198-衆-災害対策特別委員会-3号 2019年4月11日 災害関連誌に統一定義 減少へ検証を

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

災害関連死について質問します。
これまで私は委員会で、災害関連死のことについて何度か取り上げてまいりました。災害発生後、疲労や環境の悪化などによって発病あるいは持病が悪化するなどして死亡する災害関連死は、阪神大震災以降大きな問題となってまいりました。共同通信は、阪神大震災以降、災害に遭った主な自治体や復興庁などに取材し、関連死が今月八日までに少なくとも四千九百五十八人になると判明したと報道しているところであります。
ところが、これだけ災害が多発するも、災害関連死の定義は、政府においては復興庁しか持っていませんでした。政府として統一した定義を持ち、災害関連死を分析し、今後の災害に生かしていくことが重要だと、私自身求めてきたところであります。
昨年四月の本委員会の質疑で、内閣府からは、過去の災害の課題や原因を分析し、今後の対策に生かしていく取組は非常に重要だという答弁がありましたけれども、その後、定義づけについてはどのような検討がされてきたのでしょうか。そして、四月三日に発せられた事務連絡、これについても御紹介をいただきたいと思います。


○海堀政府参考人 お答え申し上げます。
災害関連死を減らすためにも、まずはその数を把握することが重要であるというふうに認識し、その前提となる災害関連死の定義を、先ほど来御答弁させていただいておりますが、負傷の悪化又は避難生活等における身体的負担による疾病等により死亡し、災害弔慰金法に基づき災害が原因で死亡したものと認められたものを、関係省庁間でその定義を共有し、自治体に周知をさせていただきました。
これの決定に当たりましては、これまでこの問題について取り組んでいる復興庁、消防庁などとも十分協議をした上で内閣府で決定したものであり、これまでの関係者の取組と軌を一にするものでございます。


○田村(貴)委員 四月三日に都道府県に対して事務連絡をしたんですね。正確に述べてください。


○海堀政府参考人 お答え申し上げます。
四月三日に事務連絡で各都道府県にこの旨通知し、市町村にその内容を連絡いただくようお願いしたところです。


○田村(貴)委員 その内閣府が全国に対して連絡をした災害関連死に対する定義というものは、復興庁、消防庁の定義とこれは同じでしょうか。災害関連死に対して、政府として統一した考えを今持ったということでよろしいんでしょうか。


○海堀政府参考人 お答え申し上げます。
消防庁、復興庁と同じように、共有して定義を持ったということでございます。


○田村(貴)委員 政府として、災害関連死、震災関連死、この統一した定義を持ったことは、私は非常に重要なことだというふうに思いますし、前進だというふうに思います。
災害に襲われたけれども、せっかく助かった命を災害要因で失わせてはいけないということであります。そういう定義を持った以上、しっかりした取組、対策が求められると思います。
質問を続けたいと思います。
関連死をなくしていくことに当たって、構えの問題について質問させていただきたいと思います。
熊本地震なんですけれども、私も発災直後何度も入り、十四日で三年目を迎えるんですけれども、節目を迎えます。この熊本地震は、二月十五日時点での発表なんですけれども、死者二百七十人のうち、八割に当たる二百十五人が災害関連死ということであります。これは熊本県の発表です。ほかの災害とは関連死が桁違いに高い。
この原因と対策については、政府としてはどういうふうに把握しておられますか。


○佐原政府参考人 お答えいたします。
熊本地震におきましては、平成三十一年二月十三日時点で、二百七十名の方々がお亡くなりになっております。そのうち、いわゆる災害関連死でお亡くなりになった方が二百二十名であると承知しております。
熊本地震での災害関連死の要因につきましては、熊本県が調査した報告書によりますと、まず、何らかの既往症のあった方や七十歳以上で亡くなった方が多くを占めていると判明したこと、それから、高齢者等の要配慮者の方が、避難所など、なれない環境の中で長期間の避難生活を強いられたことによる肉体的、精神的負担が考えられるとされていることと承知をしております。
また、同報告書では、それに対する改善策として、平時からの取組として、要配慮者の把握や避難所の環境整備、発災時の取組として、避難所の運営、環境改善や、避難者の見守り、被災者の心のケアについて挙げられているところでございます。


○田村(貴)委員 これを、定義を持った政府が、なぜ助かった命が失われたのかということについて原因を究明していくことが大事だと思います。
今から大臣に対して質問させていただきますけれども、例えばその熊本地震ですけれども、私がびっくりしたのは、車中泊の方が物すごく多かったわけですよね。例えば赤ん坊が夜泣きする、それから病気の方がおられる、あるいはペットを連れているといった方々は避難所で生活できないわけなんですね。そうしたことが起因だった。三割の方が車中泊を経験しているわけですよ。こうした方が心身を患っていったとするならば、やはりこれからはちゃんとした仮設所を確保しなければいけないし、どういう状況の方がおられてもちゃんと避難生活ができるように対策を打っていかなければいけないということであります。
大臣にお伺いします。
せっかく助かった命がなぜ亡くなったのか、そして、一人一人の失われてしまったその過程にこそ今後に生かしていく教訓があるというふうに私は考えております。
内閣府は今後、災害が起こったら、まず数をつかむと。それは数をつかむのも大事です。でも、数をつかむだけではやはりだめなんですよね。その関連死の数、内容の掌握に当たるとしているんですけれども、同時に、これまでのたくさんの災害があって、その災害関連死、復興庁なんかはもう取組をやっていますけれども、その事例を収集、分析することもあわせて災害関連死を防ぐ対策になっていくのではないかと思いますけれども、大臣、ここが基本的な構えの問題です。いかがですか。


○山本国務大臣 実は、今週末といいましょうか、日曜日に、熊本の地震から三年たつということで追悼式がございまして、私も出席する予定にいたしておるところでございます。
ちょうど三年前に起こったとき、私は国土交通副大臣をしておりまして、何度も熊本の方に参りました。そのときからどのような形で復興が進んでいるのか、あるいはまた、まだ避難所にいらっしゃる方はたくさんいらっしゃいますけれども、そういった方々の状況等々も今回しっかりと聞き及んでまいりたいというふうに思っておるところでございます。
さて、災害時におきましては、避難生活等が原因で亡くなるいわゆる災害関連死を少しでも減らすように、政府全体として避難所の生活環境の改善に取り組んできたところでございます。災害関連死を減らすためにも、まずはその数を把握することは重要であると考えられることから、先日、災害関連死の定義を定め、各省庁と共有するとともに、自治体にもそのことを周知をしたところでございます。
現時点では、災害関連死の事例を収集、分析することまで考えるに至っておりませんけれども、まずは災害関連死の数や内容を把握した上で、今後の災害において災害関連死を少しでも減らすべく、関係省庁と連携して取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。


○田村(貴)委員 大臣、やはりここは構えの問題として非常に大事なところなんですけれども、復興庁の取組があります、それから自治体における取組もあります、それから、後で聞きますけれども、厚生労働省の取組があります。こうしたこれまでにおける災害関連死に対する対策の中で、専門家とかそれから識者の知見、これは大事ですよね。それから分析、大事ですね。それから、各役所の取組は大事ですね。そして、これは参考にするときはやはり参考にすべきではないか。私はそれだけ言っているんですけれども、それは拒否されませんよね。


○山本国務大臣 実際のところ、災害関連死の事例を収集、分析をしていくということは、各地域によっていろいろな扱いに差がございまして、今、いろいろな体制を考慮しながら、どういう形で情報、事例を収集したり分析するんだという議論をこれから始めていくという状況でございます。
まずは、先ほど申し上げたとおり、数をしっかりと把握をした上で、今後の災害においての関連死を少しでも減らすべく努力していくということでございまして、今後の我々の勉強課題になっているということは間違いないと思っております。


○田村(貴)委員 そこは確認しました。
そこで、対策について伺っていきたいというふうに思います。
厚労省に伺います。
復興庁が被災者支援総合交付金で行っている見守り、相談支援などの事業は東日本大震災に限らずどの災害においても行う、これは私は非常に大事であるし、求めてまいりました。
熊本地震や昨年の一連の災害でもありましたけれども、今、政府としてはどのような対応をされているのか、説明をしていただきたいと思います。


○佐原政府参考人 お答えいたします。
厚生労働省では、災害が発生した際の災害関連死防止に関する取組としまして、まず、避難所等に避難されている方の健康管理のため、保健師が中心となって避難所等を巡回しまして、感染症予防の指導、また健康状態の把握等を実施するとともに、被災地の社会福祉協議会等に相談員を配置し、仮設住宅等に入居する方に対して、日常生活上の相談支援や、孤立防止のための見守り、地域のコミュニティー構築等の支援を行ってきたところであります。
このほか、平成三十年七月豪雨におきましては、高齢者、障害者等の在宅支援者に対しまして、それぞれの環境の中で安心した日常生活を送ることができるよう、戸別訪問等による早期の現状把握、必要な支援等へのつなぎなど、支援の届かない被災者をつくらない取組を一定期間、集中的に実施してきたところであります。
被災された方々の健康管理や孤立防止、地域コミュニティーの再構築を支援していくことは、災害関連死の防止にも資する取組であると認識しておりまして、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。


○田村(貴)委員 訪問する、声をかける、そして孤立感をなくしていく、これは非常に大事な取組であります。
先日、宮城県の石巻市に行ってまいりました。そこで支援に当たっている方のお話を聞いたんですけれども、ある被災者が旦那さんが亡くなった、亡くなって、後を追って私も死のうと思っていた女性の高齢者の方がおられた。地域生活支援員の方が繰り返し訪問する中でお話をしてきた。その中で自殺を踏みとどまったという事例をこの支援員さんの方から伺いました。数年後にこの高齢の女性の方は、あなたが来てくれたおかげで私は死なないで済みましたと言われたということで、これで妨げること、自死をここで食いとめることができたということで、非常にこの取組が大事であります。
ここで私が求めたいのは、発災直後から避難所生活に至るまで、ここのステージというのはもちろん大事なことなんです。しかし、避難所暮らしから、新たに生活となりわいの再建に踏み出す。ある方は家を買って建てていく、ある方は賃貸に住む、ある方は復興公営住宅に住んでいく。いろいろなあり方があるんですけれども、その時点での取組というのは非常に大事じゃないかというふうに思うわけであります。
東北の被災者も、長い仮設住宅の生活から復興公営住宅に、ことし節目になって生活が変わっていくんです。そのときに、これも支援する方に聞いたんですけれども、復興公営住宅に入った、これは物すごいきれいな建物なんですよ。私もお邪魔したんですけれども、広くてきれいで快適だろうと思ったら、実はちょっと違っていて、きれいな建物で、集会所のサロンで仲よくやっているように見えても、大震災で大きな喪失感を抱えたままである。そして、大きな空間、部屋の中に入ってしまって重い扉で囲まれてしまったら、すごい喪失感、孤立感、孤独感を抱えるという話を伺ったわけであります。
そして、私が本当にショックだったのは、復興公営住宅に入った、抽選に当たって入れた方が、仮設住宅に戻りたいと言われたときは本当にびっくりしました。仮設のときの方が楽しかった。縁側でみんな寄ってきて、お茶飲み友達が集まってきた。それから、仮設住宅に入居したときも、抽選でコミュニティーが断ち切れてしまった。そして、せっかく仮設住宅でつくったコミュニティーも、今度、新たな生活のステージの中でまた断ち切れてしまった。ですから、避難所暮らしが終わった後が、これはまた新たな段階で必要ではなかったかというふうに思います。
そこで質問なんですけれども、東北の被災者が、ようやく仮設住宅から新たな生活環境に移る段階でいろいろな悩みを抱えておられます。熊本地震の被災者の方も、ことし、三年目の仮設入居の期限を迎えるところであります。仮設住宅の段階と同様に、自立へのステップを今から迎える段階においても、被災者、特に高齢者の見守り、声かけ、コミュニティーづくりが大事ではないかなと思いますけれども、いかがでしょうか。


○八神政府参考人 お答え申し上げます。
仮設住宅に入居されている方など、被災された方々の生活環境の変化に対応して、孤立防止や地域コミュニティーの再構築を着実に支援していくということは極めて重要であるというふうに認識をしてございます。
このため、厚生労働省では、被災地の社会福祉協議会等に相談員を配置し、仮設住宅に入居する方や、また、必要に応じ、今御指摘ございました災害公営住宅へ転居した方などに対しまして、住まいや被災者支援制度などの日常生活上の相談支援ですとか、孤立防止のための見守り、地域のコミュニティー構築などの支援を行ってきたところでございます。
このような災害時における見守り、相談支援事業の円滑な実施に加えまして、一定の期間を経た後は、民生委員、児童委員等による平時における見守り、相談支援施策に切れ目なくシームレスに移行していくということにより、被災された方々の孤立の防止等を図っていくということが必要だと考えてございます。
引き続き、自治体との連携を密にしまして、地域の関係機関のネットワークの強化、見守り体制の構築などを推進してまいりたいと考えてございます。


○田村(貴)委員 ぜひその取組を継続して、そして拡充もしていただきたいというふうに思うわけであります。
質問ではないんですけれども、一つ提案事項がございます。
孤立する方をなくしていく、孤独感をなくしていくためには、やはり外に出るということが何よりも大事であります。お出かけですね。お出かけのために何が必要かというと、私はやはりコミュニティーバスだというふうに思っています。
東日本大震災では地域公共交通確保維持改善事業という中でコミュニティーバスを運行しているんですけれども、条件が仮設住宅を経由するという流れになっています。でも、仮設住宅からいずれ出ていくわけですよね。新たな住宅に移っていくわけです。ここで孤立感を持っていくわけです。ですから、例えば、新たな復興公営住宅であるとか、そこと市街地、あるいは病院とか公共施設とか、それを結ぶところでコミュニティーバスというのが私は今から求められていくと思います。
私の福岡県では九州北部水害がありました。集落ごとなくなっているんですね。そうしたら集落ごと再建できるかといったら、やはりばらばらに分断されてしまうということが今から予想されるわけであります。こうした事業を国土交通省、それから内閣府、厚生労働省が連携をとって、ぜひ必要に応じてこういう対処をしていただきたいと思います。
最後に、被災者生活再建支援法の拡充について質問をします。
これまで私は何度も求めてまいりましたけれども、被災者生活再建支援法の拡充は、被災自治体、被災者の悲願でもありますし、現状は、やはりこの法制度は支援制度に合っていません。
去年十一月に全国知事会が被災者生活再建支援制度の拡充を政府に提言をいたしました。この一番目の項目は、支援法を半壊世帯に適用するということでもありました。
この提言は非常に重要な提言だということで、私も去年十二月の本委員会で、政府がこれを重く受けとめて支援制度を拡充すべきだということで求めたところであります。山本大臣はそのときの答弁で、重く受けとめていきたい、そして知事会としっかり意見交換を重ねていきたいというふうに述べられました。
その後の知事会との協議状況について、大臣、どうなっているでしょうか。


○山本国務大臣 被災者生活再建支援制度につきましては、著しい被害を及ぼす一定規模以上の自然災害が発生した場合に、住宅に全壊や大規模半壊等の重大な被害を受けた世帯に対して、全都道府県の相互扶助及び国による財政支援により支援金を支給するものでございます。
半壊世帯までの支給対象の拡大、これは全国知事会からもかなりの要望があったところでございますけれども、国や都道府県の財政負担等の課題もあり、慎重に検討すべきものというふうに考えておりますが、昨年十一月の全国知事会からの提言も踏まえまして、今現在、事務方において継続的に意見交換を行っており、まずは半壊世帯の実態把握が極めて重要であるとの認識を共有したところでございます。
そのために、全国知事会と協力をいたしまして、半壊世帯における補修費等の情報を収集するとともに、生活再建に向けた課題等について、現在実態を把握しているところでございます。
いずれにせよ、今後とも引き続き、被災者に寄り添いながら災害対応に努めてまいりたいと思っております。


○田村(貴)委員 海堀統括官、具体的にこれは知事会と一緒に仕事をしているということの理解でよろしいんでしょうか。
去年私が質問して、そのときからもう協議は始まっていると言ったんですけれども、大体、顔を突き合わせてどのぐらい協議されているのか。そして、今大臣から答弁があった半壊世帯の被害の実態把握、それから財政負担がどのぐらいだったのかというのは、どういう手法をもって被災地、被災自治体と被災者にアプローチするのか。その辺のところについて教えてもらえますか。


○海堀政府参考人 お答え申し上げます。
ただいまのお話にありました知事会との意見交換ですが、我々、国において、さまざまな方々にヒアリングをしたり、そういったことで得られた情報と、それから、これまで知事会が検討してきた情報などを、定期的に会合を開いて交換をさせていただいているというところでございます。


○田村(貴)委員 どのぐらい協議されているんですか。


○海堀政府参考人 これはメールなどのやりとりもありますので、回数ということは数え方はなかなか難しいんですけれども、月に一回とか、そういった形で、顔を突き合わせる会議も当然のことながら開かせていただいております。


○田村(貴)委員 そういうテンポでされているというのであれば、ぜひ知事会のこの提言を実現に移す調査もされたいし、そして対策を前に進めていただきたいと思います。
全国知事会は提言を出しっ放しにさせるわけにはいかないというふうにもおっしゃっていますし、そういう話も聞いてまいりました。速やかに結論を出して、そして、まずは半壊世帯への支援法の適用、支援策を拡充していくように強く求めて、きょうの質問を終わります。
ありがとうございました。