最賃一律1500円 若者は切実 民青 九州6県労働局に申し入れ/食パン1枚ずつで5日間過ごした 将来はホームレスになっているかも…

鹿児島労働局でシール投票などで青年の要望を説明する長野副委員長(中央)と田村氏(その右)=7月19日、鹿児島市 全国で最低賃金の改定作業が進められる中、九州では福岡、佐賀、長崎、熊本、宮崎、鹿児島の6県の日本民主青年同盟が、全国一律・時給1500円への引き上げを求め、各県の労働局に申し入れをしました(7月10日~8月9日)。日本共産党の田村貴昭衆院議員がすべて(長崎はオンライン)の申し入れに同席しました。
 
田村貴昭氏が同席
 
 「食パン1枚ずつで5日間過ごした」「ホームレスになる将来の方が身近に感じる」。申し入れでは各県の同盟員の代表が、各地の食料支援などで大学生などから寄せられた若者の切実な声を当局にぶつけました。
 
 鹿児島労働局に申し入れをした鹿児島県委員会の長野誠副委員長は、「地域全体として暮らし向きが苦しい現状がある。低賃金は生活と命に関わる問題です」と低すぎる賃金を批判します。全労連の最低生計費調査では鹿児島市内で25歳の男性が生活するには時給1584円が必要ですが、今期答申されている最低賃金は897円(44円増)と全国でも最低ランクです。
 
 今回初めて鹿児島地方最低賃金審議会の専門部会(7月24日)で意見陳述もし、鹿児島県労連の福丸裕子議長とともに長野氏も大幅引き上げを訴えました。専門部会の論議に民青のシールアンケートなどを反映させたことについて、長野氏は「申し入れが無駄ではなかったと感じた。来年度以降も要請を継続したい」と意気込みます。
 
 最低賃金の地域間格差も大きな問題です。今期答申で最も高い東京都の改定額は1113円(41円増)ですが、九州で最も高い福岡県でさえ941円(41円増)と全国加重平均1004円にも届かず、その他各県は900円から897円で全国最低水準です。
 
 申し入れでの意見交換の中、各労働局の担当者からも「全国一律賃金に個人的には賛成。マクドナルドの値段は全国同じなのに、東京と200円の差があるのは普通の労働者には解せない」「生活実態に合わせた引き上げは必要。事業者の支払い能力(の課題)もあるので、そのための基盤が重要」と趣旨に賛意が示されました。
 
 福岡労働局で申し入れをした山野遼大・福岡県委員長は「賃金格差で福岡が九州各地から人口を吸い上げる形になっている。福岡も十分な賃金ではなく、さらに関東・関西圏に奪われる。若者の生活や地域経済のためにも全体の底上げと全国一律の最低賃金が必要です」と語りました。
 
 申し入れ活動を援助し、同席した田村氏は「低賃金に苦しむ青年たちと一緒に要請し、九州すべての地域で中央が示した目安を上回る引き上げが示された。地域間格差を縮めたことは大いに意義がある。労働局との懇談では、使用者側の上げたくとも上げられない苦悩の説明もあった。引き続き中小企業支援とセットにした最低賃金引き上げを求めていく」と語りました。(しんぶん赤旗 2023年8月29日)