196-衆-農林水産委員会-16号 平成30年05月23日

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
私からも、加計学園関連の愛媛県の新文書について、大臣にお尋ねをします。
二〇一五年の四月二日、柳瀬総理秘書官、内閣府藤原次長、加計学園、愛媛県側との面談が行われた。そこで、先ほど金子議員からもありましたけれども、農水省から官邸に出向中の内閣参事官も同席をしていました。内閣参事官は、状況は本省にも説明をしている、企画書ができれば農水省にも説明をと述べたというふうに記されているわけであります。
そうなりますと、大臣、農水省にはこの後いろいろと情報が寄せられてきたのではないかなと私は思うわけです。
そこで、四月三日付の愛媛県の文書は、農水省から発見されて出てきました。これに類似するような獣医学部創設をめぐる文書あるいは電子記録、こうしたものは農水省に現時点であるのか、あるいは、これからまた探さなければならないのか、あったとしたらどうされるのか、この一点について、大臣に御説明いただきたいと思います。


○齋藤国務大臣 正確に申し上げますと、繰り返しになって恐縮なんですが、まず、出向していた職員に関しては、日にちは記憶が定かではないけれども、当時の柳瀬秘書官からの求めに応じ、自分も同席していたと記憶している、これは確認をしていますし、ただ、三年も前のことであり、具体的なやりとりについては記憶に残っておらず、面談の際のやりとりについてメモ類は一切作成していないということであったということです。
それから、文書につきましては、これも先ほど来御答弁申し上げておりますように、これまでの情報公開請求、もう一年前になりますけれども、に際して、共有ファイル、共有フォルダなどにより、メールも含めて行政文書について調査を行って、存在するものは既に適切に公表してきた。そして、その中に愛媛県の文書や平成二十七年四月二日の面談に関する情報は含まれていなかったということが調査結果としてあるわけです。
加えて、報道で愛媛県の文書が出た際に、官邸からの指示がありましたので、そういう文書が保有されていないかということを、当時いた人、それからその後いた職員も含めまして担当部局のヒアリングをした結果、保有していた職員がおり、それは公表をさせていただいたということであります。


○田村(貴)委員 当時農水省の職員の方の記憶が戻ることもあるかもわかりませんし、新たな文書が見つかるかもわかりません。これは、総理の国会答弁と愛媛県の文書は百八十度違うんですね。行政がゆがめられたのではないかという疑惑がある大事な案件ですので、そういう新たな事実があれば、これは国民と国会に開示をしていただきたい。強く要求しておきたいと思います。
それでは、卸売市場法の改正案について質問をします。
二〇一六年十一月十一日に、未来投資会議構造改革徹底推進会合、ここから驚くべき表現の文書が発せられました。「卸売市場については、」「より自由かつ最適に業務を行えるようにする観点から、抜本的に見直し、卸売市場法という特別の法制度に基づく時代遅れの規制は廃止する。」こうした文書でありました。
その後、踏襲されて閣議決定された規制改革実施計画では、次の表現です。「卸売市場法を抜本的に見直し、合理的理由のなくなっている規制は廃止すべく、」とされたわけであります。
卸売市場のあり方を、規制改革推進会議農業、農林ワーキング・グループはしてきたわけですけれども、その委員、専門委員には卸売市場の当事者はいないわけであります。なぜ肝心の当事者や卸売市場の専門家を入れて議論をしてこなかったんですか。内閣府にお尋ねします。


○窪田政府参考人 お答えいたします。
規制改革推進会議において本件の議論をしておりました農業ワーキング・グループにおきましては、御指摘のとおり、委員及び専門委員に卸売市場の当事者はおりません。
卸売市場のあり方について検討する際に、ただし、現場の意見についてもお伺いする必要があるということで、卸売市場の関係者の方々のみならず、生産物の流通に関して重要な役割を担っております全国農業協同組合連合会などの関係者よりヒアリングを実施しております。
また、卸売市場の当事者だけでなく、制度を所管しております農林水産省からもヒアリングを行い、卸売市場に関する提言の取りまとめに至ってございます。


○田村(貴)委員 当事者がいないと話にならないじゃないですか。なぜ現場の御本尊とも言うべき仲卸の方、それから卸の方、そういった市場の関係者の意見を聞かなかったのかということであります。
しかも、十一月二十四日の提言の、この月にたった一回だけ関係者からの意見は聞いているわけであります。しかし、受託拒否ができるとなると市場の価値が失われるなどの声が全く今回反映されていません。
十一月一日にオブザーバーで参加されている学者がまたとんでもないことを、ひどいことを言っていますよ。ブログでこういうことを言っています。
卸売市場法は必要なのか。我が国の農産物流通では、卸の自由度が制限されているため、流通が活性化せず、したがって農業生産も旧態依然としてしまうところにある。受託拒否の禁止の原則があるため、産地は何にも工夫しなくてもよかったのだ。大切なのは、青果や水産卸の自由度を高めることで、それを縛る市場法は必要ないということではなかろうか。
こういう方がオブザーバーで、意見発表をさせているわけですよ。ひどいじゃないですか。
大臣にお伺いしたいと思います。
規制改革推進会議のこの提言と前後して、生産団体それから市場関係者から、卸売市場の機能の弱体化は容認できない、制度の根幹を堅持すべきである、第三者販売の拡大を懸念する等々の声がたくさん寄せられました。この声をどう受けとめておられるんですか。それから、当事者不在で議論が進められてきたこの経過について、大臣はどのように受けとめておられますか。


○齋藤国務大臣 まず、田村委員の先ほどの御指摘で、愛媛県の文書について、これは重要な話でありますというお話がありました。それは重く受けとめたいと思いますし、正直言って、私どもは、やれることはやってきたつもりでありますけれども、正直、思いもよらないことが起こってきているのは事実ですので、また何かそういうことがありましたら適切に対応していきたいということは申し上げておきたいと思います。
今の御指摘の件ですけれども、今回の卸売市場法の見直しに当たりましては、昨年春から職員が全国に出張し、卸売市場関係者、生産者、小売業者等から幅広く意見を伺ってきたところでありまして、関係者からは、食品流通における卸売市場の機能は重要であって、今後も食品流通の核として堅持すべきであるですとか、それから、差別的取扱いの禁止等卸売市場の公共性を維持するためのルールは堅持すべきであるとか、品目や地域ごとに多様な実態にあることを踏まえつつ、生産者や消費者のニーズに一層応えるべきである等の意見をいただいておりまして、私どもとしては、こうした意見を踏まえて、この法案の中で対処させていただいたということであることを申し上げたいと思います。
それから、規制改革会議につきましては、卸売市場に限らず、私ども、常に高いボールを投げられて、それをどう意味のあるものにして対応していくかということで頭を悩ませているわけでありますが、その規制改革会議の構成員につきまして、私の方からコメントすることは差し控えたいなと思っております。


○田村(貴)委員 大臣、今いみじくも言われましたけれども、この委員会にもたくさんの法案を出されていますけれども、やはり官邸主導で議論がされてきているわけなんですよ。これを唯々諾々と認めるのかといったところに私の思いはあるわけなんです。
官邸側が規制は廃止というふうに議論をされているさなか、そうしたら、当の当事者、卸売市場の関係者から、卸売市場法の改正を求める要望は出されたのでしょうか。そういう事例があれば、この機会に示していただきたいと思います。


○井上政府参考人 今回の卸売市場法の見直しに当たりましては、全国の卸売市場関係者、生産者、小売業者等から幅広く意見を伺っておりまして、その中では、第三者販売の禁止について、実態が先行しており、廃止してもよいといった意見、直荷引きの禁止について、卸に頼んでも荷が集まらなくなっており、自由化に賛成であるといった声、商物一致の原則について、輸送事情が逼迫している中、輸送負担の増加となっており、見直すべき等の意見をいただいております。
また、このほか、関係団体からは要請書等も提出をされておりまして、その中では、第三者販売の禁止は合理的な規制であるといったような御意見もありますし、卸売市場の公共性等を明確にすべきである、受託拒否の禁止と代金決済の確保は堅持すべきである等々の意見も出されたところでございます。
こうした意見も踏まえまして、卸売市場を食品流通の核として堅持しつつ、高い公共性の発揮に必要なルールは共通ルールとして残した上で、その他の取引ルールについては卸売市場ごとの実態に合わせて柔軟に設定できるような改正案を御提案しているものでございます。


○田村(貴)委員 最後の主語が誰なのかよくわからなかったんですけれども、結局、その議論において当事者は参加していない、そして、当事者から明確に法改正を求める声というのは上がっていないというのが現状ではないかと思います。
さらに、農家を怒らせているのが、その提案案が議題となった二〇一七年の十一月二十四日、佐脇規制改革推進室参事官の発言であります。
これまたすごい決めつけなんですけれども、受託拒否の規制を一律に適用した場合には、生産者が流通手段を吟味せず、安易に中央卸売市場に出荷することを助長しかねない、鮮度や大きさの面で著しく劣り、環境影響や倫理等の面で不適切な生産、出荷がなされ、一律に受託することが生産者の不適切な活動を助長しないとも限らない、中央卸売市場に対し、この規制を一律に適用すべきでない、こういう決めつけであります。
そこで、農水省にお伺いします。
受託拒否の禁止のルールがあるがために、生産者は安易に中央卸売市場に出荷をしてきたのですか、出荷をしているのですか。鮮度や大きさが著しく劣るものを生産、出荷している、そんなひどいことを日本の生産者は全国の卸売市場でやってきているのですか。教えてください。


○井上政府参考人 お答え申し上げます。
農林水産省の考え方といたしましては、受託拒否の禁止は、鮮度が劣化しやすい生鮮食料品等の生産者に安定的な出荷先を保証するという点において高い意義、公共性を有するものと考えておりまして、今回の改正案についても、共通のルールとして維持することとしているところでございます。
他方、これは従来同様でございますが、受託拒否の禁止といいましても、拒否できる例外事由というのがございまして、衛生上有害な物品等の場合であるとか、あるいは、市場外取引や他市場での残品の出荷であることが明白であって、これが繰り返し同一の出荷者により行われる場合等正当な理由がある場合には受託を拒否することが、現在もできますし、今後ともそのような仕組みとしたいと思っているところでございまして、有害な物品等については、受託拒否の禁止の原則のもとでも、そういうものは市場において引き取られることがないというふうに考えております。


○田村(貴)委員 受託拒否の禁止を全て否定するかのような発言に対しては、農水省は、生産者を守る立場から、毅然と反論しないとだめですよ。そういうことを論議してこなかったのはやはり問題だというふうに思います。
受託拒否の禁止は、大正時代の米騒動に起因して、食品流通における商業形態の透明性を確保するために一九二三年に公布された中央卸売市場法に設けられたものであります。以来、卸売市場の根幹をなす制度であります。卸売業者は正当な理由がない限り出荷者からの販売委託の申込みを拒否できない、これが否定されたら、全国の生産者は大混乱を来してしまいます。そうですよね、否定されたら。
改めて、この受託拒否の禁止の意義について、今どう考えておられるのか。
もう一問。
今までは、その正当な理由というのは、食品流通局長の通知が担保だったというふうに思うんですけれども、今度の法改正案では、農林水産省令で定めるというふうに書かれています。この正当な理由について、変えるのですか、新たな変更点を設けるのですか。
この二点、説明してください。


○井上政府参考人 受託拒否の禁止ができる例外的な事由につきましては、今後とも、これを極めて限定する形にすることを考えておりまして、現在と同様の内容を定めたいというふうに考えております。


○田村(貴)委員 時間が参りました。続きは次回にさせていただきたいと思います。
終わります。