「与党の特措法案には何の思想も哲学もない」――。水俣病をめぐり与党が特別措置法案を国会に提出するなか日本共産党の市田忠義書記局長は3月22日、現地の水俣市で患者団体と懇談しました。患者団体の代表らからは特措法案で盛り込まれたチッソの分社化や公害健康被害補償法に基づく水俣病発生地域の指定解除に一致して批判が相次ぎました。
「チッソを(救済を議論する)テーブルにつけるということで国や県に協力してきたが、被害者に何の相談もなく与党が一方的に出してきた法案に怒りを覚える」。水俣病出水の会の尾上利夫会長は与党案を批判し、公害の原因企業が事実上消滅、責任の所在があいまいになることの危機感も口にしました。「地域指定解除はもってのほか。チッソの責任を水に流すわけにはいかない。分社化は認められない」
チッソ水俣病患者連盟の高倉史朗事務局長は地域指定解除に「企業の免責法案になっている。こんな不道徳は許されない」と厳しい言葉を並べました。
水俣病被害者芦北の会の村上喜治会長は高齢化する被害者の気持ちを切実に語りました。「生きているうちに早期救済を求める」
懇談会には九団体から代表や会員が集まりました。水俣病患者連合、同互助会、同被害者互助会、同不知火患者会、同被害者の会全国連絡会などが、差別や偏見のなかで声を上げられない潜在患者がいまだに多数いると発言し、水俣病の全貌(ぜんぼう)把握のため不知火海沿岸住民の健康・被害調査が必要だと語りました。
市田氏は「みなさんの切実な生の声を直接受け止め全面解決に向けて全力を挙げたい。与党の法案は患者切り捨て・加害企業免罪法案と名前を変えた方がいい」と語りました。
懇談には日本共産党から市田氏のほか仁比聡平参院議員、久保山啓介党熊本県委員長、田村貴昭、山本伸裕両衆院九州沖縄比例予定候補らも参加しました。(2009年3月23日「しんぶん赤旗」)