196-衆-農林水産委員会-22号 平成30年06月19日 まき網漁の制限を クロマグロ激減 田村貴昭氏が追及

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
冒頭、大阪北部を震源とする地震によって犠牲になられた方々にお悔やみを申し上げます。そして、全ての被災者の方にお見舞いを申し上げるとともに、救援そして支援、復旧に政府が全力を挙げていただくことを強く要求いたします。
急を要する課題について、クロマグロの漁師さんたちの休漁対策について最初に質問をします。
七月一日から資源管理の第四管理期間が始まります。第三管理期間の途中、ことし一月二十三日以降、沿岸小型船に対する自粛要請は、これは事実上の禁漁となって、漁業者は死活問題に接しています。前回の委員会でも指摘しました。
クロマグロというのは、三歳、体重三十キロ程度に成長しますと、六月から八月にかけて日本海に集まって産卵をします。沿岸漁業者は、この期間、自粛をしています、我慢しています。しかし、まき網はこれを狙って操業しているわけです。
大臣にお伺いします。
せめて産卵期の漁獲はやめてほしいと沿岸漁業者はかねてから訴えてきました。クロマグロの資源がこれほどまでに急減したのは、日本海沿岸での産卵期の、まさにまき網に原因があったのではありませんか。


○齋藤国務大臣 国際的な科学者組織でありますISC、北太平洋まぐろ類国際科学委員会が行っております太平洋クロマグロの資源評価、これによりますと、太平洋クロマグロの漁獲はゼロ歳から二歳までの未成魚がほとんどであって、近年、この漁獲が増大していた一方で、未成魚の発生が少ない年が頻発したことから、親魚となるまで生き残る魚が減少して、これが親魚資源の減少の主要因であるというふうにされていると私は承知をしております。


○田村(貴)委員 今大臣が言われたISCは、議長も日本政府の水産庁ならば、メンバーの多くも水産庁であります。これは国際条約に基づいた機関ではありません。
むしろ、国際機関の中で、各国は日本の水産庁に対して、日本のクロマグロの漁獲に対してどう言ってきたのか。
メキシコの規制強化の主張に対して、日本は反対した、アメリカの規制強化を求める意見にも反対してきた。そしてまた、アメリカの提案に対して規制強化を日本政府は先送りしたものだから、WCPFCの本体の会議から議論のやり直しを勧告されるという、前代未聞の事態となっているんですよ。世界じゅうから、やはり日本の水産管理、資源管理はおかしいと言われている。まさに、私は、失政がもたらした事態だというふうに言わざるを得ないのであります。
水産庁にお伺いいたします。
まき網の日本海での操業が資源に全くダメージを与えていないと断言できるんですか、イエスかノーかでお伺いしたいと思います。


○長谷政府参考人 お答えいたします。
イエスかノーかという、なかなか難しいものですから、ちょっとお話しさせていただきますけれども、一般的に、魚を漁獲すれば、その分資源に何がしかの影響を与えるものでありまして、そういう意味で、御指摘の日本海におけるまき網漁業がクロマグロ資源に全く影響を与えていないとは考えておりませんけれども、先ほど言いましたISCによりますと、さまざまな漁業種類の中で、日本海でのまき網操業を含む太平洋の西側の大型魚を対象としたまき網漁業がクロマグロ資源に対して現在与えている影響は、一割にも満たないという評価でございます。


○田村(貴)委員 卵を産む前の親魚をとってしまって、資源に影響がないというのは信じられませんよ。説得力を失いますよ。
資料もお配りしていますけれども、こういう相関関係図をつくると、非常にわかりにくいんですけれども、水産庁が同時に出している左側の右上のグラフは、親の量が急落したですよね、これはどう見ても。軌を一にして、子供の数、下の図、これもやはり急落している。
二〇〇四年から日本海沿岸のまき網漁が始まっているといったところから見ても、やはりここに原因があるということは明らかであります。水産庁はノーと言うかもわからないけれども、国際的には、日本の水産庁のやり方はおかしいじゃないかという意見がある。
そうしたときにどうするのかということですけれども、WCPFC条約第六条二項には何と書かれているか。十分科学的にわかっていないことを、保全管理措置をとらないことの言いわけに使ってはならないというふうにされているわけなんです。
つまり、異なる意見があるんだったら、予防原則に基づいて、まき網の漁獲をやはり制限すべきではないですか。いかがですか。


○長谷政府参考人 太平洋クロマグロは、配付していただいた資料にありますように、稚魚の毎年の発生量が大きく変動いたしまして、その量を正確に予測することが大変難しい魚種でございます。
このため、WCPFCの太平洋クロマグロの保存管理措置は、予防原則に基づきまして、今後は、稚魚の発生量が少ない状態が継続するとの前提、具体的には、年間の稚魚の発生量が、過去六十三年間の平均値である約一千三百万尾ではなくて、一九八〇年代に見られた約八百二十万尾という低い水準が今後とも継続するという前提であっても、資源の回復が確実に見込める措置となっているところでございます。


○田村(貴)委員 その資源量については、人間が漁獲をするようになる以前の親魚の量に比べてみたら、七・一%ですよ。その後も減少を続けて、二〇一一年には二・一%、二〇一四年で二・六%、二〇一六年でもわずか三・三%という状況であります。九〇年代からずっと減少しているのに、二〇一四年、六年前まではとり放題、こういう管理のやり方をやってきたのが日本のやり方であります。
大臣にお伺いしたいと思います。
十一日の日に、全国からクロマグロの漁師さんが国会に集まりました。千葉県からの漁師さんが一番多かったんじゃないかなと思うんですけれども、北は北海道から南は沖縄・石垣の漁師さんたちが、これはもう何とかしてくれ、一生懸命資源管理をやってきたんだけれども、とるなと言われたら、おまんまの食い上げだ、水産庁、何とかしてくれと。この運動が広がっていることをお伝えしたいと思います。
長年、資源管理に国際的な批判が叫ばれるもとで、二〇一四年までとり放題でありました。まき網の漁師さんたちだって生活がかかっていますから、政府がいいと言えば、それはとるのであります。有効な資源管理政策をとらずにこの状態を招いたのは、私は政府の責任であると思いますけれども、大臣の認識はいかがでしょうか。
続けて質問させていただきます。
大臣は、私の前の質問の答弁で、このセーフティーネットについて、共済と積立てをプラスして厚くしたというふうに言われましたけれども、一番影響を受けている長崎・対馬の漁師さんたちの加入率はわずか六〇%であります。しかし、これではカバーすることができません。やはりこの事態を招いた責任者である政府が被害を補償すべきであるというふうに思います。
二つの点について、大臣の御所見を伺います。


○齋藤国務大臣 まず、政府の責任問題ですけれども、これは大事なところなので、お話しさせていただきたいんですけれども。
太平洋クロマグロは太平洋の東西を広く回遊する高度回遊性資源でありまして、我が国のみならず韓国、台湾、アメリカ、メキシコといった複数の国や地域により漁獲されているため、適切な資源管理のためには、関係国一体となった取組がまず不可欠であります。
我が国は、二〇〇五年の中西部太平洋まぐろ類委員会加盟以降、一貫してクロマグロの保存管理措置導入に向けて積極的に取り組んだところでありますけれども、韓国やメキシコの反対により導入は難航してきました。
二〇〇八年にWCPFCが初めて本格的な資源評価を実施して以降、管理の導入に向けての働きかけを強めてまいりました。
その結果、二〇一〇年には、韓国を除く各国が、小型魚の漁獲量を二〇〇二年から二〇〇四年平均水準より増加させない措置を導入いたしました。
また、二〇一三年には、韓国も含めた各国が、小型魚の漁獲を二〇〇二年から二〇〇四年平均水準から一五%削減させる措置を導入した。
さらに、二〇一四年に行われた資源評価により、クロマグロ資源が更に悪化していることが判明されたことを受けて、同年、現行の措置、もう詳しく申し上げませんが、導入をされたところでありまして、クロマグロに関するWCPFCのこれらの保存管理措置は、全て我が国の提案に基づくものでありまして、有効な管理政策をとらなかったという御指摘はちょっと御無体かなと認識をしております。
このような取組の結果、現在、資源回復の兆候が見られているところでありまして、その結果として、目の前にクロマグロがいるのに漁獲できない漁業者からの不満の声、こういうものが上がっているのは承知をしているわけでありますが、しかしながら、漁獲上限を遵守することで早期の資源回復につなげることが結果的に漁業者の利益にもかなうものでありますものですから、沖合漁業者、沿岸漁業者を含め、我が国漁業者の理解を得ながら管理に取り組んでまいりたいというのが第一点です。
それから、補償のお話がありましたけれども、資源管理に取り組んでいただく漁業者につきましては、これまで、この間御説明した漁業共済及び積立ぷらすによりまして、直近五カ年の収入のうち中庸三カ年の平均をとった基準収入から一定以上減収した場合に、収入の補填を行ってきたところであります。
太平洋クロマグロの資源管理については、国際合意を達成するため、通常より厳しい管理に今取り組んでいただいている現状にあります。
このため、本年一月から、生体放流等、太平洋クロマグロ小型魚漁獲量の大幅削減に取り組む沿岸漁業者を対象に、積立ぷらすの特例として、基準収入が平成二十九年の水準から下回らないように措置したほか、この措置を受ける前提となるクロマグロ強度資源管理計画の策定におきまして、過去五年平均の漁獲実績に基づいて設定した休漁日数等について、近年のクロマグロ来遊状況等の実態を踏まえた柔軟な設定を可能としたところでありまして、現在、説明会を各浜で実施して、加入促進を図っているところであります。
また、漁業共済掛金の国庫補助率も平均約七割と大変有利な仕組みとなっておりますので、引き続き、より多くの経営体にこの制度を御活用いただくために、現場の声を踏まえながら加入促進を図ってまいりたいというふうに考えております。


○田村(貴)委員 漁師さんたち、やはり大臣の今の説明では納得されないと思います。それで、ぜひ、陳情があった際はしっかりと耳を傾けていただきたいというふうに思います。
法案について質問します。
都市農地の賃借の円滑化をもって緑地保全、そして都市農地を保全、発展させていくことについては私も賛成であります。
私も、先日、東京・練馬区の生産農家でお話を伺ってまいりました。ちょうど伺ったときに、見事なキャベツを朝収穫して、それを学校給食に納入する、その瞬間に私も立ち会わせていただきました。
政府は、食育基本法に基づいて第三次食育推進基本計画を定め、二〇一六年度から二〇二〇年度において、学校給食における地元農産物の使用割合を二六・九%から三〇%にするとしています。資料もお配りしているんですけれども、直近の現状値については幾らになっているか。
それからもう一問。
生産緑地がある、とりわけ三大都市圏の状況について、二〇%未満の都府県がどういう状況にあるかについて簡単に説明していただけますか。


○下間政府参考人 お答え申し上げます。
学校給食における地場産物の使用割合につきましては、文部科学省が実施した抽出調査の結果によりますと、平成二十八年度において二五・八%となってございます。
また、特定市のある三大都市圏の都府県の学校給食における地場産物の使用割合は、同じ抽出調査の結果に基づき公表している平成二十六年度の都道府県別のデータによりますと、二〇%未満の都府県は、東京都、神奈川県、京都府、大阪府、兵庫県でございます。


○田村(貴)委員 農水省のホームページにあったので、きょうあえて配らせていただいたんですけれども、学校給食の地元農産物の活用目標値三〇%以上となっておって、今、下がってきたという状況であります。
大臣、この三割達成に向けて、これは文科省と協力してでもいいですけれども、食材の購入の補助とか、都市農地で生産に当たっている農家に対する何らかの支援がやはり必要ではないかな。つまり、いいものをつくろうと思ったらやはりコストもかかるし、都会ではなかなか人も集まらないと、都市農地特有の悩みも聞いてまいりました。新しい支援措置が必要になってくるんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。


○齋藤国務大臣 私どもとしては、学校給食は、食育や我が国農業への理解の促進にも効果のある重要な場だと考えています。
ただ、一方、学校給食に要する経費については、文部科学省が所管する学校給食法におきまして保護者の負担とすることと定められているということもあります。
このような中、学校給食の供給に当たりましては、食材費の上昇分を給食費に転嫁しにくい面があることや、一定の規格等を満たした量を不足なく納入することが求められるなど、解決すべき課題も多くありまして、地域ぐるみで学校と生産現場の双方のニーズや課題を調整しながら取り組むことが不可欠だなと考えております。
このため、農林水産省としては、学校給食における地場農産物の使用を拡大するために、栄養士や地域で食育に携わる方など、学校給食と生産現場をつなぐコーディネーターの育成や派遣を支援して、関係者が連携して取り組む体制づくりを進めているところであります。
直接支援が難しいということでありますので、こうした支援を通じて、都市部においても地場産農産物が学校給食で利用されるよう取り組んでまいりたいと考えております。


○田村(貴)委員 時間がなくなりました。
終わります。ありがとうございました。