農民運動全国連合会(農民連)は国会内で11月11日、種苗法改定案を撤回するよう農林水産省に要請しました。同改定案は「登録品種」について農民が続けてきた自家増殖を原則禁止するもの。農業生産だけでなく食の安全性・多様性を損なうものだとして反対の声が広がっています。
農民連の笹渡義夫会長は、知的財産の保護の名による自家増殖禁止が、日本も批准している「食料及び農業のための植物遺伝資源に関する条約」と矛盾すると指摘。許諾料の負担増もあげ、「私たちの声を聞き今国会は撤回を」と求めました。
農水省生産局知的財産課の担当者は「海外流出の防止」との説明を繰り返す一方で、「負担は増えない」としてきた許諾料について「民間の話なのでわからない」と負担増の可能性を認めました。
笹渡氏は「改正されることも改正案の中身も知られていない。農民、消費者を含む国民的議論をするべきだ」と求めました。
日本共産党の紙智子参院議員、田村貴昭衆院議員が同席。紙氏は「育成者の権利とバランスをとりながら、自家増殖の権利を守るのが国際的な潮流だ。海外流出防止は現行法で可能だ」と指摘。田村氏は「より懸念は深まった。育成者権を後押しする法案であり、農民の負担増への不安は当然だ」と述べました。(しんぶん赤旗 2020年11月12日)