198-衆-農林水産委員会-6号 平成31年4月11日 農地中間管理法の改正について

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

農地中間管理事業法の改正案について質問します。
この法律が成立した二〇一三年の日本再興戦略における農地集約の成果目標は、二〇二三年までに全農地の八割を担い手に集約する、集積するというものでありました。そのためには、年十四万ヘクタールを集積することが必要でありましたが、二〇一四年以降、それに到達したことは一度もありません。
最初に、中間管理機構関連の事業にどれだけの国費が費やされてきたのか、これについて教えてください。事業費及び推進費の予算額、それから機構集積協力金交付事業、この予算額、今年度の当初予算までの額の合計額で結構ですので、説明してください。


○大澤政府参考人 お答えいたします。
まず、農地中間管理機構事業のうち、推進費と借受農地管理等事業費に要する経費としまして、平成二十五年度の補正予算以降、基金造成額としては合計二百三十五億円、それから、二十六年度からは補助金を措置しておりますが、その補助金の合計は百四十六億円でございます。
それから、協力金の交付事業に要する経費といたしまして、基金造成額については、平成二十五年以降、合計五百四十三億円、それから、補助金額といたしましては、平成二十八年度から措置しておりますけれども、その合計は二百五十六億円でございます。


○田村(貴)委員 全ての合計額で答えてほしかったんですけれども。
今、全部を足しますと、一千百八十一億円になります。これに県費が加わることになります、自治体の費用が。これは推計なんですけれども、百六十三億四千五百万円。合計すると、一千三百四十四億五千四百万円。これだけの税金が費やされたのでありますけれども、農地の集積というのは目標に遠く及ばないということであります。一体なぜこういうふうな状況になっているのか。分析し、反省することが求められると思います。
この法律が提案されたときの国会審議でありますけれども、当時の林農水大臣は、たびたび、耕作放棄地対策としても重要だ、こういうふうに答弁されていました。
そこで、伺いますけれども、農地面積の推移はどうなっていますか。


○大杉政府参考人 お答え申し上げます。
耕地面積でございますが、平成二十一年と平成二十九年の間でどう推移したかについてお答え申し上げますと、平成二十一年で四百六十万九千ヘクタールだったものが、平成二十九年は四百四十四万四千ヘクタールとなっているところでございます。


○田村(貴)委員 農地は、二〇〇九年度から二〇一三年度までで七万二千ヘクタール減少している。二〇一三年度から二〇一七年度まででは九万三千ヘクタール。これは、減り方が加速しているという状況であります。
皮肉なことに、耕地面積が減少すれば、数字としての集積率は、おのずとこれは上がるわけですよね。集積率の引上げの目標というのは、分母、すなわち耕地面積が減少する、このことが前提となっているのではありませんか。いかがですか。

○大澤政府参考人 耕地面積の統計を使っているということにつきましては、これはやはり、現に耕作の用に供される全ての農地として最も一般的な数値でありますので使っているわけでございますが、そこが減少していることを当然の前提として目標をつくっているということでは毛頭ございません。


○田村(貴)委員 現実問題として、農地の集積を進めていく、目標値まで持っている。しかし、耕作面積、その分母となる耕作面積が減っているということは、これは事実なんですよね。これは大きな矛盾であります。
きょうは資料をお配りしているんですけれども、グラフ化してみました。
青のグラフは集積農地の面積の推移であります。そして、赤は、先ほど報告を受けた全農地面積の推移で、減っている。青は集積農地の面積、これは微増というような状況であります。
二〇一四年の農地面積は四百五十四万ヘクタールでありました。黄色ですけれども、ここを起点とすれば、二〇二三年に全農地の八割を集積するという目標に照らせば、三百六十三万ヘクタールになり、こういう軌跡を描くことになります。ところが、集積率はようやく五五・二%になっている状況であります。
再度お尋ねします。
きょうもずっと議論されていますけれども、こうした目標を達成するのは非常に困難ではないんですか。ここに至って、まだこの八割目標というのを堅持していく、そういうことなんですか。


○大澤政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、平成二十九年度現在、担い手への農地集積は五五・二%となっておりまして、相当程度加速をしなければ、二〇二〇年に八割を集積するということに至らないということは事実でございます。
しかしながら、今後相当程度の農業者が高齢のためリタイアするということを考えますと、農業が持続的に発展するためには、一刻も早く担い手が相当程度の農地を使いやすい形で利用していく必要があるというふうに考えてございます。
このような中で目標を見直すということになりますと、生産現場に誤ったメッセージを送ることになりかねないというふうに思っておりますので、目標の見直しは考えておりませんけれども、地域の人・農地プランを実質的なものをつくっていくということを各地で機運を盛り上げていく、あるいは中山間地域における協力金の要件緩和等によって事業を更に使いやすくしていくという形で、担い手による農地利用のさらなる集積、集約化に取り組んでいきたいというように考えてございます。


○田村(貴)委員 ちょっと難しいんじゃないかと、私、言っているんですけれども。説得力ある答弁になっていません。
この八割目標というのは、これはいわゆる農水省のKPIという理解でよろしいんですか。


○大澤政府参考人 活力創造プランに位置づけられたKPIであるというふうに認識しております。


○田村(貴)委員 この目標を堅持していくこと自体、これを変えることによって誤ったメッセージを出していくと。しかし、下方修正目標というのもあるわけですよね。現実に即した目標とか施策を持たないとかみ合った議論にならないのではないかなというふうに思うわけであります。
この八割目標を堅持していくというのであれば、KPIというのであれば、いつの時点で、この法改正をもって、どういう数値が出てくるのか、こうしたことについては今お答えいただけるんですかね。


○大澤政府参考人 現実にどれくらいのことをやる必要があるかというのは、人・農地プランで各地域で議論を真剣にしていただくということがまず必要だと思っております。それをまず我々は進めたいということでございます。


○田村(貴)委員 まだ議論していきたいと思いますけれども、大臣にお伺いしたいと思います。
食料自給率は下がる一方なんですけれども、それでも四五%への目標を政府は掲げているわけです。しかし、農地の集積を目指す中間機構事業において、農地が減っているということです。農地が減っているから集積率が上がっているという現実があるわけです。四五%への食料自給率と、農地が下がっている、それを前提とした目標値を持つことについては、大いなる矛盾だと思いますけれども、その辺はどう捉えたらいいんでしょうか、大臣。


○吉川国務大臣 担い手に農地の八割を集積いたしますのは、今ある農地をしっかりと担い手に活用してもらうことによって生産性を向上させるために設定をしているものと承知をいたしております。農業生産基盤の衰退や耕地面積の減少を前提としているものではございませんで、農地バンクによる農地の集積、集約化が進むということになりますれば、生産性が向上することから、食料自給率の向上にも寄与するものと考えております。
農林水産省といたしましては、食料自給率の向上を図るために、新規就農の促進、さらにはスマート農業の導入、農地の大区画化、汎用化といった生産面での取組に加えまして、国内外での国産農産物の消費拡大ですとか食育の推進など消費面での取組など、総合的に講ずることといたしているところでございます。


○田村(貴)委員 果たして、そういう方向になっていくのかについては議論しなければいけないというふうに思います。
私も中国地方のある山間部を回っていろいろと農家の方からお話を聞いてきたんですけれども、農地を受け継ぐ人が全くいない、そして、ただでとってくれと言っても、みんな要らぬと言う、中間管理機構も貸すところがないから引き取ってくれないと。そういう諦めに似たような声がいっぱい聞かれました。
中間管理機構という事業は、この思いにしっかり応える制度になっているのか。農家と現実に応える制度になっているのか、次回、また議論したいと思います。
この法案審議にかかわって、インターネット検索システム、全国農地ナビについて質問します。
西日本新聞三月二十三日付なんですけれども、「全国農地ナビ「使えない」」という大きな報道がございました。例えば福岡県では、農地バンクが買い手、借り手を募集する農地は実際ゼロなのに六千件以上ネット画面で表示されていると。
情報が更新されず、誤った情報が長きにわたって掲載されるのは、これはあってはならないことではありませんか。更新作業が難しい、農業委員会の職員が操作にふなれとの理由でありますけれども、解決に向けた取組について御説明いただきたいと思います。
時間がないので、なぜこうなったのかといろいろ原因等の説明は要りませんので、解決に向けた取組だけお答えください。


○大澤政府参考人 お答えいたします。
農業委員会に対して、本件に関する支援につきましては、機構集積支援事業におきまして、農業委員会等がアルバイトなどを雇って農地情報の更新を行うために必要なデータ入力等に係る経費を支援する枠組みはできております。
ただ、それを実際に使っていただくためには、やはり農業委員会等に対する操作研修が必要でございまして、これについては、今後、今からでもやっておりますけれども、今後ますます、農林水産省の職員も講師として現場に出向くなど、支援を強化してまいりたいというふうに考えてございます。


○田村(貴)委員 端末操作、このナビを実際に操作する人たちの研修が行われていない前に、もう公開されている、情報として。だから、更新もされない。
幾らかけたんですか。百五十一億円このシステムにかけたというふうに言われていますけれども、そうなんですか。


○大澤政府参考人 その御指摘どおりでございます。


○田村(貴)委員 百五十一億円もの公費が投入されて、リアルタイム更新が三割だと。お粗末な話ではないかなというふうに思います。
そこで、お願いしたいのは、局長、無理強いをしないでいただきたい。農業委員会の職員の方、きょうもずっと議論に出ているんですけれども、体制が非常に大変だと。人員不足の中で過大な仕事を余りこういう形で押しつけてはいけないというふうに思います。研修は大事ですよ。
ですから、今局長が言われた、この全国農地ナビのリアルタイムでの更新ができる対策については、マンパワーとそれを保障する財政支援、これをやらないとだめですよね。そこにいる方だけで何とかせい、早くやれといったら、これは大変な労力を要するわけですから、そういう支援が求められる、必要だと思いますけれども、約束していただけますか。


○大澤政府参考人 お答えいたします。
まず、無理強いをするということはあってはならないことだと思っておりますので、それについては、それを肝に銘じたいと思っております。
さらに、どういうやり方が一番いいのか、これについては少し頭をやわらかくして、更新がされるという目標のもとに何をやるべきかというのは、頭をやわらかくして考えていきたいと思っています。


○田村(貴)委員 いや、更新されるためにはマンパワーが要るわけですよ。端末を操作して、そしてデータを更新する作業が要るわけですよ。そこで無理強いしてはいけない、だから、そういう面でマンパワーとそれを支える財政的な支援が必要ではないかと言っているわけです。頭をやわらかくするなんて、何かよくわからない。ちゃんと答えてください。


○大澤政府参考人 まず、研修でこれはやれるという方については、予算をしっかり活用していただきたいと思います。
それからあと、もう一つ、頭をやわらかくしてと申しましたのは、市町村で独自のシステムを打ち込んでいるんだけれども、農地ナビは打ち込んでいないという場合がある。このときにどうすればいいかというのは、少しいろいろな手段を、アプリのリンクをするかどうかとか、どれが一番効率的かということを考えたいということでございます。
それから、人、マンパワーの問題についても十分留意してまいります。


○田村(貴)委員 次回また議論させていただきます。
きょうはこれで終わります。ありがとうございました。