200-衆-外務委員会農林水産委員会経済産業委員会連合審査会-1号 2019年11月7日 国民と国会欺き推進 日米貿易協定を追求

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

日米貿易協定について質問します。
まず最初に、協定案、審議の土台になる資料についてお尋ねします。
協定案が閣議決定されたのが十月二十三日で、この時点で、一番大きな影響を与える農業の影響試算は暫定値でしか示されませんでした。同日の外務委員会で、我が党の穀田恵二議員が正式な影響試算の公表を求めたところであります。
その後、影響試算は出されました。しかし、農水省、江藤大臣、これでおしまいじゃないですよね。あくまでもこれは暫定値であって、正式版はこの後に出されるというふうに伺っています。
政策大綱、いわゆる影響への対策の提出とこの関係において、正式版はいつ出されるんでしょうか、お答えいただきたいと思います。
〔吉野委員長退席、富田委員長着席〕


○江藤国務大臣 年末に向けまして、総合的なTPP等関連政策大綱を改定する考えであります、もう何度も申し上げましたが。
影響試算についても、改定後に、最終版となるものを出す考えでありますが、その改定の時期等については内閣官房の方にお尋ねいただかないと、私の方では確定的なことは申し上げられません。


○澁谷政府参考人 政策大綱につきましては、十月一日に改定に向けた基本方針を決定いたしまして、現在、関係省庁と調整を行っているところでございます。
担当の西村大臣、国会でもこの秋を目途にと言っておりますので、この秋ということですから、もう間もなくだというふうに考えております。


○田村(貴)委員 今、国会で審議しているんですよね。まさにこの最中なんですよね。そのときに、一番大打撃を受ける日本農業については対策はできていない、その対策ができていないと正式な影響試算も出されない。これでは、やはりまともな審議ができないと私は思いますよ。出るころにもし国会が終わっていたら、何のための国会だったのかということになるわけです。
江藤大臣にお伺いした方がいいですかね。やはりこれは国会軽視じゃないですかね。出されるべき資料が出されていない。これはどうですか。


○江藤国務大臣 お答えさせていただきます。
私は、国会軽視には当たっていないと考えております。大変、これは賛否があるかもしれませんが、今回、共同声明から合意に至るまで、きょうまでのこの過程が非常に速いスピードで進んだということは、これまでの経済連携協定とは全く違うということがまずあると思います。
しかし、それにしても、影響試算についてちゃんとした数字を出しなさいという御指摘をたびたび、与党、野党限らず、垣根を越えていただきましたので、十月の十八日にまず暫定的な数字を出していただいて、二十九日に品目ごとの詳細な資料についても丁寧にお示しをさせていただいておりますので、私は、国会の御要望には応えてきましたから、国会軽視はしていないというふうに考えております。


○田村(貴)委員 やはり審議の土台がないと言わざるを得ません。
委員長にお願いします。審議を行っているこの国会に直ちに正式な影響試算を提出するように要求していただきたいと思います。いかがですか。


○富田委員長 後刻、理事会で協議いたします。


○田村(貴)委員 牛肉のセーフガードについて質問します。
お尋ねします。そもそも、セーフガードというのは何のために設けられている制度なんでしょうか。


○江藤国務大臣 抑制的に、輸入を抑えるという効果を狙ったものでございます。
国内の輸入商社の方々が、大体、三月の三十一日に年度末を迎えるわけでありますが、十二月から一月、二月になってくると、SGの水準を超えるかどうかは必ず意識をされます。今までは三八・五%の一本税率でしたから、アメリカの牛肉が欲しい人は欲しいだけ買いますけれども、今度、業者の方々は、やはり商売、お金をもうけなきゃなりませんから、年度が近づいて、あと一カ月待てば年度がかわって、またSGを超えずに二六%台の関税で買えるということであれば、私は抑制的な効果を発揮すると思っておりますから、SGは、国内に入ってくる牛肉の総量を抑える効果があるものだと考えております。


○田村(貴)委員 意義についてお伺いしたんですけれども、やはり国内産業に重大な影響を与えていく、そして、そういう損害を防止するために、当該輸入国が発動する関税の引上げ、輸入数量の制限の緊急措置ということですよね。
政府は、二〇一八年の牛肉輸入量が二十五万五千トンで、セーフガードは二十四万二千トンに抑えたとしています。何度も議論になっています。しかし、二〇一五年に十六万五千トンだったものが、翌年には十九万一千トン、二〇一七年には二十三・九万トン、そして二〇一八年には二十五・五万トン。急増している状況から見たら、すぐにでも発動しかねない輸入量となっている。そういう可能性があると思います。
しかし、セーフガードが発動されたとしても、アメリカにとっては、この協定はいいとこだらけだというふうに私は見ました。
まず、セーフガードの税率を定めたので、セーフガードの発効のもとでも、アメリカの関税は、二六・六%から、緊急関税税率の五〇%には上がりません。もともとの三八・五%に戻るだけです。
次に、交換公文で、両国が約束した発動水準を一層高いものにするための協議が開始されます。これがうたわれています。高い発動水準、つまり、二十四・二万トンをはるかに超えるセーフガード発動基準をつくって、日本への輸出量をふやすこともできるわけです。
さらに、交換公文では、セーフガードが発動すれば、十日以内に協議を開始し、九十日以内に結論を得るとしているわけであります。これは、痛みを伴わず、日本への輸出量をふやすことができる仕組み、これだけの仕組みをつくってしまっている。
よくこういう協定に合意したものだなというふうに思うんですけれども、先ほど江藤大臣が御説明いただいたセーフガードの目的にも反している、逆行するものではないですか。それから、なぜ、十日以内に協議を開始して、九十日以内に発動基準を引き上げることを約束してきたのか。このことについて、茂木大臣、説明していただけますか。


○江藤国務大臣 何度も申し上げますが、SGは、国内に入ってくる牛肉を抑制する効果は確実にあると私は考えております。
そして、この九十日の話でありますけれども、それから、十日以内に協議を開始するという話でありますが、必ず結論を得なければならないものだというふうに私は全く理解をしておりません。米国から到底受け入れられないような要求が来た場合は、九十日を超えても合意に至らないということは当然あるというふうに考えております。


○田村(貴)委員 十日以内、九十日以内と非常に具体的で、しかも交換公文でこれは約束しているわけですよ。それは、大臣が幾ら強弁されたとしても、相手あってのことですよ。
アメリカは自国の利益を優先したいから、こういう規定になっているんじゃないんですか。こうした約束をやはり巧みに利用して、日本への牛肉の輸出拡大をしてくるんじゃないんですか。SGの発動後に、わずか九十日後にはこういう制度をすぐに立てることもできるんじゃないですか、制度的には。九十日たって、そして一つの決まりが決まったら、すぐに高い発動基準が、もうその時点で出すこともできるんじゃないんですか。どうなんですか、これは。


○茂木国務大臣 今回の日米の貿易協議で、アメリカ側、TPP11、日・EU・EPAが発効する中で、牛肉等におきましてオーストラリア等に劣後している状況、これを一刻も早く解消したい、これが大きな要望でありました。
ですから、牛肉の税率についても二六%に下がる。それが三八・五に戻ったら、アメリカにとっては元も子もないわけでありますよ。一二%以上上がるということですから、それがきかないということはない、そんなふうに思っております。
同時に、セーフガード措置がとられた場合には協議を行うことになりますが、協議結果に関して予断をしているものではありません。
いずれにせよ、今後の交渉を含め、我が国の国益に反するような合意、これを行うつもりはございません。


○田村(貴)委員 江藤大臣にもお伺いします。
大臣は、先般の農林水産委員会で、SGをいきなり三十万トンに引き上げろと言ってきた場合は協議には応じないというふうに発言されました。しかし、これは交換公文で約束されているんですよね。拒否できないんじゃないんですか。協議をやることについて拒否はできないんじゃないですか、協議自体は。いかがですか。


○澁谷政府参考人 サイドレター、交換公文で、御指摘のような場合になった場合には協議を開始することは約束をしております。ただ、その結果を予断しないというのは先ほど大臣が答弁したとおりでございまして、協議をした結果、合意に至らないということは当然想定しているということでございます。


○田村(貴)委員 協議は開始するんですよ。拒否できますかと聞いているんですよ。断固拒否すると言われていますけれども、拒否することになるんですか。できるんですか、それは。


○江藤国務大臣 それは、私の素っ首なんというのはチョウチョウの羽よりも軽いかもしれませんので、私の職責をかけても、なかなかこれだけの国際交渉の場では難しいかもしれません、正直、先生。しかし、私も一政治家として覚悟を決めて発言をさせていただいておりますし、茂木大臣のことも信頼いたしておりますので、もしそういう場合に至ったとしても堂々と交渉していただけるし、その後ろにあって外務大臣を支えていきたいというふうに考えております。


○田村(貴)委員 SGの仕組みは、やはりよく読まないとわからない。私は、アメリカにとってみたらすごく有利な約束になっているというふうに読み解きました。
ですから、こうしたことを今決めてきたんだということを生産者に、それから酪農の農家の方に、畜産をやっている方には、やはり知らせるべきじゃないでしょうか、詳しく。そして、お話を聞くべきじゃないでしょうか。
国内産業に、SGの発動基準が引き上げられれば、重大な影響が出てまいります。生産者や業者を始め、広く国民に周知して意見を聞く必要があると思いますけれども、そういうことはなさいますか。


○澁谷政府参考人 最終合意に達した直後でございますが、全国知事会において、都道府県の担当の方に、私の方から合意内容を、牛肉のセーフガードも含めて説明をさせていただきました。今、政策大綱の改定に当たりまして、各都道府県から御意見を頂戴しているところでございます。
また、先月二十七日には、私どもの主催で一般の方向けに説明会を開催させていただきました。
また、農水省を始め関係省庁においても説明会を開催しているところでございまして、そうした場を通じまして、幅広く情報を提供して、丁寧な説明を行うとともに、御意見を聴取していきたいと考えております。


○江藤国務大臣 多分これを言うと先生から怒られるんだろうということを覚悟の上で申し上げますが、JA全中の中家会長が、非常にこの内容についての評価をするコメントをいただきました。
中家会長の個人の意見だと私は思っておりません。JA全中の役割というのは、全国の農業組織を基盤として、その地域にある農業者の意見を集約して、それを政治に伝えるということが大変大事な役割でありますが、そこの会長さんから言っていただいた言葉でもありますから、もちろん不安に思っている方もたくさんいらっしゃいますし、私たちの説明が足りない部分、反省すべき点はあると思いますけれども、これからもあらゆる機会を捉えながら説明の努力は尽くしていきたいと考えております。


○田村(貴)委員 江藤農水大臣、安倍総理と同じ答弁したらだめですよ。その話は今度、農水委員会でやりましょう。やはり、九州から、宮崎の生産者からも不安の声はいっぱい出ていますよ。これは農水委員会でやりましょう。
再交渉について質問します。
十月二十九日に発表された日米貿易協定の経済効果分析は、実質GDPを四兆円、〇・八%押し上げるとしています。これは、自動車・自動車部品の撤廃を前提とするものになっているわけでありますけれども、関税撤廃は決まっていない。きょうも議論していますけれども、関税撤廃は決まっていないのに、なぜ算入したんですか、茂木大臣。


○澁谷政府参考人 経済効果分析、私ども内閣官房の方で行っておりますけれども、先ほどから大臣の方から御説明しているとおり、日米貿易協定では、自動車・自動車部品について、単なる交渉の継続ではなく、さらなる交渉による関税撤廃を明記した、撤廃がなされることが前提となっておりますので、これをもとに計算を行ったところでございます。


○田村(貴)委員 関税撤廃が前提といいますけれども、本当にそうでしょうか。やはり、ここはじっくり議論した方がいいと思いますよ。
茂木大臣も、予算委員会で、附属文書2、アメリカの英文のやつですね、これを読まれましたね。「カスタムズ デューティーズ オン オートモービル アンド オート パーツ」、ここから始まる文章ですね。
これは何と書いているかというと、英文ですけれども、訳しますと、自動車と自動車部品の関税撤廃に関しては、将来の交渉次第あるいは将来交渉することになっていると。この先、交渉事項だと言うにとどまっている話なんですよ。これ以上に訳しようがないんですよ、これは。
しかも、この政府の交渉合意後から協定案提出に至るまでに、政府の説明資料には大きな問題があります。配付している資料をごらんいただきたいと思います。
左と右、よく似ているんですけれども、違うんですよね。自動車と自動車部品の説明が、いつの間にか変わっているんです。左側の文書は、日米貿易交渉が最終合意に至った直後の九月二十六日に外務省が我々に示した文書で、ここにおられる多くの議員の皆さんはごらんになった文書であります。右の文書は、協定署名後の十月十八日、ここに至って持ってきた文書であります。
同じように見えますけれども、右肩のところを見ていただきたいと思います。左側は「米国譲許表に「更なる交渉による関税撤廃」」と書いています。右側は「米国附属書に「関税の撤廃に関して更に交渉」」となって、変わっているんですよ。
茂木大臣、いつ、何でこのように変わったのか、説明していただけますか。


○茂木国務大臣 まず、アメリカの附属書についてでありますが、「ファーザー ネゴシエーションズ ウイズ リスペクト ツー ザ エリミネーション オブ カスタムズ デューティーズ」と書いてありまして、ファーザーです、フューチャーじゃありませんから、将来ではなくて、さらなる交渉ということに解される、このように考えております。
その上で、御指摘の、関税撤廃に関して更に交渉する、これは、日米貿易協定に関する説明書におきまして、米国附属書の英文テキストの該当部分を日本語として説明したものであります。
一方、さらなる交渉による関税撤廃との説明は、九月二十五日の日米首脳会談における最終合意の確認に際して、私からその要旨、これを簡潔に述べたものでありまして、若干簡潔になっておりますが、内容については日本語として変わっていないと思っております。


○田村(貴)委員 日本語として全然変わっていますよ。
これ、「更なる交渉による関税撤廃」というのは、撤廃が前提の話なんです。右側の「関税の撤廃に関して更に交渉」というのは、撤廃は交渉次第というふうに読み取れるわけですよ。これは全然違うんですよ。
十月十八日で、それまでに変えた、これは認めますね、変えたんですよ。九月二十五日の最終合意のことについて記載している外務省のホームページ、この資料にまで右側のこの部分のところが差しかえられているんですよ。これ、おかしいじゃないですか。
九月二十五日の最終合意について記載されている。だから、左側の文書があってしかるべきなのに、いつの間にかホームページまで変わっている。これ、改ざんですか。また私たちに説明もなく変えてしまったんですか。変更したのであれば、一番大事な資料ですよ、これ、何で説明に来られないんですか。私たち、何度もTPP本部からレクを受けてきたけれども、こういうことは聞いておりません。左と右では全く意味が異なってまいります。
附属書の中の譲許表自体、ここには、自動車それから自動車部品、オートモービル アンド オート パーツ、これはこの譲許表の表には載っていないんです、載っていない。ところが、協定自体がまだ公表されていないときには、譲許表に関税撤廃と記載したと説明しているわけですよ。関税撤廃があたかも約束されているかのように見せかけて、これ、国民や私たち国会を、まさかだまそうと思ったんじゃないですか。そうであったら、これはひどい話ですよ。いかがですか。


○澁谷政府参考人 先生お示しの左側は、ニューヨークで九月二十五日に最終合意が確認されたときの、その直後の発表資料でございます。この時点では署名ができておりませんで、協定の構成も含めてまだ条文が固まっていない状況でしたので、合意された内容の趣旨を簡潔に書いたものでございます。
一方、十月十五日に、この協定につきまして、その承認議案を国会に提出をさせていただきました。その際、外務省の方から協定の説明書というものをあわせてお届けしているところでございまして、その中で、最終的に固まった条文、それから構成も附属書という形で書かれたということも固まっておりましたので、その説明書に記載している内容に改めたということでございます。したがって、これは時系列に伴う修正というふうに理解をしております。
ホームページの中でその部分について差しかえましたということをお知らせしていないじゃないかという御批判をいただいております。それは甘んじてお受けさせていただきます。


○田村(貴)委員 変えたんですね。黙っていたんですね。そして、断りもやっていないじゃないですか。これ、一番基本な部分なんですよ。それで、交渉の過程で要旨を書いたと言うけれども、「譲許表に「更なる交渉による関税撤廃」」、こういう文言で入れた、明記したと。これは重大ですよ。うそじゃないですか、事実は。この表にはないんですから。
そういうことを、過程だからとか、要旨だからとか、入れたというのは、これはやはり、私たち、だまされたことになるんですよ。だめですよ、こんなことしたら。
委員長にお願いします。
なぜ政府の説明文書に譲許表に関税撤廃と記載したと書いたのか、なぜ表現を変更したのか、さかのぼってホームページまで差しかえたのかについて、説明できる、納得できる説明を、委員会に、各委員会に対して報告するよう、理事会で取り計らっていただきたいと思いますが、いかがですか。


○富田委員長 後刻、理事会で協議させていただきます。

○田村(貴)委員 結局、譲許の対象でないのが事実だったんです。そのような表現をしたというんだけれども、関税の撤廃に関しては将来の交渉次第、撤廃の約束はされていません。今の文章は、これは右側の文書ですよね、「関税の撤廃に関して更に交渉」と。それは、私が先ほど言ったところです。大臣、いろいろ言われましたけれども、やはりこれは、自動車と自動車部品の関税撤廃に関しては、その先ですよ、その先の交渉次第ということで、関税撤廃は何も確約されていないわけなんです。
茂木大臣にお伺いします。
自動車の関税撤廃がこの文書によっても前提になっていないことが明らかになった以上、関税撤廃が前提になっているGDP〇・八%増の経済効果分析はやり直すべきじゃありませんか。だって前提が違うんだから、変えるべきですよ。

○茂木国務大臣 アメリカの附属書、英語でできておりますけれども、「ファーザー ネゴシエーションズ ウイズ リスペクト ツー ザ エリミネーション オブ カスタムズ デューティーズ」となっております。これは関税撤廃です。先生の御趣旨でしたら、恐らく、英文とすると、ファーザー ネゴシエーションズ、まあ、ウイズ リスペクト ツーを使うか、ほかの言葉を使うかは別にして、ウイズ リスペクト ツー カスタム デューティーズ、こういう言葉になりますので、エリミネーションは入らなくなると思います。


○田村(貴)委員 何を言っているかよくわからないんですけれどもね。
経済効果分析、これをやり直すべきじゃないですかと。だって、関税撤廃が決まっていないんだから。(茂木国務大臣「いや、決まっていると説明したじゃない、今」と呼ぶ)いや、だから納得できない。これはやはり要求します。
これは、やはりやり直すべきですよ。この期に及んで、そんなこと言わないでくださいよ、こんな文章を変えとって。今、ここに書いているじゃないですか、「関税の撤廃に関して更に交渉」って、全然違うじゃないですか。こういうごまかしがあるから、こういうごまかしが透けて見えるから、生産者は不安の声を上げているわけですよ。
江藤大臣、さっき全中の会長の発言をされたんだけれども、いろいろな声が聞かれているはずですよ。例えば、一番打撃をこうむる農家、生産者は、日米貿易協定を評価していません。
日本農業新聞のモニター調査では、日米双方に有利と回答した方は八%ですよ、わずか。アメリカ有利と答えた方が六六%おられる。生産者は誰も、とてもウイン・ウインなどと考えていないんです。TPP11、日欧EPAに続いて悪影響が強まる、この回答は七九%まで達しているわけですよ。日農新聞の地方版を読んだら、地方からは懸念の声がいっぱい書かれていますよね。そこを大臣もわかっているんだったら、やはり、こんな国会でこんな短期間でこういう大事なことは決めてはいけません。
大臣、やはり、先ほど言いましたように、生産者の声をもっと聞くべきです。農業関係者と生産者、畜産の生産に携わっている人たちの方に、実はこういう協定を結んできたんだ、中身はこうだ、セーフガードはこんな仕組みになっている、そして国会ではこんな意見も出ていると、ちゃんと説明して、生産者はわからないという人がいっぱいいるわけですよ。
一般の方はもっとわからない。時事通信が世論調査を行ったところ、どちらとも言えない、わからないは三九・八%だった。しかし、やはり、評価しないが評価するを上回っているんですよ、この日米貿易協定について。それはやはり、何か秘密めいたものがあるんじゃないか、ごまかしはないか、日本は屈したんじゃないか、そういう意識がここにあるわけです。
実態実態を私は今示してお話ししているんです。もうちょっと声を聞くべきじゃないですか。


○江藤国務大臣 農政の基本は現場の声を聞くことでありますので、委員の御指摘はごもっともだと思います。
私はかなり、現場の方、特に宮崎県の、私の地元の方とは対話を重ねてまいりました。余り宣伝すると嫌かもしれませんが、決して、牛肉については、SGについてはそういう水準になりましたし、それから、今ニカラグアが使っている六万五千五トンの枠、これは、ニカラグアとアメリカはFTAが来年発効します。これは無税になりますので、彼らが七割か八割、この枠を使っていますので、日本はかなり有利な条件でアクセスできます。日本は二百トンしか、今、キロ当たり四・四セントの枠を持っておりません。今度は六万五千五トン。
宮崎は畜産県でありますので、ミヤチクという、すばらしい食肉処理場が完成したこともあって、EUにもこの間第一便が行きました。ぜひ、今度はアメリカにも、二百トンぐらい出していますけれども、もう二百トンと言わず、桁を超えてもっと出していこうという生産意欲も盛り上がっていることもまた事実でございます。
そしてまた、中国にもまた出していこうということもありますけれども、委員のおっしゃるように、しっかり意見を聞いて説明する責任はもっと果たしていきたい、そう考えております。


○田村(貴)委員 時間となりました。
審議の土台となる資料は提出されない、しない。それから、約束が交わされていないにもかかわらず、自動車の関税は撤廃すると強弁なさる。日本の農産物は、牛肉、セーフガード一つとっても大打撃を受ける。審議の土台となるこうした大事な文書をごまかして、そして書きかえてしまう。これはやはりだめですよ。日米貿易協定は、トランプ大統領の要求に日本側が一方的に譲歩するものにほかなりません。日米貿易協定、これを撤回すべきだと思います。
以上のことを要求し、きょうの質問を終わります。ありがとうございました。