200-衆-本会議-9号 2019年11月19日 日米貿易協定本会議反対討論

○田村貴昭君 私は、日本共産党を代表して、日米貿易協定及び日米デジタル貿易協定について、断固反対の立場から討論を行います。(拍手)

まず、桜を見る会で問われているのは、安倍総理が、内閣の公的な行事を私物化し、八百五十名に上る地元後援会を招待し、まさに国民の税金を使って買収を行っていたという疑惑であります。しかも、安倍晋三後援会が主催した前夜祭の収支を政治資金収支報告書に一切記載していないことの違法性は明白です。
これに対して、総理は、八日の参議院予算委員会で、招待者の取りまとめに関与していないなどと述べましたが、その後次々に発覚した事実と疑惑から逃げることはもう許されません。安倍総理が速やかに予算委員会に出席し、疑惑に対する説明責任を果たすことを強く求めるものであります。
日米貿易協定は、五カ月という前代未聞のスピードで、交渉内容も経過も国会や国民に一切秘匿したまま合意されたものであり、既に発効しているTPP11、日欧EPAに加えて、日本側の関税、非関税措置を縮小させ、農産物の市場開放、自由化を一層もたらすものです。
しかも、政府は、野党が求めた協定の審議の前提となる資料の提出を拒み続け、国会軽視、国民無視の姿勢を露骨に示しました。
にもかかわらず、わずか十一時間の審議で採決を行うことなど、許されません。
安倍首相は、本協定を日米双方にとってウイン・ウインの中身になったと誇示していますが、その実態は、日本が七十二億ドル分の米国産農産物の関税を撤廃、削減することを認める一方、米国は日本製自動車や同部品の関税撤廃を見送りました。日本の一方的な譲歩であることは明白です。特に、譲許表に自動車関連の関税撤廃を明記したとうその説明までして国民と国会を欺こうとしていたことは、極めて重大です。
政府は、本協定がTPPの範囲におさまったと主張しています。しかし、TPPは、もともと、輸出大国や多国籍企業の利益を最優先し、際限のない市場開放を推進するもので、TPP水準でも大問題なんです。
本協定は、米国産牛肉の関税率をすぐにTPP参加国と同じ税率まで引き下げます。加えて、その税率での輸入枠をTPPとは別に設けました。しかも、輸入量がそれを超えると、即座に低関税輸入枠自体を拡大するための協議をする規定まで盛り込んでいます。米国を特別扱いする、TPP超えは明らかです。
政府は、本協定の発効で実質GDPを約〇・八%押し上げるとしています。しかし、この試算は、継続協議となった日本製自動車や同部品の対米輸出関税の撤廃を見込んだ架空の計算です。そうした試算でも、国内農産物の生産額が最大千百億円減少すると見込まれています。
特に、大幅な関税削減で、熾烈な価格競争を強いられる畜産農家は大打撃です。九州のある肉牛農家は、将来が不安で後を継がせられない。北海道のある酪農家は、米国産チーズは日本よりずっと安く、やめざるを得ない農家が出てくる。養豚農家は今でも採算ぎりぎりだと。これが全国の農家の声です。本協定が離農を加速させ、食料自給率を更に低下させることは必至です。
日米共同声明は、本協定の発効後、関税やほかの貿易上の制約、サービス貿易や投資に係る障壁などで交渉を開始するとしており、文字どおり、日米FTAにつながるものです。日米デジタル貿易協定は、まさにその先取りであり、独占的利益を追求する米国のIT企業を保護する協定にほかなりません。
食料主権、経済主権を破壊する両協定の国会承認は、断じて認められません。日米FTA交渉は直ちに中止すべきであることを強調し、討論とします。(拍手)