通常国会150日 政権追い詰めた共産党の論戦(2) 平和へ 対案示す

タイトルなし 自民党裏金事件で国民からの信頼を失う一方、岸田政権は、憲法の平和国家としての理念を破壊する「戦争国家づくり」の悪法を次々と強行しました。この暴走に正面から立ち向かう論陣を張ったのが日本共産党でした。

 
 4月、米ワシントンで行われた日米首脳会談で、岸田文雄首相はバイデン大統領と自衛隊と米軍の作戦や能力の「シームレス(切れ目のない)な統合を可能」にすることなど指揮統制強化を合意。この合意をめぐって、自衛隊が米軍の事実上の指揮下に置かれ、米側が主権の一部まで切り離すよう求めている実態を告発したのが志位和夫議長です。(4月22日、衆院予算委員会)
 
 志位氏は、米軍が同盟国を動員して具体化を進めている「統合防空ミサイル防衛(IAMD)」をめぐり、米国の公式文書で米インド太平洋軍が「(同盟国に)主権の一部を切り離させる」ための「政府をあげてのアプローチが必要」などと主張していることを暴露。「これが米軍の求める『シームレスな統合』だ。日本の主権まで米国に差し出すなど、まぎれもない憲法違反だ。国の独立をかなぐり捨てるものだ」と迫る志位氏に対し、岸田首相は「自衛隊は独立した指揮系統だ」などと根拠を一切示さず繰り返すだけ。志位氏は「日本が進むべき道は軍事的対応の強化の道でなく、東アジアの平和を構築するための憲法9条を生かした平和外交にこそある」と提起しました。
 

統合作戦司令部

 
 自衛隊を米軍の指揮下に組み込む米国の狙いと一体で進められたのが、陸海空3自衛隊を一元的に指揮する「統合作戦司令部」創設を含む防衛省設置法等の改定です。
 
 赤嶺政賢議員は4月11日の衆院安全保障委員会で、同司令部の創設は「自衛隊を米軍の指揮下に深く組み込み、日米一体で敵基地攻撃能力を運用する体制をつくるものだ」と指摘。エマニュエル米駐日大使が日米の指揮統制連携強化は「台湾有事を念頭にしたもの」と明言し、台湾有事を想定した日米共同作戦計画の原案では日本が安保法制に基づく集団的自衛権を発動して南西地域で米軍と一体で中国と戦うと報じられていると指摘し、「断じて容認できない。政府は東アジアに平和をつくる外交にこそ力を尽くすべきだ」と強調しました。
 
 山添拓議員は、5月9日の参院外交防衛委員会で、米軍の情報に基づき攻撃した結果、自衛隊の武力行使が必要最小限度の範囲を超えない保障はどこにあるのかと追及。「自衛隊の活動は憲法、国内法の範囲内で行われる」と繰り返すだけで保障を示せない木原稔防衛相に、山添氏は「憲法の制約などないと言っているに等しい」と批判しました。
 

「死の商人」告発

 
 政府が署名した、英国・イタリアとの次期戦闘機の共同開発・生産・輸出を推進する政府間機関「GIGO」を設立する次期戦闘機共同開発条約。同条約の承認をめぐり、宮本徹議員は4月25日の衆院本会議で、武器を輸出しないことは、国会議論や衆参両院での全会一致の国会決議で憲法の平和国家としての理念を踏まえて確立した「国是」だと強調しました。
 
 山添氏は6月4日の参院外交防衛委員会で、「平和国家の立場を投げ捨て武器を売り歩き利益を増やすのは『死の商人国家』との批判は免れない」と述べ、「大軍拡ではなく外交で平和構築を図るべきだ」と求めました。
 
 十分な審議のない採決強行が相次ぐ中、「戦争国家づくり」の危険を告発するとともに平和構築の対案を示す日本共産党の論戦が光りました。(しんぶん赤旗 2024年6月25日)