日米両政府は10月24日の日米合同委員会で、航空自衛隊築城(ついき)基地(福岡県築上町)、新田原(にゅうたばる)基地(宮崎県新富町)に米軍の武器弾薬庫や戦闘機の駐機場などを整備することで合意しました。「沖縄の負担軽減」を口実にした日本全土の米軍基地化が加速しています。
合意は、普天間基地(沖縄県宜野湾市)の「能力を代替」するとして、両基地に駐機場、燃料タンク、弾薬庫、庁舎、倉庫などを建設し、「緊急時」にそれぞれ戦闘機12機程度、輸送機1機程度、米兵約200人の受け入れを想定しています。普天間の「能力代替」と言いながら普天間基地にない弾薬庫を造る理由について防衛省は「詳細は控える」と明らかにしていません。
また、普天間基地の「返還期限」とされている2022年度までの整備を計画。築城基地では滑走路(約2400メートル)を約300メートル延長し、宿舎の整備と合わせ米軍の常駐化を狙っています。
防衛省は25日、日本共産党の田村貴昭衆院議員らに対して「全米軍」が使用対象でF35ステルス戦闘機やオスプレイなどの飛来も「ありうる」と説明しました。
2006年5月の在日米軍再編ロードマップに伴い、すでに両基地への米軍機の訓練移転が進められてきました。築城基地では、07年に日米共同訓練が強行され、続けて燃料タンク増設などの基地拡張計画が表面化。13年の日米合意では普天間「返還」8条件の一つとして両基地の「緊急時使用」が盛り込まれました。
日本共産党国会議員団は地元自治体や地域住民と懇談し、再編計画の撤回を求めてきました。地元の反発を受けた防衛省が基地拡張の調査費予算を取り下げざるをえなくなったこともありましたが、政府は米軍の運用を優先し基地強化を推進してきました。
防衛省は、あくまで「緊急時」の使用を想定しているとして「丁寧に説明し地元の理解を得る」と強調しています。しかし、宮崎県木城町への説明(24日)で「緊急時」の定義を説明しないなど、米軍の解釈次第で運用がどこまでも拡大する恐れがあります。(しんぶん赤旗 2018年10月26日)