水俣病犠牲者を追悼 公式確認68年 全面解決望む声

2日 水俣病犠牲者慰霊式② 水俣病の公式確認から68年を迎えた5月1日、水俣病で亡くなったすべての生命を追悼し環境の再生と創造を誓う「水俣病犠牲者慰霊式」(実行委員会主催)が、熊本県水俣市の「水俣病慰霊の碑」前で開かれました。患者や遺族、関係者らが献花して原因企業チッソの垂れ流した有機水銀による公害で亡くなった命に思いをはせると共に、現在も続く苦しみを訴えました。
 
 患者・遺族代表の川畑俊夫さんは、水俣病被害者特別措置法などで6万5千人の被害者が救済される一方、いまだ救済されずに苦しみ続けている被害者がおり、裁判や患者認定の申請をしていると指摘。国、県、チッソに対し、「患者の現状に真摯(しんし)に向き合い全面解決することを切に望む」と力を込めました。
 
 日本共産党の田村貴昭衆院議員が献花しました。
 
 伊藤信太郎環境相は被害拡大を防げなかったことを謝罪したものの、「水俣病の『歴史』」と水俣病の苦しみが終わったかのような表現に終始しました。
 
 式の後の患者との意見交換も極めて短時間でした。水俣病被害者の会の中山裕二事務局長は「今日という日を契機に患者救済に向けて前向きに取り組もうという決意は全く感じられなかった」と怒りをにじませました。(しんぶん赤旗 2024年5月2日)