな分野にわたるとめどもない対日要求の実現の場になっているではありませんか。
次に、TPP11についてです。
米国を除く十一カ国が署名した本協定では、日本語訳でわずか六ページですが、二〇一六年の国会で強行採決したTPPの五千ページの条文と附属書のほとんどが組み込まれており、いわばTPPの化身ではありませんか。事実、関税の撤廃と削減、輸入特別枠の設定など、市場開放の取決めは、TPPと比べて何ら変化がありません。
TPP11は、多国籍企業や国際競争力の強い国の利益を優先し、投資を自由化し、加盟国が関税を原則撤廃するものです。
とりわけ日本の農産物輸入では、加盟国全体に対するバターと脱脂粉乳の低関税輸入枠の七万トンがそのまま残ります。仮に米国が三万トンの枠を新たに要求するならば、十万トンという大型の輸入枠となるではありませんか。
ニュージーランド、オーストラリア、カナダなどの農産物輸出大国は対日輸出の増加を狙っています。これらが仮に実行された場合、日本の農林畜産と漁業、国民の食料に大打撃を与えるのは明らかです。
加えて、協定は、非関税障壁撤廃の名のもと、食の安全、医療、雇用労働、金融、保険、官公需など、国民生活のあらゆる分野で規制を取り払います。
本協定の交渉過程で加盟国は、知的財産、政府調達、ISDSなど、米国から押しつけられ譲歩した八十項目の削除や凍結、再交渉を求めました。この交渉で安倍政権は、被害を受ける農林畜産分野を含め、どういう分野の削除や凍結を要求したのですか。あるいは、しなかったのですか。
凍結した二十二項目は有害条項リストであり、復活は許されないと考えますが、見解を求めます。
TPP11は、日本がTPPで国際的に約束した関税自由化や非関税措置の到達点であり、米国が日本に対して大幅な譲歩を求めていく出発点になることは明白です。にもかかわらず、安倍政権が、関税自由化と非関税措置の撤廃による国民へのリアルな悪影響を一切明らかにせず、批准にひた走っています。断じて許されません。
最後に、各国の食料主権と経済主権を守り、平等互恵の経済関係と投資のルールこそ必要であることを強調し、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣河野太郎君登壇〕