全国の病院での経営危機が深刻さを増すなか、日本共産党の小池晃書記局長らは10月23日、国立大学病院長会議の大鳥精司会長と、大鳥氏が病院長を務める千葉大学医学部付属病院(千葉市)で懇談しました。小池氏は、高度医療などを支える国立大学病院の実態や必要な支援について要望を聞き取り、政府に対し緊急の対策を求めていくことを表明しました。
大鳥氏は「国立大学病院は医師を育て、派遣することが最大のミッションだ」と強調します。全国で国立大学病院から4万人以上の医師が地域の病院へ派遣されています。大鳥氏は経営難で派遣が困難になれば、地域医療が「崩壊する」と危機感をあらわにしました。
臓器移植などの高難度医療では国立大学病院が重要な役割を果たし、手術件数は、一般病院の2~4倍にのぼります。大鳥氏は、移植術後の管理などが難しいことに言及。高額な薬剤などが多く使用され、診療報酬では賄いきれず「非常に苦しい」と訴えました。
同会議の調査によると、全国42の国立大学病院全体で、今年度の赤字が過去最大の400億円超となる見込みです。要因として、高額な医薬品費や物価高騰による材料費や委託費の増加、医師などの人件費増を挙げています。こうした事態に対して、同会議は赤字脱却のために、来年度診療報酬改定で11・0%の引き上げを要望しています。
大鳥氏は、経営危機の打開は待ったなしだとし「来年まで待てない」と述べ、補正予算による補助金など緊急の支援を訴えました。
小池氏は、高市・自民・維新政権が医療費4兆円削減を掲げていることに触れ、臨時国会で医療危機を大きな争点にし、打開のための論戦に取り組む決意を語りました。
日本共産党から田村貴昭衆院議員、吉良よし子、白川容子の両参院議員、斉藤和子元衆院議員が、千葉大学医学部付属病院から小山田享史副病院長が同席しました。(しんぶん赤旗 2025年10月24日)