米空母艦載機離着陸訓練(FCLP)の移転候補地である馬毛島(まげしま=鹿児島県西之表市)をめぐり、防衛省が港湾施設建設のための海上ボーリング(掘削)調査を行おうとしています。日本共産党の田村貴昭衆院議員が質問主意書で漁業への影響などをただしました。
防衛省が地元の種子島漁協に配布した資料によると、海上ボーリング調査は7月中旬から来年3月末ごろで、東海岸の計39地点で行う予定です。調査予定地は貝の一種「トコブシ」などの漁場で、漁への影響を懸念する声が上がっています。
種子島漁協の理事会は5月28日に、計画が具体的でなく海上ボーリング調査による漁業への影響が測れないとして賛否の判断を見送りました。漁協職員によると、組合員から基地整備自体を問題視する意見が相次いだため、防衛省に対して基地整備計画の詳細な説明を求めています。
田村氏は12日に質問主意書を安倍内閣に提出し、米軍訓練施設や港湾の規模、大型艦船の着岸や埋め立て地造成の有無、海上ボーリング調査や港湾整備による漁業への影響などについてただしました。ところが政府は26日決定の答弁書で、「検討を行っているところ」などとして一切明らかにしませんでした。(質問主意書)( 答弁書 )
田村氏は「地元住民や自治体の疑問についてまともに説明するつもりのない答弁だ。地元の頭越しに進めようとするもので到底容認できない」と述べています。
「馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会」の三宅公人会長は「海上ボーリング調査は国として初めて行う馬毛島の自然破壊であり、基地建設に向けた第一歩だ。調査予定地で行われるトコブシ漁は6月から8月が最盛期で、収入の3分の2を占める漁師もいる。漁業者の生活を守るためにも反対の声を上げていく」と述べました。(しんぶん赤旗 2020年6月30日)