196-衆-環境委員会 – 8号 平成30年05月15日

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
質問に入る前に、せんだってのチッソの社長の発言について質問をさせていただきたいというふうに思います。
五月一日、チッソの後藤社長は、水俣市で開かれた犠牲者慰霊式に参列した後に、記者団に、水俣病特措法の救済は終了したと述べました。
地元の熊本日日新聞によりますと、後藤社長は、チッソが患者補償で生じた多額の債務を抱えることを踏まえ、企業間競争に勝っていく上で、手かせ足かせをできるだけ早く取り除くことが必要だと述べたんです。
また、朝日新聞によりますと、水俣病特措法に盛り込まれた事業子会社JNC株売却要件の一つである救済終了について、異論はあるかもしれないが、私としては救済は終わっていると述べました。さらに、JNC株の売却について、ぜひやりたいと思っていますと意欲を示したと報じられています。そして後藤社長は、現在も続く訴訟の原告らを念頭に、いろいろ紛争がありますけれども、その広い範囲の救済にもかからなかった人たちですからと述べたのであります。これは私は大問題だというふうに思います。
大臣、式典に参加されて、出席されておりました。私もあの場におりました。大臣が退席された後、後藤社長が何でこんなに取り囲まれているのかなというふうに私が不思議に思っていたら、こうした発言が連続して行われたということなのであります。
社長の祈りの言葉の中には、補償の完遂という言葉も入っていたんですけれども、その言葉の直後ですよ、この発言が放たれたというのは。私は問題だと思います。
患者団体不知火会、水俣病不知火患者会の大石利生会長は、加害者のチッソが、やるべきことはやったと自分で判断するような言い方は絶対に許せません、救済を求める人がまだ存在する中で、加害者としての責任を放棄するものだと抗議をしているところであります。
そこで、お伺いしたいと思いますけれども、水俣病特措法では、市況の好転と救済の終了を条件に、環境大臣の承認を得てJNC株を売却できる手続が盛り込まれています。チッソの社長が言うように、この特措法に定めるところの救済の終了という状況にあるのでしょうか。大臣の認識を伺います。
〔北川委員長代理退席、委員長着席〕


○中川国務大臣 JNCの株式譲渡につきましては、水俣病特措法では、救済の終了及び市況の好転まで暫時凍結することとなっております。
しかしながら、多くの方が公健法の認定申請をされていること、訴訟が提起されていることから、救済の終了とは言いがたいと考えております。
したがって、現時点では、JNCの株式譲渡について、環境大臣として承認できる状況にはないと考えております。


○田村(貴)委員 それでは環境省にお伺いしますけれども、救済の終了というのは、どういう時点で、どういう状況をもって終了となるのでしょうか。


○梅田政府参考人 お答えいたします。
現時点で、救済の終了につきましては、どういう時点で、どういう状況をもってそうと言えるかは、予断を持って申し上げることはできませんが、多くの方が公健法の認定申請をされていることや訴訟が提起されていることから、救済の終了とは言いがたいと考えております。


○田村(貴)委員 どういう状況をもって終了となるのかとお伺いしているので、こういう状況だということを具体的にちょっと披瀝していただきたかったんですけれども。
私は、やはり、社長の、救済は終了という言葉は、絶対使ってはいけない言葉だ、加害企業として、今なおこれだけ患者の方が苦しんで、そして、行政の救済がままならないから司直に委ねる、こういう状況にあって、この言葉は絶対に許されないと思うわけであります。
原因企業のトップからなぜこのような暴言が出てくるのか。実は、後藤社長は、チッソとJNCの分社化前の二〇一〇年にも問題発言をしているわけなんですね。そのときの発言は、特措法に基づき分社化ができれば、水俣病の桎梏、つまり手かせ足かせの意味ですね、桎梏から解放されると言っているわけですよ。そしてまた同じような発言をしているわけですよね。加害企業としての責任をわきまえていないからこの発言が続くのではないですか。
大臣にまたお伺いしますけれども、環境省は、この社長の発言をただす立場にあります。そして、チッソのこの責任をやはり環境省としてたださなければならないと思います。この社長の、患者や被害者の感情を逆なでするような発言に対して、具体的にはどうされるんでしょうか、大臣。


○中川国務大臣 チッソの社長の発言が報道されました。また、共産党の先生方からも、私のところにわざわざお越しいただきまして、お話を承ったところでございます。
その後、担当の政策統括官が、チッソ株式会社の役員を環境省に呼びまして、報道にあったような発言は、患者の皆様、御家族や御遺族の方々の感情を傷つける不用意なものであり、大変遺憾であると申し上げるとともに、環境省の考え方、認識をしっかりと伝えたところでございます。
具体的には、水俣病特措法に規定する救済の終了とは言いがたく、そのため、環境大臣として株式譲渡の承認をすることができる状況にはないこと、それから、国、熊本県等によるこれまでのチッソへの公的支援は、チッソに水俣病の原因企業としての責任を全うしていただくためであること、環境省として、引き続き、これまでの多くの方々の努力や思いの積み重ねに寄り添いつつ、関係地方公共団体と密に連携し、責任を持って水俣病問題に取り組む所存であること、以上をお伝えしております。
これを受け、チッソとしては、今後も真摯に補償、救済を継続する旨の意向が示されまして、環境省としてはその動向を見守ってまいりたいと考えております。


○田村(貴)委員 チッソの方の役職者を呼んで、そして環境省の立場を伝えたと。それはわかりました。
相手は、自社の社長の発言について、会社としてはどういうふうに総括しているのかといったところの発言はなかったんでしょうか。これは大臣でもいいですし、大臣と一緒にお聞きになった方でもいいんですけれども、いかがですか。


○中井政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど大臣の方から御答弁させていただきましたように、私が、後藤社長の発言の一件がありました後、大臣の指示によりまして、チッソの役員を環境省に来ていただきまして、先ほど大臣が御答弁なさったような趣旨、環境省として、今回報道にあったような発言は、患者の皆様、御家族、御遺族の方々の感情を傷つける不用意なものであり、大変遺憾であると、まずこのことについてしっかりと環境省としての考えを伝えるとともに、具体的に、この特措法での、先ほど大臣もお答えいたしましたような責任について、環境省の見解を伝えたところでございます。
この役員の方、チッソの会社といたしまして、今後も真摯に補償、救済を継続するという見解でございます。
そういう状況の中で、後藤社長という形でも、やはりチッソという会社としての方針を環境省としてはいただかなきゃいかぬという趣旨で、この役員にこういう見解をいただいておるという中で、その動向を見守ってまいりたいということでございます。


○田村(貴)委員 統括官、確認ですけれども、不用意であり遺憾であるというのは、環境省の立場で言葉としてあるんですか、向こうが言ったんですか。


○中井政府参考人 環境省として、この報道を受けまして、不用意で遺憾であるという環境省としての認識を伝えたところでございます。


○田村(貴)委員 チッソとして真摯に今後も被害補償をやっていくというのは、これは当たり前の話なんですよ。
こういう、不用意で、そして環境省の方が遺憾であると思うのであったら、社長はやはりわびを入れにゃいかぬですよ、患者、被害者に対して。そのことをやはり公表しないといけませんよ、会社としても。そういう指導をしないといけないんですよ、環境省は。違いますか。
大臣、この後藤社長の発言は、公式にやはり撤回する、撤回させなければ、またこの発言続きますよ。桎梏だとか手かせ足かせ、今回、二回目ですよ、また。こういう、不用意で遺憾ともとれる発言がだめだというのであれば、今回はちゃんとけじめをつけて、社長にこの発言を撤回を求めるべきだというふうに思いますけれども、大臣、いかがですか。


○中川国務大臣 ただいま私からも、中井政策統括官からも申し上げましたが、我々のチッソに対する発言を受けて、チッソの役員として、会社をその場で代表して、今後も真摯に補償を継続するという意向を示されたわけでございます。
それから、さらに、チッソは、決算発表の役員会見におきまして、株式売却については環境大臣の意向で決まるものであり、コメントを差し控える、こういう回答を行っております。
チッソに対しましては、今後とも、環境省の考え方や地方公共団体の意向等をしっかりと伝えてまいりたいと考えております。


○田村(貴)委員 やはり、大臣、社長に大臣から一言言わなければ、私はけじめはつかないというふうに思いますよ。
社長は、いろいろ紛争がありますけれども、その広い範囲の救済にもかからなかった人たちですからと。特措法にもかからなかった人たちはもう私たちは面倒見ませんと言っているのと一緒やないですか。
今もやはり裁判をやっている人がいるわけですよ。そして、裁判で水俣病患者と認められた、あるいは公健法の患者として認められた人には、これは救済しないといけない、被害補償しないといけないんですよ。そういうスキームがあるにもかかわらずこういう発言をするというのは、やはりたださなければいけない。それは、環境省として対応をとっていただきたいというふうに思います。
そして、ノーモア・ミナマタ第一次訴訟の和解条項に基づいて、全ての被害者を救済するまでチッソの幕引きを許すべきではない、このことを強く求めたいと思います。
それでは、法案の審査に移ります。
気候変動適応法案について質問します。
まず最初に、確認をしておきたいんですけれども、るるきょうは議論がありました。そして、午前中は参考人のお二方からも大変貴重な意見の陳述がありました。
気候変動適応化というのは、何といっても緩和策の実施が前提にならなければなりません。最大限の緩和策の実行が大前提であること、私はそう思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。最大限の緩和策を実行することが適応策の軽減につながっていく。車の両輪という話もあったんですけれども、緩和なくして適応はないわけなんですけれども、基本的な認識を大臣にお伺いしたいと思います。


○中川国務大臣 御指摘のとおり、まずはしっかりと緩和策をとっていく、これはもう、世界が連携をしてパリ協定の目標を達成していくということが何よりも重要なことだと考えております。
一方で、現実に気候変動の影響がさまざまな形であらわれておりまして、また、更に深刻化するという状況でございますので、緩和策と適応策は車の両輪と申し上げております。
と申しますのは、どちらか一方を推進することがもう一方を推進することの前提という考え方ではなくて、どちらもそれぞれしっかりと推進すべきものだというのが、この車の両輪という考え方でございます。
もちろん、緩和策をしっかりとっていくということが重要であるということは当然の前提の上で、緩和策も適応策もどちらもそれぞれしっかり推進をしていく、こういう観点から、それぞれの法律をつくって、二つの礎をつくって、そのもとに緩和策と適応策をしっかりと推進してまいりたいと考えているところでございます。


○田村(貴)委員 基本的にはしっかりと緩和策をとるといったところに基づくならば、やはり温室効果ガスの削減目標というところに行き着くわけなんです。ここをやはり手直ししないと私はいけないと思います。
二〇三〇年までに二〇一三年比で二六%削減、先ほどから答弁あっていますけれども、これを国際的な基準である一九九〇年比に直しますと、わずか一八%の削減にしかならないわけなんですよね。長期的な基準である二〇五〇年までに八〇%の温室効果ガスの排出削減を目指すとするのであれば、政府の二〇三〇年削減目標のスピードは、到底達成できないわけなんです。ですから、何としても今の目標値を変えなければいけません。
長期的目標である二〇五〇年までに八〇%削減というのならば、二〇三〇年までに日本が野心的に温室効果ガスを一九九〇年比で少なくとも四〇%から五〇%削減を目指すことが今求められると思いますけれども、環境省、いかがですか。


○森下政府参考人 お答え申し上げます。
パリ協定のもとで、我が国におきましては、平成二十八年の五月に閣議決定をいたしました地球温暖化対策計画に基づく取組を着実に実施し、まず、二〇三〇年度二六%削減目標を達成することが非常に重要だというふうに考えております。必ず達成をしないといけないというふうに考えております。
また、同計画は、少なくとも三年ごとに目標及び施策について検討を行い、必要に応じて計画を見直すということといたしてございます。
さらに、御指摘のありました我が国の長期的目標としまして、二〇五〇年までに八〇%の排出削減を目指すということでございますけれども、このような大幅な排出削減には、従来の延長の取組では実現が困難でございます。
このため、本年三月に、環境省から、長期大幅削減に向けた基本的考え方というものをお示しをさせていただいております。その中で、一つは、技術のイノベーションはもとより、技術を普及させる経済社会システムのイノベーション、そしてもう一つ、施策を今から講じ、二〇四〇年ころまでに大幅削減の基礎を確立することが重要であるといったような、長期大幅削減の鍵となるメッセージをまとめているというところでございます。
この長期大幅削減に向けた基本的考え方は、これから政府全体で検討をいたします長期戦略の議論の土台の一つとして生かしてまいりたいというふうに考えてございます。


○田村(貴)委員 長い流れの中で、悠長なことを言っている時代ではないかなというふうに思うわけなんです。
ヨーロッパ、EU諸国は、一九九〇年比で少なくとも三〇、四〇%、四〇%削減すると言っているんですから、できない数値ではないというふうに思います。国際社会の中でリーダーシップを発揮していく、日本政府、いつも言っているじゃないですか。だったら、せっかくこの適応策を出していくというのであれば、両輪というのであれば、緩和策もこの機会に思い切って進めていくという提案があってこそ、私は車は回っていくものだというふうに思います。
この温室効果ガスの基準を大幅に引き上げていくということを、野心的な目標を持つことを強く要求したいというふうに思います。
その温室効果ガスの削減についてなんですけれども、石炭火力発電についてお伺いをいたします。
世界が石炭火力から撤退の道を歩んでいる中で、日本ではこの流れに逆行するかのような新増設計画を容認している。きょう、気候ネットワークの桃井参考人がいみじくも真逆という言葉を使われましたけれども、大臣、聞かれておられたでしょうか。そういうふうにおっしゃったわけです。私も本当にそうだというふうに思います。
不十分な削減目標の達成も危ぶまれているのに、まして、石炭火力を世界がやめようというのに、五十基も新増設、今から認めていくというのは真逆ですよ。何度もこの委員会で私は主張しますけれども、きょうは、やはり見直すというふうに言っていただきたい。せっかくの適応策の審議ですので。
気候ネットワークによれば、日本の温室効果ガスの排出量のうち、一番大きな比重を占めているのは発電で三三%と。けさも私はお伺いしました。この巨大な排出所である火力発電の転換を図ることが、今、最大の適応ではないかと思いますけれども、環境省、いかがでしょうか。


○森下政府参考人 電力部門は、我が国のエネルギー起源CO2の排出量の約四割を占めておりまして、この電力部門の低炭素化が課題となっているということでございます。
特に、石炭火力発電は、ほかの火力発電と比べましてもCO2の排出量が多いことから、英国、カナダが主導する脱石炭連合の発足や、石炭関連資産からの投資を引き揚げますいわゆるダイベストメントなど、石炭火力発電及びそれからのCO2排出を抑制する動きがあるということでございます。
我が国におきましては、二〇三〇年度の削減目標及びエネルギーミックスとも整合いたします排出係数〇・三七キログラムCO2、これは一キロワットアワー当たりという、この目標の達成に向けまして、電気事業分野における対策の進捗状況のレビュー等の取組を行っているというところでございます。
さらには、パリ協定の目標といたします世界全体での脱炭素社会の構築に向けまして、我が国は、二〇五〇年までに八〇%の排出削減を目指すということにしてございます。
これを踏まえまして、本年三月に環境省からお示しをしました長期大幅削減に向けた基本的考え方においては、九割以上の電源を低炭素化するということが重要としておりまして、環境省として、その実現に向けて尽力してまいりたいと考えております。
特に石炭については、厳しいスタンスで臨みたいというふうに考えてございます。


○田村(貴)委員 厳しく、もう新増設認めないと。どうなんですか、新増設認めませんと。今から聞いていきますけれども。
三月六日の大臣所信質疑で、私は中国電力の三隅発電所のことを尋ねました。きょうは、神戸製鉄所火力発電所について尋ねるわけであります。
環境省は、三月二十三日、神戸製鉄所火力発電所設置計画環境影響評価準備書に対する環境大臣意見を提出しました。今回もまた同様なんですけれども、具体的な道筋が明確にできなければ、事業計画の撤回を含めてというわけです。その一方で、本事業が稼働する場合には、所有する低効率の火力発電所の休廃止、稼働抑制、LNG火力発電所の設備更新など、目標達成に向けた具体的な道筋が不可欠としているという意見であります。
大臣、やはり、休廃止や稼働抑制、LNG火力発電所の設備更新を行えば、換言すれば、これは容認する、認めるということでないですか。認めるんですか、いかがですか。


○中川国務大臣 今のアセスでの環境大臣意見の記述は、「二〇三〇年度のベンチマーク指標の目標との関係では、」「具体的な道筋が示されないまま容認されるべきものではなく、目標達成に向けた具体的な方策や行程の確立及びCO2排出削減に向けた不断の努力が必要不可欠である。」と申し上げているわけでございますけれども、その前段で、「本事業者においては、石炭火力発電に係る環境保全面からの事業リスクが極めて高いことを改めて自覚し、二〇三〇年度及びそれ以降に向けた本事業に係るCO2排出削減の取組への対応の道筋が描けない場合には事業実施を再検討することを含め、事業の実施についてあらゆる選択肢を勘案して検討することが重要である。」と述べております。
この再検討というのは、もう一度一から考え直すということでございまして、あらゆる選択肢の中には事業計画の中止や撤退も含まれるということでございます。


○田村(貴)委員 三隅の発電所に続いて、やはり大臣、ここは曖昧にしてはいけないと思います。そういう曖昧さが新増設を認めていくことになるわけですよ。世界から批判を浴びることになっていくわけです。大臣は十分御承知だと思うんです。ここはやはり、もうやめないといけません。
この神戸製鉄所火力発電所ですけれども、どういうところなのか。計画地は、一九七〇年代から工場周辺道路の大気汚染公害が長年にわたり対象地域とされ、多くの公害患者が現存する地域にあるんですよ。ここでCO2をふやしていくんですか。大臣意見にもありましたように、今度の指摘の中では、「現状においても大気の汚染に係る環境基準の一部を達成していない地点が存在するなど、大気環境の改善が必要な地域である。」と。ここで石炭火力、また認めるんですか。
さらに、事業所は、神戸製鋼所ですよ。昨年十月に、製品検査のデータ改ざんが問題として発覚した。社会的に信頼があるのかないのか、こういう指摘が上がっている企業であります。
大気汚染地域で環境悪化に拍車をかけるかのような新増設を環境省は認めるのですか。いろいろいろいろ条件を言われて、厳しい目を向けていくと言うけれども、結局、増設、稼働に道を開いているだけじゃないですか。そこはやはり道を断たないと、この問題は解決できませんよ。
私は、やはり事業者としての適格性さえ疑わしいし、こういう地域でこういうものを認めるべきではない、明らかに是認すべきでない案件だと思いますけれども、いま一度、大臣、いかがですか。


○中川国務大臣 神戸製鋼所に対しましては、大気汚染防止法に基づく排出基準の遵守は当然のこと、より一層の大気環境の改善に向け、環境大臣意見の中で、兵庫県や神戸市からの意見も踏まえ、神戸市との環境保全協定を積極的に見直すことを求めるとともに、大気汚染物質の排出量を最大限抑える不断の姿勢と努力が必要である旨、述べております。
また、事業者としての社会的信頼の回復に取り組む必要があり、地域住民等の理解、納得が得られるよう、誠意を持って丁寧かつ十分な説明を行うことも求めております。
しかし、こうしたことがしっかりと実現できない、道筋が描けない場合には再検討というふうに申し上げておりますが、再検討というのは、先ほども申し上げましたが、もう一度一から考え直すということでございまして、あらゆる選択肢の中には事業計画の中止や撤退も含まれるというふうに考えております。
環境省としては、神戸製鋼所の今後の計画的な取組等について継続的にフォローしてまいります。


○田村(貴)委員 是認すべきでないことを重ねて主張したいというふうに思います。
午前中、WWFの小西参考人が、気候変動、異常気象についてこういうことをおっしゃったんですね。今は異常としか見えないような事象でも、それが将来的に当たり前、なれてしまうことがやはり怖いんだと。
私は、経済社会現象で、今そういう石炭火力があることが当たり前となっているかに見えるんだけれども、気候変動と地球温暖化の中で見ると、CO2をいっぱい出すようなこの電力方式が現存していること自体がやはり異常であるんだと。この異常をなくさなければならないというわけです。当たり前と思っていることが、やはり全世界から見たら、地球環境から見たら異常であるということをいま一度認識していただきたいというふうに思います。
神戸製鉄所火力発電所の運転については是認すべきでないということを申し上げたいと思います。
時間が参りましたので、そのほかいろいろ質問を用意していましたけれども、次回に譲りたいと思います。
最後に、大臣、きょう、水俣病の、後藤社長の暴言について伺いました。大臣からちょっとなかなか私としては納得いく答弁は得られていないんですけれども、環境省も含めて、折を見てやはりチッソに対して、社長の発言に対しては、患者と市民に釈明をすべきではないかと。やはり間違った発言なんです、救済は終わったという間違った発言なんだから、患者とそれから被害者の方に対してはちゃんと釈明をし、陳謝するところはするべきだ、そういうことをやはり環境省としては言わなければいけないかなと思うんですけれども、それについてはいかがですか。チッソに対してちゃんと物を言わなければいけないと思いますけれども、どうですか。大臣でも。


○中川国務大臣 チッソに対しましては、環境省の考え方をこれからもしっかりと伝えてまいりたいと思います。


○田村(貴)委員 次回にまた質問します。
きょうは終わります。ありがとうございました。