国が定めた水俣病救済の対象地域外の被害の広がりを実証しようと実施した、「ミナマタ現地調査」は2日目の8月26日、鹿児島県出水(いずみ)市で全体会を開き、すべての被害者救済のための国民世論をさらに広げることを確認し、全日程を終了しました。全国各地から400人が参加しました。
島内で救済の対象地域内外に分断された、長島(長島町)に住む女性(78)は「小さな島の中で食生活も症状も同じなのに特措法の地域外として、検診も受けさせてもらえなかった。私のように苦しむたくさんの人のためにも裁判を精いっぱい頑張りたい」と、時折声を詰まらせながら語りました。
長島町で、独自に有病率調査を行った高岡滋医師が報告。救済の対象地域外に住む多くの住民から手足のしびれや、こむら返りなど水俣病特有の症状が確認され、対象地域外として健康調査や環境被害調査を行わない国による線引きは、科学的根拠がないと強調しました。
ノーモア・ミナマタ第2次訴訟の村山悦三原告副団長は「地域や年齢による根拠なき線引きで、多くの被害者が切り捨てられてきた。裁判での勝利は原告のみならず、すべての被害者を救済する仕組みをつくることにつながる。救済を願う国民世論と政治的環境をつくり、必ず勝利を勝ち取ろう」と呼びかけました。
日本共産党の田村貴昭衆院議員が「国会で水俣病の問題解決に全力で取り組む」と連帯あいさつ。市田忠義、仁比聡平の両参院議員がメッセージを寄せました。
先月亡くなった水俣病不知火(しらぬい)患者会の大石利生前会長を追悼し、参加者全員で黙とうしました。(しんぶん赤旗 2018年8月26日)