第198回国会 衆議院 予算委員会 第10号 2019年2月20日

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
意見陳述者の皆さん、本日はありがとうございます。
最初に、人口減少問題についてお伺いしたいと思います。
松前町の若佐副町長からは、国土の均衡ある発展というのはなくなったのかという御発言がありました。それから、函館商工会議所の水島副会頭からは、函館の大問題だというお話がありました。
それで、お二方にお伺いしたいと思うんですけれども、私も国会では、この人口減少の問題の一つにやはり東京圏一極集中の問題があると。そして、地方創生担当大臣も、地方創生の一丁目一番地だと言っているんですけれども、これが全然是正されない。むしろ転出転入の格差は広がるばかりだといったところです。
東京都圏の人口が一年間で十四万人ふえている。ということは、小樽の規模の人口よりも、毎年そういう都市が東京圏に出現しているという状況については、人口減少の中では、ここはやはり肝だ、是正していかなければならないと思うんですけれども、北海道、この地域におられて感じるところがあったら教えていただきたいというふうに思います。いかがでしょうか。


○若佐智弘君 まずもって、さまざまな人口減少対策、私どもは、育児支援、出産のお祝い金だとか、高校に関しても、そこでいろいろな資格が取れるように、特色を出すようにさまざまなことをやっております。
そういった中に、こういうところで、皆さん聞いたことがあるかどうかはわかりませんけれども、私どもの町では、高校に進学するときに、やはりそれぞれの将来の夢、希望を持って函館の工業へ行きたいとか商業へ行きたいとか、そういう方がいるんです。そうすると、母親が一緒になって函館の方に来るというパターンが最近ふえているんです。というのは、下宿代、三食、二食しかつかなくて八万とかかかるようになる。そうすると、母親も一緒に来て、御飯をつくって、安いアパートを借りて生活した方が経費がかからない。ですから、高校進学のときになると親も一緒についていく。
この話をちょっと本州方面でしましたら、やはり交通網のたけているところは電車とかがたくさんあるので、一時間、一時間半は通勤圏内というか通学圏内ということなんですけれども、現実、ちょっと松前町の方ではそういう実態もあるということでございます。
そういった中で、いかにして地元の高校に魅力を感じさせるかということが必要だと思いますし、また、子供たちに地域を学ばせて、その地域の魅力を十分、小さいときからちゃんと教えてあげるということも必要だと思って、そういうような取組に今一生懸命力を入れているところでございます。


○水島良治君 先ほどもちょっとお話しさせていただいたんですが、やはり若者が、例えば函館であれば函館に残って、結婚して、子供を産んで、マイホームを建てて、幸せに生活できるというだけの所得をもらえるところがないんじゃないのかなというふうに実はちょっと思っていまして、例えば東京なり札幌なり大学に行って、いろいろな友達と情報交換すると、非常に所得の高い、それから魅力のある企業がたくさんあります。
先ほど言ったように、函館の主力産業というのは何かといったら、イカの加工品を主体とする、そういう企業がかなり多い。そうでなくとも、例えば料理店だとかそういったところで、将来を本当にかけて、これが決してだめだと言うわけじゃないんですよ。自分の将来をかけてまで、一生涯これで仕事をしていきたいかという情熱をかけられるような、若者が情熱をかけられるような仕事というのがちょっと少ないのかなというふうに感じております。そこがあればまだ、函館を愛する方はいっぱいいますので、地元に住みたいなという方がいらっしゃると思うんですよ。
ところが、親も、子供に、高校卒業するとき、おまえどうするんだというときに、函館にとどまれと言う方は少ないと思うんですね。若しくは、函館の大学に進学しなさいと言う方が少ないと思います。就職した後、今度、就職先も函館になってしまうということで、一生涯そこでいいのかという、親も少ないと思います。
つまり、やはり先ほどお話ししたように、大きな基幹産業が一つでも二つでもあるとこれはずっと変わってくると思うんですけれども、そこのところがない。函館の企業でもって東証一部上場というのは、ジャックスは御存じですか、そこだけなんですよ。もう一つ、ジャスダックに登録しているのはテーオー小笠原。上場会社がこの二つだけ。あと、残念ながら、ない。
ですから、もう少しやはり函館は頑張って、上場できるような企業を目指してつくっていくことも、本当に人口減少の一つの歯どめになるかなというふうには考えております。
以上です。


○田村(貴)委員 私は地元が北九州市で、北九州市は人口の転出そして転入の差が日本で一番大きく、転出超過がもう何年も続いているというところで、政令指定都市にあっても、そして地方の町村にあっても同じ現象が今起きているということは、日本全体として本当に真剣に考えていかなければ。働く場所がそこにあるから、賃金が高いから人が移動するというこの関係をやはり是正していく必要があるんじゃないかなというふうに今感じたところです。ありがとうございます。
若佐副町長に、漁業のことについてお伺いいたします。
先ほど、三浦水産の方にもお邪魔させていただいて、大変厳しい現状の状況についてお伺いをいたしました。
イカがとれない。きょうの日本水産新聞によりますと、昨年の全国のスルメイカの水揚げがとうとう統計史上最低になったという報道であります。五年間で三分の一、前は十四万あったのに今四万トンになったということで、深刻な状況であります。
いろいろな要因については、きょうお話をいただいたというふうに思います。一つ、海水温が変わってきたと水産会社の方も言われていました。私も全国で漁業者の方に伺うと、とにかくこれだけ水温が上がったら魚のすむ環境が変わっているということを感じています。
まさに地球温暖化の影響であると思うんですけれども、大自然の中、北海道の中におられて、この地球温暖化が自然に与える影響というのを、浜のなりわいと密接につながっている町を運営されている若佐副町長、感じるところがあったらお聞かせいただけないでしょうか。


○若佐智弘君 確かに、四万一千七百トンという数字が、平成三十年のイカの水揚げの量でございます。本当に史上最低でございます。
ただ、私どもの方の町の加工場はほとんどスルメしかつくっていないところでして、乾燥機ぐらいしか持っていないんです。それ以外の技術のないところがほとんどなんです。今まではスルメがきちんと売れていたということなんですけれども、そういうものも売れないということで、確かに、水温の変化なのか、今まで釣れていなかった魚も松前町の方でも釣れることがある。ノドグロなんかも釣れるようになった、そういう話は聞きます。
では、それが商売になるだけの量かといったら、一年間で一匹、二匹見るというくらいで、本当に、地球温暖化の影響がどこまで来ているのかというのは、私どもは正直わからないところもあります。温暖化といいながら、きちんとニシン等を放流しているところはニシンが帰ってきている部分もありますし、そういった中で、サケはやはり大量に放流し過ぎなのか、何か回帰率が悪いとか、いろいろなものがございます。
本当に、かえって、海の方でも確かにそういう話はあるんですけれども、原因がどこにあるのか、やはり一概に言い切れないのかなというふうには感じておりますし、そういった中に合う養殖とかそういうものも含めて、現状に見合う形の中でのそういう取組をしていかなければならないということで、今、ナマコの放流なんかをしていますと、これは実績がだんだん上がってきていますので、そういうものを探し当てるような感じで、漁業者の生活を守っていかなきゃならないかなとは感じております。


○田村(貴)委員 引き続き、若佐副町長、クロマグロの問題なんですけれども、日本全国で同じような話を聞いております。そして、御町の漁業者の方が自分たちの配分の拡大を求めて声を上げられていることも私も承知しております。
先ほどのお話の中で、私が受けとめたところは、漁獲圧の高い大規模漁業、まき網という言葉も出たんですけれども、そこの配分と、それから沿岸漁業に対する配分、ここの関係をもっと変えていってほしいという要望だというふうに伺ったんですけれども、管理期間の問題が出てきて、そして資源割当てが出てまいりました。率直に、水産庁、政府に対する御要望をこの機会にお聞かせいただけないでしょうか。


○若佐智弘君 先ほども申しましたとおり、沿岸漁民はその場所から遠くに行くわけではございません。そこでとれるものしか漁獲対象にならない。それに比べて、やはりまき網とかの大型船にすれば、それは場所を変えると、今結構とれている、イワシなんかも随分資源はあるという話も聞いていますし、さまざまな魚種を変更することは可能ですけれども、沿岸漁民は魚種を変更することは困難なんです。そこにいる魚しかとれないんです。それをとれないということが本当に苦しい。
先ほど言いましたけれども、キロ千円にすると、二十キロのマグロ一本二万円です。七十本放流した人は、平均二万円にしても百四十万を一日で放しているわけです。これは前に言われたんですけれども、資源管理の上でそれは必要だということでやっています。ただ、毎年毎年が、先が見えないんです。あと二年で終わるのか、三年で終わるのか、この辺のところを考えると、沿岸漁民の人たちはやはり継続は難しいのかな。
何とか、先の見える形、ほかにとるものがない沿岸漁民に対しての割当てをふやすようにしていただきたいというのは、切実な浜の声であります。


○田村(貴)委員 ありがとうございます。
せっかくとれたマグロが小型で、そこでリリースしなければいけないつらさ、悲しみというのは私たちもしっかり受けとめたいと思います。ありがとうございます。
大間原発訴訟の竹田代表にお伺いします。
先ほどからのお話は伺っています。私も原発ゼロ法案を、共同提案を国会でしていますし、九州でもそういった社会ができるように活動しているところであります。
そうはいっても、電力会社の方は、やはり原発を再稼働させなければいけない、北海道電力さんの方もそういうふうにPRされています。なぜならば、理由の一つとして、石炭火力発電所はCO2を放出する。確かに北電管内は石炭火力の占める割合が大きいと思います。それから、再生可能・自然エネルギーは安定感がない、どこでも言われるんですけれども。
こうした理由をつけて原発の稼働が必要だというふうに主張されているわけですけれども、これに対して竹田さんはどのようにお答えになるでしょうか。教えていただけますか。


○竹田とし子君 北海道電力の方々とブラックアウトの後で会う機会があったんですけれども、もう、一つのところで大規模な電力が、そういうところが事故を起こしたときにこういうことになるんだということを北海道電力の方々はまだ認識できないんだなということを感じたんですけれども、自然エネルギーがこれからのもので、しかも、送電線の利用料金で北電はやっていけるというふうに私は思っていますから、もっと小まめな地域ごとの電力というものを考えていっていただきたいなというふうに思っているところです。
ですから、北海道電力一つの、九電力体制というのが今変わりつつあるんじゃないかなというふうに思いますから、原発は黙っていても冷やしたりとかいろいろなところでお金がかかっていて、やはり今まで思っていた事故なんかと全然違うんだというところをもっと自覚してもらいたい。そういうところが、普通の私たちも、もう原発に頼らなくてもやっていけるよねというあたりのところを、本当に、持続可能なエネルギーを選びたいというところでシフトされればいいなというふうに願っているところです。
よろしいでしょうか。


○田村(貴)委員 私も、北海道地震の後、何度か調査とかでお伺いさせていただいたんですけれども、本当にブラックアウトには衝撃を受けました。やはり大規模系統に頼るということが、非常にこれは教訓だったな、頼ってはいけないなと思います。
そこで、竹田さんは、北海道という自然が最も豊かなところで再生可能エネルギーが広がってきました。私の住む九州は、ヨーロッパ並みに広がったという状況なんですけれども、逆に、太陽光発電を出力制御しているという問題も浮上しています。
北海道における再生可能エネルギーの展望について、思うところがあれば教えていただけますか。


○竹田とし子君 太陽光と風力のほかに、小水力とか、それから使ったもの、動物のふんとかそういうものとか、地熱とか、いろいろあると思うんです。だから、太陽光、風力だけでない自然エネルギーというのを、もっともっとそっちの方に開発できる予算をつけていただいて、これからやっていけたらいいんじゃないかなというふうには思っています。


○田村(貴)委員 ありがとうございました。
最後に、消費税のことについて、北海道経済連合会の高橋会長にお伺いしたいと思います。
地震で、家屋にしたら一万五千棟の住宅被害がありました。そして、地震と停電による被害総額が四千億円との報道も見ました。生活となりわいの再建には、被災者の方々、多額の費用を伴ってまいります。
そんな中で、政府は、十月に消費税の税率を一〇%に引き上げるという方針を持っています。ただ、八%への増税以降、消費支出がやはり下降線にあり、そして実質賃金が低下するといった状況の中で、特に被災者の方においては、生活を更に圧迫するものではないかという懸念も持っています。
それから、軽々に税率が上がった分を価格に転嫁できない中小企業や中小業者さんにとっても、増税というのはそれなりの大きな負担、影響になってくるのではないか、経営の存亡にもつながりかねない問題が指摘されているところであります。
北海道経済界において、増税の影響について会長はどのように受けとめておられるでしょうか。また、政府に対する御要望があれば、この際、お聞かせください。


○高橋賢友君 ことしの十月、消費税率一〇%への引上げが予定をされています。日本の財政状態を見る限り、財政健全化のための消費増税、これは必要なものというふうに考えています。
今回の政府予算案におきましては、キャッシュレス決済へのポイント還元制度、それからプレミアムつき商品券、加えて、自動車関連税の減税とか住宅ローン減税の拡充も含まれているということで、手厚い需要変動の平準化策が盛り込まれているというふうに評価をしています。
また、軽減税率も初めて導入をされるということでありますので、経済界としましては、増税直後の消費の落ち込みが緩和されるものというふうに評価をしています。
これまで、一九九七年、三%から五%へ上げたときの影響、それから二〇一四年の五%から八%への増税時の影響、その影響に比べまして、しっかりした対策が打たれているということで、実質的な家庭の負担というのは以前の引上げに比べて軽減されている、そのように評価をしております。
以上です。


○田村(貴)委員 この問題は、いろいろな意見があって、まさに国会の熱い焦点でもありますので、私たちも、皆さん方からの御意見も聞きながら、しっかり議論していきたいというふうに思っています。
時間が参りましたので、これで質問は終わらせていただきます。ありがとうございました。