196-衆-本会議-30号 平成30年05月25日 卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案について反対討論

○田村貴昭君 日本共産党の田村貴昭です。
 私は、日本共産党を代表して、卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案について、反対の討論を行います。(拍手)
 
 第一に、本法案は、市場を全国に整備する国の責任を放棄するものです。
 現行法は、全国の需給の状況を踏まえて、国が整備計画を立て、責任を持って市場を配置することとしています。中央卸売市場の開設者を自治体とし、卸売業者は国から許可を得て営業しています。
 しかし、本法案は、これらの仕組みを全て廃止し、認可制を認定制に変え、民間企業も開設者となることができます。これまで条例で決められてきた業務規程も、一企業が決めることになります。生産者の利益を守る公的役割を付与されていた卸売業者も、開設者から施設の使用許可を得ただけの存在となってしまいます。これは明らかに市場の公共性の後退と言わざるを得ません。
 また、認定を受けない市場が開設されれば、差別的取扱いの禁止と受託拒否の禁止の原則も適用されない市場が出現する可能性もあり、恣意的な運用がなされることは避けられません。
 
 第二に、本法案は、公正な価格形成機能を破壊します。
 卸売市場では、卸売業者と仲卸業者が競りを通じて向き合い、公正な価格形成が行われています。売り手と買い手の力関係は介在せず、仲卸業者の熟練のわざで商品価値のみが評価されています。相対取 引や市場外の取引でも、この価格は基準となっています。
 しかし、本法案は、卸売業者が仲卸業者以外の者には販売してはならないとする第三者販売の禁止の原則を撤廃し、卸、仲卸が対峙する価格形成の仕組みを崩そうとしています。
 今ですら、卸と仲卸は顧客をとり合い、仲卸は続々と廃業しています。民間の中央卸売市場ともなれば、施設使用料が値上がりし、仲卸は窮地に追い込まれます。
 仲卸業者を市場から排除する一本道であることは明らかです。
 
 第三に、本法案は、市場関係者の要求からスタートしたものではありません。
 規制改革推進会議、未来投資会議が持ち出したものであり、市場を物流センターやバックヤードとして活用したいという大手小売の要求に応えるものです。
 小さくても多様な食料生産と、これに依拠する豊かな食文化を損ない、大企業による寡占化を招く法案と言わざるを得ません。
 
 以上を指摘し、討論とします。(拍手)