198-衆-農林水産委員会-13号 2019年5月16日 国有林野管理経営法一部改定案 反対討論

○田村(貴)委員 私は、日本共産党を代表して、国有林野の管理経営に関する法律等の一部を改正する法律案に反対する立場から討論を行います。

反対する理由の第一は、本改正案が、国有林を活用して、さきに成立した森林経営管理法を補完するものであり、規制改革推進会議の狙う林業の成長産業化という目先の利益に踊らされ、戦後林政の失敗を繰り返すものだからです。
森林経営管理法の審議の際、政府は、森林を長く大事に守っていきたいと考える山主の皆さんを意欲と能力がないと断じ、民有林の経営管理権を取り上げ、伐採業者に与える法律を押し通しました。今度は、そうした伐採業者に対して、国有林まで長期、大ロットで差し出し、支援しようとしています。
戦中戦後の皆伐による大量伐採は、森林資源を枯渇させ、輸入の自由化と相まって、林業の衰退を招きました。当時の拡大造林から五十年がたち、ようやくとり始めることができる段階となりましたが、法律上、伐採に歯どめをかける仕組みはありません。計画を立てるといいますが、バイオマス発電や合板、集成材など、安い木材を大量に欲しがる産業の要求に応え、無制限に伐採することになりかねません。
理由の第二は、短伐期の皆伐施業が多くの弊害をもたらすからです。
本法案は、林齢のそろった育成単層林を、五十年を標準伐期として大規模に皆伐することが前提となります。長伐期多間伐により森を維持しようと考える自伐型の林業経営は事実上排除され、皆伐する業者だけが長期にわたって国有林を独占することになります。
皆伐施業は、水源涵養力を喪失させ、高性能林業機械が通れる大きな林道を設けることで、土砂災害を誘引し、森林の生物多様性を損ない、表土の流出が河川、海洋の自然環境まで毀損します。
何より、世界じゅうが生物多様性、持続可能性を目指し、森林を保全しようとする中、どんどんとって輸出せよなどというのは、目先の利益を優先する、まさに木を見て森を見ないやり方であります。
理由の第三は、本法案により樹木採取権の設定を受けた伐採業者に、植林と保育の義務が課されていない点です。
伐採業者は最もコストがかかる植林と保育をすることなく伐採ができ、そのコストは税金で賄うことになります。材木の価格はこのコスト分押し下げられ、みずから民有林を所有して経営する林家はますます経営が困難になります。政府は新たな需要を開拓すると説明しますが、既存の販路を奪わない保証はありません。
しかも、需要拡大を見込んでいるバイオマス発電は、熱利用もなく、丸太をそのまま燃やす発電所が出てくるなど、カーボンニュートラルとはほど遠い状況が生まれています。
以上の理由により、日本の国有林を損なう法改悪は許されないことを申し上げ、反対討論とします。(拍手)