熊本・黒岩地区、水俣症状 対象外地域も 市田書記局長と住民が懇談「救済を」

 日本共産党の市田忠義書記局長は4月15日、国が7月末で申請打ち切りを狙う救済策の対象外地域でありながらほとんどの住民に水俣病症状が確認された熊本県芦北町の黒岩地区を訪れ、集落の大半の住民約30人と懇談しました。田村貴昭衆院九州・沖縄ブロック比例予定候補、橋田芳昭衆院熊本5区予定候補らが同行しました。

 坂本登党町議の案内で会場に到着した市田氏を、住民がそろって拍手で出迎えました。久保静夫区長(62)は、市田氏が黒岩地区を例に水俣病被害の救済を迫った3月21日の参院環境委員会質問にふれ、「DVDで視聴し、ズバリ政府の姿勢を追及できるのは共産党だけだと思いました。親身にしてもらい感動しています」と歓迎あいさつしました。

 黒岩地区では昔から行商の人が持ち込む不知火海の魚を買って食べていたものの、水俣病多発地区から車で30分以上かかる山村のため対象地域から外されていました。住民は、体の不調は加齢のためで水俣病とは思っていなかったと言います。「若いころからつまずきやすく、けがをしてばかり」「夜、足の裏が焼けるように熱く眠れない」など、水俣病特有の症状を口々に訴えました。

 「岩手県に娘がいるが、検診を受けに東京までは出られない」と話すなど、全国に移住した親族が救済から取り残されている状況も明らかになりました。

 水俣病検診に長年携わる高岡滋医師は「救済対象地域の内外にかかわらず水俣病の症状は同じ」と行政の線引きを批判しました。

 市田氏は「住民には何の罪もない。被害者を放置してきたチッソと国・熊本県の責任で、救済を要求するのは当然の権利」と激励。被害の全容調査もなく救済打ち切りを策す国を批判、被害者全員の救済までともにたたかう決意をのべました。

 市田氏は同日、八代市で水俣病不知火患者会の代表と懇談し▽すべての水俣病被害者の救済▽不当な線引きの見直し―などについて話し合いました。(しんぶん赤旗 2012年4月16日)