200-衆-農林水産委員会-8号 2019年11月20日 肥料の安全ただす 調査の職員増やせ

○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

最初に、総理主催の桜を見る会について質問します。
私はきょう、内閣委員会の集中審議、我が党、宮本徹議員の質疑を傍聴していたんですけれども、官房長官が招待者について数字を明らかにしました。
本当に驚くことばかりです。安倍総理の枠が千人いる、招待客で。そして、その中には、安倍昭恵さんからの推薦も入っていたということがきょう明らかになりました。
きょうは、ここでそういうことは聞きません。
省庁推薦は、外務省を除いて三千六十三人であって、そして、先ほど大串議員からの質問にもありましたように、農林水産省の推薦は百三十二名だということでありました。
この百三十二名は、先ほどの説明では、次官、官房長、それから審議会の長などと言われていますけれども、これは役所の方々ばかりですか。農林水産行政にかかわった人を招待しているのですか。農林水産業に功績、功労があった方はおられないんですか。教えてください。


○枝元政府参考人 お答え申し上げます。
内閣府から示されております当省に対する推薦の範囲ですけれども、事務次官、外局の長、局長クラスの二分の一、各種審議会、委員会等の長、あと各界の功績者、これは農業関係の功績者百十四名ということになってございまして、本年の実績が百三十二名ということでございます。
各界の功績者でございますけれども、農林水産の関係分野で功績、功労のあった方々ということで、例えば叙勲ですとか農林水産大臣賞を受けられた方とか、そういう方々から選んでございます。


○田村(貴)委員 後ほど確認したいと思います。
それから、大臣、いわゆる政務三役の枠と自民党枠というところの説明がよくわからなかったんですけれども、官房長官は、内閣府が取りまとめする九千人の中に自民党枠が六千人あると言われたんですね。
こちらの百三十二名の農林水産省の方では、政務三役、ここからの推薦はなかったという理解でよろしいんでしょうか。


○枝元政府参考人 当省からの推薦者の選定に当たりましては、当時の大臣とか副大臣、大臣政務官に対象となる方々をごらんいただいた上で選定はしてございますけれども、いわゆる政務としての特別の枠というのは設けてございません。


○田村(貴)委員 わかりました。
もう一つ驚いたのは、江藤大臣が当選以来、桜を見る会に一度も行ったことがないと言われたことなんですけれども、何か特別に思われることがあるんでしょうか。
実は、菅官房長官は、長年の慣行の中で人数がふえていることは反省した、そして、今後全面的に見直す、全面的に見直さなければならない、これが桜を見る会の水増し、膨張であるんですよね。
江藤大臣は閣僚の一人として桜を見る会についてどういう思いを持っておられますか。


○江藤国務大臣 会には趣旨があると思います。主催は総理でありますけれども、やはり国のお金も使っていることでもありますし、いろいろな御批判も今いただいているわけでありますから、来年は取りやめて、趣旨に沿ったものに、推薦者についてもいろいろお考えになるというような考え、私、詳しくは聞いておりませんし、内閣府ともこのことで何も話したことがありませんのでわかりませんが、しかし、あるべき形にいずれなって続いていくのだろうというふうに思っております。


○田村(貴)委員 また新たな事実が出てきたら、いろいろとただしていきたいと思います。
それでは、肥料取締法について質問します。
本法案では、産業副産物の肥料の利用を一層拡大するために原料管理を行うとしています。その産業副産物由来の肥料にはいろいろあります。重金属など有害物質も含まれて、食の安全にもかかわります。工業製品の工場から出た汚泥もありますし、それから食品工場からの残渣もあります。
農水省にお伺いします。
どういった産業副産物を活用拡大していこうとしているのか、たくさんある中でどういったものがあるのかということを教えていただきたいと思います。


○新井政府参考人 お答え申し上げます。
今後一層の活用を期待される産業副産物といたしましては、畜産農家から発生いたします家畜のふんのほかに、食品工業からの副産物を想定しているところでございます。これは、食品リサイクルの率がなかなか高まっていないということで、循環型社会に向けましてもこの活用が重要と考えているところでございます。
具体的には、例えば酒類の製造時に生じるかすでありますとか、水産加工場から生じる貝殻、あるいは調味料の製造時の残渣等につきまして、今後さらなる活用を期待しているところでございます。


○田村(貴)委員 食品残渣系を期待するということであります。
産業副産物由来の肥料の活用については、公定規格に定められた重金属などの有害物質が最大量を超えていないか、こうしたところを厳格に審査する必要があります。
規制改革推進会議のこれまでの答申の中で、このように述べられています。これはことし六月ですけれども、「過去の肥料登録が積み重ねられた結果、規格の数が諸外国と比較して多く、農作物に対する有害成分の最大量が肥料の種類ごとに定められている等、詳細に過ぎて、分かりにくい」。それから、令和三年に、公定規格について、有害成分の最大量について大くくり化する。なかなかよくわからないんですけれども、大くくり化するということはどういうことでしょうか。
現在、公定規格は約百七十というふうに聞いていますけれども、農水省はその公定規格を減らして、集約する方向でしょうか。例えばどういうくくりをするのか、例を示して説明をしていただけますか。


○新井政府参考人 お答え申し上げます。
現行の公定規格、種類ごとに細かく規格化されているのが現状でございます。こういう中、例えばということでございますが、副産窒素肥料、それから副産燐酸肥料ということで、副産と名前がつくもので六つ肥料がございます。これらにつきましては、これを副産肥料という形に統合するというようなことを念頭に置いているところでございます。
いずれにいたしましても、種類やその特性を踏まえまして、丁寧に判断しながら、規格の統合を進めてまいりたいと考えております。


○田村(貴)委員 つまり、保証する成分量や有害物質については従前と変わらぬ審査を行っていくということでよろしいんでしょうか。それと、そうであるならば、手続を簡素化するだけというふうに受けとめられます。そして、それは安全性をないがしろにするものではないと断言できますか。


○新井政府参考人 お答え申し上げます。
規格の統合につきましては、それぞれ、現在の有害成分の表示が、例えば二種類、あるいは一項目、幾つかの項目があったという場合には、それを全て新しい規格の中に移行するということでございます。したがって、どれかの有害成分の基準が下がったり上がったりとか、そういうことはないようにするということはここでお約束をさせていただきたいと思っております。


○田村(貴)委員 今度、肥料取締法は、肥料の品質の確保等に関する法律に変更します。しかし、安全性にかかわる規定まで緩めるようなことがあっては絶対ならないということを、私の方から強く指摘をさせていただきたいと思います。
次に、堆肥について伺います。今度の法律の目的の一つでありますけれども、堆肥の活用です。
堆肥は配合飼料として更に使用が見込まれますけれども、しかし、家畜の飼料は輸入頼みとなっています。輸入した濃厚飼料には農薬が残留している、こういうケースが多々あり、先ほども出ましたけれども、除草剤であるクロピラリドは、農家被害も出ています。今後、こうした問題をどのように規制していかれるんでしょうか。


○新井政府参考人 お答え申し上げます。
堆肥に微量に残留いたします除草剤であるクロピラリドによりまして、一部の作物に生育障害が発生しているということでございます。
現在は、特に施設栽培におけるトマトといったものにそのような生育障害が発生しておりますので、農家に情報を提供している、それから、施肥に関する留意事項を通知しているというところでございます。
今般の改正に伴いまして、特殊肥料につきましても、施用上の注意事項について表示基準を定めることができるということになりますので、農家の方への情報提供というのに加えまして、クロピラリドにつきましては、表示基準を定め、含有に関する情報や、施用に当たっての留意事項ということで、肥料に記載をしていくということを進めてまいりたいと考えております。これによりまして、園芸農家が安心して堆肥を利用できる状況が整うというふうに考えております。
それから、先ほど、副産の肥料につきまして六種類と申し上げましたのは、十一種類でございました。訂正をさせていただきます。


○田村(貴)委員 はい、わかりました。
次に、検査体制について質問します。
公定規格どおりに品質が確保されているかのチェックは、今に増して重要になると考えます。特殊肥料などの流通後におけるチェックは、独立行政法人農林水産消費安全技術センター、FAMICに委ねられています。職員体制、それから立入検査の件数、そのうち違反件数等について簡単に教えてください。


○新井政府参考人 まず、職員の人数でございます。FAMICにおきまして肥料関係業務に従事している職員は、平成三十年度末で五十七名ということでございます。
FAMICは登録肥料につきまして立入検査を行っておりまして、三年又は六年の有効期間内に必ず一回立ち入るということ、それから、疑義情報があれば必要に応じて立入検査を実施しているところでございます。この立入検査はFAMICとそれから地方農政局でも実施をしておりまして、これらの立入検査を合わせますと、平成二十九年度は三百七十二件、そのうち違反件数は百二十九件でございます。
違反件数が多いように見えますけれども、その大部分、八割以上が表示の欠如でありますとか表示の間違いということでございまして、しかしながら、全体の一%未満ではございますが、重金属の超過など、安全性にかかわるものがございます。これにつきましては、速やかに是正措置が行われているところでございます。


○田村(貴)委員 まあ、軽微なものから重大なものまで、しかし、違反がそれだけあるということですよね。それで、立入検査がやはり脆弱ではないかなと私は思うわけです。新規で一千件程度、これを見なければいけない、更新で二千から三千、これを見なければいけないと伺っております。
大臣にお伺いしたいんですけれども、やはり議事録を見てみますと、一九八三年度は、こうした登録の関係の仕事をしている職員が百十名おられたと。三十五年間で半減しているわけですよね。これから法改正によってより厳しく見ていく、それから検査体制も強化していく、業務量もふえていく。そうすると、ちゃんとマンパワーの体制も強化する必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。


○江藤国務大臣 食品の安全にかかわることでございますから、まさにおっしゃるとおりだと思っております。ですから、今御紹介のありましたFAMICにつきましても、地方農政局、全国八カ所ございますけれども、それぞれ新たに二人ずつ担当職員を要求させていただこうということにいたしております。
そして、先ほどちょっと局長からありましたように、情報の収集も、あそこは怪しいよみたいな疑義の情報収集も引き続きやらせていただくことによって、体制は強化してまいりたいと思っております。


○田村(貴)委員 もう一問、大臣にお伺いします。
先ほども議論があったんですけれども、私は、化学肥料の使い過ぎによって、土の力、地力が衰えてきたといったところは、これはやはり正さなければいけないと思います。そして、堆肥の使用拡大が地力の向上につながっていくのかということですよね。特殊肥料と産業副産物肥料の混合肥料を普及していく中で、本当にこの法改正で、地力、田んぼ、畑の地力は高まっていくのでしょうか。大臣にお伺いします。


○江藤国務大臣 その前に、一部、答弁の修正をさせていただきたいと思います。
先ほど、人数をふやすと申しましたが、これはFAMICの人間がふえるのではなくて、ちょっと申しましたが、地方農政局の担当職員を、二人ずつ増員要求をするということでございます。修正させていただきます。(田村(貴)委員「各農政局」と呼ぶ)はい、農政局です。
それで、地力は上がるかということにつきましての御質問でございますが、やはり堆肥を入れた方がいいと思っている方は多いんです。しかし、重いし、大変だし、スプレッダーみたいな機械もないし、できないよね、それで化学肥料に頼ってしまったということもありますので、やはり堆肥を入れることが地力の回復につながることは農家の方々は御経験上よく知っていますので、今回、これが一緒に、省力化することによってできるということになれば、地力の回復にも資するものになると考えております。


○田村(貴)委員 全てが農業と畜産、この健全な発展につながり、食の安全につながる大事な問題であります。業務量はふえる、人員は足りないではだめです。しっかりした検査体制をとっていただく、そして肥料と農産物の安全をしっかり守っていただく、このことを強く申し上げて、きょうの質問を終わります。