ある報道記者から電話が入った。「自民党の総裁候補の中で、一番と思うのは誰ですか」。名前の挙がっている人はいずれも国会で論戦した顔ぶれ。のらりくらり、かみあわない答弁に歯がゆい思いをしたことを思い出す。いや、誰と言われてもみんな安倍政権の閣僚として、自民党の重職として、安倍政治を推進してきた人ばかりではないですか。亜流じゃ全くだめですよ。「なるほど」
7年8ヵ月の長期政権で「レガシー(遺産)は『アベノマスク』だけ」と皮肉を込めた論評もある。思わず苦笑したが、振り返ってみよう。戦争法など憲法違反の数々の悪法、「モリ・カケ・桜」に代表される政治の私物化、2度の消費税増税で経済悪化、アメリカにもロシア、中国にもモノ言えぬ屈辱外交、そして、後手後手、ピント外れのコロナ対策――まさに歴史に名を遺(のこ)す悪政のオンパレードだった。
こんなひどい政治の継承を許すのか、それとも、立憲主義を取り戻し、いのちや生活、個人の尊厳が大切にされる新しい政治をつくるのか。大いに訴えてゆかねば。政権与党はマスメディアを最大限利用し、総裁選や組閣に国民の関心を向けさせ、これまでの悪政を覆い隠そうとするだろう。しかし、新味を演出しようにも、化けの皮がすぐにはがれ、また米国追従、財界主役の強権が牙をむく。
さよなら自公政権。市民と野党との共闘を深め、野党連合政権をなんとしても樹立したい。それは日本共産党が大きく伸びてこそ。激動の時代、総選挙に向けてのカウントダウンがはじまった。(しんぶん赤旗 2020年9月2日)